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眠れないから親友の女の子の話でもする
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57 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 08:11:41.07 ID:wvRdY72E0
結局エリと面会出来たのは一ヶ月以上あとの事だった。

病室でエリのご両親と顔をあわせて、頭を深く下げたら何故か撫でられた。

たぶん、気を使われたんだと思う。それがもっとなさけなかった。

エリは以前の面影がほとんど無いくらいにやつれていた。髪の毛は薄くなって、目は虚ろで。

僕が声をかけると、ゆっくり体をおこそうとしてたけど、それすらもぎこちなかった。



59 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 08:20:02.72 ID:wvRdY72E0
身体の半分くらいが麻痺してて、口を動かすのも大変だろうと聞かされていた。

「ゆっくりでいいよ。面会の時間終わるまでずっといるから」

そう声をかけるとぎこちなく笑ってくれた。

「哀川さんは、怪我なくてよかった」

口を開いたと思ったらそれか。人の心配ばかりか。

情けなくて泣きそうになるのを堪えるので必死だった。

でもしばらくしてすぐにぼろぼろとエリが泣きはじめ、「ごめん、1人になりたい」と謝られた。

そりゃ一緒に事故にあった相手が無傷で、自分は起きる事すら大変なんだ。嫌だろう、見るのが。

のうのうと会いに行った自分が、その時すごく気持ち悪い人間に思えた。



60 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 08:23:51.01 ID:wvRdY72E0
帰ってからご飯も食べずに「ああああ」って奇声をあげて、泣き叫んで、ボールペンやらなんやらを足とか腕に刺しまくった。

気が動転してたんだと思う。メンヘラって言われても仕方ないくらい、頭おかしかった。

さすがに母親と弟がかけつけて、母親が僕に頭突きをして、僕は無気力に泣くだけに落ち着いた。

弟がどうしてたかは覚えてないけど、たぶん見下ろしてたと思う、座り込んで泣いてる僕を。



61 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 08:28:15.27 ID:wvRdY72E0
その日から自堕落的に過ごすようになった。

学校は単位が取れるていどに行くようになって、提出系はクラスの人たちに手伝って貰って、あとは ひたすら引きこもってた。

何度も何度も幼馴染が家を訪ねてきたのは覚えてるんだけど、なにを話してたのかも覚えてない。

でもある日、夏休みがはじまった日、弟に無理やり病院に連れてこられた。

はじめて弟から強引に外に誘われたので、やたら印象深く覚えてる。



62 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 08:33:24.47 ID:wvRdY72E0
病院のエリの部屋の前で立ち止まった僕に、弟が実は毎日のように見舞いに行ってた事、ずっとエリが僕に会いたがってる事を話してくれた。

情けなくなってまた泣いた。

泣きながら病室に入るとエリが笑ってた。この前はごめん、って謝られた。謝るのはこっちなのに。

違う、違うって頭を振ったら、今度はエリがとてもつらそうに泣き出した。声は出てなかった。出せなかったんだと思う。



63 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 08:37:40.94 ID:wvRdY72E0
このままじゃいけないって思って、夏休みの課題を弟に手伝って貰い、真っ先に片付けたあと、僕はアルバイトと介護系の勉強をするようになった。

勉強と言ってもネットで調べたり本を読み漁ったり、食べやすい食事の作り方とかそんなんだけど。



64 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 08:41:28.30 ID:wvRdY72E0
学校はじまってもパン屋(早朝にこねたり並べたりする程度)でアルバイトしながら、放課後は病院に行って、耳が遠くなったエリのために、2人で一緒に手話を覚えた。

エリは手が動かせないので、手話はもっぱら僕がエリに伝えるためのツールになってた。

相手のご両親にはすごく感謝されたけど、ヤマオカくんとは会ってもなにも言えず、会釈をして僕が逃げるように立ち去ってた。



65 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 08:48:17.86 ID:wvRdY72E0
土日にはバイトを入れるようにして、逃げる口実を作ってた。

ヤマオカくんが土日につきっきりなのは弟から聞いていたから。

でもある日、エリが「たまにはヤマオカくんにも話しかけてあげなきゃだめだよ」と言い出した。さすがに避けてた事は気付かれてたようだった。

でもなんて話しかければいいかわからなかったから、曖昧に濁してしまった。



67 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 08:57:19.27 ID:wvRdY72E0
エリは事故前に比べて笑う事が少なくなった。

前はいつでも笑ってたから別人と話してる感覚になる時もあったけど、やっぱり同一人物だった。

その時も笑ってなかったわけじゃないけど、儚げに笑う事が多くなったかな。

手話で僕が何かを伝えて、わからない事があったらエリが首を傾げるので、そこから筆談に切り替える。普段は花図鑑を一緒に眺めて過ごしてた。



68 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 09:04:25.15 ID:wvRdY72E0
ある日の放課後、少し遠い進学校に通ってたから普段は来なかったはずのヤマオカくんが何故かエリの病室にいた。

