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結婚することになった俺に過去を懺悔させて欲しい
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57 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)22:30:09 ID:TNYut6qL3
俺と離れてから、彼女はなぜか精神的に不安定な状態に戻ってしまった。

原因は分からない。

付き合っていく内に、少しずつリストカットの回数も減った。

ODもなくなった。

そう言っていた彼女。


だが、実は違ったのだ。

やめられない自分を見せ続けられなかった。だから、隠れてやるしか、俺にばれないようにやるしかなかったのだ。

唯一打ち明けられるはずの俺にすら、言えなくて、辛くて。隠し続けることが、どれだけ辛かっただろう。

彼女は、俺が届かない場所に行ってしまった。手繰り寄せなければいけない。彼女を、もっともっと、受け入れなければ。そして、彼女に、受け入れられなければ。



59 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)22:31:49 ID:TNYut6qL3
それ以降 彼女の母親とも連絡を取るようになった。何かあれば、すぐ連絡してくれるようになった。

彼女からの直接の連絡は ほとんどなくなった。


でもこんな形で終わらせたくない。

願いは、通じるのかな。

例え、どんな事があっても、ずっと一緒にいるよって約束したのに。


彼女と会って、1か月。

夏休みが終わってしばらくし、ようやく彼女から連絡があった。

とても落ち込んだ文章だった。

ところどころに、ごめんねと書いてある。

寂しいメールだった。

前までの女の子らしいメールではなくなっていた。


そんな彼女にかける言葉はたったひとつだった。

「何があっても、俺はずっとそばにいてあげるから」




60 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)22:33:10 ID:TNYut6qL3
そして、季節は秋の色に変わった。

彼女は相変わらず立ち直れずにいた。

リストカットもやめられなかった。

精神も どんどん不安定になっていった。


同じ大学に入ろうと言う約束が、彼女をさらに追い詰めていた。

だけど、大学にさえ入ってしまえば、俺は何とでもしてあげられると思っていたから。


その思いこそが最大の過ちだったのだけれど。

そう思っていた、だから。



62 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)22:35:07 ID:TNYut6qL3
なぜこんな言葉を投げかけたのか。

今でも分からない。

でも、俺ができることがあるとすれば、一歩踏み出す彼女の背中を押してあげることだと。

勘違いしていたんだ。

俺は、何でもしてあげられると。

そして、それをしっかり乗り越えて、大学で一緒に過ごせると。

学校に行かないまま、終えてほしくないと。

俺の勝手なエゴだった。

卒業前に、学校に行って欲しかった。

理由なんて分からない。

俺の高校生活が充実していたから?

仲間と過ごす時間は最高だと、知ってほしかったから?

学校に行かないと、大学に行けないと思っていたから?

思い通りにいかずに、俺も焦っていたのかもしれない。彼女を変えられると言う、俺の勝手な思い込み、過剰な自意識がそうさせたのか。



65 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)22:35:52 ID:TNYut6qL3
今となっては、数え切れないほどの理由や言い訳が思い浮かぶが、この時の俺はこの言葉を選択した。

それだけは、事実。

そして、その言葉こそが、人生最大の過ちであることを知った時にはもう、手遅れだった。

少しずつ、悪魔は歩み寄ってきていた。



69 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)22:37:52 ID:xo5xTYWyH
「学校に行ってみようよ」

俺の提案に、彼女は必死に抗った。絶対に行きたくないと。

でももう、その時には俺の頭には一緒の大学に行くと言う目標しかなかった。

そのためには、どうしても学校に行って欲しかった。ちゃんと卒業してほしかった。

今からでも手遅れではないと言う話を聞いたから。だからこそ、だからこそだったんだ。

学校に行って、もし何かがあっても以前の事件で うすうすと気付いているであろう教師達。

彼女は被害者だと知っているのだろう?

そんな彼女を守ってくれると、信じて。




71 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)22:39:18 ID:TNYut6qL3
行こう行かないの問答が1週間ほど続いた。

俺は どうしても行って欲しかった。学校に、行って欲しかった。

何度でも言う。

あの時なぜ俺は こうまでして彼女を学校に行かせたかったのか。

俺は。俺は…。

そして、頑固に学校に行くのを拒んだ彼女だったが、ついに折れた。

「来週から学校行ってみるね」


そのメールを俺は心底喜んだ。

彼女が、学校に戻れる。戻ってさえしまえば、きっとなにかしら楽しいものを見つけられるはずだと。

俺が彼女を学校に復帰させてあげることができるんだ。そんな、バカな歓喜を。

もしかしたら、彼女以上に俺がどうにかしていたのかもしれない。



72 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)22:39:46 ID:TNYut6qL3
その来週が、やってきた。

彼女の母親からも、娘が学校行ってみると言ったので驚きました。という連絡をもらった。

もはや、有頂天だった。

俺は、連絡を心待ちにしていた。

学校、楽しかった。

その一言が聞きたかった。


その日彼女からのメールは届くことはなかった。


だが、俺は心配はしていなかった。

何かあったら、必ず連絡が来るはずだからと。

嫌な予感なんて、なかった。



73 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)22:40:22 ID:TNYut6qL3
翌日の昼になって、彼女からメールが届いた。

「学校、行ってきたよ」

文面を見た途端、違和感を覚えた。

俺は期待していた。

明るく学校の話をしてくれるのだと。

そう思っていたから。

「どうだった?」

明るい調子でメールをした。


そして、返信されたメールを見て、俺は背筋を凍らせた。



77 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)22:41:48 ID:TNYut6qL3
「やっぱり、ダメみたい。ごめんね。大学も、行けない。ごめんね。ごめんね。ごめんね。本当に、ごめんね。何一つできない。私は、もう、だめなのかも。ごめんね。ごめんね。ごめんね。ごめんね。一緒に大学に、いけない。ごめんね。ごめんね。ごめんね。ごめんね。私は、だめなんです。ごめんね。」


言葉では言い表せない、ある意味戦慄に近い感情を覚えた。

電話をかけるが、つながらない。

彼女の母親に連絡をした。

彼女は、今日も変わらず学校に行ったそうだ。

せめて、家にいてくれれば。


俺は、その場を動けなくなった。嫌な汗が、額を、背中を、腕を、携帯を握りしめる手をしっとりと濡らした。




>>次のページへ続く
 
カテゴリー:泣ける話  |  タグ:純愛,
 


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