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叶わない夢を見続ける少年の物語
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19 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 16:55:56.050 ID:bBdKFIo+0.net
しばらく経って、俺はようやく現実を受け入れはじめた。
「もう…動かない、か。」
そっか。
俺の足、もう動かないのか。
そっかそっか。
いきなり呼吸ができなくなったかと思えば、自分の涙を鼻から吸い込んでしまったことに気づいた。
21 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 16:57:18.615 ID:bBdKFIo+0.net
しばらくして、俺は退院した。
入院中の記憶なんてほとんど覚えてないよ。
とにかく、俺は大事な人に別れを告げようと思ったんだ。手紙で。
俺の夢は決して叶わないものになってしまった。
もう何もやる気がおきない。
これから、何かをしようと思えない。
俺は半端に生きながらえてしまったが故に、今後自堕落な生活を送ることになるんだ。
叶わない夢を見続けるくらいなら、死にきってしまった方が数千倍もマシだと思ってしまったんだ。
22 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 16:58:36.303 ID:bBdKFIo+0.net
手紙では、一人一人に今までの感謝を告げた。
そして、一人一人に謝った。
俺を一生懸命育ててくれた両親に。
俺の背中を見て育ち、俺と長い時間すごしてきた妹と弟に。
俺を好きになってくれて、どこまでもついてきてくれようとした彼女に…
しばらく経って、俺はようやく現実を受け入れはじめた。
「もう…動かない、か。」
そっか。
俺の足、もう動かないのか。
そっかそっか。
いきなり呼吸ができなくなったかと思えば、自分の涙を鼻から吸い込んでしまったことに気づいた。
21 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 16:57:18.615 ID:bBdKFIo+0.net
しばらくして、俺は退院した。
入院中の記憶なんてほとんど覚えてないよ。
とにかく、俺は大事な人に別れを告げようと思ったんだ。手紙で。
俺の夢は決して叶わないものになってしまった。
もう何もやる気がおきない。
これから、何かをしようと思えない。
俺は半端に生きながらえてしまったが故に、今後自堕落な生活を送ることになるんだ。
叶わない夢を見続けるくらいなら、死にきってしまった方が数千倍もマシだと思ってしまったんだ。
22 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 16:58:36.303 ID:bBdKFIo+0.net
手紙では、一人一人に今までの感謝を告げた。
そして、一人一人に謝った。
俺を一生懸命育ててくれた両親に。
俺の背中を見て育ち、俺と長い時間すごしてきた妹と弟に。
俺を好きになってくれて、どこまでもついてきてくれようとした彼女に…
23 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 16:59:41.014 ID:bBdKFIo+0.net
俺は手紙を書きながら、自分の性格はどうしようもなく糞だなって改めて思った。
俺が死ねばみんなが悲しむって分かってる。
でも…
なんの楽しみもないこの世界で生きながらえることができるほど、俺は強くないんだよ。
ごめん、皆。
俺は最低なわがまま野郎だ。
24 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:00:57.663 ID:bBdKFIo+0.net
これで、全員か。
俺は手紙を書き終えた。
ふと机の角を見ると、まだ何も書かれていない便箋が一枚残っているのが見えた。
せっかくだから使い切るか。
とは思ったものの、もう大切な人なんて……
「…」
あと一人だけ、いるな。
俺は紙にペンを走らせた。
『 Dear John…
25 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:02:14.170 ID:bBdKFIo+0.net
話は少しだけ遡る。
俺は人生計画の通り、本当に高校で留学しちまったんだよ。
あまり裕福な家計ではないのに、金を出してくれた両親にはホントに感謝してる。
俺は最初、留学行くことにあんまり重み?みたいなのを感じてなかったんだよ。
ちょっと一年間アメリカ行ってくるわw みたいな。
でも、留学はそんな、一言で完結させることなんかできないくらい特別な思い出なんだ。
26 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:03:24.859 ID:bBdKFIo+0.net
留学生はホストファミリーを選べないって知ってたか?
