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叶わない夢を見続ける少年の物語
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35 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:12:50.720 ID:bBdKFIo+0.net
俺は考えてみた。

もし、今この時点で俺がパイロットになれないということが確定したら、俺はどうするか。

死ぬ。以上だ。

それだけ、俺は妥協を許さない性格だったんだ。



36 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:14:15.293 ID:bBdKFIo+0.net
ジョンは飛行機について語るのが好きだった。

そして、俺はそれを聞くのが好きだったんだ。

「僕はボーイング777-400 を操縦してみたいな。その理由はあーたらこーたら。」

とか、「エアバスの飛行機には基本的に操縦桿がないんだよ。全部ジョイスティック。しってた?」

とか。

とにかくジョンの飛行機に関する知識はすごかった。



37 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:15:41.981 ID:bBdKFIo+0.net
なんでこんなに飛行機について色々知ってるのか一度聞いたことがあるんだが、ジョンは小型機のコックピットに何度も乗ったことがあるらしいな。


アメリカでは結構いろんな人が小型機を運転できるんだとか。

ジョンは小型機パイロットの友達にコックピットに乗せてもらっていると言っていた。

へえ、そりゃすげーや。





38 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:16:52.511 ID:bBdKFIo+0.net
ある日、俺らは飛行機のシミュレーションゲームをやってみた。

ジョンはすごい喜んでたな。

なんせ、目が見えないジョンにとってこれがはじめてのビデオゲームだったとか。


俺がジョンに現在地とかの情報を説明して、ジョンが俺に次は何をするだとかの手順を教えてくれる。

きっとそのゲームをしている間は、俺たちは最高のパイロットコンビだった。

「僕たち、きっと素晴らしいパイロットになれるね。」

ジョンは呟いた。

それにたいして俺は、「そうだな。」としか言ってやれなかったな。



39 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:17:40.845 ID:bBdKFIo+0.net
でもやっぱりゲームは楽しかった。

同じ空港へのアプローチを何度も繰り返して、悪天候での着陸も試してみて。

今思えば、あんなクリア条件もタスクもないゲーム、何が楽しいんだろな。

でも、あの時は時間さえ忘れるくらいに楽しいと思っていたんだ。



40 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:18:40.655 ID:bBdKFIo+0.net
「ジョンはパイロット以外になってみたい仕事はないの?」

「もし僕がパイロットになれないのであれば、生きている意味がないよ。」

「…」

ある日、ジョンとマリンさんの会話が聞こえてきた。


俺は聞いていない、理解していないふりをして自室にむかった。

そんで俺はベットの上で考えたんだ。

数か月前まで俺たちは面識すらなかった。

1年が過ぎて俺が帰国すれば、接点なんてなくなる。

ジョンなんていわば他人も同然なんだ。


俺は自分に言い聞かせたよ。

でもそしたらあの時の、胸を締め付けられるような苦しみは一体なんだったんだろうな。



41 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:19:55.807 ID:bBdKFIo+0.net
ちょうど、ジョンの16の誕生日のことだった。

アメリカでは16の誕生日は一つの大きなイベントらしくて、大人になったことを意味するらしい。

タバコとか酒とかは21かららしいけど、16で運転免許がとれるようになったり選挙権が与えられたりするんだとか。

マリンさんは、それをちょうどジョンの人生の分岐点にしようとしたらしい。


ジョンに本当のことを伝えたんだ。

視力がないとパイロットにはなれないこととか、いろいろ。

ジョンは全部を聞く前に それどころではなくなっちゃってさ。

こんなのは間違っていると泣きわめくジョンを、俺は見ていられなかった。



42 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:21:20.881 ID:bBdKFIo+0.net
マリンさんの気持ちも分かるよ。

どうせいつかは直面する日が訪れてしまうんだ。

それは後になるほど言いづらいもんな。

実際に今回も、マリンさんは心を相当痛めたと思う。


でもやっぱり自分の子供は大切だもんな。

ちゃんと将来生きていけるような、もっとマシな夢を持ってほしかったんだろうな。

その日ジョンは、マリンさんに不満を吐き続け、俺を嘘つきと罵り、その焦点の合っていない目からは夥しい量の涙を流していた。





45 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:24:23.956 ID:bBdKFIo+0.net
俺はその日の夜、ベットの中でなかなか眠れずに考えていた。

ジョンに言われたことを思い出したんだ。


「僕はパイロットに憧れていたけど、でも薄々本当はなれないことに気づいていた。

でもシオン君が、僕たちはいいパイロットになれると言ってくれたんだ。

僕が頑張って勉強したパイロットの知識をすごいと言ってくれたんだ。

本当に僕がパイロットみたいだって言ってくれたんだ。

だから、僕も本当にパイロットになれると信じたんだ。

なんで生半可に期待を持たせたんだ、この嘘つき」

って。




46 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:25:17.313 ID:bBdKFIo+0.net
正論だった。

俺は、ジョンが笑顔になってくれることが嬉しかった。

俺のおかげでジョンが笑ってくれてるんだって勘違いしていた。

でも、ジョンは俺が創ってきた笑顔の分だけ傷ついた。


俺はこの家に来るべきではなかったんだ。

唯一の救いは、この時すでに帰国の直前だったことだな。



47 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:26:04.744 ID:bBdKFIo+0.net
それからは俺たちは特に何も話さずに帰国の日を迎えた。

留学中にできた友達は、涙を流して俺を見送ってくれた。

また戻るの意味をこめて「I’ll be back (アイル・ビー・バック)」と親指を立てた時は皆で笑いあったりもした。



48 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:27:15.761 ID:bBdKFIo+0.net
でも、ファミリーとはそうはいかなかった。

どこか気まずくて、会話が生まれない。


マリンさんは長々と「この家に来てくれてありがとう」的なことを言っていたけど、それが本心なのか俺は疑ってしまった。

弟にはもう「グッバイ」くらいしか言わなかったっけ。

1年間お世話になったのに、謝らなきゃいけないのに、最悪だよな。俺は。



49 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:28:32.836 ID:bBdKFIo+0.net
帰り道。

いくら飛行機が好きな俺でも約14時間の空の旅。

俺は何もしていなかった。

何だろう、後味が悪いって言うのかな。

とにかく、何かをする気がおきなかったんだ。


そこでふと気づいた。

「ん?リュックに何か入ってる…?」

俺のリュックには、側面にペットボトルか何かを入れるためのスペースがあった。

そこに封筒が入っている。

俺はそれを開封し、中に入ってた手紙を読んだんだ。




>>次のページへ続く
 
カテゴリー:読み物  |  タグ:すっきりした話, 青春, これはすごい,
 


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