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帰りの遅い親父

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身内の話で悪いんだけど、親父がまた夜遅くに帰ってきた。

10時には家に着けるはずなのに、あの日は12時過ぎてたかもしれない。

うちは父子家庭で家に一人でいるのつまらないから早く帰ってこないかなと思ってた。

で、嫌味みたいの言ったんだわ。

「大人は夜遊びできていいよなー」って感じで。

そしたらなんか肉体労働者？ぽいひとが酔っ払って倒れてたから介抱したらしい。

親父は馬鹿正直だしウソじゃないと思う。

実際これまでに同じようなことが何度もあった。

だけどなんかむかついたから、こないだ読んだ法律の本に書いてあったことの受け売りで、

「親父はその人助けなくちゃいけない法律上の義務が無いから、その人を放置しても不作為による殺人罪には当たらないんだし、あんまり気にしないでほっときゃいいんだよ。」

って言ったのな。

正直ぶん殴られるかなーって思ったんだけど、親父はしばらく考え込んでて、そのあと頭をなでられた。

「だよな。でもな、命を守るために手を尽くさないのは医者として失格だ。（あ、親父は医者です。）

助けが必要な人を見捨てるのは人間として失格だ。

そして見捨てることに対して何も感じなくなったら、親父はさ、自分が人間として生まれた意味さえ分からなくなっちゃうよ。。

お前は勉強もできて複雑なこともよく理解できるいい子だ。

だから一番単純なことも覚えておいてくれな。」

って言って、ふらふらーっと風呂場に行った。

で、寝る前に「ごめんなー。ごめんなー。」ってまた頭なでられた。

どこの誰かもしれないホームレスとか、自分だったら多少のことがあっても見ない振りしてしまう気がする。

精神とか病んでる人いて怖いし、正直言うと汚いって思ってる部分もある。（でも親父はホームレスに人工呼吸したことがあるってｗｗｗ）

相手が誰であれ「助けを必要としてるから」ってだけで素直に手を差し伸べられる親父は、単純馬鹿だと思うけどすごいと思う。

そしてうちの親父みたいな人間を馬鹿だと思ってします自分が、チョットさびしい。

カテゴリー:いい話 | タグ:泣ける話,

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