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HIVの彼女と俺の話
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53 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 12:41:09.68 ID:2XgQnOVE0
カラオケやボーリングはもちろん、スノボーに海水浴。遊びという遊びはやりつくした

フェスももちろん行った

これが本当の仲間なんだな。って、素直に心の底から思える4人組だった

しかも4人が4人とも彼氏彼女が居ないという、傍から見たら不思議な集まりだったと思う

実は居たのかは、それとも本当に居ないのかは分からないけど


春から俺とアツシは就活をしていた

と言いつつも俺は家がやっている会社を継ぐ予定だったしアツシも家を継ぐことになったから、就活という就活はなかったかな

東京の実家暮らしの大学生で実家の会社を継ぐって言うと、なんか変な罵声浴びそうだけどw





54 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 12:41:47.85 ID:2XgQnOVE0
アキとミホが大学4年になって、俺とアツシが社会人になっても予定さえあれば飲んだりしていた

さすがに遠出する回数は減ったけど月に2回くらいは集まっていたと思う

ミホは実家暮らしだし地元がこっちだから、地元で就活をしていたし

卒業して就職しても今まで通り集まることはできる

けど、アキは実家が岡山で就職は地元ですると決めていたらしい

いつも通りに4人で飲んでいるときに突然そう打ち明けられたから、その時はものすごく驚いた

驚いたけど、これが大人になるって事なんだな…と無理やり悟ったのを覚えてる





55 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 12:41:50.45 ID:UVCPxKLN0
こういうのいつも読んでて思うんだが、昔の会話とかおぼえてるものなの?

とかいいつつ読むの好きなんだけどね。





57 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 12:42:36.31 ID:2XgQnOVE0
>>55
覚えてる

俺が特別かもしれないけど

小学生の運動会の時の会話とかも結構覚えてたりする





59 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 12:43:56.28 ID:2XgQnOVE0
めでたい事にアキもミホも無事に内定をもらって、卒業までの間は変わらずに沢山遊んだよ

この先4人で集まるのも難しくなってしまうと考えると胸が締め付けられるように辛かった

俺の今までの人生の中でも、これからの人生の中でも、濃くて色あせない一生忘れることが出来ない時間はこの4人での時間だったし、他の3人も同じように感じてくれている

少なくとも俺はそう感じていた






60 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 12:44:40.76 ID:2XgQnOVE0
楽しい期間はあっという間に過ぎる

いよいよ東京で集まれる最後の日が来た

丁度今くらいの時期かな、3月の中旬から下旬だった気がする

さみしくなるから最後っぽくしたくないというアキの要望で、普通に居酒屋に入って飲むことにしたんだ

始めのうちは4人とも普通に和気藹々と話していたんだけど、ある時急にミホがヒックヒック泣き出しちゃって汗

それを期に全員もらい泣きで大号泣した

居酒屋のスタッフさんが心配してくれて、おしぼりを何回も何回も交換してくれたのを覚えてる

あの居酒屋の店員さんに今もう一度会いたいなw





61 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 12:45:27.58 ID:2XgQnOVE0
「これで終わりじゃないから!俺たちはきっとお爺ちゃんお婆ちゃんになっても友達。」って、アツシが言ってたのを鮮明に覚えてる

アツシ…マジでイケメンw

アキは次の日の10時の新幹線で東京を出発する予定

終電ギリギリまで飲んで普通にバイバイした

3人で新幹線見送るよ!と、言ったけど「いや、最後じゃないから…大丈夫!余計に悲しくなっちゃうからさっ」と言うアキに、俺たち3人は何も言えなかった

アキがそうして欲しいと言うのならそうするしかないから





62 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 12:46:35.65 ID:2XgQnOVE0
久々にこんなに泣いたなwってくらい目を腫らして帰った

