バイト帰りに出会った女子高生との数年間の話
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310 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:49:28.97 ID:Q5UKg1qg.net
「お、おい?どうしたんだよ!?」
「ひっく、お、おにいさ、ご、ごめ、ごめん…」
「え、あ、ちょ!」
挙動不審に辺りを見回す。何か通りがかっていく人の視線がすごく痛い。
というか写メを取られたり「修羅場!?」とかいう嬉々とした女性同士の声が聞こえたりするのが一番つらい!
「と、とりあえずこっち…!」
白石の手を引いて再び駅から出ていく。駅員からしたらいい迷惑だろうが俺は俺で人にかまっている余裕はない。
白石は抵抗らしい抵抗を見せないで俺に手を引かれたまま先程の白石の演奏場所までついて二人で座る。
未だに鼻を啜る白石。
間が持たなくなりそうで俺は考えなしに白石をその場に残して自動販売機まで走った。
「…ほれ…」
「…ありがと…」
買ってきたのがブラックと微糖の缶コーヒーの二択だったあたり、どうやら俺も混乱しているらしい。
本来甘党の白石がブラックコーヒーを受け取って、口をつけてから
「苦ぁ…」と呟いたあたり白石も動揺はしていると見た。
312 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:52:32.47 ID:Q5UKg1qg.net
そこから数分は何を言えば良いか互いが考える時間になった。
「元気だったか。」「久しぶり。」「調子は?」
聞きたいことも聞き方も、二人ともおそらく幾らでもあったと思う。
空いてしまった二年という時間は少し長すぎたらしい。
「白石、眼鏡なんかかけるんだな。」
こんなどうでもいいことを一番最初に口に出した。
「…去年あたりから…」
「そっか…」
再び沈黙。
話題を考えはするものの、似つかわしくなさ過ぎて口を噤む。駅からここまで ろくに顔も見ていない。
「こっち、来てたんだね。」
「あ、ああ。」
三度、間が空く。だが三度目の間はすぐに消えた。
「あ、あのさ!」
意を決して出した俺の声が予想外にデカく、白石が驚いて跳ねるのが判る。
顔を背けたまま俺は続ける。
「この際だから聞いておくけどさ、結局…俺が何か悪かった…?」
今更なのは分かっている。それでも聞いておきたかった。きっと白石から踏ん切りをつけられないのもそこに要因があるのではないかと思う。
313 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:54:41.51 ID:Q5UKg1qg.net
「……」
「……」
白石は何も語らない。
それでも俺は追及はしない。強く聞いても仕方ないところだ。
幾らでも待つつもりだった。
そんなとき突然電話が鳴った。
「あ、っと、わり!ちょっと!」
白石から離れて画面を見る。
戸田さんだ。
「…お疲れ様です…」
『あ、お疲れ〜!小島君今日大丈夫かな?小島君の家の近くで飲んでたんだけど このまま小島君の家よろうかと思って〜』
何ともない言葉だった。
それなのに、その言葉に心の一部が疼いて、どこかに後ろめたさを感じてしまった。
「あー、すみません。今は家に居なくて…」
『あ、いいよ別に、12時過ぎとかに行っていい〜?』
「…分かりました。じゃあその時間に…」
電話を切る。
「…誰から?」
ぽつりと、白石がこぼすように俺に問う。
「…会社の同僚…」
嘘は言っていないのに、良心が痛む。果たして俺は誰のことを考えてこのことを言ったのだろう。戸田さんなのか、白石なのか。それとも…
「お、おい?どうしたんだよ!?」
「ひっく、お、おにいさ、ご、ごめ、ごめん…」
「え、あ、ちょ!」
挙動不審に辺りを見回す。何か通りがかっていく人の視線がすごく痛い。
というか写メを取られたり「修羅場!?」とかいう嬉々とした女性同士の声が聞こえたりするのが一番つらい!
