戦い
(31ページ目) 最初から読む >>
\ シェアする /
5月29日(土)の2
辺りが暗くなり出した頃、私は海沿いにある公園に向かっていました。
ここは私が妻にプロポーズをした場所です。
野田のアパートを出た時、思わない事も無かったのですが、そんなドラマの様な事は無いと思い、後回しにしてしまったのです。
公園へ着くと、もう真っ暗でしたが、駐車場の一番奥に妻の車が止まっているのを発見しました。
しかし、まだ喜べません。
一度立ち寄ったものの 車をここに置いて、また何処かに行ってしまった可能性も有ります。
最悪、海に入ってしまった事も考えられます。
何組かのカップルに、変な目で見られながら探し回っていると、1人でベンチに座っている、妻らしい人影を見付け、静かに近付いて前に立つと、顔を上げた妻は人目も憚らず、急に泣き出して抱き付いて来ました。
しばらく、ベンチに座り、昔の事を思い出しながら、真っ暗な海を見ていましたが、気が付くと妻は、右手でしっかりと私の上着の裾を握っています。
「俺達の家に帰ろうか?」
妻は、ゆっくりと頷き、心配なので1台は、置いて行こうと言う私に、もう大丈夫だからと言い残し、自分の車に乗り込みました。
家に着いても何を話していいのか分からず、キッチンのテーブルを挟んで、向かい合ったまま黙っていると、その時、携帯が鳴り、
「心当たりは全て探したが、見つからない。すまない。これも全て私のせいだ。美鈴さんに、もしもの事が有ったら・・・・・・・・・。」
「ちょっと待て。連絡が遅れたが 少し前に見つかった。美鈴は無事だ。」
野田は、怒った声で“どうしてすぐに”と言い掛けましたが、“良かった。そうか。良かった。”と言って他は、何も聞かずに電話を切ってしまいました。
「美鈴。これから俺達は どうなるか、どうすれば良いのかまだ分からんが、こんな事だけはするな。こんな事は許さん。一生お前を怨むぞ。」
「ごめんなさい。もうしません。ごめんなさい。
あなたや子供達の顔が浮かんで、私には出来ませんでした。
1人では怖くて出来ませんでした。私はずるい女です。
あそこにいれば、あなたが来てくれると思いました。あそこで待っていれば、必ず迎えに来てくれると信じていました。
本当に ずるい女になってしまいました。」
悪く考えれば、最初から、死ぬ気など無くて、これも妻の計算通りだったのかも知れません。
しかし私は、そこまで妻が変わってしまったとは、思いたく有りませんでした。
安心したせいか お腹が減り、朝から2人とも何も食べていなかった事を思い出し、インスタントラーメンを2人で作って食べていると、
家の前で車の止まった音がしたので、こんな時間に誰だろうと思い、窓から覗くと、
それは私が少し援助して、娘が買った古い軽自動車で、助手席からは息子も降りて来ました。
娘は、入って来るなり。
「お母さん、帰っているの?帰っているのなら電話ぐらいしてよ。」
娘と息子は険しい顔で座り、携帯をテーブルの上に置き、
「お母さん。これはどう言う事?どう言う意味?」
俺の所にも来たと言う、息子の携帯メールを見ると。
〔ごめんなさい。お母さんはお父さんを裏切ってしまいました。あなた達を裏切ってしまいました。
取り返しの付かない事をしてしまいました。
あなた達の母親でいられる権利を、自分で放棄してしまいました。
お父さんの事をお願いします。
こんな母親でごめんね。ごめんね。〕
その時、娘が、
「お父さんを裏切ったって、まさか・・・・・・・そうなの?お母さん、そうなの?」
子供達が来てから、ずっと俯いていた妻は顔を上げ、私の目を見詰めて涙を流しました。
私も そんな妻が心配で、妻の顔を見ていると、2人の様子を見ていた息子が、
「なんだ、心配して損した。親父、勘弁してくれよ。脛をかじっていて言い難いけど、俺達も忙しいんだ。夫婦喧嘩は2人でやれよ。子供まで巻き込むなよ。」
娘がまた妻に何か言おうとしましたが、息子がテーブルの下で娘の足を蹴りました。
それは妻にも分かったと思います。
娘は、大きな溜息をつくと、
「そうね。心配して損したわ。お母さんは家をすぐに飛び出すし。
お父さんはお母さんの姿が、少し見えないだけで大騒ぎだし。
お母さん、今日のガソリン代と、高速代はお母さんが払ってよ。」
そう言うと、私を見詰めながら涙を流している妻の前に手を出しました。
すると息子も手を出したのを見て、娘が、
「途中で食べたハンバーガーも私が出したし、あんたは何も払っていないでしょ?」
「俺だって、バイトを途中で抜けさせてもらったから、半日分のバイト代は、もらう権利は有る。」
娘と息子が言い争いを始めましたが、わざとそう振る舞ってくれている事は分かっていました。
知らない内に、2人は大人になっていた様です。妻だけでなく、私も救われた気持ちでした。
今日は遅いから泊まっていけと言うと