寂しさもあったけど、それよりもアキへの応援の気持ちで胸がいっぱいだった

皆こうして大人になっていくけど、俺たちの間柄が疎遠になるような事はないだろうと確信していたし、いつサプライズで岡山に行こうかなぁと考えていたくらいだった


次の日の朝、携帯電話の着信音で目が覚めた

いつの間にか眠ってしまっていたらしい

着信はミホからだった

メールではなく電話。珍しいな…なんて思いながら電話に出ると

「もしもし?おはよう!今は家?どこにいるの?」





64 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 12:47:55.67 ID:2XgQnOVE0
ミホは物凄く慌てている様子だった

俺「おはよう。どうしたんだよ、そんなに慌てて」

ミホ「アキに何の相談も無しにこんな事言っていいのかすごく迷ったんだけど…」

俺「ん?なんの事?」

ミホ「アキには黙っててほしいって言われてるし…」








65 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 12:48:47.95 ID:2XgQnOVE0
ミホ「アキ…、アキね…俺君の事がずっと好きだったんだよ」

え?

言葉が出なかった。


全く予想してなかったミホの発言に頭が真っ白になった。

いやいや…、そんな訳ないでしょ!とか、そうやって言い返すことすら出来なかった

無言。

ミホ「何、黙ってるの!時計見て!今何時?時間ないよ!早く東京駅向かってあげて!!!!」

ミホの言葉に慌てて時計を見たら9時15分

バイクかっ飛ばせばなんとか間に合う時間

俺「ミホ…、ありがとう」

ミホ「うん。…頑張って!」





67 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 12:49:47.03 ID:2XgQnOVE0
俺は何も考えずにただ財布と上着だけ持ってバイクに跨り東京駅を目指した

ミホから言われなければ気が付きもしなかった

女性恐怖症であった俺が女性の淡い気持ちになんて気が付くはずがない

ドキドキしながら東京駅に全速力で向かう自分に対しても、ある事を思い始めた

俺はアキの事が好きだったのかもしれない…。

自分でも全く自覚してなかった。



あとあと聞くと、ミホとアツシからしたらずーっと気が付いていたらしい

俺とアキが、お互いがお互いを意識し合っていた事に

俺の、約5年ぶりの恋だった。





70 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 12:51:01.25 ID:2XgQnOVE0
こういう時の赤信号の多さと長さは異常

30kmオーバー上等でかっ飛ばしてたけど、今から思い返せばよく捕まらなかったと思う

時間的にはなんとかギリギリ間に合った

入場券を買ってホームに駆け上ったは良いけど、何号車かわからないし待合室にいるかもしれないし



74 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 12:52:45.34 ID:2XgQnOVE0
アキが居た

なんて言葉をかけたらいいのか分からなかった

でも、言葉なんていらなかった



俺は無意識にアキの手を握っていた

まるで時間が止まったかのような感覚が俺たちの周りを取り巻いていた





76 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 12:53:58.37 ID:2XgQnOVE0
新幹線が到着した

俺とアキは発車ベルが鳴ってドアが閉まるギリギリまで手を握り合っていた

会ってからまだ一言も会話してない

それでも不思議とお互いの気持ちが分かり合えている気がした

不思議な感覚だった

ドアが閉まって窓越しにアキが見える

アキは俺に向かって

(ありがとう)と言った

正確に言うと声は聞こえてないから本当にそう言ったのかどうかは分からないけど

俺には【ありがとう】という言葉がちゃんと届いたよ



あとあと分かったことだけど、夏フェスの帰り道に眠って俺に寄りかかってきたのは

実は起きていてわざとだったらしい…

小悪魔テクニック怖すぎwww





77 :名も無き被検体774号+:2013/03/26(火) 12:55:19.14 ID:2XgQnOVE0
俺は1ヵ月に1度は岡山に行こうと誓った

アキも来れるときは東京に来ると言っていたし

アキが東京に来た時にはもちろん4人で集まって学生の頃の思い出話で盛り上がったりするつもりだった

4人の関係性は本当に自然に今まで通りにしたかったんだ

すごく居心地がいい仲間としてね

そうやってみんな大人になっていく中でも

変わらず集まって馬鹿な話をすることが出来る仲間っていうのはすごく大切なもの

今だからこそすごくそう感じる






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