戦い
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野田は頷きました。
「最初の内は、普通に関係を持っていた様だが、いつから縛ったりとか・・・・・・・つまり、SMのような事をした?」
「最初の内は、美鈴さんと関係を持てるだけで充分だった。嫌な事を忘れられる唯一の時間だった。
しかし、回を重ねる内に、それだけでは満足出来なくなり、勝手な考えだと分かっていても、私は、美鈴さんとしかしていないのに、ご主人とも関係を持たれる事に嫉妬心を覚える様になった。独占したくなった。
美鈴さんに、ご主人の事を好きでも構わないから、身体の関係だけは持たないで欲しいと頼んだが、当然拒否され、色々考えた末に・・・・・。」
「俺に知られるのが怖かったのだろ?美鈴が俺を拒否し続けたら、当然ばれるとは思わなかったのか?」
「私に美代子以外にも好きな人が出来たせいか、美代子との関係は益々悪くなっていた。
私は、自棄になっていて、その頃には、ばれても殺される事は無いだろうと思っていたので・・・・・・・。」
「それとSMの様な行為と何の関係が有る?それは課長の性癖だろ?」
「勿論それも有る。若い頃から ずっと願望は有って、その様な雑誌や小説をよく読んでいて詳しかったが、実際には、変態だと思われないか心配で美代子には出来ず、そうかと言って、他に女を作る勇気も無かった。
美鈴さんにも嫌われないか心配だったが、私には ご主人と引き離す為だという、大義名分が有った。」
私には、それでどうやって、私と妻を引き離す事が出きると考えたのか、理解出来ませんでしたが、野田がまた、ぽつりぽつりと話し出し。
「美鈴さんを見ていて、その様な行為と美鈴さんは結び付かず、絶対にした事が無いと思っていた。
もしそうなら、その様な事をすれば、それで感じる事が出来れば、真面目な美鈴さんは
“私はこんな事をしてしまった。こんな女になってしまった。私は普通の女では無くなった。”
と思い、ご主人に顔向けが出来ず、ご主人と関係を持つことをためらうと考えた。
実際、私の考え通りに行くかどうかは分からなかったが、どちらにしろ、私がその様な行為をする、自分に対しての言い訳にはなった。
私が何も言わなくても、実際ご主人との行為を避け出したので、その事が原因かどうかは分からなかったが、上手く行ったと思った。」
本当にそこまで考えていたのか、ただ自分の欲望を満たす為にしていたのかは分かりませんが、他人事の様に、感心しながら聞いていました。
しかし、野田の言葉が途切れた時、本来聞きたかった事を思い出し。
「最初、どのような事をした?美鈴はどうだった?」
「美鈴さんが前戯だけでイッてしまい、まだ余韻に浸っていて朦朧としている時、持って来ていたロープで、両手首を縛ると、気が付いた美鈴さんは、かなり嫌がり抵抗したが、そのロープの端をベッドの上に縛った。
それでも私を罵りながら、足をばたつかせて抵抗していたので
“何もしない、暴れると足も縛るぞ、それに、手首に痕が残って旦那にばれるぞ”
と脅すと大人しくなったが、私がバイブとローターを出してきたのを見て、また暴れ出した。
それを見て私は逆に興奮してしまい
“両手首に痕が残れば、普通の男は何をしていたのか分かる。旦那だけでは無くて、会社のみんなにも分かってしまうぞ”
と脅すと、それからは抵抗しなくなった。
それで私はローターを当てると、言葉とは、裏腹に感じ出したが、次にバイブを使おうとすると“怖い。止めて、怖い”と少女の様に怯え、それがまた、かえって私を興奮させた。
しかし、これも、嫌がっていたのは最初だけで“美鈴はこんな物でイクのか?”とか言葉で辱めながら使っていると、美鈴さんは腰を上下させながら、何回も達してくれた。
その後、ロープを解いて自由にし、私がコンドームを着け終わると同時に、私を押し倒して、始めて自分から私に跨って腰を振り出した。
しかし、腰の動きは ぎこちなく、思った快感を得られない様だったので、私も下から助けてやると、我を忘れたかのように両手で自分の髪の毛を掻き毟り、口からは涎を垂らしていた。
あの可愛い顔からは想像がつかない、下品に涎を垂らしている美鈴さんを見て、もっと色々な事を試したくなった。」
野田の話を聞いていて、以前の怒りを思い出して拳に力が入りますが、ぐっと我慢しました。
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5月30日(日)の6
野田の話によると、ハードな行為までは望まなかったそうですが、妻に恥ずかしい格好をさせ、恥ずかしい言葉を言わせたりして、普段 会社で見ている清楚な感じの妻との、ギャップに興奮していたようです。
そう言えば、私も初めて美代子さんに会った時がそうでした。