基本的に、どこかしらのホストファミリーが自分を選んでくれるのを待つんだ。
そのために自分の戸籍やら紹介文やらを書いて提出するんだが、その必須項目の一つに、「なんで留学したいとおもったのか」っていうのがあるわけだ。
そこで俺はストレートにこう書いた。
「パイロットになるにあたって必要な英語力を上げるために留学を決意しました」ってね。
たちまちそれを見た、一つのファミリーによって俺の留学先は決定された。
27 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:04:45.148 ID:bBdKFIo+0.net
そこはファミリーと言っていいのか分からないくらい小さな家族だった。
母親と同年代の弟と俺。
俺はてっきりちっさな子供がたくさんいる家庭を想像してたから、最初にその家族構成を知った時は多少動揺したな。
でも問題はそこじゃなかったんだ。
弟は障害を持っていたんだ。
彼は盲目だった。
名を仮にジョンとする。
そういや、俺はそういう障害者と一緒に何かしたりする経験はなかったんだよな。
28 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:05:31.521 ID:bBdKFIo+0.net
ちなみにジョンはその母親と血がつながっているわけではない。
養子っていうのかな。
両親を失い、目も見えずに、行き場をなくしたジョンに手を差し伸べたのがその母親だった。
すごいよな、その母親。
名を仮にマリンさんとしようか。
29 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:06:40.486 ID:bBdKFIo+0.net
渡米して最初の頃の俺は、首を左に右に振りっぱなしだったな。
本当に、異世界に来たみたいだったよ。
何もかもが違ってて、新しいことばかり。
俺は好奇心が人一倍に強かったし、これには興奮せざるおえなかった。
30 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:07:34.056 ID:bBdKFIo+0.net
一方で、辛いこともやっぱりあるんだ。
英語が聞き取れない、聞き取ってもらえない、自分と相手の価値観が違いすぎる。
一回、人と話すことが嫌になったくらいだ。
それを乗り越えるのが留学の一つの目標なんだけどな。
最初はみんなそんなもんだ。
31 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:08:24.656 ID:bBdKFIo+0.net
俺の英語力も安定してきて、まともにコミュニケーションができるようになってきたころ、俺はジョンに話しかけられたんだ。
ジョンは俺に自分の将来の夢を語ってきた。
簡単に言うと、ジョンの夢は俺と同じくパイロットになることだった。
なるほど、俺をホストしてくれたのはそのおかげか、なんて思いつつ、彼のパイロットへの愛を聞くことになるんだ。
俺はジョンの目を見ながら、黙って話を聞いていた。
32 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:09:36.220 ID:bBdKFIo+0.net
空を飛ぶことへの憧れ、乗り物への好奇心。
ジョンは はじめて飛行機に乗った時、パイロットになりたいと思ったらしい。
俺も最初はそうだった。
そんで、一度そう思ったら色々興味がわいてくるんだよな。
どうしたら飛行機を操縦できるのか、とか。
パイロットってどんな人なのか、とか。
それで、調べていくうちにすっかりその虜になってしまう。
俺とジョンはとことん似たもの同士だった。
33 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:11:02.640 ID:bBdKFIo+0.net
みんなは高校生のころ、俺みたいに こんなはっきりした将来の夢をもっていたか?
もちろん、いることにはいるんだろうけど、そういう人は結構少なかったんじゃないかな。
実際、俺の周りにそういう人は少なかったし。
だから、こうやって夢を語れるっていうのは俺にとってすごい嬉しいことのはずだったんだ。
本来ならば、な。
34 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2022/01/23(日) 17:11:56.742 ID:bBdKFIo+0.net
でも俺はその時、嬉しいとも楽しいとも思わなかったんだ。
皆はさ、目が見えないパイロットが操縦する飛行機に乗りたいと思うか?
実際に、パイロットになるには厳しい身体検査がある。
その検査は、一見なんの以上もない健康な人でも半数しか受からないほど厳しい検査だ。
両眼視力はもちろん、片目視力、空間把握能力、色覚、平衡感覚…
パイロットになるにあたって、目が見えないのは致命的だったんだ。
最初こそ俺と面を向かって話していたジョンだが、いつの間にかジョンは壁に向かって喋りかけていた。
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