こちらもどうぞ
厨房3年の夏
(2ページ目) 最初から読む >>
\ シェアする /
今まで姉と弟のような関係だったのが一変した。
どうしたらいい?どうしたらいい?と妹のようにすがりついてくる彼女。
何やら、お互い苦しい経済環境なのを知って共感したとか。Tさんは私のことをわかってくれた、とか喜んでいたな。
おれにわからない絆がふたりのあいだにできたようで不快だった。
でも、あたしは恋をしてるぞ、恋こそが人生だ、なんて はしゃいでる彼女のまえでは そんなことはとても言えやしなかった。
「○○はだれか好きな人はいないの?」
浮かれた声で聞かれたよ。
応援するぞ!とか言われても、好きなのはおまえなんだから……。
あれだけ気の強かった彼女がこうも変わったのを見ると、この先に何か良くないことが待っているのではないかと不安だった。
おれの知っているガンコで意地っぱりの彼女がどこかに行ってしまい、このまま永久に帰ってこないのではないかという不安。
もし振られたら彼女はどうなってしまうんだろうという不安。
背伸びして大人のオンナになろうとしている彼女はどきっとするほど綺麗で……
季節は夏、不安なおれは15歳だった!なんちて(藁
①恋人がいるのか。
②彼女のことをどう思っているのか。
この二つをTさんに聞いてくれたら、なんでもしてあげると彼女に言われたので、じゃあキスしてくれる?と聞いたら、それだけは嫌だと笑いながら拒絶された。
ショックを隠してキスってしたことある?と訊ねるおれ。
あるわけないじゃんとのことで、どうしてか安心したな。
早速つぎの機会、Tさんに聞いてみた。
彼女はいる、結婚も考えている、との返答で肩の重い荷が取れたような気分。
彼女のことはかわいいとは思うが妹のように感じている。
でも、彼女、学校じゃものすごく人気あるんですよ、とおれが言うとTさんは意味ありげに笑いながら首をふった。
彼女には悪いけど、嬉しかったな。
たぶん志望校に合格しても これほどまでは嬉しくないだろうと思われるくらい。
その日、Tさんは「常在戦場」という言葉を教えてくれた。
なにかむかしの偉い武将だかの言葉で、意味は「常に戦場に在るかの如く行動せよ」。
けっして油断するな。人生は闘いだ。負けてはならない。
Tさんの座右の銘とのこと。
いつもこの言葉を心にとめておけばチャンスを逃すことはない。
チャンスはだれにでも平等にくる。それをつかむかどうかは心がけしだいだ。
厨房のおれはいたく感動してね。
尊敬しているTさんから教わったことだし。
机のまえに「常在戦場」と書いた紙を貼りつけたりしたもんだ。
翌日、息せき切って飛び込んできた彼女に教えてあげたよ。
残念だけどTさんには婚約者がいるし、彼女のことなんてジャリくさくて女としては見られないと。少し表現をオーバーにして(w
すると一転して彼女は泣きそうな顔に。力なく座りこんでしまった。
服のレパートリーが少ないせいか そのときもミニなもんだからパンツが丸見え。
白いパンツをじっと見ていたら「常在戦場」という言葉が頭の中をぐるぐるまわりはじめて、常在戦場、常在戦場、常在戦場、ここは戦場だ、チャンスは今しかない……勢いで告白していた。
おれ小6のときからずっと○○のことが好きだったんだよ。
5年後には絶対にTさんみたいな男になってみせるからおれとつきあってくれ、みたいな恥ずかしいことを堂々とよく口にできたもんだと今になっては思うが、それでも当時は必死の大冒険だったわけよ(w
彼女はぽかんとして、何が何だかわからないといったような顔。
意味が呑み込めると怒りだした。ヒステリーってこういうのをいうのか。
あんなに切れた彼女を見たことがなかった。
冗談じゃないわよ、と。人が苦しんでいるときに、よくもそんなことがいえたもんだ。
Tさんとあなたみたいな甘ったれを一緒にするな!