一瞬心臓が止まりかけたけど、逃げるわけにもいかないので、会釈をして隣に座った。

ヤマオカくんも僕もずっと黙ってたけど、エリはどことなく嬉しそうだった。いつものように花図鑑を開いて、エリは菖蒲の花を指差した。

「私、菖蒲の花が好きなの。ヤマオカくんは?」

「…俺も好きだよ」

少し間があったけど、ヤマオカくんも笑って答えてた。

僕にも触れられたけど、花のことはよくわからなかったから曖昧に返事をした。



69 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 09:12:32.42 ID:wvRdY72E0
帰り道、ヤマオカくんと一緒に帰ったけどほとんど無言だった。

でも家まで送って貰って、別れる時に「1人で背負いこむところまでエリに影響されなくていい」と言われた。帰ってから何故か泣いた。

誰も僕を責めようとしてなかったのに、僕は何に怯えてたんだろう。



70 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 09:17:43.76 ID:wvRdY72E0
夏休みも文化祭も、クリスマスも、エリはひっそりと病院ですごしていた。

簡単なリハビリもはじまっていたので順調に行けば、次の年からは外泊も出来ると聞かされて、エリははしゃいでた。

クリスマスプレゼントは帽子とネックレスをあげた。

バイト代はほとんど使わずとってあったので奮発してたかいもの選んだ。

ヤマオカくんとはあいかわらず話す機会もなかったけど、たまに病室であった時に挨拶ができきるくらいにまで、関係は回復していた。

回復もなにも、自分から壁作ってただけだったけど。



71 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 09:21:20.75 ID:wvRdY72E0
緩やかに時間が流れていった。

僕は学年が一つあがって、クラスの人たちにとは離れたけど、なんだかんだで気にかけてもらっていたし、弟とも一緒に出掛けたりゲームしたりと関係は良好なものだった。

両親とは相変わらずだったけど。

そして四月が終わる頃、ヤマオカくんから連絡がきた。



73 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 09:25:04.48 ID:wvRdY72E0
エリの外泊許可が降りたのだ。

一週間ほど様子見をするらしいけど、病院から殆ど出れなかったエリは相当はしゃいでるらしい。

そこでどこエリを連れて行きたいと相談され、僕とヤマオカくんはあれこれ探し回った。

車椅子だから あんまり人ごみの中には連れて行けなかったから、結構悩んだ。

どこに連れて行こうか考えながら高校から下校していた時、花屋に菖蒲の花が並んでたのを見かけた。



74 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 09:28:28.57 ID:wvRdY72E0
エリが好きな花だ。ああそれだ!

ピンときて家に帰ってすぐに菖蒲の花について調べる。各地に菖蒲の花が並んだ公園や植物園があった。

すぐにヤマオカくんに連絡した。

隣の県に植物園があり、五月は菖蒲の花祭り?をしているというのでそこにした。



75 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 09:33:07.25 ID:wvRdY72E0
当日、エリにはどこへ行くのか秘密にして、植物園へ向かった。

エリのご両親、僕と弟、ヤマオカくん、そして幼馴染が集まって賑やかだった。

少し長く電車に乗るので心配だったけど、エリは嬉しそうにしてるだけで具合が悪い雰囲気がなかったので安心した。

植物園についた途端、エリはぱぁっと顔をほころばせて笑ってた。久々に見る、あの笑顔だ。

僕は嬉しくて少しだけ泣いてた。



76 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 09:36:57.92 ID:wvRdY72E0
菖蒲の花は本当に綺麗でした。

使い捨てカメラじゃなくて、ちゃんとしたデジカメを買ってくればよかった、とエリのご両親が言ってた。

僕もカメラ持って行けばよかったと後悔した。

休憩したり写真撮ったり、久しぶりの外の空気にエリがはしゃぎつかれたので あんまり長くいれなかったけど、エリは満足しているようだった。

その日はそのままエリの家に向かって、ご飯をご馳走になった。はじめてあんな大勢でご飯食べたと思う。



77 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 09:39:13.40 ID:wvRdY72E0
それから一週間、エリは特に何事もなく過ごせていた。

でも念のためにまた病院に戻る事になり、再び入院生活が始まった。

このままリハビリも無事終われば、秋頃には完全に退院出来るんじゃないかって聞いて嬉しかった。



78 :名も無き被検体774号+:2012/01/23(月) 09:41:07.06 ID:wvRdY72E0
エリが退院したらまた植物園に行こう。

その時はどんな花が咲いてるんだろう?

あの日から僕はエリが退院できるという希望に対してひたすらワクワクしていた。

でも夏休みを目前に控えた初夏、今度はエリのご両親から連絡がきた。



>>次のページへ続く
 
カテゴリー:人生・生活  |  タグ:泣ける話, 青春,
 


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