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そのような生活がしばらく続き、
必ず子供達が眠ってから帰って行っていた妻が、
一ヶ月ほど経った頃から, 八時が近付くと時計を気にするようになり、
決まって八時丁度に家を出て行くようになってしました。
私はその事が気になっていても、他人になってしまった私は理由を聞けません。
それで,私が想像したのは、妻が友達の家を出て遠く離れた所にアパートを借り、
八時には家を出ないとアパートに帰り着くのが遅い時間になって、
翌日の仕事にも響くのだという事でした。
それなら,たまには送って行ってやろうと後を追うと、
妻は少し離れた所に止まっていた車の助手席に乗り込み、
その時ついた薄暗いルームライトに照らし出されたのは、
忘れたくても忘れられない木下の顔でした。
妻は木下と切れておらず、
待ち合わせて迎えに来てもらっていたために、
八時丁度に家を出ていたのです。
有り得ない事ではないのに、
私は勝手に別れたものだと思っていました。
法的には他人になってしまっても、
いつかまた夫婦に戻れるような気でいた私は馬鹿でした。
私が帰って来ると翌日も妻は来ていましたが、
私の妻を見る目は変わり、
口を見れば今からこの口で木下の黒光りした物を美味しそうに舐めるのかと思って苦しくなり、
後ろ姿を見れば四つん這いにされて木下に後ろから入れられた妻の、
白いお尻が妖しく蠢く光景が浮かんで来て、
とても平常心ではいられなくなっていました。
しかし,離婚して他人になってしまった私には、木下と別れろとは言えません。
「もう来ないでくれ!」
「どうして!これからも子供達に会わせて下さい。お願いします。お願いします」
「まだ木下と続いているのだろ?いつまでも不倫している様な母親は、教育上良くないからもう来ないでくれ」
「不倫ではありません・・・・・彼も・・・離婚したから・・・・・・・」
木下が離婚していたと聞いた私は、心穏やかではありませんでした。
「離婚したにしても、どうしてあんな男と」
今迄通り子供達に会いに来たい妻は、彼との事を正直に話し始めます。
「仕事納めの日に、彼から離婚して家を出たと聞かされて、マンションの電話番号を書いたメモを渡されました」
その時の妻は良い気はせず、電話してしまう事になろうとは夢にも思わなかったと言いますが、そのメモを捨てずにとっておいたのも事実です。
「自業自得だと分かっていても、あなたと子供達がホテルに行った後、もう家族ではない事を実感させられて・・・・・・」
誰もいない孤独な元旦を向かえ、寂しさに耐えかねて電話してしまうと、木下は私達が三日まで帰って来ないと聞いて、すぐに妻を食事に誘いに現れました。
「本当に電話だけのつもりだったの。元日で、他のみんなは家族でお正月をお祝いしているだろうから悪いと思って。誰でも良かったの。誰かと話がしたかっただけなの」
私からは無視されて、実の親からも勘当同然の状態で、子供達まで連れて行かれた妻は、新年早々孤独と絶望の中にいたのかも知れません。
しかし、どうして木下なのかが理解出来ませんでした。
いくら人恋しくても木下と会えば、この様な結末になるのは少し考えれば分かる事です。
結局,妻を盗られそうになった私と、優しくされて身体まで開いてしまっていた妻とは、木下に対する思いに差が有る事を改めて気付かされました。
そして妻は、木下の誘いに乗って食事に出掛けてしまいます。
「食事だけでは済まずに、朝までベッドを共にしていたのだな?」
しかし,それには首を振ります。
食事が終わってホテルに誘われると、
その事でようやく自分を取り戻して怖くなり、
木下に電話を掛けてしまった情けない自分を悔やんで、
妻は逃げるようにして帰って来ました。
「帰り道で久し振りに美雪に会って、彼女も自分の浮気が原因で離婚されて子供と二人で暮らしていると聞かされて、彼女のアパートに行って朝まで話していました」
美雪さんとは妻と同期の女性で私も何度か会った事がありましたが、彼女が結婚して退職したあとは疎遠になっていました。
おそらく妻が家を出てから住まわせてもらっていたのも、彼女のアパートだったのでしょう。
「離婚する時、どうして言わなかった?」
「私から彼に電話してしまって、二人だけで会っていたのは事実だから・・・」
確かに妻の言う通りです。
その時には,身体の関係が無かったと聞いてそう言いましたが、木下と会う事自体許されない事でした。
それからの妻は,彼と会う事は勿論の事、
電話を掛ける事もありませんでしたが、
一週間前に妻が勤め始めた会社に、
