87 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:03:16.45 ID:2XgQnOVE0
アキはただ泣いていた
俺はそんな弱ったアキを抱きしめるあげる事しかできなかった
実は内定をもらったとこには就職していなかった
健康診断の結果、後日内定が取り消しになったらしい
アキとミホは大学で保育の学科を先行していて、内定先も幼稚園だった
普通のOLとかならまだしも、保育と言う現場だから内定取り消しになることは本人も分かっていたという
だけど、夢をあきらめきれないアキは会社側に事実は黙っていた
89 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:04:17.21 ID:2XgQnOVE0
自分がHIV感染者という重圧と内定取り消し、それに付け加え俺
アキの心の中は不安と罪悪感と迷いで押しつぶされそうになっていた
俺の中でのアキへの気持ちは変わることはないけど、アキはそんな俺とは裏腹に身を引こうと考えていたらしい
だから、何も伝えることなく
新幹線の見送りも拒否してひっそりと岡山に帰ってこようとしていたって訳
90 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:04:55.58 ID:2XgQnOVE0
俺自身がアキの負担になるわけにはいかないけど、俺にはアキを放っておくことなんて出来なかった
俺はアキのために何かできることはあるのか
考えても考えても答えは見つからない
アキ「ミホとアツシには黙っておいてくれないかな?」
俺「わかった」
アキ「私…、この先どうすればいいのかな?」
アキはとにかく泣いていた
俺はどうすることもできなかった
91 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:06:15.77 ID:2XgQnOVE0
日曜日の夕方に俺はとりあえず東京に帰った
アキ一人を置いてくのはものすごく心配だったし、こんなに大事な時に一緒にいてやれない自分の無力さに腹が立った
東京に帰ってきてすぐに会社に有給申請を出して1週間の休みをもらった
だけど帰ってきてからは一度もアキから連絡が来ないい
電話もつながらない状態だった
アツシやミホに言って連絡してもらおうかとも思ったけど、意味深な事をして余計な心配をかけたくなかったから、それはできなかった
94 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:08:04.45 ID:2XgQnOVE0
俺が岡山に行けるのは有給申請が通った3日後
もどかしかった
爺ちゃんが会社の会長なんだけどHIVの彼女が!!!って泣きつくわけにもいかないしね
とにかくこの間にHIVの事を調べるだけ調べつくした
どの様な治療があってどのくらい費用がかかってどれくらい生きられるのか
そもそもアキ自身はちゃんとHIVの事を理解しているのか?
アキの両親はこの事を知っているのか?
いずれにしてもちゃんと病気と向き合わなくてはいけない
ミホにアキの実家の住所を聞いた
サプライズでプレゼントを贈りたいから教えてくれないか?と聞いたところすんなり教えてくれた
1度遊びに行ったことがあるらしく聞いてもないのに近所の事まで教えてくれた
いずれ、ミホとアツシにも話さなくちゃいけないときが来ると思うと胸が苦しくなった
95 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:08:39.16 ID:2XgQnOVE0
3日後、岡山に向かった
前回向かった時とはまるで違った
全く苦にならなかった時間が地獄の様に長く感じた
とにかく俺は俺にできることをやるしかない
新幹線の中で一人で考え込んでいると不安ばかりが押し寄せてくる
もしかしたら、俺を振りたくてHIVと嘘をつきアツシともミホとも絶交して岡山で新たなエンジョイライフを楽しんでるんじゃないか?とかそういう事まで考えてしまうような心境だった
97 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:09:27.04 ID:2XgQnOVE0
到着して一目散にアキの実家へ向かった
すごく立派な一戸建
インターホンを押すときはさすがに緊張した
まさかこんな形でアキの両親や家族と会う事になるとは思っても居なかったからね
「ピンポーン」
「はい、どちらさまですか?」
「突然申し訳ございません。アキさんの友人の○○と申します。アキさんはいらっしゃいますか?」
「少々おまちください」
緊張した
インターホンの声はアキではなかった
99 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:10:44.96 ID:2XgQnOVE0
玄関から出てきたのはアキのお母さんだった
アキ母「どうも初めまして。あなたが俺君なのね?アキの母です」
