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三十路の喪女に彼氏ができたときのお話
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25 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:10:02.12 ID:LZSY7jKs.net
私たちの職種は年末が特に忙しく、クリスマスなんてできないのが恒例。もう慣れっことは言え、なんとなく仲間意識が芽生えてしまう。
「なにクリスマスに仕事してんだよw」
「そっちこそwお互い様でしょーがw」
「クリスマスがヒマだと、正月がこないもんなあ」
「そーそー。クリスマスだけ忙しいわけじゃないけどね」
「それじゃあ、クリスマスに仕事終わって虚しくなったら、メールでもくださいな」
M君はさりげなく、自分の名刺の裏にメアドを書き込んだ。
うーん、この流れ…っぱこいつ、慣れてんなー。
「でもこのアドレスにメールすると、ちょっとこれ誰よ!なんて修羅場になるんでしょ?」
「それはありません」
即答でした。
26 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:10:56.37 ID:LZSY7jKs.net
その後、私は喪女たる矜持を保って、M君にメールすることはなかった。
と言うよりも、仕事のバタバタで それどころじゃなかったんだ。
だけどクリスマスの夜、仕事帰りに立ち寄ったコンビニでクリスマス用のショートケーキが一つ売れ残ってるのを見たら、ふと
あ、M君にメールしてみようかな?
という気分になった。
ヒマだったらメールくれって言ってたもんね。
………だけど、相手はイケメンですぜ?
聖なる夜に喪女がイケメンにメールするとか勘違いも甚だしいんじゃありませんかい?
もう一人のモジョモジョしい私が語りかけてきたけど「それはありません」という即答を思い出して、思いきってメールしてみることに。
27 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:11:34.50 ID:LZSY7jKs.net
「今コンビニで、売れ残ってるケーキを見つけた。同じ売れ残りとして、どうしたらいいかな?」
返信はわりと早かった。
「返しに困るメールを寄こすな!
是非ご一緒にと言いたいところですが、あいにくと風邪をひいてしまいました。
せっかくメールしてくれたのに申し訳ない。
ケーキは買ってあげるとよいでしょう。
メリークリスマス」
私たちの職種は年末が特に忙しく、クリスマスなんてできないのが恒例。もう慣れっことは言え、なんとなく仲間意識が芽生えてしまう。
「なにクリスマスに仕事してんだよw」
「そっちこそwお互い様でしょーがw」
「クリスマスがヒマだと、正月がこないもんなあ」
「そーそー。クリスマスだけ忙しいわけじゃないけどね」
「それじゃあ、クリスマスに仕事終わって虚しくなったら、メールでもくださいな」
M君はさりげなく、自分の名刺の裏にメアドを書き込んだ。
うーん、この流れ…っぱこいつ、慣れてんなー。
「でもこのアドレスにメールすると、ちょっとこれ誰よ!なんて修羅場になるんでしょ?」
「それはありません」
即答でした。
26 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:10:56.37 ID:LZSY7jKs.net
その後、私は喪女たる矜持を保って、M君にメールすることはなかった。
と言うよりも、仕事のバタバタで それどころじゃなかったんだ。
だけどクリスマスの夜、仕事帰りに立ち寄ったコンビニでクリスマス用のショートケーキが一つ売れ残ってるのを見たら、ふと
あ、M君にメールしてみようかな?
という気分になった。
ヒマだったらメールくれって言ってたもんね。
………だけど、相手はイケメンですぜ?
聖なる夜に喪女がイケメンにメールするとか勘違いも甚だしいんじゃありませんかい?
もう一人のモジョモジョしい私が語りかけてきたけど「それはありません」という即答を思い出して、思いきってメールしてみることに。
27 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:11:34.50 ID:LZSY7jKs.net
「今コンビニで、売れ残ってるケーキを見つけた。同じ売れ残りとして、どうしたらいいかな?」
返信はわりと早かった。
「返しに困るメールを寄こすな!
