眠れないから親友の女の子の話でもする
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28 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 05:51:05.44 ID:wvRdY72E0
物覚えが悪いことは知ってたけど、その日のエリ熱心に覚えようとしてた。
ヤマオカくんも一生懸命わかりやすく言葉を選んでた。
その日から毎週土日のどっちかはエリ達が僕の家にきて勉強する習慣ができた。
たまに彼氏が予定あってエリが1人でくることもあったけど、一応 僕の家も兄弟がいるので そこは毎回、変に緊張した。
肉親に友達見られるのも変な感じだった。僕は普段から見てるのに。
29 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 05:56:38.55 ID:wvRdY72E0
その日、兄弟が出かけていたので居間で勉強してたらエリがそわそわして落ち着かない雰囲気だった。
「どうしたの?」
「うーん、なんか、落ち着かないなって。なんでだろう…」
きょろきょろしながらエリが答えを探す。
僕の家は両親が不在がちで、家を使う頻度も低めなので最低限の家具しかなかった。
小5の時に引っ越したのもあって、居間には食卓、冷蔵庫、食器棚、テーブル、ソファ、テレビ、そして電話をおく小さな棚くらいだった。
僕は見慣れてたけど、エリはそうでもなかったらしい。
「物が少なくて落ち着かない」とエリがこぼした。
30 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 05:59:16.95 ID:wvRdY72E0
そういえば僕の部屋に入った時も、机とベッドしかないのを見て「ものが無いんだね」と言ってた。
普通の家はもっと生活感があるんだろうなぁ、って、少しエリが羨ましかった。
31 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 06:06:25.44 ID:wvRdY72E0
冬休みに入る前、クラスで大掃除があった。
まず机を廊下に出すんだけど、それぞれ机を廊下に持っていって体の大きい男子が机を受け取って並べる、って感じに作業してた。
僕が男子に机を渡した途端、他の机よりも少し乱暴に音を立てて置いて、他の人と顔を見合わせてクスクス笑ってた。
なんかつらかったけど、そんなの日常茶飯事なのでスルーしようとしたら、エリの声が聞こえた。
「ちょっとうるさいんだけど、もうちょっと静かにおけないの?」
珍しくエリが怒っていた。
男子たちは「わりぃわりぃ」と言いながらニヤニヤしてた。
掃除が終わって机並べてた時、その男子から腹いせのように机の角を蹴られた。
こんどはエリが見てなかったけど、何故か気にならなくなった。
エリが文句を言うことでそっちに矛先が向かうのを恐れてたから少し安堵した。
32 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 06:13:27.80 ID:wvRdY72E0
冬休みの間もたまにエリとヤマオカくんは勉強しにきた。
ヤマオカくんがメアドを教えて欲しいって言ったのも冬休みの間だ。
メアドを登録するのはエリの他に幼馴染しかいなかったので3人目だ。増えていくメモリがちょっと嬉しかった。
でもエリの勉強の調子はあまりよくなかった。
希望校に受かるかどうかは結構厳しい。
でもエリはめげずにがんばっていた。
「もし落ちても勉強しなかった私が悪いから!でも大学はヤマオカくんと一緒に行きたいから、ちゃんと勉強は続けるよ、いままで以上に!」
ポジティブだなぁ、と感心した。
33 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 06:18:31.39 ID:wvRdY72E0
正月が終わって始業式を明日に控えた、最後の冬休み。
エリと2人で勉強してた最中に兄弟…僕の双子の弟が帰ってきた。
その日は居間で勉強してたから鉢合わせしてしまった。
弟は露骨に嫌そうな顔をしたけど、エリは気にせず挨拶をしていた。
「あけましておめでとう!お邪魔してるよー」
「どうも。」
弟とエリは同じクラスになったことがあるけど、どうやら話すのは はじめだったようで、少しぎこちない挨拶だった。
34 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 06:23:06.75 ID:wvRdY72E0
