こちらもどうぞ
思い出話に付き合ってくれないか?
(13ページ目) 最初から読む >>
\ シェアする /
277 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 22:56:29.88 ID:MzdjVTRc0.net
大声で叫ぶもんだから音割れしてハウリングして、もうめちゃくちゃだった。
一気に急ブレーキがかかった。
俺たちが何事だ、と思っていると、中嶋先生が口を開いた。
278 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 22:57:16.17 ID:MzdjVTRc0.net
中嶋先生「イッチ!樋口!吉田!佐野!特にイッチだ!!!バスを降りろ!!!」
俺、樋口、吉田、佐野、一瞬何が起こったか理解できなかった。
279 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:02:10.21 ID:MzdjVTRc0.net
中嶋先生「民宿の方々から全て聞いている!!!お前たち、あそこにいる女の子にお世話になったんだろう!!!そして、イッチに限っては、目標と夢まで貰っただろう!!!」
中嶋先生「俺はお前たちに この合宿で何があったかは知らないが、大切な部員に夢を与えてくれた人を俺はこのまま素通りなんでできない!!!」
中嶋先生「もう一度言う、イッチ!樋口!吉田!佐野!バスを降りろ!!!俺はいくらでも待つから、やり残したことと最後にもう一度だけお礼をしてきなさい!!!」
女子とか運転手さんとか、何も知らない人はほんとにポカーンとしてた。
280 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:02:32.78 ID:MzdjVTRc0.net
だが、樋口、吉田、佐野は顔を見合わせて震えていた。
先生が自分たちをよく知っていることを知り、先生が昨日の夜の民宿を抜け出したことについてもそこまで怒らなかった事にも合点がいってたんだとおもう。
281 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:03:06.82 ID:MzdjVTRc0.net
そして俺、ほんとに言葉を失った。
ここまで生徒のことをよく見ている先生なんて、どこを探しても中嶋先生しかいないだろうとも思った。
俺たち4人も必死で、「はい!」 とだけ返事をして、荷物も持たずに走ってバスから降りた。
どんな時でもギター背負ってる吉田ですら、ギターを放っておいてバスから駆け出すくらい必死だった。
大声で叫ぶもんだから音割れしてハウリングして、もうめちゃくちゃだった。
一気に急ブレーキがかかった。
俺たちが何事だ、と思っていると、中嶋先生が口を開いた。
278 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 22:57:16.17 ID:MzdjVTRc0.net
中嶋先生「イッチ!樋口!吉田!佐野!特にイッチだ!!!バスを降りろ!!!」
俺、樋口、吉田、佐野、一瞬何が起こったか理解できなかった。
279 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:02:10.21 ID:MzdjVTRc0.net
中嶋先生「民宿の方々から全て聞いている!!!お前たち、あそこにいる女の子にお世話になったんだろう!!!そして、イッチに限っては、目標と夢まで貰っただろう!!!」
中嶋先生「俺はお前たちに この合宿で何があったかは知らないが、大切な部員に夢を与えてくれた人を俺はこのまま素通りなんでできない!!!」
中嶋先生「もう一度言う、イッチ!樋口!吉田!佐野!バスを降りろ!!!俺はいくらでも待つから、やり残したことと最後にもう一度だけお礼をしてきなさい!!!」
女子とか運転手さんとか、何も知らない人はほんとにポカーンとしてた。
280 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:02:32.78 ID:MzdjVTRc0.net
だが、樋口、吉田、佐野は顔を見合わせて震えていた。
先生が自分たちをよく知っていることを知り、先生が昨日の夜の民宿を抜け出したことについてもそこまで怒らなかった事にも合点がいってたんだとおもう。
281 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:03:06.82 ID:MzdjVTRc0.net
そして俺、ほんとに言葉を失った。
ここまで生徒のことをよく見ている先生なんて、どこを探しても中嶋先生しかいないだろうとも思った。
俺たち4人も必死で、「はい!」 とだけ返事をして、荷物も持たずに走ってバスから降りた。
どんな時でもギター背負ってる吉田ですら、ギターを放っておいてバスから駆け出すくらい必死だった。
282 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:03:27.02 ID:MzdjVTRc0.net
やり残したこと、何一つないつもりだった。
別れの挨拶も、お礼も、夢を叶える約束も、最後の勝負も全てした。
だけど、もう一つだけどうしてもしたいことがあった。
中嶋先生もその事に気付いていたのかもしれないな。
そう思うと皆から少し遅れ、画材だけ持ってバスを降りた。
皆は既に東屋に入っていた。
283 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:04:19.06 ID:MzdjVTRc0.net
吉田「美凪ちゃん!これで最後だからもう一回会いに来た!」
佐野「ありがとうな美凪ちゃん!またいつか会いたいなぁ。」
樋口「本当にありがとう。美凪ちゃんwww!元気でな!」
美凪「まさか最後に来るとは思わなかったよ〜!」
284 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:07:22.74 ID:MzdjVTRc0.net
美凪もまさか今日も会えるとは思っていなかったらしく、本当に驚いていた様子だった。
皆はポロポロと涙流してたけど、それでも笑いながら別れの挨拶とお礼をしていた。
