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バイト帰りに出会った女子高生との数年間の話
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181 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:00:13.72 ID:Q5UKg1qg.net
「3週間ぐらいか?」
茶を淹れなおしてカレンダーを眺めて呟く。正直なかなか長かった。
何日かに一度ぐらいかはメールしたりしていたがそれ以外の連絡は ほとんどしていなかった。
余裕がなかったというのも事実としてあるが こういったときに白石が拘束しない彼女でいてくれて良かったなぁと思っていた。
「そういや白石、どっか行きたいところとかないのか?ここ何週間かかまってやれてないからな。」
「んー?そうだなー・・・とりあえず」
「とりあえず?」
「いちゃつきたい、かな?ww」
「・・・」
言葉を失う。
この時ばかりは本当に何も言えなかった覚えがある。いや、したいかしたくないかと言えばしたいのが本音ではあるが。
「一応さ、付き合ってる、訳だし・・・その、お正月ぐらいしか、そういうことしてないし・・・」
少し恥ずかしそうに「付き合う」という単語をいう白石を見て純粋に、ただ純粋に愛でたい衝動に駆られる。
183 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:06:03.11 ID:Q5UKg1qg.net
「ごめん白石・・・いい?」
「しょうがないなぁww」
先程の言葉とは裏腹に白石が苦笑するなかその背後に回る。
「ん・・・落ち着く・・」
白石の肩越しに手をまわして自分の脚の間に白石が入るだけのスペースを作る。
「お兄さん、その、もしかしたら、私、少し汗臭いかも…」
「いや、そんなことないよ?スゲーいい匂い。」
「嗅がないでよ!変態っぽいよ!?」
「男なんてみんな こんなもんだよww」
そういって白石の髪に顔を埋める。
「・・・なんだかんだ言ってお兄さんてさ、甘えん坊だよねww」
「・・・否定しない。」
「うわ!ちょ!くすぐったいってww」
何だこれ、幸せすぎる。俺の人生か本当に?
「それはさておき、さっきの話だがバイト代幾らかあるし、本当にどっか行きたいとかないのか?」
「お兄さんと居れるならね、どこでも・・・いいよ?」
声がいつもより近く感じて、白石が向き直って俺の方を見てきた。
「3週間ぐらいか?」
茶を淹れなおしてカレンダーを眺めて呟く。正直なかなか長かった。
何日かに一度ぐらいかはメールしたりしていたがそれ以外の連絡は ほとんどしていなかった。
余裕がなかったというのも事実としてあるが こういったときに白石が拘束しない彼女でいてくれて良かったなぁと思っていた。
「そういや白石、どっか行きたいところとかないのか?ここ何週間かかまってやれてないからな。」
「んー?そうだなー・・・とりあえず」
「とりあえず?」
「いちゃつきたい、かな?ww」
「・・・」
言葉を失う。
この時ばかりは本当に何も言えなかった覚えがある。いや、したいかしたくないかと言えばしたいのが本音ではあるが。
「一応さ、付き合ってる、訳だし・・・その、お正月ぐらいしか、そういうことしてないし・・・」
少し恥ずかしそうに「付き合う」という単語をいう白石を見て純粋に、ただ純粋に愛でたい衝動に駆られる。
183 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:06:03.11 ID:Q5UKg1qg.net
「ごめん白石・・・いい?」
「しょうがないなぁww」
先程の言葉とは裏腹に白石が苦笑するなかその背後に回る。
「ん・・・落ち着く・・」
白石の肩越しに手をまわして自分の脚の間に白石が入るだけのスペースを作る。
「お兄さん、その、もしかしたら、私、少し汗臭いかも…」
「いや、そんなことないよ?スゲーいい匂い。」
「嗅がないでよ!変態っぽいよ!?」
「男なんてみんな こんなもんだよww」
そういって白石の髪に顔を埋める。
「・・・なんだかんだ言ってお兄さんてさ、甘えん坊だよねww」
「・・・否定しない。」
「うわ!ちょ!くすぐったいってww」
何だこれ、幸せすぎる。俺の人生か本当に?
「それはさておき、さっきの話だがバイト代幾らかあるし、本当にどっか行きたいとかないのか?」
「お兄さんと居れるならね、どこでも・・・いいよ?」
声がいつもより近く感じて、白石が向き直って俺の方を見てきた。
184 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:08:09.35 ID:Q5UKg1qg.net
「こんなに密着するとさ、心臓の音、聞こえるねww お兄さんの凄い早いの分かるよ。」
「白石は、そうでもないな・・・」
「そうかな?緊張、してるんだけどな・・・」
「そうは見えないな・・・」
「じゃあ試そうか?」
「試すって・・・ッ!!」
唇が押し付けられる。
常々思っていたが こいつ欲求不満なんだろうか?そんなことを脳裏に浮かべ白石の唇の感触を確かめていた。
185 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:12:30.56 ID:Q5UKg1qg.net
「そういや白石、進路どうするんだ?」
数日経ったある日の事だった。何気ない一言だったと思う。
いつものように こたつに入って勉強したりしていた白石が休憩をはさんだ時に話を振った。
別段何か意図したわけでも、まして その方向に話を持っていきたいわけでも無かった。単純に話のタネとして興味があったのだ。
時期的に言えば二月の中旬。
白石の通う高校が進学校を謳うだけに そろそろ本格的な受験勉強が始めるんじゃないかと思っていた。
「んー?んー・・・」
「決まってないのか・・・?」
唸る白石の顔は優れない。意外と言えば意外だった。
俺の場合は色々あって(説明してもいいが長くなるので端折る)ここにいるが白石位の学力があれば行けるであろう大学の選択肢は少なくないはずだ。
「お兄さんと一緒がいいからなぁ・・・」
「白石、少し真面目に話そうか・・・」
居住まいを正す。
186 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:16:19.12 ID:Q5UKg1qg.net
「例えばだ、お前が同じ大学に入ってきたとして別れたらどうする?理由がそれだけなら来た意味が無くなっちゃうだろ?