「弟くん、学校と家だと全然違うねー、クールっていうの?ちよっとびっくりしちゃった」
エリは臆することなく弟に話しかける。
二卵性だから僕と全然似てない弟は学校では そこそこ友達もいたし 成績も優秀だったから、劣等感しか抱いていなかった。
家族といっても あんまり話すこともないから、家の中でガンガン話しかけてくエリは ほんとうに凄いと思った。
この時 内心僕はびびってた。弟とどう接すればいいかわからなかったから。たぶん弟も困惑してたと思う。
35 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 06:26:17.93 ID:wvRdY72E0
この時エリは「弟くんも一緒に勉強しようよ!」と持ちかけて、僕は緊張で倒れてしまいそうだった。
お世辞にも仲が良いとは言い難い弟が快くオーケーすると思ってなかったからだ。
でも意外なことに弟は少し考えたあと、「いいよ」とオーケーした。
意外すぎて弟はを凝視すると、少し嫌そうに眉を寄せて顔を背けられたのが印象的だった。
36 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 06:32:26.56 ID:wvRdY72E0
勉強しようよ!と持ちかけたのはエリだったけど、勉強というよりも半分はエリの勉強を見守る回になっていた。
今回は僕より成績が良い弟がいたのでエリの面倒は主に弟が見て、僕は自分の勉強を進めてた。
弟のように進学校に行くつもりはなかったから、正直そこまで勉強する必要もなかったんだけど、喋るのが億劫だったので丁度よかった。
弟は次第に学校での調子を取り戻して仲良くエリと話してた。
帰り際にメアドを聞いていて、やっぱり僕と違うなぁと改めて認識した。
37 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 06:33:29.02 ID:wvRdY72E0
頭がぼんやりしてるせいで誤字ばっかですね。
脳内で訂正してくれるとうれしいです、ごめんなさい。
気をつけよう…。
38 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 06:37:37.88 ID:wvRdY72E0
その日のメールで「やっぱ兄弟だから仲良くしないとね」とエリは言っていた。
「エリが仲良くすんの?」
「違うよ、哀川くんがだよ!あれから話した?」
「なんも話してない」
「えー…」
僕の家族があまり交流がないって薄々感じていたようで、エリは僕と弟が仲良くなってほしそうにしていた。
仲が悪いというよりも、お互いに干渉しないみたいな関係だったので、どうするべきか悩んだ。
40 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 06:46:59.06 ID:wvRdY72E0
中学生活最後の新学期が始まった。
世間ではバレンタインがどうの言ってたけど、もう受験が目前に迫ってるエリは「それどころじゃないよー!」と嘆いていた。
弟は相変わらず学校では僕を避けるようにして生活してたけど、エリが家に来てる時は一緒に勉強するようになった。
ヤマオカくんも弟とも話すようになっていて、エリはエリでいつの間にか僕たちの幼馴染(女)と友達になっていた。
幼馴染は奇抜なセンスが好きで、黙ってれば相当かわいい(学年でもトップクラスに入るくらいモテてた)のに、裏原系にハマっていたので孤立して動くことが多かった。
エリはスイーツ寄りの容姿だったので合わないと思ってたけど、人ってよくわからないな、と思った。
そして僕を取り巻く環境が変わっていくんだなぁと、ぼんやり思ってた。
41 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 06:51:21.28 ID:wvRdY72E0
いままで人と関わることが、例え家族ですらなかったから、不思議な気持ちになった。
なんとなくそれがエリのおかげだといのもわかってたので、僕は僕で何か新しいことをやってみようと思った。
バレンタインが目前に迫っていたので、ネットで必死に作り方と材料を調べて、当日の放課後僕の家で勉強する約束を取り付けた。
42 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 06:58:26.11 ID:wvRdY72E0