「と、とりあえずこっち…!」
白石の手を引いて再び駅から出ていく。駅員からしたらいい迷惑だろうが俺は俺で人にかまっている余裕はない。
白石は抵抗らしい抵抗を見せないで俺に手を引かれたまま先程の白石の演奏場所までついて二人で座る。
未だに鼻を啜る白石。
間が持たなくなりそうで俺は考えなしに白石をその場に残して自動販売機まで走った。
「…ほれ…」
「…ありがと…」
買ってきたのがブラックと微糖の缶コーヒーの二択だったあたり、どうやら俺も混乱しているらしい。
本来甘党の白石がブラックコーヒーを受け取って、口をつけてから
「苦ぁ…」と呟いたあたり白石も動揺はしていると見た。
312 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:52:32.47 ID:Q5UKg1qg.net
そこから数分は何を言えば良いか互いが考える時間になった。
「元気だったか。」「久しぶり。」「調子は?」
聞きたいことも聞き方も、二人ともおそらく幾らでもあったと思う。
空いてしまった二年という時間は少し長すぎたらしい。
「白石、眼鏡なんかかけるんだな。」
こんなどうでもいいことを一番最初に口に出した。
「…去年あたりから…」
「そっか…」
再び沈黙。
話題を考えはするものの、似つかわしくなさ過ぎて口を噤む。駅からここまで ろくに顔も見ていない。
「こっち、来てたんだね。」
「あ、ああ。」
三度、間が空く。だが三度目の間はすぐに消えた。
「あ、あのさ!」
意を決して出した俺の声が予想外にデカく、白石が驚いて跳ねるのが判る。
顔を背けたまま俺は続ける。
「この際だから聞いておくけどさ、結局…俺が何か悪かった…?」
今更なのは分かっている。それでも聞いておきたかった。きっと白石から踏ん切りをつけられないのもそこに要因があるのではないかと思う。
313 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:54:41.51 ID:Q5UKg1qg.net
「……」
「……」
白石は何も語らない。
それでも俺は追及はしない。強く聞いても仕方ないところだ。
幾らでも待つつもりだった。
そんなとき突然電話が鳴った。
「あ、っと、わり!ちょっと!」
白石から離れて画面を見る。
戸田さんだ。
「…お疲れ様です…」
『あ、お疲れ〜!小島君今日大丈夫かな?小島君の家の近くで飲んでたんだけど このまま小島君の家よろうかと思って〜』
何ともない言葉だった。
それなのに、その言葉に心の一部が疼いて、どこかに後ろめたさを感じてしまった。
「あー、すみません。今は家に居なくて…」
『あ、いいよ別に、12時過ぎとかに行っていい〜?』
「…分かりました。じゃあその時間に…」
電話を切る。
「…誰から?」
ぽつりと、白石がこぼすように俺に問う。
「…会社の同僚…」
嘘は言っていないのに、良心が痛む。果たして俺は誰のことを考えてこのことを言ったのだろう。戸田さんなのか、白石なのか。それとも…
314 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:56:18.14 ID:Q5UKg1qg.net
ずる賢くなったものだ。自虐的にそんなことを考えるのすらおこがましいと自戒する。
「すまん、今日は用事で来たからこれで…」
鞄を持って立ち上がり歩調も速く白石から遠ざかる。
「お、お兄さん!」
背後から呼ばれて驚きとともに振り返る。
「また、ここに来る…?」
初めての時と同じように、今度は聞く側が逆になって、白石は俺を見てそういった。
「…分かんねぇけど、ここで演奏してたらまた会えるかも。」
そう言って俺の方が耐えきれなくなって歩き出した。
316 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 23:59:43.90 ID:Q5UKg1qg.net
俺の帰宅直後に戸田さんも我が家に到着した。
「ただいま〜!」
「いや、あなたの家ではないんですが…」
「いいじゃな〜い!別荘みたいなものよ〜!」
それなら俺にとって戸田さんの家は別荘になるのだろうか。
馬鹿なことを考えてるうちに戸田さんは居間のソファーに横になった。
「あーあー、皺になりますよ?ほら、脱いでくださいって。」
「やーん!脱がせたいの?ww」
「酔っぱらいを襲う趣味はありません…水持ってきますね」
「んー」
「あー寝ないでくださいって…ダメか…」