“そうするか。”と言う息子に、今度は娘がテーブルの下で息子の足を蹴り
“明日もバイトで夜の方が道も混んでいないから。あんたも明日バイトが有るでしょ。”
と言って席を立つと、妻は、慌てて自分の財布からお金を出し、泣きながら2人に渡していました。
子供達も赤い目をして帰って行ってしまいましたが、これも私達に気を利かせた事は、言うまでも有りません。
子供達の成長に感謝しましたが、これで問題が解決した訳では有りません。
私の中では、これで元の夫婦に戻れるほど、簡単な問題では有りませんでした。
--------------------
5月30日(日)の1
前夜は一睡もしていなかったのか、妻はベッドに入ると すぐに寝てしまい、私の横で寝息をたてています。
私も一度は眠ったのですが、疲れているはずなのに、早くに目が覚めてしまい、その後、寝付かれずに、妻との事を考えていました。
私にとっての夫婦とは何なのか考えていました。
勿論、婚姻届を出した時から、法律上 夫婦で有る事は間違い有りません。
しかし、お互いに相手に対する愛情がないと、それは、ただの共同生活者だ。
たとえ実際には束縛していなくても、夫婦なら相手を束縛したい気持ちが有って当然だ。
育った環境も違い、お互い1人の人間だから、考えや方が違うのは仕方ないが、時には自分を殺して、お互いに歩み寄るのが夫婦だ。
片方の気持ちが離れた時、離婚届は出さなくても、それはもう夫婦では無い。と思っていました。
それともう1つ。
長い結婚生活、間違いの1度や2度は有るかも知れないが、気持ちまで相手に行かなければ、夫婦でいられる。とも思っていましたが、
私を愛していても、妻の身体が他の男を求めてしまった今、この考えは、私に都合の良い考えだったと気付きました。
風俗など私が妻を裏切る事は有っても、妻に限って、私以外の男と関係を持つ事は、考えられなかったからこそ思えた事だったのです。
人間と同じ様に、夫婦と呼べるのかどうかは分かりませんが、多くの生物は、子孫繁栄の為の生殖行為をしたものが、夫婦の様な形をとります。
1度その様な行為をしただけで死んでいく者も有りますが、前回とは違う相手と、行為を行う者も少なく有りません。
それは、より強い、より良い子孫を残す為だと思います。
当然、夫婦の関係は セックスだけでは有りません。それ以外の部分の方が大きいかも知れません。
お互いに納得して、セックスレスでも仲の良い夫婦でいられる方もみえますし、歳を取り、その様な行為が出来なくなっても、夫婦でいられます。
しかし、人間も1つの生物だと考えると、子供に恵まれたかどうかは別にしても、以前、私達は間違い無く夫婦でした。
ところが、妻の身体が野田を選んだとしたら、妻の雌の部分が野田に惹かれたとしたら、今は野田と妻の方が、夫婦に近いのでは無いかと思えるのです。
ただ、人間は、他の生物と違い、遊びも覚えました。子孫を残す為だけにセックスをする訳では有りません。
私も今では、子供を作ろうと思って交わった事は有りません。それどころか、子供が出来てしまわなかったか心配な時も有ります。
しかし、そこまでの過程は遊びでも、男が女の中に入り、腰を振っている瞬間は、子孫を残そうとする生殖活動その物ではないかと思えるのです。
これらは私の夫婦感です。
勿論 人それぞれで、10人いれば10通りの考えが有ります。それらを否定するつもりは有りません。
当然、妻にも妻の考えが有って当然です。
しかし、お互いに歩み寄るなど、今まで考えていた夫婦の形を、自分で否定してしまう事になるのですが、
今の私は、妻の身も心も私に向いていないと、夫婦として満足出来ません。夫婦としてやって行く自信が無いのです。
夫婦は、セックスだけでは無いと分かっていても、妻と野田とのしてきた行為を考えた時、私の中で、その部分が大きな割合を占めてしまうのです。
外が白み出した頃、ドアの音で起こしてしまったのか、トイレから戻ると妻が、
「ごめんなさい。私のせいで眠れなかったのですね」
「違う。トイレに行きたくて目が覚めてしまった。やはり歳だな。」
お茶を煎れてくれると言う妻に、コーヒーにしてくれと頼み、2人でコーヒーを飲みました。
「くどい様だが、やはりどうしても気に成っている事が有る。」
「何でも聞いて下さい。今なら何でも話せる気がします。」
「そうか。俺の事を愛してくれているのは分かった。
では、野田の事を愛してはいないと言っていたが、嫌いでは無いのだな?野田には どういう感情が有るのだ?」
「はい。昨年は同情から、課長の事を好きだと勘違いしてしました。
あなたを愛しているのとは違った感情でしたが、愛に近い物を感じていました。
それは間違いだったと気付いてからも、それらの感情は無くなりましたが、嫌いには成れませんでした。」
「それは今回、脅されて無理やりされたと思っていても、そうだったのだな?自分と向き合ってみて、分かっているのだろ?」