入試はバレンタイン終わってすぐだったからオーケーを貰った。
ラッピングは無理だったから、その場で渡すつもりだった。
ついでといっちゃあれだけど、ヤマオカくんや弟にもあげるつもりだった。
幼馴染もチョコだけもらうって言ってた。
当日。
作ったのはマフィンだったけど、美味しい美味しい!ってエリは喜んでくれた。
ヤマオカくんもありがとう、ってお礼言ってくれた。弟はなにも言わなかった。
43 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 07:05:57.32 ID:wvRdY72E0
受験当日。
エリはヤマオカくんから貰ったお守りを握りしめながら、「ただいまー!」と教室に帰ってきた。
僕は先に帰ってきてたので暖房のかかった教室でぬくぬくしていたけど、エリは鼻を真っ赤にしていた。
手応えはそこそこだと言っていたけど、正直きびしいだろうな、と心の中で思った。
その日の夜、ヤマオカくんから「エリと答え合わせしたけど、結構きびしい」というメールを貰った。やっぱり、と思った。
エリもたぶん気付いてて、鼻を真っ赤にしてたのは帰り道泣いてたんだろう。
他に鼻を赤くしてた人がいなかったから、たぶん、間違いない。
44 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 07:12:18.16 ID:wvRdY72E0
二次試験も終わってホワイトデー。
夕方にエリが家を訪ねてきて、クッキーが入った包みを2つ渡してくれた。
「一つは弟くんのね。1人で全部食べちゃだめだよ?」
「弟呼ぼうか?」
「ううん、哀川くんから渡して!私はこれからヤマオカくんとデートですー」
ふざけながらエリが手を振ってエレベーターへ向かって行った。
渡すだけなんだから直接でもいいのに。そう思ったけど文句をいうつもりもなかった。
45 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 07:17:30.47 ID:wvRdY72E0
弟に「エリから」といってクッキーを渡すとなんだか微妙そうな顔をして受け取った。
それから何か言いたそうに「あー…」って少し唸って、ポケットから小包を取り出して僕に差し出した。
「チョコ食べたから、一応」
中身はピンクのボールペンだった。はじめて家族から贈り物をされたので嬉しかった。
ここでどうして僕という一人称を使ったのか自分でもわからないけど、>>1は男じゃなくて女です。
なんとなくわかってた人もいるかもしれないけど。
もし男女の青春展開を期待してた人がいたらごめんなさい。
途中から一人称を変えるのも気が引けるので、そのまま続けます。
46 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 07:23:57.67 ID:wvRdY72E0
それから弟と家にいる時は少しだけ話すようになった。
たまに帰ってくる両親は相変わらず優秀な弟にしか関心がなくて、交流以前の問題だったけど、エリやヤマオカくんがいてくれたから前ほど気にすることはなくなった。
受験はエリは落ちていた。
結局 近くにある高校に通うことになり、僕もそこを滑り止めとして受けていたので、無理やりそこに通うことにした。
偏差値がどうのこうのより、エリと一緒の高校に通ったほうが新しい発見ができると思ったからだ。
今思えば、いつのまにか相当依存してた。
47 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 07:27:31.28 ID:wvRdY72E0
春休みの間にエリと2人で遊びに出かけた。
街にでてかわいいアクセサリーや服を買ったりした。はじめて可愛い服を買ったと思う。
今まで全部無難なパーカーやシャツしか買った事なかったから新鮮だった。
今では可愛いかんじの服をしか買わなくなったけど、連れて行ってもらうっていう きっかけがなかったら ずっとそのままだったと思う。
48 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 07:35:43.37 ID:wvRdY72E0
プリクラの撮り方も教えて貰ったし、髪型も一緒に選んで貰った。
帰りにエリの家に寄って、エリの部屋で花図鑑を見た。菖蒲の花が1番好きだと教えてくれた。
他にも一階の花屋に猫が住み着きはじめた事や、高校では弁当を作る予定とか、色々話したと思う。
中学の人たちに見られても もうなにも言われたりしないって事実が、結構嬉しかった。
