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三十路の喪女に彼氏ができたときのお話
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28 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:12:00.81 ID:LZSY7jKs.net
おあー。

なんかずいぶんと、やんわ〜り断られたなあ。

別に一緒に食べたいなんては思ってなかったのに断られると、なんだかやっぱり凹むなw

…ひょっとして、女の子と一緒だったとしたら悪かったなあ。


「お邪魔しちゃったならゴメン!ほんとに風邪ならお大事に、あったかくして寝ろよ〜。 メリークリスマス!」

送信。

さーてケーキ買わずに帰るかあ、と思ってたら、携帯が鳴った。

M君から、メールではなく電話がかかってきた。



29 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:12:23.69 ID:LZSY7jKs.net
「本当に風邪ですよ」

開口一番、彼はものすごい掠れ声でそう言った。

「うわー…。それ、しゃべらない方がよくない?」

「だったら、しゃべらすようなメールをするな」

「あー、えーと、そうか…ごめんなさい」

「いえいえ、こちらこそ突然電話してすいません。もう三日も寝込んでて、どうにもヒマなもんで、つい…」

「え、三日も?」

この繁忙期に!?は言わないでおく、私の優しさ。



30 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:12:47.09 ID:LZSY7jKs.net
確か一らしだよねちゃんと食べての?



一瞬、止まった。


食べてるよ」

なにを?

に、あのを」


てねーな、こいつ


「あのにかのあったら、持っいこうか? せ稿っかくだの際、頼くれてもいいよ

「あー………それゃあ、甘て柔らかて喉にやさ、ケのつく食物を

残りのケーキを買う。だけど、風邪ひいてるときにケーキはないなあ。

トのやおかゆも買って、メー送られてきたM君アパートへ向かった。





31 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:13:21.55 ID:LZSY7jKs.net
迎えたM君顔色と声以りと普通だ やられて、高熱を解熱剤で抑えてるとのこだった

邪ひててもイケんだねー」

言う

「いま病人なんで、手いこと返せない

、鬱陶そうにシッシッ手を振られた。やぱり、言われてんなー。



32 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:13:48.62 ID:LZSY7jKs.net
「どうですか、シャバの様子は?」

「普通普通w絶好調に修羅場だよww」

「そっか…。じつは昨日、年内仕事だけでもって思ったんだけど…上司に追い返されちゃってさ」

「はあ!?ひょっとして、その顔色で出社したの!?」

「うん、どっちにしろ いい迷惑だよな…でも焦っちゃってさ」

しゅんとしてしまうM君。ああ、休んでること、こんなに気にしてたんだ…。



33 :1@\綿(^o^)/:2017/01/03(火) 19:14:14.02 ID:LZSY7jKs.net
言い方してゴメン。

まあ追い返されたっとは、気にせとだよ。いい上さんじゃない

ころでいこれ。ケー、その他いろいろ」


「いろいろ?」


、あためいだやつ。いらなかったら保存食にでてね」


「いなくない…すがた


じゃ早くよくなれよ

っとた。あの、お代」

ば、彼手には



34 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:14:40.96 ID:LZSY7jKs.net
「いいよいいよ、お見舞いだよ。サンタさんからの生活感あふれるプレゼントじゃw」

「え、でもそれじゃあ……えーと、風邪うつるの覚悟で上がっていく?」

「ぜったいにヤダw早く寝ろw」


「だよね。えーと、その、あれだ…こんど酒……は、そっか、飲まないのか。じゃあ、年明けに、食事でも、ご一緒に」


なんだかやたら しどろもどろだった。あちゃー、病人に気をつかわせてしまった。

「うん、楽しみにしてるわw でもまずは、しっかり休んで風邪治せよ!」


このとき、食事のことは社交辞令としか思ってなくて なんか人助けしちゃったなあ!くらいの感覚だったのでした。



35 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:15:10.83 ID:LZSY7jKs.net
そんなだったので、なんの期待もせずに年末年始をすごして普通に仕事始めを迎えて、やっとお正月気分も抜けてきたころに突然メールでM君から食事のお誘いがきたときは

「ずいぶんと律儀だな〜」と思ってしまった。それとも、借りは返さないと気が済まないのかな?

どっちにしろ、彼とまたおしゃべりできるのは、私としては楽しみだった。

なので喜んでお受けしよう、とは思ってたんだけど……

一つだけ、気になることがあったんだ。



36 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:15:51.25 ID:LZSY7jKs.net
それは、お見舞いを届けに行ったM君のアパート。

失礼だけども、ボロだった。それも、かなりのボロ。着くなり「ほんとにここ!?家賃いくら!?」と思ったくらいボロ。

この業界、ものすごくお給料がいいわけでもない。もしかしてM君、あまりお金に余裕がないんじゃないか?

だってあのとき、すごく しどろもどろになってたし…

無理して食事に誘ってくれてるんだとしたら、どうしよう?