「ごめんなさい。気付かない内に、私も抱かれたいと思う気持ちが何処かに有って、そのせいかも知れませんが、あなたには嫌いだと言いましたが、どうしても嫌いには成れませんでした。」
「それも愛の一部では無いのか?」
「違います。それだけは、はっきり違うと言えます。」
「気持ちが身体に負けてしまうのか?本能がそうさせるのか?」
「よく分からないのですが、何となく思うのは、あなた以外、私にとって始めての男の人だったからかなと・・・・・・。
あなたしか知らなかった私が、課長という男の人を、知ってしまったからかも知れません。」
今まで敵から命を掛けて群れを守り、食べ物を調達し、交尾の時期を迎えた時、自分より強い雄が現れて群れを追われ、その雄と今まで妻だった雌の交尾を、横目で見ながら群れを出て行く、はぐれ猿の姿が頭に浮かびました。
私には、負け犬根性のような物が、染み付いてしまった様です。
「俺しか知らなかったのが、野田に抱かれて、もっと気持ちの良い世界を知ったと言う訳か?俺より野田の方が、気持ちが良かったという訳か?」
「そんな事有りません。あなたと課長を比べた事など、1度も有りません。私の言い方が悪かったです。ごめんなさい。」
私は、妻を責める為に、質問をしたのでは有りませんでしたが、また妻を責めている事に気付き、
「悪い、悪い、そんな事を聞くつもりでは無かった。元へ戻るが、それなら野田に、情が移ってしまったと言う事か?野田の身体に愛着が有ると言う事か?」
「それとも違う様な気がします。誤魔化している訳では無くて、上手く説明出来ません。ごめんなさい。・・・・・・・ごめんなさい。」
「そうか、謝らなくてもいい。美鈴、コーヒーをもう1杯もらえないか?やはり何処の喫茶店より、お前の煎れてくれたコーヒーが1番美味い。」
妻は、やっと笑顔を見せ、コーヒーを注いでくれましたが、この時 私は、妻と別れようと思っていました。
それは妻の答えを聞いたからでは有りません。その前から考えていた事でした。
--------------------
5月30日(日)の2
2日間休んだので、早く戻って月曜からの仕事の準備をすると言って、早い昼食にしてもらい、赴任先へ戻る準備を始めると、妻も大きなバッグを出してきて、暗い表情で自分の衣類を詰め出しました。
「美鈴、何をしている?」
「あなたと一緒に・・・・・・・・・。」
「そんなに休んでも大丈夫なのか?」
「えっ、仕事を続けてもいいのですか?」
「ああ。今の仕事が好きなんだろ?」
「ありがとう。ありがとう。続けさせて下さい。」
目には、涙が溜まっているのですが、表情は少し明るくなりました。
「でも、流石に明日1日ぐらいは休みたいのですが、電話をしてみないと分かりません。」
\ シェアする /
関連記事
- 離婚届を置いて汚嫁の前から姿を消した。これから反撃するぞ。
- 汚嫁のあまりにも凄まじい内容の浮気に、数ヵ月前から完璧な準備を重ね、仕掛け発動後、高見の見物しながら実況する
- 汚嫁の浮気現場に凸で間男をボコボコに。その後、一度行方知れずになった汚嫁のその後。
- 出張から戻ってドアを開けると玄関口で妻が土下座していた
- 彼女の浮気現場に生で遭遇し、毅然と別れを伝えた結果
- 母親と恋人の浮気現場へ凸したが、浮気相手が斜め上過ぎた
- 結婚前から自分の嫁が他の男に寝取られていたことが発覚し、子供も、、、
- パワハラ上司に復讐した話
- 彼女の部屋でバイブと精液入りのコンドームを発見した
- 盗難に遭い、逆に犯人に仕立て上げられそうになるというマジキチな事態に遭遇した
- 彼女の浮気と疑惑の妊娠。長きにわたる復讐の始まりだった。
- 婚約していた彼女と間男のヤっている浮気現場をテレビ電話で彼女両親に実況中継した
- 彼女を寝取った間男を気絶するまでボコボコにして逮捕された
- 俺からDQNに乗り換えてから絵に描いたように転落し変わり果てた彼女
- 会社の独身お局BBAにキレたら帰宅させられた
- 電車内の迷惑行為に女部下が神対応
- 自分をいじめていたヤツを一撃で倒した
- キチBBAに万引きの濡れ衣を着させられそうになった
- 嫁が不倫。今日これから弁に相談、明日から行動、二人を地獄に落とす
- 結婚一年目で嫁が子供を連れて夜出歩くようになったのだが
- 戦い
- 元カノの家族が俺の実家に乗り込んできてボコられた
- 嫁と間男のカーセックス中の現場へ凸した。嫁は一生かけて償うらしい。
- 逆転
- 興信所には依頼済みだ。明日の報告が待ち遠しい。待ってろよ、地獄を見せてやるから。
- 二ヶ月間の疑念を確信に変えるべく汚嫁の携帯を盗み見た
- お嫁に不倫されたから人生終わらせた
- 帰ったら部屋で彼女が男と立ちバックしてた
- 高慢女上司の災難
- 彼女を寝取ったヤツらに復讐して晒し者にしてやった
-