あの人たちは僕がスーパーで買い物してるだけでクスクス笑ってたから。
物覚えが悪いことは知ってたけど、その日のエリ熱心に覚えようとしてた。
ヤマオカくんも一生懸命わかりやすく言葉を選んでた。
その日から毎週土日のどっちかはエリ達が僕の家にきて勉強する習慣ができた。
たまに彼氏が予定あってエリが1人でくることもあったけど、一応 僕の家も兄弟がいるので そこは毎回、変に緊張した。
肉親に友達見られるのも変な感じだった。僕は普段から見てるのに。
29 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 05:56:38.55 ID:wvRdY72E0
その日、兄弟が出かけていたので居間で勉強してたらエリがそわそわして落ち着かない雰囲気だった。
「どうしたの?」
「うーん、なんか、落ち着かないなって。なんでだろう…」
きょろきょろしながらエリが答えを探す。
僕の家は両親が不在がちで、家を使う頻度も低めなので最低限の家具しかなかった。
小5の時に引っ越したのもあって、居間には食卓、冷蔵庫、食器棚、テーブル、ソファ、テレビ、そして電話をおく小さな棚くらいだった。
僕は見慣れてたけど、エリはそうでもなかったらしい。
「物が少なくて落ち着かない」とエリがこぼした。
30 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 05:59:16.95 ID:wvRdY72E0
そういえば僕の部屋に入った時も、机とベッドしかないのを見て「ものが無いんだね」と言ってた。
普通の家はもっと生活感があるんだろうなぁ、って、少しエリが羨ましかった。
31 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 06:06:25.44 ID:wvRdY72E0
冬休みに入る前、クラスで大掃除があった。
まず机を廊下に出すんだけど、それぞれ机を廊下に持っていって体の大きい男子が机を受け取って並べる、って感じに作業してた。
僕が男子に机を渡した途端、他の机よりも少し乱暴に音を立てて置いて、他の人と顔を見合わせてクスクス笑ってた。
なんかつらかったけど、そんなの日常茶飯事なのでスルーしようとしたら、エリの声が聞こえた。
「ちょっとうるさいんだけど、もうちょっと静かにおけないの?」
珍しくエリが怒っていた。
男子たちは「わりぃわりぃ」と言いながらニヤニヤしてた。
掃除が終わって机並べてた時、その男子から腹いせのように机の角を蹴られた。
こんどはエリが見てなかったけど、何故か気にならなくなった。
エリが文句を言うことでそっちに矛先が向かうのを恐れてたから少し安堵した。
32 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 06:13:27.80 ID:wvRdY72E0
冬休みの間もたまにエリとヤマオカくんは勉強しにきた。
ヤマオカくんがメアドを教えて欲しいって言ったのも冬休みの間だ。
メアドを登録するのはエリの他に幼馴染しかいなかったので3人目だ。増えていくメモリがちょっと嬉しかった。
でもエリの勉強の調子はあまりよくなかった。
希望校に受かるかどうかは結構厳しい。
でもエリはめげずにがんばっていた。
「もし落ちても勉強しなかった私が悪いから!でも大学はヤマオカくんと一緒に行きたいから、ちゃんと勉強は続けるよ、いままで以上に!」
ポジティブだなぁ、と感心した。
33 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 06:18:31.39 ID:wvRdY72E0
正月が終わって始業式を明日に控えた、最後の冬休み。
エリと2人で勉強してた最中に兄弟…僕の双子の弟が帰ってきた。
その日は居間で勉強してたから鉢合わせしてしまった。
弟は露骨に嫌そうな顔をしたけど、エリは気にせず挨拶をしていた。
「あけましておめでとう!お邪魔してるよー」
「どうも。」
弟とエリは同じクラスになったことがあるけど、どうやら話すのは はじめだったようで、少しぎこちない挨拶だった。
34 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 06:23:06.75 ID:wvRdY72E0
「弟くん、学校と家だと全然違うねー、クールっていうの?ちよっとびっくりしちゃった」
エリは臆することなく弟に話しかける。