少し目を離していると安らかな寝息が聞こえ始めた。
弱ったな…ホントに皺になるし うちには戸田さんの部屋着みたいなものはないに等しい。
「…脱がせるのか…」
誰ともなしに呟く。正当な理由を得ても微妙に後ろめたい。
出来るだけ見ないようにしながら下着だけ残して脱がせ、ベッド迄運ぶ。
流石に二人で寝るには少々手狭で仕方ないと電気を消してソファーで眼を閉じる。
瞳の裏側に映ったのは先程目の端で捉えた戸田さんの下着姿ではなく、数年ぶりに会った白石の泣き顔だった。
そう言えば初めてだった。白石が泣いているところを見たのは。あれだけ一緒に居たのに一度も見たことがなかった。
見せないようにしていたのかな。無理してたのかな。
違う。おそらく無理をさせていたのだ。
色々と考えて思考がグルグルと渦を巻き始め意識が そのままその渦に巻き込まれていった。
317 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 00:02:20.93 ID:NvS4gIBG.net
何卒・・・
生活音がする。
嗅ぎ慣れたコーヒーの香り。
どこか懐かしさを覚えて目を覚ます。
キッチンに誰かいる。
俺に背を向けたままいる彼女が目に入る。
「・・・白石?」
確認するように声に出してみる。
「あ、小島君。起きた?」
「戸田さん。」
そうだ。
頭が追いついてきた。社会人生活のうちにいつの間にか嗅ぎ慣れてしまったインスタントコーヒーの匂い。
大学生活の頃とは違う部屋。目覚めて来れば当たり前の事なのに、そこに白石がいないことに喪失感を覚える。
何をそんな事を・・・
俺には戸田さんが・・・
「ごめんね。勝手にお風呂借りちゃった。いまコーヒー淹れたところだったんだけど小島君もいる?」
「はい、いただきます。」
振り払うように声を出す。一人で考えるとそのまま渦に飲まれそうだ。
319 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 00:05:36.40 ID:NvS4gIBG.net
「そういえば小島君。」
「はい?って何ですかその恰好!?」
コーヒーを持ってきた戸田さんの服装に完全に眠気が吹き飛ぶ。
「小島君が脱がせるから服がないんだよ〜。どこに置いたのか分かんなくて仕方ないから小島君のワイシャツ借りたんだけど、似合う?ww」
そう、戸田さんの格好は俗にいう彼シャツの状態。ちょうどショーツの辺りが見えなくなっている。
中々芸術的な脚線美だ。エロいとかっていうよりはこう…
そそる…
「小島君、目つきエッチぃww」
「あ…すみません…」
逃げるように目線を逸らしてコーヒーを啜る。朝っぱらから眼福ではあるが寝起きには些か刺激が強すぎる。
「今日どうしよっか?特に予定ないんだよね〜」
「俺もですよ。まぁゆっくり過ごしま…っと!」
突然 戸田さんがくっ付いてくる。
「今日一日こうしてるのもいいかもねぇ〜ww」
「悪くは、ないですかね」
そう答えてコーヒーを覗き込む。頭の中と感情が全く一致しない。黒々としたコーヒーはまるで泥のように濁っていた。
飲み慣れていたはずなのにいつもよりずっと苦く感じた。
323 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 00:09:18.71 ID:NvS4gIBG.net
8月の中旬に入った。
生まれも育ちも北国の俺にはきつ過ぎる二度目の夏の真っ盛りに「暇だから」という大層な理由でアポもなしに伊達が遊びに来やがった。
「お前は本当に〜…連絡位寄越してから来いっての!こっちは今日も仕事あんだぞ!?」
「この前聞いた時は明日から休みだって聞いたからさ。六年も大学だと刺激の一つや二つ必要なんだよww」
「うるせーよ!電柱裏に潜んでる女に刺されろ!」
「俺が死んだらお前困るだろ?ww」
「あーうっせ!飲みに行くぞ!」
「へいへいww」
戸田さんとも行った店について飲んでから酔いが回り出したころに伊達が口を開いた。
「で?最近はどうなのよ?その戸田さんって人とは?」
「別に・・・」
「小島さぁ…別にって言って何もない何てあるわけないだろ・・・」
何も言わずに杯をあおる。
「この前彼シャツされた。」
「お前の事一回くらい殴っても罰当たんないよな俺?ww」
「お前殴ると痛いからやだww」
そう言うと伊達はお前もだろと言って笑った。
黙って ただあおる。
数分だったのか数十秒だったのか、伊達が口を開いた。
「お前の中で戸田さんは何がダメなんだ?一緒にいて楽しくないのか?」