傷ついたなー。
そしてほんとにTさんに自分のことを聞いてくれたのかと疑われた。
Tさんに嫉妬してウソ八百を並べているのではないかと。
ここでおれも切れた。人の好意を無にしやがって。初めての大喧嘩。
彼女が家に来なくなった。淋しかった。告白したことを後悔した。
すべてを忘れて勉強しようと思った。
実際、勉強ははかどった。
Tさんから教えてもらった勉強法がよかったのだろう。
日に日に学力が向上して行くのが自分でもわかるくらいだった。
お盆がきて、夏祭りのある晩。
受験生に祭りはないと机に向かっていると、久しぶりに彼女からの電話が。
すぐ来い、という感じで呼び出された。
来て当たり前。来なかったら一生、口をきいてやらないぞという感じだった。
久々耳にした彼女の声。嬉しかった。なんだろう。告白に応じてくれるのか。
公衆電話からひと気のない廃材置き場へ。
彼女のことはかわいいとは思うが妹のように感じている。
でも、彼女、学校じゃものすごく人気あるんですよ、とおれが言うとTさんは意味ありげに笑いながら首をふった。
彼女には悪いけど、嬉しかったな。
たぶん志望校に合格しても これほどまでは嬉しくないだろうと思われるくらい。
その日、Tさんは「常在戦場」という言葉を教えてくれた。
なにかむかしの偉い武将だかの言葉で、意味は「常に戦場に在るかの如く行動せよ」。
けっして油断するな。人生は闘いだ。負けてはならない。
Tさんの座右の銘とのこと。
いつもこの言葉を心にとめておけばチャンスを逃すことはない。
チャンスはだれにでも平等にくる。それをつかむかどうかは心がけしだいだ。
厨房のおれはいたく感動してね。
尊敬しているTさんから教わったことだし。
机のまえに「常在戦場」と書いた紙を貼りつけたりしたもんだ。
翌日、息せき切って飛び込んできた彼女に教えてあげたよ。
残念だけどTさんには婚約者がいるし、彼女のことなんてジャリくさくて女としては見られないと。少し表現をオーバーにして(w
すると一転して彼女は泣きそうな顔に。力なく座りこんでしまった。
服のレパートリーが少ないせいか そのときもミニなもんだからパンツが丸見え。
白いパンツをじっと見ていたら「常在戦場」という言葉が頭の中をぐるぐるまわりはじめて、常在戦場、常在戦場、常在戦場、ここは戦場だ、チャンスは今しかない……勢いで告白していた。
おれ小6のときからずっと○○のことが好きだったんだよ。
5年後には絶対にTさんみたいな男になってみせるからおれとつきあってくれ、みたいな恥ずかしいことを堂々とよく口にできたもんだと今になっては思うが、それでも当時は必死の大冒険だったわけよ(w
彼女はぽかんとして、何が何だかわからないといったような顔。
意味が呑み込めると怒りだした。ヒステリーってこういうのをいうのか。
あんなに切れた彼女を見たことがなかった。
冗談じゃないわよ、と。人が苦しんでいるときに、よくもそんなことがいえたもんだ。
Tさんとあなたみたいな甘ったれを一緒にするな!
傷ついたなー。
そしてほんとにTさんに自分のことを聞いてくれたのかと疑われた。
Tさんに嫉妬してウソ八百を並べているのではないかと。
ここでおれも切れた。人の好意を無にしやがって。初めての大喧嘩。
彼女が家に来なくなった。淋しかった。告白したことを後悔した。
すべてを忘れて勉強しようと思った。
実際、勉強ははかどった。
Tさんから教えてもらった勉強法がよかったのだろう。
日に日に学力が向上して行くのが自分でもわかるくらいだった。
お盆がきて、夏祭りのある晩。
受験生に祭りはないと机に向かっていると、久しぶりに彼女からの電話が。
すぐ来い、という感じで呼び出された。
来て当たり前。来なかったら一生、口をきいてやらないぞという感じだった。
久々耳にした彼女の声。嬉しかった。なんだろう。告白に応じてくれるのか。
公衆電話からひと気のない廃材置き場へ。
服装はいつものミニ。おいおい、襲っちゃうぞなどと、それから聞かされることを知らないおれは浮かれていたよ。
今あいつと別れてきた、と彼女は口を開いた。
あいつとはTさんのことだった。
聞くと、あれから彼女はTさんとつきあいはじめたらしい。
全然、知らなかった。でも婚約者がいるんじゃと言いかけると、彼女がさえぎった。
奪ってやると思ったとのこと。
Tさんの婚約者は政治家のご令嬢だか何だかで、そんな女とだったら貧乏で苦労をしてきている自分のほうが内面も磨かれているし、Tさん自身も苦労人だから絶対に自分を選んでくれると彼女は信じていた。
今晩、その婚約者が夏祭りもあるのでTさんの地元に遊びにきたのだが、そのとき、二人でいるそのときに彼女はあいだに入った。
そしてTさんに問い詰めた。どちらが好きなのかと。
Tさんは迷いもせず婚約者のほうを選択した。
——つまりはそんな話だった。
なんだよ、突然呼び出されて失恋話の聞き役かよ、まったくいい迷惑だなと思いながらも気になることがひとつあった。
まさか、やってないよな。でも、彼女にどう聞けばいいのだろう。
そういう性的な話はしたことがなかったし、セックスという言葉さえ恥ずかしくて口にできない。頭の中は妄想が飛び交っているのに(w
おれはそんな厨房だった。セ、セ、セ……やっぱり言えない。
「あいつじゃなくて○○のことを好きになっていれば良かったよ」
そう言うと彼女は自分の不幸に酔ったかのように泣き出した。
よし、聞こうとおれは思った。で、Tさんと、その、やっちゃったの?