野田は、当然、妻である美代子さんにも、その様な行為をしていたと思っていたので、お淑やかそうに見えた美代子さんが、縛られたり他人には言えない様な事をされていると思うと、性的に凄い魅力を感じました。
美代子さんの崩れ様を見てみたいと思った覚えが有ります。
「旅行に行き、仲居さんに見せたのは?」
「旅行に行ったのは、美鈴さんが私から離れて行きそうな気がしたからで、美鈴さんを愛していた私は、美鈴さんが ご主人の元に戻ってしまう事が一番怖かった。
美代子も愛していたが、どちらを取るかと聞かれれば、子供の事や今迄の生活を考え無ければ、間違いなく美鈴さんを取っていたと思う。
しかし 美鈴さんは、私の事を好きだと言ってくれていても、どちらを選ぶかと聞けば、ご主人の方を選ぶ事は分かっていたので、旅行に行き、現実から気持ちを引き離そうと思った。
私とは離れられないと思わせたかった。
美鈴さんは ずっと罪悪感を持っていて、何回会っても1つ返事で受け入れてくれる事は無かった。
旅行に行こうと誘った時は尚更だったが、いざ旅行に行ってみると旅館に入る時以外、自分から腕を組んで来たりして、今迄に無く積極的だった。
部屋に入ってからも、今までの様に、拒むような素振りは微塵も見せなかった。
最初は、旅行に来て開放的に成っているのだと思ったが、次第に、美鈴さんは この旅行で、私との関係を最後にする積もりでは無いのかと思えて来た。
仲居さんに見せたのも、普通では有り得ないような事をしたかった。
帰りの車の中で
“美鈴は凄いな。他人に見られながらイケる女はそうはいない。
普通の生活に戻れるのか?あんな事をした女が、何も知らない、あの真面目な旦那の顔を見ながら、何食わぬ顔で生活していけるのか?
出来るとしたら美鈴は、とんでもない悪女だな。”
と自分の事は棚に上げて言い続けた。何とか引き離そうと必死だった。」
「美鈴は何と答えた?」
「・・・・・・・・・・いや、ただ声を上げて泣いていた。」
他にも、もっと詳しく聞きたい事は有ったのですが、聞く気力が無くなっていき、野田から聞けるチャンスは、もう無いと思いながらも、今迄の事を聞き出すのを止めました。
「本当に外国へ行くのか?」
「ああ。ご主人を前にして言い難いが、ここまで話したついでに聞いてくれ。
私は、本当に美鈴さんと行きたかった。もし断られれば、会社を辞めて日本に残ろうかとさえ思っていた。
ところが、あの便箋を見せられ、美鈴さんは、ご主人と別れる事は出来ないとよく分かった。
正直ショックだったが、探し回っている内に、もしもまだ死んでいなくて、私と一緒に行った喫茶店とか私との思い出の場所にいたら、まだ望みは有ると思い直して、余計必死に探し回った。
しかし、結局 見付けたのは私では無くご主人の方だ。
多分 思い出の場所にいたのだろ?
・・・・・・・・私は外国に行くよ。」
「俺の推測だが、転勤の話があった時、美代子さんと行こうと思ったのでは無いのか?」
「・・・・・・・お見通しか。私は卑怯な人間だ。その通り、あいつと行こうと思った。
しかし再婚すると知り、犯罪者に成ってでも2人の仲を壊してやろうと思ったが、その時、頭に浮かんだのが美鈴さんの顔だった。
ずるい考えだが、私には まだ美鈴さんがいると思ってしまった。」
私は良いタイミングだと思い、ここへ来たもう1つの目的を話しました。
「課長は明日会社に行くのか?」
「いや、思ったより早く腫れはひいたが、唇がまだこの色だ。準備が有ると言って、2日ぐらい休もうと思う。引継ぎぐらいで大した仕事も無いし、会社に そのぐらいの無理は言ってもいいだろう?」
「明日は美鈴も休むと言っていた。俺はこの足で赴任先に戻る。会って、スッキリとした気持ちで日本を離れたらどうだ?」
「いいのか?2人で会ってもいいのか?会ってしまって、また・・・・・・・・・・・・・・・・。」
野田は、言葉を濁しましたが、何を言いたいのか分かりました。
私がドアの外に出ると野田も付いて出て来たので、美代子さんがいつ籍を入れるのか聞くと、相手の母親が引き伸ばしていて、早くても秋だと、子供から聞いた事を話しました。
「美代子さんには転勤の話はしたのか?話せば何らかの・・・・・・・・・・。」
「いや、子供達の事も有るから、行ってから連絡はしようと思っていた。美代子と会っては話さない積もりだが、子供達には話してから行く事にするよ。」
この事を話したのは、野田に対する優しさでは有りません。
妻と野田が会う段取りをとりながら、気付かない内に、妻だけに目が行く事をさせない様にしていました。
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5月31日(月)の1
