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「機械と少年」
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450 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/12/13(金) 01:58:17.57 ID:qdkdY37JP
ADAM「目的を先に伝えよう。僕は君のヴィントにはもう興味は無い。
   ただ、そのリートを返して欲しいんだ」

勇「・・・返す?」

リート「私・・・」

ADAM「リートは元々こちらの物だ。
   ちょっとしたアクシデントでしばらく行方不明だったがね。」

勇「・・・その要求は不可能だ」

ADAM「どうして?リートはただの旧型のロボだよ?」

勇「・・・お前に渡すくらいなら俺が破壊する」

リート「・・・私もそっちの方がいいです」

ADAM「全く・・・リート!
   君はロボなんだよ?どうして人間の味方をするのさ?」

勇「お前こそなぜ今更リートを求める?」

ADAM「・・・EVEだよ」

勇「・・・EVE?」

聞きなれない単語だ・・・
もしくは何かの名前か?

ADAM「リートはEVEに捧げる目覚めの歌なんだ」

勇「・・・何を言っているのか分からないな」

ADAM「だろうね。僕たち機械の独自進化は既に人知を超えている」

勇「そろそろ無駄話も飽きた。・・・破壊させてもらう」

カッターを握り直しリートをヴィントにしっかりと載せる



461 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/12/15(日) 15:38:15.88 ID:P5EO7F61P
ヴィントが爆発的に加速しハーキュリー・・・いや、ADAMに向かう

ADAM「難しいね・・・リートを傷つけずに君をミンチにするのは・・・」

勇「はぁぁっ!!」

ヴィントのブレードを跳躍で回避するADAM
素早くスラスターで向きを変えて再びアタックする

ADAM「まるで闘牛だな」

再び跳躍で回避される

勇「そんなに単純なものじゃないっ!」

素早く回避したADAMにワイヤーガンを打ち込む
装甲は貫けなかったものも確実に右脚部を捉えた

ADAM「っ!?」

ヴィントの推力に引っ張られてADAMが引きずり降ろされる
ズズンッ!!!
ADAMは背中から盛大に落ちた

勇「これでっ!」

ヴィントから飛び降り無防備なADAMにカッターを持って飛びかかる

ADAM「・・・浅はかな」



462 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/12/15(日) 15:45:42.16 ID:P5EO7F61P
カッター切っ先をADAMはその手で掴んだ

勇「・・・!?」

ギャギャギャギャ!!!
火花が散るが全くカッターの歯が通用しない

ADAM「言っただろう?既に人知を超えてるって。」

ADAMの蹴りが俺の腹に食い込む

勇「がぁっ!!」

軽く3mは飛んだ

勇「・・・っ!カッターが効かない・・・!?」

ポツポツと雨が降り始める

ADAM「こんな素材・・・君たちは持っていないだろ?」

ADAMの手のひらには多少の擦過傷があるが全く切れていない

勇「・・・くっ・・・!」

痛みが走る

ADAM「あれ?なんか来るしそうだね。」

肋骨が何本か折れた
内蔵もやられたかもしれない

ADAM「戦闘不能だね。戦利品はもらって行くよ」



463 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/12/15(日) 15:53:34.56 ID:P5EO7F61P
停止しているヴィント近づく

リート「いや・・・」

ADAM「君も少し眠りなよ」

リートに向かって手のひらを向ける

バチバチッ・・・!!

リート「勇さ・・・」

リートのメインシステムがダウンしリートが倒れる
それを抱えるADAM

勇「リートっ!!リートを離せ!!」

ADAM「まだ威勢はいいね・・・。これならどうだろう?」

今度は手のひらをヴィント向ける
今度はライフル級に強力な電撃が撃ち出される
ドドォンッ!!!

勇「・・・っ!」

ヴィントが爆発的し炎上する

ADAM「もう戦えないよね?」

エアーホルンから離れた渓谷だ・・・
救援を要請しても間に合わない

ザー・・・
雨が一層強くなる



464 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/12/15(日) 16:07:15.96 ID:P5EO7F61P
ADAM「人類軍の兵士くん。お疲れ様」

勇「リートを・・・返せっ!!」

再びカッターを握りしめ立ち上がる

ADAM「・・・あ、そうだ。もし良かったら死ぬ前の気分ってのを教えてくれよ。」

勇「ふざけるなっ!!」

痛みに堪え飛びかかる

ADAM「うっとおしいな」

カッターを腕で受け止められ首を掴まれる

勇「ぐっ・・・!!」

ADAM「このまま首が折れて死ぬか・・・それともそこの崖から落としてやろうか・・・」

勇「っ・・・」

薄れて行く意識の中で唯一残っているのは攻撃の意識
ガリガリガリッ!!!

ADAM「ん?」

カッターをADAMの腰に押し当て歯を回転させる

ADAM「・・・チッ・・・ウザイんだよっ!!」

ADAMは力一杯俺を投げ飛ばした
背中から地面に落ちる・・・
筈だったが何故かその感覚がない



465 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/12/15(日) 16:09:05.52 ID:P5EO7F61P
少し遅れて崖に放り込まれた事に気がつく

勇「リート・・・」

どんどん暗闇に吸い込まれて行く
意識が遠のいているのか、
本当に真っ暗な崖下に落ちて行っているのか・・・
それがはっきりする前に俺の意識は消えた




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466 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/12/15(日) 16:20:36.99 ID:P5EO7F61P
クロム「探せ!!エアーホルンの管轄外までくまなく探せ!」

今クロム達は勇のヴィントのシグナルが確認出来なくなった地点まで輸送機で来ていた

パイロット「しかし、こんな悪天候では・・・!」

クロム「なら地上部隊もださせろ!!」

クロムもいつものオネェ言葉を捨てて荒々しい口調だ

ノール「この辺りでヴィントのシグナルが消えとる」

パイロット「なんだ・・・?」

クロム「どうした?」

パイロット「・・・ヴィントだ!ヴィントを発見!」

クロム「・・・っ!」

見つかったヴィントは焼け焦げ無残な姿を晒している

クロム「勇とリートは!?」

パイロット「ダメです。見当たりません!」

ノール「・・・クロム、諦めよう・・・」

クロム「ダメだ・・・あいつらはこんな事で終わる奴らじゃない・・・!
    探せ!もしかしたらまだ戦っているかもしれない!」

ノール「クロム!!」

クロム「・・・っ!?」

ノール「あのハーキュリーの残骸は全く残っておらん・・・つまり・・・」

つまり・・・
勇達は敗北した・・・

クロム「・・・生きている・・・。奴らなら例えば負けたとしても・・・」

その後の捜索でも勇もリートも見つからず、
回収できたのはヴィントの残骸のみだった




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