俺「初めまして。○○です」
アキ母「どうぞ、あがってください」
リビングに案内された
アキの姿は無かった
アキ母「遠かったでしょ」
俺「いえ、全然大丈夫です」
アキ母「俺君の事はアキからよく聞かされているわ。ここ2.3年、東京から帰ってくる度に楽しそうに話すのよ」
俺「そうですか!アキさんにはいつもお世話になっています。」
アキ母「お茶煎れるからその辺に座ってて!」
俺「あ、お気遣いなく。あの…アキさんはお出かけですか?」
この質問をした途端に、アキのお母さんは黙った
すごく怖い沈黙だった
104 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:12:36.52 ID:2XgQnOVE0
しばらく経ってお茶を運んできてくれた
アキ母「俺君、ごめんねぇ。娘が迷惑かけたでしょ?謝るわ。」
俺「いえいえ!とんでもないです。」
アキ母「この度は申し訳ありませんでした」
アキのお母さんは俺に向かって深々とお辞儀をした
全ての事情を分かっているようだった
俺「ちょっとおばさん、やめてください(汗)」
俺はアキのお母さんの体を起こした
アキのお母さんが震えているのが手から伝わってきた
アキ母「俺君。アキの事は…」
俺「え?」
アキのお母さんの頬には涙がつたっていた
目が真っ赤だった
107 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:13:51.04 ID:2XgQnOVE0
丁度そこへアキが姿を現す。
病院へ行っていたらしく、ラフな格好で俺の方を見つめながら驚いていた。
アキ「俺君…?なんでここにいるの…」
俺「いや、連絡もないし心配だから有給とって来たんだよ」
アキ「何してんの…もう私の事は放っておいてよ…」
俺「うん。無理」
アキ「無理じゃなくて、放っておいてよ!もう私は会いたくないの!」
俺「うん。それも無理」
アキ「無理ってなんだよ、私だって本当は無理だよ?でもそうするしかないから…だから帰って!」
俺「それはできないよ。」
俺はカバンから3日間東京で色々調べたHIVに関する資料やらパンフレットやらをすべて出した。
俺「俺だって当事者なんだから、帰るなんて事はできないし、するつもりもない」
109 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:14:15.62 ID:RaIDcriT0
追いついた。
アキフラグ立っている気がするけど、ミホにフラグ立たせたいのは俺だけじゃないはず。
111 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:15:02.44 ID:2XgQnOVE0
>>109
ありがとう
ミホのその後はまた後で話すよ
114 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:16:35.69 ID:7fRAnUXg0
今日が命日とかそういう…
118 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:17:38.17 ID:2XgQnOVE0
アキとアキのお母さんは泣いている
俺も一緒に泣きたかったけど我慢した
我慢できてなかったかもしれないけど。
俺はアキと生きていくことに決めた
俺の両親もアキの両親もすべてを承知の上で了承してくれた
121 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:19:27.51 ID:2XgQnOVE0
それから2年後にアキは自殺しました。
>>114が予言したけど
明日が命日です
感染し周りの人を巻き込み精神的な不安定さから躁鬱に。
悔しさしか残ってません
エイズは治る病気ではないけど、発症する確率を下げることもできます。
普通に社会人として生きていく道が、今はあります
俺がみんなに伝えたいのは、偏見をしないでほしいという事です
もちろん、感染してしまう恐れがある以上、普通に接することが出来ない場面や状況もあります
しかし、HIVに感染してしまった人がそれを理由に孤独になってしまうのが今の現在の社会でも目立つ問題です
HIVに感染してしまった人の周りの仲間
これが重要です
しっかり意識をして、正しい予防をすれば感染は防げます
友達や家族までもがHIV感染者を隔離してしまうのは絶対にいけません
俺は、アキを守ってあげられませんでした
アキの様に責任を感じて自殺してしまう人も少なくないはず
もし、身近なところで感染者が出てしまっても孤立させないでください
その人の心を守るのは身近にいる仲間、あなたたちなのです
それと避妊は必ずしてください
そうすれば感染は100%ではないにしても防げます
HIV感染者が自らをHIVだと言えるように、周りの人や環境がそれを守っていけるように変わっていかなければなりません
後味が悪い話ですみませんでした
釣りと思われてもいいけど伝えたかったんです