「・・・楽しいよ。」
吐き捨てるように言ってしまったのは中途半端に戸田さんを相手にしている自分に対する自己嫌悪とか、白石に会ってから みっともなく揺れている自分の芯の無さに耐え兼ねてだった。
325 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 00:12:41.20 ID:NvS4gIBG.net
楽しくないとは言わない。しかし心の底からそうであるともいえない。
「まだあきらめきれてないんじゃないように見えるよ?」
呟くような伊達の声。心臓にかかっていた重石の重さが一気に増える。
「白石に会った…」
「…どこで?」
微かに驚いたらしいが話を切ることもなく俺を促す。
何だかんだと俺も言いたかったらしい。伊達が聞き手に回ると俺はここ最近の事をほぼ全て語った。
「なぁ小島さ、お前はどうしたいの?」
「…俺?」
首肯してから伊達は続ける。
「お前が何と思っていようが今の状態ってさ、言い方は悪いかもだけど わざわざ白石ちゃんに気持たすようなこと言って戸田さんもキープしてる状態じゃん?
お前が明確にどうしたいっていうのが見えない。目的地がないからお前はフラフラしてるんじゃないのか?」
326 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 00:15:07.47 ID:NvS4gIBG.net
ま、それが悪いかどうかは お前が判断しろ。全てを聞いてその上でも笑うような口調で伊達は続ける。
言葉には良くも悪くも棘がない。否定も肯定も出来ない。したくなかった。
どうしたって自分がどうにかしなきゃいけない問題から目を背けようとしている自分に気づいて、その上で自分が更に嫌いになる。
事実を突きつけられてぐうの音も出ない。
口を開くと何か理由をつけて反論してしまいそうだった。
言葉を吐き出さないために煙草を咥えて、火をつける。紫煙はそうであるのが当たり前と言ったようにいくらか漂った後フッと消えていった。それが心底羨ましかった。
327 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 00:18:41.13 ID:NvS4gIBG.net
伊達に言われて俺は俺なりに考えてみて、やはり白石に会わない事には進まないんじゃないかと結論が出た。
といっても白石の今の連絡先は知らないので前回あった駅のあの場所に行くしかない。
人間ある程度の目標があると活力が出るものでサービス残業もいつもの数倍のスピードで済ませて電車に飛び乗った。
ある程度予想はしていたことだったが白石の姿はなかった。まぁ約束しているわけでも無し、当然と言えば至極当然だ。
それでも一瞬見ていないからと言って「さぁ帰ろう!」とはならず、とりあえず一服位しようかと座って、ニュースサイトを横目で流しながら二本目の煙草を吸い始めた時だった。
「…お兄さん?」
聞きなれていた声がした。
何となく前回あった時の様に逃げ出しそうになったが、俺から会いにきといて そりゃないだろうといつもより深く煙草の煙を吸ってより一層腰を据える。
330 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 00:24:32.18 ID:NvS4gIBG.net
「その、ね。大した理由があった訳じゃないの。
・・・音楽で生きていくって決めたけど大学通ってるわけだし、覚悟とかそういうのが必要だと思って。
お兄さんがいると、どうしても頼っちゃいそうで、だから。」
だから連絡もしないようにして、それだけじゃ自分の中では足りなかったのだろうから別れようなんて言ったんだろう。
こいつは昔からそうだ。
素直かと思えば恥ずかしがり屋で、イタズラ好きだけど耐性がなくて、でも最初っから、変わらず強いままだ。
強くあろうとしているし人の力を借りようとしない。
無性にそのことに腹が立った。
確かに頼りなかったと思う。それでも俺はお前の彼氏なのだから頼ってくれても良かったじゃないか。
出来ることに限度くらいあるだろうけど お前が必要としたときに横にくらいいてやれるのに。少しくらい支えてやれたかもしれないのに。
「ごめんね。今更。自分勝手だよね…」
どんな時より悲しそうに白石は笑う。
「何だよ、それ…」
>>次のページへ続く
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