俺は、バスでは中嶋先生の生徒を思う気持ちと、最後にまた美凪に会える嬉しさで涙が出たけど、もう寂しくなんてないから、涙を袖で拭ってから美凪の元へ駆け寄った。
涙を拭った袖には、洗濯でも落ちきらなかった絵の具の汚れが無数に付いていた。
285 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:07:56.18 ID:MzdjVTRc0.net
俺「美凪」
美凪「イッチ」
俺「昨日、やり残した事はないつもりだったんだどね。」
俺「やっぱり一つだけあるかなぁ」
俺「最後に美凪の絵を描かせてくれないか?」
美凪「そのためにまた来てくれたのwww」
286 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:08:31.16 ID:MzdjVTRc0.net
実は毎日美凪の絵を描いていた事、民宿のおばさんに預けているから見て欲しい事を伝え、早速準備を始める。
絵を描いている美凪や、本を読んでいる美凪は描いたが、向かい合って顔を見ながら美凪を描いたことはなかった。
そして、その絵も美凪に預けておきたかった。
287 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:09:02.28 ID:MzdjVTRc0.net
美凪「じゃあ、とびきり上手く描いてよね〜!」
東屋の中で向かい合い、座る美凪を描く。
初めて美凪に会った時、美凪に教えてもらった集中力を使って必死に描いた。
バスのことなど気にせずに30分ほど描いていたと思う。
288 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:09:20.04 ID:MzdjVTRc0.net
完成した絵に描かれた美凪は本当に魅力的だったと、描いた自分でも思った。
289 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:10:25.90 ID:MzdjVTRc0.net
美凪「今勝負してたら負けてたかもね、この絵には勝てないなー!」
と美凪が言ってくれた。
勝負をした訳では無いが、初めて美凪に勝ったような、美凪にも匹敵する魅力的な絵が描けたような、そんな気分を味わった。
290 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:11:16.32 ID:MzdjVTRc0.net
俺「次勝負する時はまたこの東屋でしよう。デザイナーと美術教師になったら、またいつか。」
美凪「そうだね!イッチが夢を叶えるの待ってるから、私が夢を叶えるのも待っててねー!」
美凪「それと、これあげるから」
美凪は俺に、黄金に光るライターを渡した。
291 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:12:59.87 ID:MzdjVTRc0.net
俺「これ、お母さんからの贈り物だろ?どうして?」
美凪「私はもうタバコも吸わないし、寂しくないから必要ないの。だから今はイッチに持っていて欲しいな〜。」
美凪「次もまたこのライターで花火するから、無くさないでね〜!」
俺「じゃあありがたく受け取っとくよ。わかった。これで花火な!」
292 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:13:23.21 ID:MzdjVTRc0.net
と、再び美凪と約束を交わし握手した。
10秒にも満たない短い握手だったが、その握手にこの合宿の全てが詰まってるような、そんな気がした。
まだ朝なのに、ヒグラシの声と風鈴の音が東屋に大きく響いている。そんな気がした
293 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:14:32.03 ID:MzdjVTRc0.net
やり残したことを全て終えた。
あとは俺がデザイナーになるまで美凪に待っていてもらい、美凪が美術の先生になるまで待つだけ。
バスに乗り込み、皆に 遅すぎるよー!と言われたが、中嶋先生、樋口、吉田、佐野は笑っていてくれた。
294 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:16:07.24 ID:MzdjVTRc0.net
帰りのバスで1時間ほど走った頃だったかな。
これまでの濃い10日間を締めくくるような、強い眠気に襲われた。
俺は窓に寄りかかり、目を閉じようとした。
その時、窓に映る俺の袖が見えた。
その袖は、やっぱり絵の具で汚れていた。
295 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:16:22.48 ID:MzdjVTRc0.net
俺「さっき美凪を描いた時につけたんだろうなwww」
ボソッと独り言を呟き、そして その絵の具の汚れを見てやっぱり目が覚めた。
まだ寝てなんて居られないな。
296 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:17:08.86 ID:MzdjVTRc0.net
俺「吉田ーーー!!!」
吉田「なんだよwww」
お前、俺が何を言うか分かっているだろwww
だって、俺が 「シェリー」 弾いてくれ、だなんて言う前にギターに手をかけていたから。
297 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:17:15.85 ID:MzdjVTRc0.net
俺「『シェリー』、弾いてくれよ」
吉田「分かってるってばwww」
やっぱり分かってるじゃん。
あぁ、バスの中がまた歌声でうるさくなるぞ。
298 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 23:18:31.07 ID:MzdjVTRc0.net
ここまで付き合ってくださりありがとうございました。
ここで完結とさせていただきます。
やっぱり青春時代を思い出すと、泣きそうなくらい思い出が沢山詰まってますね。
>>次のページへ続く
\ シェアする /
関連記事
easterEgg記事特集ページ