こくりとうなずく彼女。
それからずいぶんと聞きたくないことを聞かされたなー。どれだけ自分がTさんにつくしてきたか。
あれもしてあげた。これもしてあげた。それなのにどうして?……
むっつりスケベのおれは、あ、それフェラチオっていうんだよとか思いながら、あそこはびんびん(w 想像しちゃうと、どうしてもね。
で、頭の中ではけっこう冷静に落ちついて考えているわけよ。
よく、小説とかにこういうパターンがあるよな。
こういうときに優しくしてあげると、その流れでムフフなことがって。
今絶対そのパターンだよな、とここでまた「常在戦場」を思い浮かべる。
もう処女じゃないんだからあんがい簡単に……と妄想は大暴走。
でも かわいそうだよなと彼女を見ると、例によって足のあいだから白がのぞいている。
妄想と嫉妬で頭がごちゃごちゃになって思わずスカート中に手を入れたわけ。
おもいっきりひっぱたかれたわ。痛かったなー。
なんでTさんは良くて、おれはダメなんだよ……と言う勇気はなかったが。
気まずい沈黙。ああ、やっちゃった〜と後悔。
もう許してくれないだろうな。せっかく信頼して打ち明けてくれたのに、おれったらいきなりスカートの中に手を突っ込むんだもんな。バカだな、おれ。
彼女は油断も隙もありゃしないといったふうに足をきつく閉じると言った。
買ってこい、と。今すぐ酒を買ってこい。え、と聞き返すおれ。
「酒をおごってくれなかったら、あたしを襲おうとしたことをばらすぞ」
そう言うと笑った。
許してくれたのかと嬉しくなって酒屋に飛んで行ったよ。
ビールなんて飲むのは初めて。たぶん彼女もそう。
わーまずいというのが正直な感想。あんまり冷えてなかったし。
でもおれは大人なんだと誇示したくてぐいぐい飲んだよ。
そういえばTさんの飲み方はいかしてたな(死語)とか思い出しながら。
>>次のページへ続く
今あいつと別れてきた、と彼女は口を開いた。
あいつとはTさんのことだった。
聞くと、あれから彼女はTさんとつきあいはじめたらしい。
全然、知らなかった。でも婚約者がいるんじゃと言いかけると、彼女がさえぎった。
奪ってやると思ったとのこと。
Tさんの婚約者は政治家のご令嬢だか何だかで、そんな女とだったら貧乏で苦労をしてきている自分のほうが内面も磨かれているし、Tさん自身も苦労人だから絶対に自分を選んでくれると彼女は信じていた。
今晩、その婚約者が夏祭りもあるのでTさんの地元に遊びにきたのだが、そのとき、二人でいるそのときに彼女はあいだに入った。
そしてTさんに問い詰めた。どちらが好きなのかと。
Tさんは迷いもせず婚約者のほうを選択した。
——つまりはそんな話だった。
なんだよ、突然呼び出されて失恋話の聞き役かよ、まったくいい迷惑だなと思いながらも気になることがひとつあった。
まさか、やってないよな。でも、彼女にどう聞けばいいのだろう。
そういう性的な話はしたことがなかったし、セックスという言葉さえ恥ずかしくて口にできない。頭の中は妄想が飛び交っているのに(w
おれはそんな厨房だった。セ、セ、セ……やっぱり言えない。
「あいつじゃなくて○○のことを好きになっていれば良かったよ」
そう言うと彼女は自分の不幸に酔ったかのように泣き出した。
よし、聞こうとおれは思った。で、Tさんと、その、やっちゃったの?
こくりとうなずく彼女。
それからずいぶんと聞きたくないことを聞かされたなー。どれだけ自分がTさんにつくしてきたか。
あれもしてあげた。これもしてあげた。それなのにどうして?……
むっつりスケベのおれは、あ、それフェラチオっていうんだよとか思いながら、あそこはびんびん(w 想像しちゃうと、どうしてもね。
で、頭の中ではけっこう冷静に落ちついて考えているわけよ。
よく、小説とかにこういうパターンがあるよな。
こういうときに優しくしてあげると、その流れでムフフなことがって。
今絶対そのパターンだよな、とここでまた「常在戦場」を思い浮かべる。
もう処女じゃないんだからあんがい簡単に……と妄想は大暴走。
でも かわいそうだよなと彼女を見ると、例によって足のあいだから白がのぞいている。
妄想と嫉妬で頭がごちゃごちゃになって思わずスカート中に手を入れたわけ。
おもいっきりひっぱたかれたわ。痛かったなー。
なんでTさんは良くて、おれはダメなんだよ……と言う勇気はなかったが。
気まずい沈黙。ああ、やっちゃった〜と後悔。
もう許してくれないだろうな。せっかく信頼して打ち明けてくれたのに、おれったらいきなりスカートの中に手を突っ込むんだもんな。バカだな、おれ。
彼女は油断も隙もありゃしないといったふうに足をきつく閉じると言った。
買ってこい、と。今すぐ酒を買ってこい。え、と聞き返すおれ。
「酒をおごってくれなかったら、あたしを襲おうとしたことをばらすぞ」
そう言うと笑った。
許してくれたのかと嬉しくなって酒屋に飛んで行ったよ。
ビールなんて飲むのは初めて。たぶん彼女もそう。
わーまずいというのが正直な感想。あんまり冷えてなかったし。
でもおれは大人なんだと誇示したくてぐいぐい飲んだよ。
そういえばTさんの飲み方はいかしてたな(死語)とか思い出しながら。
>>次のページへ続く
\ シェアする /
関連記事
easterEgg記事特集ページ