なにか質問あればどうぞ
>>次のページへ続く
アキはただ泣いていた
俺はそんな弱ったアキを抱きしめるあげる事しかできなかった
実は内定をもらったとこには就職していなかった
健康診断の結果、後日内定が取り消しになったらしい
アキとミホは大学で保育の学科を先行していて、内定先も幼稚園だった
普通のOLとかならまだしも、保育と言う現場だから内定取り消しになることは本人も分かっていたという
だけど、夢をあきらめきれないアキは会社側に事実は黙っていた
89 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:04:17.21 ID:2XgQnOVE0
自分がHIV感染者という重圧と内定取り消し、それに付け加え俺
アキの心の中は不安と罪悪感と迷いで押しつぶされそうになっていた
俺の中でのアキへの気持ちは変わることはないけど、アキはそんな俺とは裏腹に身を引こうと考えていたらしい
だから、何も伝えることなく
新幹線の見送りも拒否してひっそりと岡山に帰ってこようとしていたって訳
90 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:04:55.58 ID:2XgQnOVE0
俺自身がアキの負担になるわけにはいかないけど、俺にはアキを放っておくことなんて出来なかった
俺はアキのために何かできることはあるのか
考えても考えても答えは見つからない
アキ「ミホとアツシには黙っておいてくれないかな?」
俺「わかった」
アキ「私…、この先どうすればいいのかな?」
アキはとにかく泣いていた
俺はどうすることもできなかった
91 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:06:15.77 ID:2XgQnOVE0
日曜日の夕方に俺はとりあえず東京に帰った
アキ一人を置いてくのはものすごく心配だったし、こんなに大事な時に一緒にいてやれない自分の無力さに腹が立った
東京に帰ってきてすぐに会社に有給申請を出して1週間の休みをもらった
だけど帰ってきてからは一度もアキから連絡が来ないい
電話もつながらない状態だった
アツシやミホに言って連絡してもらおうかとも思ったけど、意味深な事をして余計な心配をかけたくなかったから、それはできなかった
94 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:08:04.45 ID:2XgQnOVE0
俺が岡山に行けるのは有給申請が通った3日後
もどかしかった
爺ちゃんが会社の会長なんだけどHIVの彼女が!!!って泣きつくわけにもいかないしね
とにかくこの間にHIVの事を調べるだけ調べつくした
どの様な治療があってどのくらい費用がかかってどれくらい生きられるのか
そもそもアキ自身はちゃんとHIVの事を理解しているのか?
アキの両親はこの事を知っているのか?
いずれにしてもちゃんと病気と向き合わなくてはいけない
ミホにアキの実家の住所を聞いた
サプライズでプレゼントを贈りたいから教えてくれないか?と聞いたところすんなり教えてくれた
1度遊びに行ったことがあるらしく聞いてもないのに近所の事まで教えてくれた
いずれ、ミホとアツシにも話さなくちゃいけないときが来ると思うと胸が苦しくなった
95 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:08:39.16 ID:2XgQnOVE0
3日後、岡山に向かった
前回向かった時とはまるで違った
全く苦にならなかった時間が地獄の様に長く感じた
とにかく俺は俺にできることをやるしかない
新幹線の中で一人で考え込んでいると不安ばかりが押し寄せてくる
もしかしたら、俺を振りたくてHIVと嘘をつきアツシともミホとも絶交して岡山で新たなエンジョイライフを楽しんでるんじゃないか?とかそういう事まで考えてしまうような心境だった
97 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:09:27.04 ID:2XgQnOVE0
到着して一目散にアキの実家へ向かった
すごく立派な一戸建
インターホンを押すときはさすがに緊張した
まさかこんな形でアキの両親や家族と会う事になるとは思っても居なかったからね
「ピンポーン」
「はい、どちらさまですか?」
「突然申し訳ございません。アキさんの友人の○○と申します。アキさんはいらっしゃいますか?」
「少々おまちください」
緊張した
インターホンの声はアキではなかった
99 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:10:44.96 ID:2XgQnOVE0
玄関から出てきたのはアキのお母さんだった
アキ母「どうも初めまして。あなたが俺君なのね?アキの母です」
俺「初めまして。○○です」
アキ母「どうぞ、あがってください」
リビングに案内された
アキの姿は無かった
アキ母「遠かったでしょ」