二卵性だから僕と全然似てない弟は学校では そこそこ友達もいたし 成績も優秀だったから、劣等感しか抱いていなかった。
家族といっても あんまり話すこともないから、家の中でガンガン話しかけてくエリは ほんとうに凄いと思った。
この時 内心僕はびびってた。弟とどう接すればいいかわからなかったから。たぶん弟も困惑してたと思う。
35 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 06:26:17.93 ID:wvRdY72E0
この時エリは「弟くんも一緒に勉強しようよ!」と持ちかけて、僕は緊張で倒れてしまいそうだった。
お世辞にも仲が良いとは言い難い弟が快くオーケーすると思ってなかったからだ。
でも意外なことに弟は少し考えたあと、「いいよ」とオーケーした。
意外すぎて弟はを凝視すると、少し嫌そうに眉を寄せて顔を背けられたのが印象的だった。
36 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 06:32:26.56 ID:wvRdY72E0
勉強しようよ!と持ちかけたのはエリだったけど、勉強というよりも半分はエリの勉強を見守る回になっていた。
今回は僕より成績が良い弟がいたのでエリの面倒は主に弟が見て、僕は自分の勉強を進めてた。
弟のように進学校に行くつもりはなかったから、正直そこまで勉強する必要もなかったんだけど、喋るのが億劫だったので丁度よかった。
弟は次第に学校での調子を取り戻して仲良くエリと話してた。
帰り際にメアドを聞いていて、やっぱり僕と違うなぁと改めて認識した。
37 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 06:33:29.02 ID:wvRdY72E0
頭がぼんやりしてるせいで誤字ばっかですね。
脳内で訂正してくれるとうれしいです、ごめんなさい。
気をつけよう…。
38 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 06:37:37.88 ID:wvRdY72E0
その日のメールで「やっぱ兄弟だから仲良くしないとね」とエリは言っていた。
「エリが仲良くすんの?」
「違うよ、哀川くんがだよ!あれから話した?」
「なんも話してない」
「えー…」
僕の家族があまり交流がないって薄々感じていたようで、エリは僕と弟が仲良くなってほしそうにしていた。
仲が悪いというよりも、お互いに干渉しないみたいな関係だったので、どうするべきか悩んだ。
40 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 06:46:59.06 ID:wvRdY72E0
中学生活最後の新学期が始まった。
世間ではバレンタインがどうの言ってたけど、もう受験が目前に迫ってるエリは「それどころじゃないよー!」と嘆いていた。
弟は相変わらず学校では僕を避けるようにして生活してたけど、エリが家に来てる時は一緒に勉強するようになった。
ヤマオカくんも弟とも話すようになっていて、エリはエリでいつの間にか僕たちの幼馴染(女)と友達になっていた。
幼馴染は奇抜なセンスが好きで、黙ってれば相当かわいい(学年でもトップクラスに入るくらいモテてた)のに、裏原系にハマっていたので孤立して動くことが多かった。
エリはスイーツ寄りの容姿だったので合わないと思ってたけど、人ってよくわからないな、と思った。
そして僕を取り巻く環境が変わっていくんだなぁと、ぼんやり思ってた。
41 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 06:51:21.28 ID:wvRdY72E0
いままで人と関わることが、例え家族ですらなかったから、不思議な気持ちになった。
なんとなくそれがエリのおかげだといのもわかってたので、僕は僕で何か新しいことをやってみようと思った。
バレンタインが目前に迫っていたので、ネットで必死に作り方と材料を調べて、当日の放課後僕の家で勉強する約束を取り付けた。
42 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 06:58:26.11 ID:wvRdY72E0
入試はバレンタイン終わってすぐだったからオーケーを貰った。
ラッピングは無理だったから、その場で渡すつもりだった。
ついでといっちゃあれだけど、ヤマオカくんや弟にもあげるつもりだった。
幼馴染もチョコだけもらうって言ってた。