昨日は、赴任先のアパートに着く直前に妻から携帯に電話が有り、アパートに電話したが、もう着いているはずの私が出なかったので、とても心配したと言う内容でした。
明日まで待てずに昨夜 会う約束をして、様子を伺いに電話して来たともとれ、裸で抱き合う野田と妻の姿が浮かび、中々寝付かれませんでした。
今朝も 重い気持ちで、だるい身体を引き摺るように出社しましたが、流石に仕事が始まると忙しく、私にその様な事を考える暇を与えてくれませんでしたが、昼休みに成ると、やはり気になって食欲も有りませんでした。
コンビニで買ったパンを、牛乳で胃に流し込んでいると、妻から電話が掛かり、
「先程 課長から電話が有って、今夜食事をしながら話がしたいので、会って貰えないかと言われました。本当に会ってもいいのですか?」
私は“思い止まれ。会うにしても夜はやめろ。”と言いたいのを抑えました。
「ああ。会ってスッキリして来い。」
「会っても話をするだけですから。食事をしながら話をするだけですから。」
「ああ、分かっている。ご馳走してもらえ。」
「ありがとう。それなら6時にレストランで会わせてもらいます。あなたをもう二度と裏切りませんから。
あなたや子供達を裏切る様な事は絶対にしませんから。ありがとう。」
話しをするだけだと何回も言われると、逆にその事を意識していると思へて、かえって心配になります。
アパートに戻ると9時でした。
あれから何も妻からの連絡は無く、私からは電話しない積もりでしたが、10時になっても連絡が無かったので、家に電話をしてしまいました。
しかし妻は出ません。
やはり妻が野田と会っている事が分かり、1つ目の望みを無くし、落胆しました。
私は、男らしく無く、決断力の無い人間です。
妻と別れる事を決めてからも、まだ妻を愛していると気付き、迷っていていました。
そうかと言って、自分に対するちっぽけなプライドから、このまま許す事も出来ず、妻と野田を会わせる様に仕向け、その結果で決めようと思ったのです。
まず、妻が思い止まって野田の誘いを断った時は、無条件で許す様に努力しようと思いました。
次に、妻が野田と会って話だけで済み、きっぱりと気持ちにけりを付けて来た時ですが、何も会わなくても別れる事は出来るだろうと思っていましたので、離婚届は出しませんが、夫婦の関係は解消して、フリーになろうと思いました。
次は、気持ちにけりを付けても、最後の関係を持った時です。この時は正式に離婚する積もりです。
ただ離婚するのではなく、妻に離婚届にサインさせ、妻を奴隷の様に虐め貫いて、私の気が少しでも収まった時に提出し様と思います。
最後は、また関係を持ち、気持ちの整理も出来なかった時ですが、野田は外国に行っても、行きっぱなしでは無く、連休を利用して返ってくる事も有ると思いますので、妻とは離婚せず、一生手元に置いて罵り、自由を奪ってやろうと思いました。
やはり私には、どうなろうとも妻を自由にしてやるだけの度量は有りません。
最初の、誘われても会わないと言うのは、無くなった様ですが、携帯には電話せず、妻からの連絡を待ちました。
しかし10時30分を過ぎても電話は掛かって来ません。
私の頭の中は、妻と野田がセックスでしている光景で、一杯に成っていました。
書置きをして出て行った、前夜の妻を思い出し、今頃 これが最後だと思い、激しいセックスをしているのかも知れません。
日本に帰った時は必ず会おうと約束をしながら、激しくキスをしながら、交わっているのかも知れません。
私の中でどんどんと、嫌な妄想が膨らんでいきます。
野田が自分の物を妻の中に入れ、動かずに妻の髪を撫ぜながら、話している2人の声が聞こえます。
「美鈴、私と縁を切れるか?」
「私には無理です。」
「向こうへ行って、生活する為の準備が出来次第呼ぶから、その時はすぐに来い。」
「はい。必ず連絡してね。・・・・・課長、それよりも動いて下さい。」
「課長と言わず、昔の様に呼んでくれ。」
「はい・・・・。あなた、早く動いて。」
その時 急に電話が鳴り、そんな妄想をしていた私は驚き、心臓が止まりそうでした。
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5月31日(日)の2
妻からの電話だと分かっていても、腹立たしくてすぐに出る気にはなれず、しばらく放って置きましたが鳴り止まないので、一度大きく深呼吸をしてから、
「美鈴か?今日は疲れてしまって、服も代えずに少しベッドに横になったら、眠ってしまった。」
「起こしてしまって、ごめんなさい。」
「もうこんな時間か。随分と長くレストランにいたのだな?店の人に嫌な顔をされなかったか?」
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