「い、いつ引っ越すの?」
「8月の最初の日曜日よ」
悟られまいと思っても涙が出てきて声も上ずっていました。
えぇ・・・・もう10日しかないじゃん・・・・
母にも亮太のお母さんにも亮が好きなことがバレバレの態度もかまわず、私は自分の部屋に逃げるように駆け込むと晩御飯も食べずに泣いたりボーっとしたりしてました。
どうしよう亮に会えなくなっちゃう・・・・・・
生まれて初めて「胸が苦しい」というのを実感しました。
次の日の朝、私は教室で亮太が登校して来るのを待ってました。
「よぉ」
「おはよ・・・・・昨日亮のおばさんがうちに来て・・・」
「あぁ聞いたよ。ったく・・・・・」
「なんで、教えてくれないの?」
「別に・・・・・・」
「みんなにも言ってないの?」
「あぁ」
「先生は?」
「学校にもまだだよ」
「なんで?」
「うーん・・・・まぁいいじゃん。で、お前だれにも言うなよ」
「ちゃんと説明してよ!」
「お、おい・・そーむきになんなよ。今日部活出ないから一緒に帰ろう。その時話すから」
放課後になると私は部活を休んで亮太と一緒に帰りながら話を聞きました。
「1年の時 和樹が転校したじゃん?」
「うん」
「あの時HRで送別会ぽいことしてたら和樹のやつ泣きまくりだったじゃん。女子ももらい泣きするやつ出たりして・・・」
「あぁ覚えてる」
「和樹って気が強いやつだと思ってたのにさ、俺すげぇびっくりしてさ、俺もあーいう風になりそうな気がしてさ」
「うん」
「で、親に頼んで夏休み入ってから学校に言うことにしてもらった」
「いいの?そんなんで・・・・サッカー部の人達とかはどーすんのよ?」
「引っ越す前に話すよ」
私は何か割り切れない気持ちでいましたが あっという間に夏休みになってしまいました。
どうしよう・・・もうこのまま会えないのかな・・・・・告白?・・・・・・いや・・・・私には無理だ・・・・・・
玉砕覚悟で想いだけ伝えようか・・・・・・でも亮にすれば迷惑だろうし・・・・・
引越しの日が近づいてくると私は亮太のことばかり想うようになってました。
引っ越しの前日亮太から家に電話がかかってきました。
「おい、なつ、俺もやっと携帯買ってもらったぞ。お前の番号とメアド教えろよ」
「えっ、うん」
私はうれしかったけど、普通好きな子にメアドとか聞くのってすごい勇気とかいるはずなのに 亮太にとって私はやっぱただの幼馴染なんだなと思いました。
「で、なつ明日ヒマ?」
「え?なんで?」
「うちにこいよ。面白いもの見つけたぞ」
「なに?」
「いいから来いよ来てからのお楽しみだ」
「わかった」
「朝は引越し屋来て忙しいから昼にな」
「うん」