もちろん、来てから大事なものが見つかるかもしれないが そんなもん見つからない可能性だってある。
唯一言えるのは、後悔しない選択肢が一番いいと思う。」
伝えようとする気持ちが強すぎて説教臭くなってしまった。
気持ちが嬉しくないと言えば嘘になる。しかし過去は変えられない。後で悔いても仕方ない。
だからとりあえずいえることは、単純で陳腐だけれども後悔しないことが一番だと思う。
白石が口の中で「後悔しない選択肢・・・」と呟いた
「・・・どこに行きたいかは決まってないのか?」
終始無言を貫いていた白石がこの質問で口を開いた。
「ここよりは、都会に行きたい・・・」
「うん、よし、じゃあ少しずつ方向性を決めていこう。そうなると仙台あたりか?それとも東京?」
187 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:19:03.15 ID:Q5UKg1qg.net
「・・・東京かな・・・?」
「よしよし、じゃあ私大?公立?」
「・・・金銭面的に公立だけど・・・」
「?だけど?」
「・・・最終的に音楽でご飯食べていきたい・・・出来れば・・・大学行かないで・・・」
小さいけれど、白石の言葉で、はっきりと言われた。俺の視野が狭かったのかもしれない。
社会人になるとか そういう選択肢を用意せず当たり前のように進学という一択だろうと勝手に思い込んでしまっていた。
「そっか・・・」
その後の言葉を俺も、白石も継げなかった。白石はきっと絞り出した一言だったと思うけれど、その時の俺は肯定も否定も出来なかった。
188 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:22:42.66 ID:Q5UKg1qg.net
「・・・」
ただ悩んでいるよりいいと散歩をして川沿いの道で欄干に寄りかかりながら考える。
正直 白石があの発言をしてから少しギクシャクしている。
というかあれから白石とは顔を合わせていない。
電話は出てくれないし、メールも一応は帰ってくるが俺がバイト中とかの時に意図的に返されている気がする。
一応の所、白石の目標が それだというのだから否定なんかはしていない。
単純な話、白石になんて言えば良いのかが分からなかった。
白石がやりたいことなら応援してやるべきだと思う。
だがそれでも「がんばれ」は無責任すぎる気がした。
そして この時になってふと思い出す。
いつの日か何か悩んでいそうな素振りを見せて、それでも俺には言わなかったあの日の事を。
情けなさに頭を掻く。
ひとまずは成人して それなりに成長したと思っていたのに中身なんか何も変わってなくて、「やりたいことは何だ」って聞いたのは俺なくせに、いざ答えられたら解決策どころか返す言葉にすら困った。
190 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:25:47.09 ID:Q5UKg1qg.net
夢、といえば聞こえはいいが現実味がないと言えばより近しいだろう。一番最初に考えてしまったのがそんなことだった。
「夢は何ですか?」なんて聞かれたのは結構昔の、そう、小学校の文集くらいだろうか。
そう聞かれていたかと思えばいつの間にやら親や教師でさえ、「現実を見ろ!」と頭ごなしに言うようになっていた。
「大人になったんだから」なんて理由をつけて無理やり現実を見るようになってしまったのかと思うと自分に嫌気も起こる。
幸いにも明日は休日。あの日からちょうど一週間である。
『明日うちに来れるか?』
内容は簡潔に、ただそれだけの文章を入力して、送信するのに入力の何倍も時間をかけて、煙草一本をフィルターギリギリまで吸ってからようやく送信した。
返信がきたのは その日の就寝前に最後に見た時の事。
『4時過ぎに行くよ〜!』
その一言だけだった。
192 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 13:30:45.41 ID:Q5UKg1qg.net
いつもよりも念入りに掃除をして、いつもよりも何割か増しで緊張しながら、白石を待っていると予定とほぼ同時刻で白石はやってきた。
「お邪魔しま〜す!!」
「おう・・・」
「あれ、どうしたのお兄さん?元気ないね?」
「いや、そうか?」
いつも通りの、いや、いつもよりもより元気な白石に多少驚きながら対応する。
「あ、そうだお兄さん!この前の事なんだけどね!同じ部活の子がね!」
「まぁ待てって・・・茶淹れるから・・・」
茶を淹れて一息つきながら雑談をする。少しすると間が空いた。
「なぁ、白石・・・」
「ん?何?あ、そういえばね!さっきの子の話なんだけど!」
「白石・・・白石!」
白石の話を切るために語気を強める。
本当は分かっているのだ。
白石が何故いつも以上にハイテンションで俺を聞き役に回らせようとするのかも、俺が少しでもそういう雰囲気を見せると強引に話題を変えるのかも、全て分かったうえで、その上で俺は切り出す。
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