俺「いえ、全然大丈夫です」
アキ母「俺君の事はアキからよく聞かされているわ。ここ2.3年、東京から帰ってくる度に楽しそうに話すのよ」
俺「そうですか!アキさんにはいつもお世話になっています。」
アキ母「お茶煎れるからその辺に座ってて!」
俺「あ、お気遣いなく。あの…アキさんはお出かけですか?」
この質問をした途端に、アキのお母さんは黙った
すごく怖い沈黙だった
104 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:12:36.52 ID:2XgQnOVE0
しばらく経ってお茶を運んできてくれた
アキ母「俺君、ごめんねぇ。娘が迷惑かけたでしょ?謝るわ。」
俺「いえいえ!とんでもないです。」
アキ母「この度は申し訳ありませんでした」
アキのお母さんは俺に向かって深々とお辞儀をした
全ての事情を分かっているようだった
俺「ちょっとおばさん、やめてください(汗)」
俺はアキのお母さんの体を起こした
アキのお母さんが震えているのが手から伝わってきた
アキ母「俺君。アキの事は…」
俺「え?」
アキのお母さんの頬には涙がつたっていた
目が真っ赤だった
107 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:13:51.04 ID:2XgQnOVE0
丁度そこへアキが姿を現す。
病院へ行っていたらしく、ラフな格好で俺の方を見つめながら驚いていた。
アキ「俺君…?なんでここにいるの…」
俺「いや、連絡もないし心配だから有給とって来たんだよ」
アキ「何してんの…もう私の事は放っておいてよ…」
俺「うん。無理」
アキ「無理じゃなくて、放っておいてよ!もう私は会いたくないの!」
俺「うん。それも無理」
アキ「無理ってなんだよ、私だって本当は無理だよ?でもそうするしかないから…だから帰って!」
俺「それはできないよ。」
俺はカバンから3日間東京で色々調べたHIVに関する資料やらパンフレットやらをすべて出した。
俺「俺だって当事者なんだから、帰るなんて事はできないし、するつもりもない」
109 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:14:15.62 ID:RaIDcriT0
追いついた。
アキフラグ立っている気がするけど、ミホにフラグ立たせたいのは俺だけじゃないはず。
111 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:15:02.44 ID:2XgQnOVE0
>>109
ありがとう
ミホのその後はまた後で話すよ
114 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:16:35.69 ID:7fRAnUXg0
今日が命日とかそういう…
118 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:17:38.17 ID:2XgQnOVE0
アキとアキのお母さんは泣いている
俺も一緒に泣きたかったけど我慢した
我慢できてなかったかもしれないけど。
俺はアキと生きていくことに決めた
俺の両親もアキの両親もすべてを承知の上で了承してくれた
121 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 13:19:27.51 ID:2XgQnOVE0
それから2年後にアキは自殺しました。
>>114が予言したけど
明日が命日です
感染し周りの人を巻き込み精神的な不安定さから躁鬱に。
悔しさしか残ってません
エイズは治る病気ではないけど、発症する確率を下げることもできます。
普通に社会人として生きていく道が、今はあります
俺がみんなに伝えたいのは、偏見をしないでほしいという事です
もちろん、感染してしまう恐れがある以上、普通に接することが出来ない場面や状況もあります
しかし、HIVに感染してしまった人がそれを理由に孤独になってしまうのが今の現在の社会でも目立つ問題です
HIVに感染してしまった人の周りの仲間
これが重要です
しっかり意識をして、正しい予防をすれば感染は防げます
友達や家族までもがHIV感染者を隔離してしまうのは絶対にいけません
俺は、アキを守ってあげられませんでした
アキの様に責任を感じて自殺してしまう人も少なくないはず
もし、身近なところで感染者が出てしまっても孤立させないでください
その人の心を守るのは身近にいる仲間、あなたたちなのです
それと避妊は必ずしてください
そうすれば感染は100%ではないにしても防げます
HIV感染者が自らをHIVだと言えるように、周りの人や環境がそれを守っていけるように変わっていかなければなりません
後味が悪い話ですみませんでした
釣りと思われてもいいけど伝えたかったんです
なにか質問あればどうぞ
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