当日。
作ったのはマフィンだったけど、美味しい美味しい!ってエリは喜んでくれた。
ヤマオカくんもありがとう、ってお礼言ってくれた。弟はなにも言わなかった。
43 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 07:05:57.32 ID:wvRdY72E0
受験当日。
エリはヤマオカくんから貰ったお守りを握りしめながら、「ただいまー!」と教室に帰ってきた。
僕は先に帰ってきてたので暖房のかかった教室でぬくぬくしていたけど、エリは鼻を真っ赤にしていた。
手応えはそこそこだと言っていたけど、正直きびしいだろうな、と心の中で思った。
その日の夜、ヤマオカくんから「エリと答え合わせしたけど、結構きびしい」というメールを貰った。やっぱり、と思った。
エリもたぶん気付いてて、鼻を真っ赤にしてたのは帰り道泣いてたんだろう。
他に鼻を赤くしてた人がいなかったから、たぶん、間違いない。
44 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 07:12:18.16 ID:wvRdY72E0
二次試験も終わってホワイトデー。
夕方にエリが家を訪ねてきて、クッキーが入った包みを2つ渡してくれた。
「一つは弟くんのね。1人で全部食べちゃだめだよ?」
「弟呼ぼうか?」
「ううん、哀川くんから渡して!私はこれからヤマオカくんとデートですー」
ふざけながらエリが手を振ってエレベーターへ向かって行った。
渡すだけなんだから直接でもいいのに。そう思ったけど文句をいうつもりもなかった。
45 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 07:17:30.47 ID:wvRdY72E0
弟に「エリから」といってクッキーを渡すとなんだか微妙そうな顔をして受け取った。
それから何か言いたそうに「あー…」って少し唸って、ポケットから小包を取り出して僕に差し出した。
「チョコ食べたから、一応」
中身はピンクのボールペンだった。はじめて家族から贈り物をされたので嬉しかった。
ここでどうして僕という一人称を使ったのか自分でもわからないけど、>>1は男じゃなくて女です。
なんとなくわかってた人もいるかもしれないけど。
もし男女の青春展開を期待してた人がいたらごめんなさい。
途中から一人称を変えるのも気が引けるので、そのまま続けます。
46 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 07:23:57.67 ID:wvRdY72E0
それから弟と家にいる時は少しだけ話すようになった。
たまに帰ってくる両親は相変わらず優秀な弟にしか関心がなくて、交流以前の問題だったけど、エリやヤマオカくんがいてくれたから前ほど気にすることはなくなった。
受験はエリは落ちていた。
結局 近くにある高校に通うことになり、僕もそこを滑り止めとして受けていたので、無理やりそこに通うことにした。
偏差値がどうのこうのより、エリと一緒の高校に通ったほうが新しい発見ができると思ったからだ。
今思えば、いつのまにか相当依存してた。
47 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 07:27:31.28 ID:wvRdY72E0
春休みの間にエリと2人で遊びに出かけた。
街にでてかわいいアクセサリーや服を買ったりした。はじめて可愛い服を買ったと思う。
今まで全部無難なパーカーやシャツしか買った事なかったから新鮮だった。
今では可愛いかんじの服をしか買わなくなったけど、連れて行ってもらうっていう きっかけがなかったら ずっとそのままだったと思う。
48 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 07:35:43.37 ID:wvRdY72E0
プリクラの撮り方も教えて貰ったし、髪型も一緒に選んで貰った。
帰りにエリの家に寄って、エリの部屋で花図鑑を見た。菖蒲の花が1番好きだと教えてくれた。
他にも一階の花屋に猫が住み着きはじめた事や、高校では弁当を作る予定とか、色々話したと思う。
中学の人たちに見られても もうなにも言われたりしないって事実が、結構嬉しかった。
あの人たちは僕がスーパーで買い物してるだけでクスクス笑ってたから。
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