沸々と怒りがこみ上げてくるのを我慢して、言訳の留守電を聞いてると気分が悪くなってきた。
吐気があるが、吐く物は無く、昨日の晩にファミレスで食事して以来、何も食ってないことを思い出した。
が、食欲は無いので、とりあえずテレビをつけて横になってると、電話が鳴った。おそらく元嫁だろうと思い電話を取ると、その通りだった。
「本当にごめんなさい、二度としないので許して下さい」
「じゃあ、相手の住所と電話番号教えろ」
「それだけは許して。他の事なら何でもするから」
「何でもするなら離婚してくれ」
「そんな酷い事を言わないで」
かなりウザクなってきたので、電話を叩き切った。
さんざん罵っておいて決定的な証拠が出ると手の平を返したように哀願か。
しかもこの期に及んで間男を庇うとは。見下げ果てた女だな。
電話を叩き切った後で、役所に言われた事を思い出し、こっちから元嫁に電話をかけた。
「とりあえず、何日か有給とったから明日ソッチ戻る」
「わかった、私も休むから話合いましょう」
話し合う事など何も無い、と心の中で思ったが、ループになるだけなので言葉にするのは止めた。
「じゃあ明日、デニーズに12時に」
それだけ言うと、電話を切った。
明日も早いな、寝なくっちゃ、そう思ったけど眠れなかった。
結局、テレビをぼんやり見ながら夜が明けるのを待った。
結論言うと、このまま別れるだけの話だけど、続き要る?
>>104
>続き要る?
是非。
>>104
おながいします
翌日、昼前にデニーズにつくと、元嫁は既に来ていた。
「ごめんなさい、許して」
開口一番の元嫁の言葉にイラつきながらとりあえず店に入る。
平日の昼間に来た事は無かったけど、かなり混んでいた。
「で、住所と名前と電話番号は言う気になった?」
向かい合わせのテーブル席に着くと、俺はそう言った。
元嫁は、下を向きながら
「どうしても言わなきゃ駄目?」
「いや、別に無理にとは言わない」
もう離婚の意思は、固まってたのでどう誘導するかを考えてた。
「俺と一緒に居ると、疲れるだろ?」
やさしく聞く。
「ううん、普段は優しいから。時々キレるのは怖いけど。」
追求されない事にほっとしたのか落ち着いて見えた。
「うん、そうだね。で、はっきり言うと今現在キレてるのわかる?」
笑顔で元嫁に言うが、目は笑ってない。
元嫁の顔が強張る。
「これ以上、嫌になりたくない。別れよう」
俺がそう言うと、元嫁が何か言おうと口を開ける。
が、俺の言葉がソレヲ遮った。
「好きで一緒になった。その気持ちに嘘は無い。」
「嫌な思いを積み重ねてボロボロになるより、良い思い出を残して別れたい」
元嫁は、黙って、涙を落とした。
その涙の訳は、俺にはわからなかったが、元嫁は離婚に同意した。
協議離婚と言う事で、少ない財産は等分。
お互いの親には「性格の不一致、生活環境の違い」などと言って誤魔化した。
結局、間男の名前すら聞かず、浮気の真意も不明だ。
そして、その後に俺は会社を退職し、郷里に帰った。
今は、元嫁が何処で何をしているかも知らない。
全て事実なので、オチは全く無い。
拙い思い出話をご清聴ありがとうございました。