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数年前、自殺しようとしてた俺が未だに生きてる話
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198 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/09(水) 04:15:04.93 ID:e4i9ERjX.net
「それじゃ、次の段階は観察ね」
「観察?」
嫌な予感に俺は聞き返した。
「そう」「観察」「目標を達成するには、彼の動きを正確に知る必要がある」「違う?」
「ちょっと待ってよ」
俺は焦った。
「それって、」
「だって、俺が外に出て」
「「出るってこと?」
「それで、あいつを見張る?」
「無理」
「無理だって、」
「そんなこと、できない」
部屋の外にすら出たくないのに、あいつを見張るなんてもっと無理だ。
絶対気づかれて、、、考えたくもないような地獄を見ることになる。
そんなの絶対に無理だ。
199 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/09(水) 04:22:31.50 ID:e4i9ERjX.net
「無理?」
するとレイは冷ややかに言った。
「また計画変更なの?」
「違うよ、そうじゃないけど」
「それなら」「最終的に、あなたは どうやってAの命を奪うつもり?」「そこから出ることもなく」「超能力でも使えるというの?」
・・・・・・そんなもの、使えるわけがない。俺は意地悪なレイにむっとしながらも、どうしよう、そう思った。
「それじゃ、次の段階は観察ね」
「観察?」
嫌な予感に俺は聞き返した。
「そう」「観察」「目標を達成するには、彼の動きを正確に知る必要がある」「違う?」
「ちょっと待ってよ」
俺は焦った。
「それって、」
「だって、俺が外に出て」
「「出るってこと?」
「それで、あいつを見張る?」
「無理」
「無理だって、」
「そんなこと、できない」
部屋の外にすら出たくないのに、あいつを見張るなんてもっと無理だ。
絶対気づかれて、、、考えたくもないような地獄を見ることになる。
そんなの絶対に無理だ。
199 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/09(水) 04:22:31.50 ID:e4i9ERjX.net
「無理?」
するとレイは冷ややかに言った。
「また計画変更なの?」
「違うよ、そうじゃないけど」
「それなら」「最終的に、あなたは どうやってAの命を奪うつもり?」「そこから出ることもなく」「超能力でも使えるというの?」
・・・・・・そんなもの、使えるわけがない。俺は意地悪なレイにむっとしながらも、どうしよう、そう思った。
200 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/09(水) 04:29:53.55 ID:e4i9ERjX.net
Aを殺す。
考えてみれば、それは限りなく物理的なことだった。
つまり、俺がここに引きこもったままじゃ、Aを殺すことなんかできない。
どんなに頭の中で策を練って、パソコンでレイと話し合っていても、最終的には俺は外に出て、Aと対峙することになる。
もちろん、毒殺とか、手段によってはAに会う必要はないのかもしれないけど、それでもAの家や学校に行く必要は出てくるわけだ・・・・・・。
そこまで考えて、俺はふと思いついた。
「殺人を誰かに頼むってのはどう?」
嘱託殺人ってやつだ。
201 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/09(水) 04:36:37.05 ID:e4i9ERjX.net
「そういうの、ネットで受け付けてるサイトがあるって聞いたことあるけど」
「そこで、俺の代わりにやってくれる人を見つける。ってのは?」
「聞きかじっただけの話でしょう?」「そんなものを、安易に持ち出さないでほしい」
「でも、実際そういうのあるんだろ?」「あるんならさ・・・・・・」
突き放すレイに、俺は珍しく食い下がった。
きっと、それだけ自分で手を下すことが嫌だったんだろう。
そりゃそうだ。人殺しなんて、できるもんならやりたくない。
202 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/09(水) 04:39:30.88 ID:e4i9ERjX.net
「そこまで言うなら、聞かせて」
「相応の報酬は用意できる?」
「お年玉を貯めたってレベルじゃないわよ」
「念のため、だけど」
いつものように、俺は撃沈した。
203 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/09(水) 04:44:55.43 ID:e4i9ERjX.net
「でも、どうしてAの行動なんか調べる必要があるんだよ」
それでも、どうしても外に出たくない俺は言った。
「あいつの行動なんて、だいたい知ってるよ」
「学校行って、放課後は だいたいゲーセンで」
「それより、どうやって完全犯罪にするのか考えた方がよくない?」
「あいつなんかのことで捕まりたくない」
「完全犯罪、ね」
「それなら、なおのこと詳細に目標の行動を知るべき」
レイも譲らなかった。
204 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/09(水) 04:51:07.33 ID:e4i9ERjX.net
「何でだよ。だいたいは わかるんだってば」
「家もわかったし。それで十分だろ」
「いいえ」
「それじゃ不十分もいいところ」
「目標を観察する」
「すべては そこから」
「このままじゃ、本番のシミュレーションも不可能」
「運を天に任せることしかできない」
「でも・・・・・・」
「じゃ、どうやって殺すか考えるってのは?」
「ナイフでぶっ刺すとか、毒のませるとか、トリック使うとか」
馬鹿丸出しだから、一度、トリックから離れろと俺は言いたい。
205 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/09(水) 05:00:32.34 ID:e4i9ERjX.net
「手段は先に決めるものじゃない」
しかし、レイは言った。
「それは あとからついてくるもの」
「行動を起こしてみるのが先」
「そうすれば、何が必要で、何が必要じゃないのかがわかる」
「どういう意味?」
よくわからずに俺は聞いた。
きっと、それは俺のやり方と真逆とも言える方法だったからだと思う。
何か新しいことを始める際に、俺が選ぶ方法と。
206 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/09(水) 05:13:47.00 ID:e4i9ERjX.net
「パソコンの前で考えていても、答えは出ない」
「彼の動きもわからない」
「実際の彼を観察するべき」
レイはそう言ったが、俺はやっぱり実感がわかなかった。
なぜなら、ナチュラルにネット世代な俺は、何をするにしても まずパソコンを開くのが常套手段で、たいていの場合、そこにはすべてが載っていた。(と、思っていた)
だって、夏休みの天気を毎日書くのをサボっても、自由研究を自分で考えてやらなくても、ネットにはすべてが載っていて、俺は それをただ写すだけでよかった。
情報はすべて この画面の中にあった。
だから、レイの言う「行動を起こす」というのは、俺にとって「自分の足を使う」ことではなく、この部屋の中で画面に向かえば できることだった。
207 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/09(水) 05:30:47.45 ID:e4i9ERjX.net
「それは、〈行動を起こす〉とは言わない」
しかし、レイは言った。
「画面に向かって、誰かの書いた情報を眺めても、それは〈何かをした〉とは言えない」
「あなたは画面を眺めていただけ」
「ほかには何もしていない」
「でも、情報は大事だろ」
腑に落ちずに、俺は言った。
「何かを始めるには、情報が必要だし」
「そう言って、そんなに大層なことを始めたことがあった?」
「あなたは情報を調べて、何かしたような気分になっただけ」
「実際は、その椅子から立ってさえいないのに」
俺は小学生の頃、大冒険がしたくて、電車の旅を計画したことを思い出した。
そのときも、俺はパソコンの前にいて、時刻表や観光スポットを調べていた。
何日も調べて、俺は完璧な旅のしおりを作り上げた。
「それで?」
答えを知ってるくせに、レイは尋ねた。
「・・・・・・結局行かなかった」
俺は仕方なく答えた。
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