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三十路の喪女に彼氏ができたときのお話
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81 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:41:41.57 ID:LZSY7jKs.net
しばらくは その沈黙に付き合ってたんだけど、途中で堪りかねて「あのー、それで、どうでしょうか」と先を促す私。
「あっ、うん、あの…返事はちょっと…待ってもらえる?」
え。
な、なんで待つの?
やだ、死刑宣告を先送りにされてるみたいで、やだ。
いますぐここで返事してほしい、たとえ断られても。
…なんては言えず。
「はい、わかりました」
私はこの日、すごすごとM君の部屋を後にしたのでした。
82 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:42:16.89 ID:LZSY7jKs.net
結局、M君の返事が聞けたのは、それから一週間後の日曜日だった。
部屋に呼ばれたってことは、オッケーもらえるかも…?なんて期待はあまりしないようにしながら、M君のアパートへ。
M君いわく「キレイなエリア」のダイニングで、テーブル挟んで向かい合う。
M君は なんだかオドオドしていて、話し出すきっかけが掴めないみたいだった。
それを見ていて、「あ、これはダメなんだな」と諦めがついた。
まったくもー、男ってこういうときはホント駄目よねー!なんて自分を奮い立たせて、私から切り出した。
しばらくは その沈黙に付き合ってたんだけど、途中で堪りかねて「あのー、それで、どうでしょうか」と先を促す私。
「あっ、うん、あの…返事はちょっと…待ってもらえる?」
え。
な、なんで待つの?
やだ、死刑宣告を先送りにされてるみたいで、やだ。
いますぐここで返事してほしい、たとえ断られても。
…なんては言えず。
「はい、わかりました」
私はこの日、すごすごとM君の部屋を後にしたのでした。
82 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:42:16.89 ID:LZSY7jKs.net
結局、M君の返事が聞けたのは、それから一週間後の日曜日だった。
部屋に呼ばれたってことは、オッケーもらえるかも…?なんて期待はあまりしないようにしながら、M君のアパートへ。
M君いわく「キレイなエリア」のダイニングで、テーブル挟んで向かい合う。
M君は なんだかオドオドしていて、話し出すきっかけが掴めないみたいだった。
それを見ていて、「あ、これはダメなんだな」と諦めがついた。
まったくもー、男ってこういうときはホント駄目よねー!なんて自分を奮い立たせて、私から切り出した。
83 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:42:44.84 ID:LZSY7jKs.net
「なんか、困らせちゃったみたいで ごめんね!私はただ、自分の気持ちを伝えたかっただけだから。
これからも友達でいられるなら嬉しいし、もうそれも迷惑ってことなら こっちからありがとうって言いたいくらいだよ!」
暗くしたくなくて、たぶん結構大きな声出てた。
M君はびっくりしたみたいに
「いやいや、困ってない。困ってないし、迷惑とかそんなことは全然思ってない。
喪子は何も悪くない、喪子の気持ちは本当に嬉しいんだ。
ごめん、ただちょっと、俺のほうに問題があって…」
「問題って…?」
「うん…あのー…あまり綺麗な話じゃないから、ちょっと話すのに勇気がいる…。誰にも話したことないから、上手く整理がつかなくてさ…」
あー………。
こないだの話で、もうそっちの問題は片づいたとばっかり思ってたけどなあ。
クロだわクロ、こいつあークロだよコンチクショウ。
女子ども、これが結果だー!うわーん!!!
84 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:46:54.88 ID:LZSY7jKs.net
M君は、ちょっと立場忘れてイラっとくるぐらい、何かモゴモゴ言っていた。
それで、途中で口を挟んでしまった。もう、スッキリ逝かせてくれい!と思っちゃったんだよね。
それに、そんなに隠していることを なにもわざわざカミングアウトさせることもないしさ。
「あのさ!話したくないんだったら、話さなくても大丈夫だから!
イエスかノーかでいいの、それだけで納得できるから!
はっきり言って、フられるなら、なに言われても一緒!!」
「あっ、ごめん。イエスです」
………………はい?
はいいいいいいいいい!?
聞き間違えたわけじゃない。あれだけモゴモゴしていたM君が、そこだけ はっきりと言い切った。
だけど手放しに「やったー!」なんてなれるわけがない。
「カモフラージュのため」なんて言われたら、私も考えなくちゃならない。
85 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:47:49.70 ID:LZSY7jKs.net
「でも本当に付き合うかどうかは、これからの話で喪子が決めた方がいいと思う」
「あ、あんまり脅かさないでよねー…うん、わかった。ちゃんと話聞くよ」
「俺、人格にかなり問題がある」
……ん?人格?