会社を興して飛び込みで得意先を開拓していた木下が偶然現れ、
寂しさと将来への不安の極限状態にいた妻は彼を懐かしく思ってしまい、
誘われるまま交際を始めてしまいます。
それを聞いた私は、そのような偶然があるのかと疑いましたが、
離婚して他人になった妻が、
私に嘘をつく必要も無いのでそうなのでしょう。
妻も弱い女でした。
高校の時からずっと私と一緒にいた妻は、一人で生きていく事は出来ないのでしょう。
これが木下でなくても優しくしてくれる相手なら、誰でも良いから縋りたかったのかも知れません。
それが一度は騙された男でも、
親にも見られたくない恥ずかしい姿を何度も見られ、
普段は決して出さない恥ずかしい声までも聞かれた相手なら尚更だったに違いありません。
不倫で有るが故に異常に燃え上がり、その激しいセックスを思い出せば、
身体も彼を求めてしまった事でしょう。
妻を許す事など出来ませんが、このまま木下のような男に盗られるぐらいなら、ここに戻って来いと言おうとした瞬間、一瞬早く妻から衝撃的な事実を聞かされます。
「三日前から・・・・・・彼のマンションで暮らしています」
***
再会してから四日で同棲を始めた事は早過ぎるとも思いましたが、
いつまでも美雪さんの所に世話になっている訳にはいかないと考えていたとすれば、
苦渋の選択だったのかも知れません。
よく目の前が真っ暗になったと聞きますが、私はこの時、初めてその感覚を知りました。
目の前の物はちゃんと見えているのですが、不思議な事に何も見えないのです。
離婚はしても、いつまでも私の物だと思い込んでいた妻が,
彼の下着を洗い、彼の為に料理を作って、
向かい合って笑いながら食事をする。
お風呂では彼の背中を流し、
彼を興奮させるためだけのセクシーな下着を身に着け、
ベッドでは彼が喜ぶことなら、
どのような恥ずかしい行為も受け入れる。
そして、身体の至るところで,彼の性欲を受け止めた妻は、
疲れ果てて下着を着ける気力も無く、
裸のまま彼に抱かれて眠るのです。
私は妻を家から放り出した時のように髪を掴むと、寝室まで引き摺るように連れて行きました。
「いや!乱暴しないで!」
妻をベッドに押さえつけると、妻は必死で逃げようとします。
「どうして逃げる!そんなに奴がいいのか!そんなに奴とのセックスがいいのか!」
「駄目なの。もう私は、あなたに抱かれる資格が無いの」
妻の抵抗は凄まじく、スカートを脱がす事も出来ずに、
手を突っ込んで無理やりパンストとパンティを引き千切るような勢いで抜き取ると、
妻のそこにはあるはずの翳りがありません。
それ以上にショックだったのが、
綺麗に剃られたそこには赤く太いマジックで、
健吾という文字がはっきりと書かれていました。
「いやー!見ないでー!」
このような物を見せられれば、普通の男なら興奮など一瞬で醒めてしまうでしょう。
しかし,私は幸か不幸か、一年以上妻と交わっていませんでした。
正確には妻と交わっていなかっただけで無く、女性と触れ合う事が無かったのです。
悔しくて涙が出そうになりながらも、
泣いているだけで動かなくなった妻を全裸に剥き、
大きく脚を開くと昨夜も木下に嘗め回されたであろう場所に吸い付いて、
唾液を搾り出しながら塗り込めるように嘗め回し、
昨夜も木下が黒光りした物を何度も出し入れさせたであろう場所に一気に突っ込みました。
その間,何度か玄関のチャイムが鳴り、
その後電話も鳴り続けていましたが、
誰からか分かっていた私は無視して、
ここは私だけの場所なのだと誇示するかのように激しく突き続け、
抜き去る事も無く色々な格好をさせて、
大量に妻の中に吐き出してから、
中に入ったまま妻の息遣いが落ち着くのを待ちました。
「このような事をいつされた?」
「一緒に暮らし始めた日に、今から子供達に会いに行くと言ったら」
付き合っていた時は,何があっても優しかった木下が、
一緒に暮らし始めた日、妻が私の家に来る時間が迫ると急に不機嫌になり
、無理やりこの様な行為に及んだと言います。
一日ではたいして生えてこないにも拘らず、
その行為は,昨日も一昨日も行われ、
それが終わると少し落ち着きを取り戻して、
妻を近所まで送って来ていました。
八時前には必ず迎えに来ていた事も考え合わせると、
木下は妻が私に抱かれないか余程心配だったのでしょう。
今までは,私の妻だったために浮気だったのが、
妻と暮らし始めた事で自分の女になったという気持ちが大きく、
木下の中で私との立場が逆転してしまった。
自分の女が他の男に抱かれる事は、
それが例え自分が寝取った相手の元夫でも堪えられないのでしょう.