是非ご一緒にと言いたいところですが、あいにくと風邪をひいてしまいました。
せっかくメールしてくれたのに申し訳ない。
ケーキは買ってあげるとよいでしょう。
メリークリスマス」
28 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:12:00.81 ID:LZSY7jKs.net
おあー。
なんかずいぶんと、やんわ〜り断られたなあ。
別に一緒に食べたいなんては思ってなかったのに断られると、なんだかやっぱり凹むなw
…ひょっとして、女の子と一緒だったとしたら悪かったなあ。
「お邪魔しちゃったならゴメン!ほんとに風邪ならお大事に、あったかくして寝ろよ〜。 メリークリスマス!」
送信。
さーてケーキ買わずに帰るかあ、と思ってたら、携帯が鳴った。
M君から、メールではなく電話がかかってきた。
29 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:12:23.69 ID:LZSY7jKs.net
「本当に風邪ですよ」
開口一番、彼はものすごい掠れ声でそう言った。
「うわー…。それ、しゃべらない方がよくない?」
「だったら、しゃべらすようなメールをするな」
「あー、えーと、そうか…ごめんなさい」
「いえいえ、こちらこそ突然電話してすいません。もう三日も寝込んでて、どうにもヒマなもんで、つい…」
「え、三日も?」
この繁忙期に!?は言わないでおく、私の優しさ。
30 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:12:47.09 ID:LZSY7jKs.net
「確か一人暮らしだよね。ちゃんと食べてんの?」
「」
一瞬、言葉が止まった。
「食べてるよ」
「なにを?」
「適当に、あるものを」
食べてねーな、こいつ。
「あのー、もしなにか食べたいものあったら、持っていこうか? せっかくだし、この際、頼ってくれてもいいよ?」
「あー………それじゃあ、甘くて柔らかくて喉にやさしい、ケのつく食べ物を…」
売れ残りのケーキを速攻で買う。だけど、風邪ひいてるときにケーキはないよなあ。
レトルトのスープやおかゆも買って、メールで送られてきたM君のアパートへ向かった。
31 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:13:21.55 ID:LZSY7jKs.net
出迎えたM君は、顔色と声以外はわりと普通だった。扁桃腺をやられて、高熱を解熱剤で抑えてるとのことだった。
「風邪ひいててもイケメンなんだねー」
と言うと
「いま病人なんで、上手いこと返せない」
と、鬱陶しそうにシッシッと手を振られた。やっぱり、言われ慣れてんなー。
32 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:13:48.62 ID:LZSY7jKs.net
「どうですか、シャバの様子は?」
「普通普通w絶好調に修羅場だよww」
「そっか…。じつは昨日、年内仕事だけでもって思ったんだけど…上司に追い返されちゃってさ」
「はあ!?ひょっとして、その顔色で出社したの!?」
「うん、どっちにしろ いい迷惑だよな…でも焦っちゃってさ」
しゅんとしてしまうM君。ああ、休んでること、こんなに気にしてたんだ…。
33 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:14:14.02 ID:LZSY7jKs.net
「嫌味っぽい言い方してゴメン。
まあ追い返されたってことは、気にせず休めってことだよ。いい上司さんじゃないかw
ところで、はいこれ。ケーキと、その他いろいろ」
「いろいろ?」
「うん、あっためればいいだけのやつ。いらなかったら保存食にでもしてね」
「いらなくない…すごくありがたい」
「じゃ、早くよくなれよ!」
「え、ちょっと待った。あの、お代」
見れば、彼の手にはお財布が。
34 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:14:40.96 ID:LZSY7jKs.net
「いいよいいよ、お見舞いだよ。サンタさんからの生活感あふれるプレゼントじゃw」
「え、でもそれじゃあ……えーと、風邪うつるの覚悟で上がっていく?」
「ぜったいにヤダw早く寝ろw」
「だよね。えーと、その、あれだ…こんど酒……は、そっか、飲まないのか。じゃあ、年明けに、食事でも、ご一緒に」
なんだかやたら しどろもどろだった。あちゃー、病人に気をつかわせてしまった。
「うん、楽しみにしてるわw でもまずは、しっかり休んで風邪治せよ!」
このとき、食事のことは社交辞令としか思ってなくて なんか人助けしちゃったなあ!くらいの感覚だったのでした。
35 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:15:10.83 ID:LZSY7jKs.net
そんなだったので、なんの期待もせずに年末年始をすごして普通に仕事始めを迎えて、やっとお正月気分も抜けてきたころに突然メールでM君から食事のお誘いがきたときは
「ずいぶんと律儀だな〜」と思ってしまった。それとも、借りは返さないと気が済まないのかな?
どっちにしろ、彼とまたおしゃべりできるのは、私としては楽しみだった。
なので喜んでお受けしよう、とは思ってたんだけど……
一つだけ、気になることがあったんだ。
36 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:15:51.25 ID:LZSY7jKs.net
それは、お見舞いを届けに行ったM君のアパート。
失礼だけども、ボロだった。それも、かなりのボロ。着くなり「ほんとにここ!?家賃いくら!?」と思ったくらいボロ。
この業界、ものすごくお給料がいいわけでもない。もしかしてM君、あまりお金に余裕がないんじゃないか?
だってあのとき、すごく しどろもどろになってたし…
無理して食事に誘ってくれてるんだとしたら、どうしよう?
だけどせっかく誘ってくれてるのに、そんなんで断るのもないよねえ…。 と、まあ結局は、ご馳走になったんだけどさ。
今こうして振り返ってみると、私はこのときから、なにかボンヤリと感じとってはいたんだなあ、と思う。
そしてそのボンヤリは、やがて段々と形になっていくことになる。
>>次のページへ続く
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