性的嗜好じゃなくて、人格?
「こないだ、告白されたことないって言ったよね。
だけど、フられたこともないんだ。全部俺からフってるんだ、俺から告白してるのに。
一年くらいたつと、どうしても別れたくなってしまう」
「別れたくなるって…嫌いになっちゃうってこと?飽きるとか?」
「いや、そういうことじゃなくて………」
M君が言い淀む。かなり言葉を選んでるみたいだった。
「………あのですね、憎悪が湧いてくるんですよ」
86 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:48:21.09 ID:LZSY7jKs.net
引かれたかな?という感じで、M君は私の様子を伺っていた。
「憎悪…って、何かされてってこと???」
「いや、何もされなくても、なんの理由もなく。
相手は全然悪くないのに、急に別れたくなるんだ。
それで、別れるのは全部お前の責任だ、みたいな雰囲気にもっていく。
それまで気にしてなかった些細な欠点を責めたりして 直すから別れないで、みたいなこと散々言わせてから、おもいっきりフる。
…………あー、駄目だ…サイテーだ、反吐が出る…」
M君は頭を抱えながら、さらに続けた。
「しかも、そうやって別れた後、ものすごくスッキリするんだ。
むしろ、そのスッキリ感がほしくて別れるんだと思う。
だからたぶん、俺が女と付き合うのは、別れるためなんだ」
え〜っと………なんだろう、これ…? もしかして、カモフラージュより最悪なケース???
87 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:48:56.76 ID:LZSY7jKs.net
「俺は たぶん人と付き合っちゃいけないタイプなんだと思う。
人付き合いをゲーム感覚でしかとらえられない。
悪いとは思ってるのに、そんなのを何度も繰り返しててさ。
そういう自分が嫌で嫌でしょうがないんだ。だからこの二年くらいは、誰とも付き合わないでいた。
だけど気づいたら、また喪子にゲーム仕掛けるようなことをやっててさ。
こっちからわざわざ電話したり、食事に誘ったりとか…
ごめん、絶対やっちゃいけないと思ってたけど…
だけど喪子は、俺に恋愛感情もってなかっただろ?友達としてなら、そういう関係にはならないんだ。
だから、安心して付き合ってられたんだ」
88 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:49:27.57 ID:LZSY7jKs.net
ああ、そうだったのか。
最初のころの、誘われてるのに突き放されるような わけのわからない曖昧な態度は、それだったんだ。
ゲームを仕掛けたい気持ちと自制心とが、交互に出てきてたんだ。
「友達として付き合ってきて、喪子と話してると楽しいし、一緒にいたい。
だけど、これ以上の関係になると、俺は絶対に喪子にひどいことをする。
治したいとは思ってるけど、治せなかったら、そのとき傷つくのは喪子だ。
それだけは避けたい、なんとかして自分を変えたい。
だけど自分が変われる自信が全然ないんだ…」
89 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:50:04.31 ID:LZSY7jKs.net
今ならピンときたかもしれない。M君のやってることは、モラハラだって。
だけど当時は、そういうのは組織の中で起こるものって意識だった。
個人の関係に、そんなものが働くなんて思ってもいなかったんだ。
経験値の低い喪女の浅はかさと、笑ってください。
私にはM君が、ちょっとこじれた恋愛観をもっている人、というふうにしか見えてなかったんだ。
むしろ、屈折してるのは そこだったんだー!とM君の正体が見えた気にすらなってた。
本人にもモラハラの自覚はなかったけれど この時のM君、かなり勇気を出して、率直に話してくれてたと思う。
でもそのM君の勇気をまるっと無にしたのは惚れた弱みと、同情心フィルターで彼を見てしまった私だった。
90 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:50:33.95 ID:LZSY7jKs.net
「M君ってさー、な〜んかそういう臆病なところ、あるよね」
「うん、気は小さいね…」
「だけど、あのDQNの時みたいに、大胆なところもあってさ」
「いや、あれは緊急事態だったから…」
「だからさー、そんなふうに、人って一面的なもんじゃないじゃない?M君は、人付き合いが下手なのかもしれない。でも それをちゃんと自覚してて、客観的に分析できてるわけじゃん?」
「だけど治せてないし、俺は口ばっかりだよ」
「M君、M君は、自分を型にはめ過ぎてるよ。そうやって、自分は駄目だって強く卑下することで、悪い自分を囲っちゃってるように見えるよ」
「………」
「私は、それでもM君のこと好きだよ。だからさ、付き合ってみようよ。
自分を変えたいって思ってるM君を、私は信じるよ。
それにこれだけ正直に話してくれたんだから もしこの先、私が傷ついたとしても、それは私の選択だよ」
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