だけどせっかく誘ってくれてるのに、そんなんで断るのもないよねえ…。 と、まあ結局は、ご馳走になったんだけどさ。


今こうして振り返ってみると、私はこのときから、なにかボンヤリと感じとってはいたんだなあ、と思う。

そしてそのボンヤリは、やがて段々と形になっていくことになる。





37 :1@(^o^)/:2017/01/03(火) 19:16:50.10 ID:LZSY7jKs.net
M君の風邪は かなりしつこらしい沿ずはじめに、お礼が遅くったこと謝られた。

「参ったよ年内でってたのに。もうなのかなあ」

「栄調なんじゃない

冗談かして言ったけど、M君、わりとやつれてた。

「俺、体調不良が顔出るんだよねもあ差しれは本当に助かっ、実は食料をついてたので」

「ほかに誰か、けてくれる人いなか

「うん、誰もいなかっえ…」

「えー?のくにー?」

「イケメン全にそ人徳が備わっと思うなよな

「でもほら、そに一番頼りなる人がない」

ん?誰?」

「家だよ。電話ればよかっ

「あー。いまちょっと疎遠にってて

あ、ごめうなんだ」



38 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:17:39.17 ID:LZSY7jKs.net
そんなあいさつ代わりの会話をさっくり交わし、話題はまた音楽方面へ。

話してるうちに、昔CMで聞いてメロディーしか覚えていなかった曲をなんとM君がCD持っていることが判明して、私、大はしゃぎ。


「もうずっと気になってたんだよー!お願いです、CDを貸してください神様!!」

「…これでイヤだと言ったら鬼だよねw」

「うおおお、帰りにアパートまで取りに行ってもいい!?」

「えーと……後日じゃだめかな?」

「はああああン?なんでよ???」

「借りる分際で態度でけえなwいぶんと聞いてないから、きっとすぐには出てこないよ。一体どこに埋もれているやら…」

「そんなの、一緒に発掘するよ!」

「いや、勘弁してよ」



39 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:18:06.84 ID:LZSY7jKs.net
ピシャリとM君に言われて、はっとした。私、はしゃぎすぎて今かなり図々しいこと言った。

そうだよな…。私はM君の彼女でもなければ、友達ですらない。

ただちょっと差し入れをして、その借りをM君はこうして返してくれた。

CDを借りたら、返すときにまた私と会うことになる。

ましてや部屋に押しかけて、一緒に探すとか。

もう彼は、私に付き合う義理はないんだ。ちょっと話が合うくらいで、図に乗っちゃいけない。


「………ごめん!なんか私、馴れ馴れしいねw CDは、発掘終了後に気が向いたらでいいやw」

「え?」

M君はきょとんとしてからの態度急変の理由をすぐに察したようだった。



40 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:18:33.45 ID:LZSY7jKs.net
「そ、ご、言い方悪かったそういう意味じ発掘、その気ちはりがたんだ…」


…?

「……部屋がとても汚いのでよ」

何故かゲンドウポーズで深刻表情するM君。

う?こなだお邪魔たときは、綺麗だったじゃない」

に見せるエリだから…その奥の生活エリアが、ちょっと

エリわけさてるんだwでも人のこと言ないからなー

いや…いま喪子が想像た汚さとはレの程度の覚ったきっと後悔るよ」

なんだそれ、どんレベw」

「えと、TSUTAYAの倉庫にホムレが住み着いたレベル

うわ、なんかごい具体的に映像が浮かwww」



41 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:18:58.78 ID:LZSY7jKs.net
「俺はもう、年単位で自分の部屋の床を見た覚えがない」

「ちゃんと掃除しろw」

「そこで掃除って言うのがね…必要なのは産廃業者だよ」

「威張るなwww」

「なんなら、自分の目で確かめてみる?」

「え………いいの?行っても?」

「いいの?って、俺が聞きたいよ……ほんと、マジで汚いぞ?」



49 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:26:05.50 ID:LZSY7jKs.net
M君の部屋は、汚いというのとはちょっと違った。

想像してたような、ゴミとか洗濯物が散乱してるような不潔さはなかった。一応、床も部分的には見えてたしね。

ただ、部屋のわりには大きすぎる本棚が一つ。

そこから溢れた本とCDとDVDが、床にうず高く積まれていた。

彼は、読書と映画と音楽をこよなく愛する、かたづけられない男だった。なるほど…TSUTAYAの倉庫ね。


私は映画は全然詳しくないけど、本は好き。

だからM君の蔵書量には驚いた。

「そっか…高校生のころも読書家だったもんね」

「忙しくて、いまは全然だけどね」

「あーでもこれで、えっちいのとか発見しちゃったら気まずいー」

「そこはひとつ、大人な対応で…」

「……………えええっ!M君、何これ!?」

見つけたのは、えっちいのではなくて、とある画家の画集だった。

私がご予算的にマゴマゴしているうちに販売終了してしまった限定版が、無造作に床に積まれていた。





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