な、なにー?なんで今そんなことを聞く?
そんなの答えられるわけないだろ?
それに…
「もしおれが雪絵のことを好きだと言ったらどうすんの?彼女のことをあきらめて、おれにチャンスをくれるの?」
「いや、そんなつもりはありません。」
「だろ?だったらおれの気持ちなんてどうでもいいことじゃんか」
「まあ、そう言われればそうなんですが。でも、自分が好きな子がエロ話のネタになってたんで、きっと不愉快だっただろうなって思って。本当にすみませんでした」
珍しく、真剣に頭を下げる哲也。
何だよお前、いい奴じゃんか。
「いや、いいんだ。
これからは彼女のことを大切にするんだろ?
それだったら、おれからはもう言うことはないよ。
2人で楽しく過ごせばいいんじゃない?」
だって、しょうがないだろ?
誰がどう見ても、お似合いのカップルだ。
おれが先に告白してれば、おれが彼氏になれてたかも…なんて幻想を持ったこともあったけど、それはやっぱり幻想だ。
雪絵とおれは年齢的にも見た目も、あまりにも釣り合いが取れてないよ。
万が一、彼女がおれのことを好意的に思ってくれたとしても、もし付き合えることになったら、明らかに彼女の方が格上。
おれの数少ない過去の恋愛経験から考えると、格上の女と付き合うと、楽しいことよりつらいことの方が多いんだ。
いらんことばかり考えちゃうんだよね。
「あの子、おれの知らないところで誰かに口説かれてるんじゃないか?」とか
「彼女に捨てられないためにはどうしたらいいんだ?」とか
「絶対に彼女はおれなんかを選んで後悔してるよな」みたいな。
卑屈になっちゃうんだよね。
まあ、おれの性格だからしょうがない。
その点、雪絵と哲也はお似合いだと思う。
少なくともルックス的には。
それに、おれは哲也のことをちょっと誤解してたみたいだったし。
雪絵は哲也と付き合って、きっと幸せになれる。
それでいいじゃん、と思わなきゃ。
ただ、「彼女のことが本気で好きなりました宣言」をするだけだったら、わざわざみんなを集めなくてもいいだろに…
と思わないでもなかったが、きっと自慢したかったんだろうな。
とにかく、この日の会合は終わった。
終わったんだけど、そのまま帰っても大人しく寝れるとは思わない。
久しぶりにヘルスへ行った。
そしたら、雪絵にちょこーーーとだけ似てる子がいたので、迷わず選んだ。
コースは、いきなりの120分。
風俗行ったことがあるやつならわかると思うが、どんな嬢なのかも全くわからないのに、大枚はたいて120分とか、正気の沙汰ではない。
でも、これが結果的には大正解。
うじうじとおれの失恋話をしたところ、やさしい彼女は、おれに疑似恋愛ごっこを提案してくれて、プレイ中は嬢のことを雪絵と呼ぶことになった。