そうだとすると、
私に抱かれていないか心配しながら待っていて、
猛烈な嫉妬に狂っていたはずです。
「ここから帰ると、奴は乱暴な行為をしてきたのではないのか?」
「・・・・・乱暴と言うか・・・・・・・・」
おそらく彼も、今の私と同じ様な心境だったのでしょう。
私は嫉妬に狂って妻の乳房に指の痕が付くほど強く握り、
乳房を押し潰すほど強く揉み、
後ろからの時はお尻が赤くなるほど平手で叩いて、
妻を乱暴に扱う事で悔しさを発散させていたのです。
「乱暴に扱われると感じるのか?」
なぜこのような質問をしてしまったかと言うと、
その間の妻は,聞いた事の無いような凄い声を上げながら、
狂ったように自らも腰を振り続けていたからです。
しかし,妻は羞恥心が邪魔をするのか、そのような事は決して認めません。
「乱暴なのは嫌だったけれど、朝になると優しい彼に戻っていて、何度も謝って・・・・・・・」
妻はそのような自分を知られたくなくて、
話を変えて優しい時の彼の話を始めたので、
私は悔しさから,また腰を動かして妻の身体を虐めていました。
「俺の事が嫌いか?嫌いになったか?」
「好き・・・あなたが好き・・・あなたが大好き・・・・嫌いになんてなれない・・・嫌いになった事なんて一度も・・・・・・・・・」
「それならどうして・・・・・」
「分からない・・・・ずっとあなたが好きだった・・・不倫している時も・・あなたが好きだった・・・・・・・・・でも・・あの時は彼を・・・・・・」
「今は?」
「あなたを愛してる・・・・あなただけを愛してる・・・・でも・・・・でも」
でもの後は、もう元には戻れないと続く気がして、その事は聞けずに腰の動きを速めていました。
私が妻から降りると、妻は気だるそうに起き上がって下着を身に着けます。
「奴の所に帰るのか?」
「私の行く所は・・・・・他には・・・・・・・」
行かないで欲しいと縋り付けば、
妻は私の所に止まるかも知れないと思ったのですが、
裏切られた私が裏切った妻に対して、
そのような惨めな真似は出来ません。
「おまえ達の思い通りにさせるか!おまえ達だけ幸せになんかさせない!」
木下のところには行かせたくない私は,そのような言い方しか出来ず、
妻も私に対して罪悪感があるのか、
手を止めて俯いてしまいました。
その時また,電話が鳴り響き、いつまでも鳴り続けていたので出ると、やはり木下からです。
「久美に代わってくれ」
「俺達は離婚したが、子供達の父親と母親である事には変わりない。おまえには関係の無い、子供達の話があるから今日は泊まっていくそうだ」
「いいから早く代ってくれ!」
「悪いが、既にベッドで裸になって待っているから」
「・・・・・・・・・」
「おまえもそうだっただろ?
俺から逃げ回っていた時、
大事な話はホテルのベッドで話し合っていたそうじゃないか。
それと同じだ。
これからベッドで話し合うと言っても、既に二度も話し合った後だが」
その後も電話が鳴り続けるので,受話器を外すと、まだ近くにいたのか今度は玄関のチャイムが鳴り止みません。
私はバケツに水を汲んで裏口から表に回り、思い切り木下に浴びせました。
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