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バイト帰りに出会った女子高生との数年間の話
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211 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 14:40:09.17 ID:Q5UKg1qg.net
「はぁ・・・連絡は?どのくらいの頻度?」
「一週間に二回くらい電話してる。っていっても白石もバイト始めたらしいから最近は ちょっとすれ違い気味だな・・・」
ハイボールを呷ってから続ける。
「もう、終わりかなww・・・考えてみりゃ当然の事か。俺よりカッコイイ奴だっていくらだっているだろうし、頭良い奴だっているだろうし、金あるやつだって、性格いいやつだっているだろうし・・・」
自嘲的に笑う。このまま続けていく自信もない。
そもそも白石に俺は見合わない。性格も、容姿も、はっきり言ってもっとふさわしい相手がいるはずだ。
中途半端にダラダラ続ければ その分だけ白石を拘束することになる。
だったら、いっそ、ここで、
「小島、歯、食いしばれ。」
「は?-ッ!」
右頬に鈍い衝撃が走る。熱い。いや、痛い。この感覚は知っている。
確信を持って数秒後に左を向いていた顔を戻すと勢いで立ち上がった伊達がこれまでの付き合いの中でも見たこともない、怒りとも悲しみともいえない表情で拳を握っていた。
212 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 14:42:07.17 ID:Q5UKg1qg.net
「こんなにイラつくのは久しぶりだよ・・・前に何て言ったよ?自分で幸せにしたいって!誰にも渡したくないって!そういっただろ!?お前の本音はそうじゃないのかよ!」
伊達は依然、興奮冷めやらぬ表情で俺を見て言葉を切ることなく続ける。
「お前は『自分で幸せにしたい』って言ったんだぞ!?それはお前のエゴだろ?お前以上に幸せにできる奴がいるかもしれない中で、それでもお前は『誰にも渡したくない』って言ったんだろ?自分の言葉に責任とれよ!」
伊達に殴られたのが初めてなら、ここまで感情的な伊達と言うのも初めて見た。いつでも飄々として、冗談ばかり言って、時には友人思いな男が初めて心の奥底を見せた気がした。
何も言えず黙って二人でにらみ合っていると先に根を上げたのは意外にも伊達だった。
「すまん。感情的になった・・・」
バツが悪そうにする伊達。
「はぁ・・・連絡は?どのくらいの頻度?」
「一週間に二回くらい電話してる。っていっても白石もバイト始めたらしいから最近は ちょっとすれ違い気味だな・・・」
ハイボールを呷ってから続ける。
「もう、終わりかなww・・・考えてみりゃ当然の事か。俺よりカッコイイ奴だっていくらだっているだろうし、頭良い奴だっているだろうし、金あるやつだって、性格いいやつだっているだろうし・・・」
自嘲的に笑う。このまま続けていく自信もない。
そもそも白石に俺は見合わない。性格も、容姿も、はっきり言ってもっとふさわしい相手がいるはずだ。
中途半端にダラダラ続ければ その分だけ白石を拘束することになる。
だったら、いっそ、ここで、
「小島、歯、食いしばれ。」
「は?-ッ!」
右頬に鈍い衝撃が走る。熱い。いや、痛い。この感覚は知っている。
確信を持って数秒後に左を向いていた顔を戻すと勢いで立ち上がった伊達がこれまでの付き合いの中でも見たこともない、怒りとも悲しみともいえない表情で拳を握っていた。
212 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 14:42:07.17 ID:Q5UKg1qg.net
「こんなにイラつくのは久しぶりだよ・・・前に何て言ったよ?自分で幸せにしたいって!誰にも渡したくないって!そういっただろ!?お前の本音はそうじゃないのかよ!」
伊達は依然、興奮冷めやらぬ表情で俺を見て言葉を切ることなく続ける。
「お前は『自分で幸せにしたい』って言ったんだぞ!?それはお前のエゴだろ?お前以上に幸せにできる奴がいるかもしれない中で、それでもお前は『誰にも渡したくない』って言ったんだろ?自分の言葉に責任とれよ!」
伊達に殴られたのが初めてなら、ここまで感情的な伊達と言うのも初めて見た。いつでも飄々として、冗談ばかり言って、時には友人思いな男が初めて心の奥底を見せた気がした。
何も言えず黙って二人でにらみ合っていると先に根を上げたのは意外にも伊達だった。
「すまん。感情的になった・・・」
バツが悪そうにする伊達。
213 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 14:45:31.34 ID:Q5UKg1qg.net
「いや、俺もすまんかった。お前の前で言うべきじゃない弱音吐いた…」
熱を持つ右頬をさすると伊達がまた視線を逸らした。
「・・・伊達、歯食いしばれ・・・」
「は?-ッ!」
ぼそっというと伊達がそうしたように俺も伊達の顔を一発お見舞いする。
こいつは色々と考えすぎてしまう。貸し借りはきっちり、かつ早めに無くしておいた方が二人にとって絶対に良い。
「・・・いてーだろ?」
「俺のほうが絶対弱かったのに・・・」
「嘘つけ!全力だったろ!」
「全力なわけあるか!まだ5割も言ってねーわ!」
「ああ?じゃあ俺4割!」
「んなわけあるか俺は3割だったぞ!」
にらみ合って二人で吹き出す。
腹を抱えて笑って、笑いすぎて立っていられなくて、ひとしきり笑うと伊達が一杯あおってから、
「で、どうするんだ?まだ時間あるぞ?」
「あ?」
「新幹線。」
確か新青森発の東京行きは…19時44分のがあったはずだ。
現在時刻は18時30分。ちなみに新青森までは約40分。間に合わないこともない。
215 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 14:52:32.77 ID:Q5UKg1qg.net
「19時発の青森行きのJRあったろ。」
「だけど・・・」
「ええい!もう一回殴られるか!?会いたいときに会いに行って何が悪いんだよ!彼女だろ!?」
「金ないし・・・」
嘘だ。使い道がなくて腐っている金が口座の中にいくらかある。
「てめぇ今までのバイト代あるだろ。ないなら貸してやるからいってこい!」
蹴り飛ばされるようにしながら伊達の家から追い出される。
「勝手なことを・・・」
睨むようにドアをみるが無論返事など無い。それでも こいつには感謝しなければならない。いつもこうやって背中を押されてばかりだ。だったら、俺もそれに応えねば。
「三時間半、四時間ってとこか・・・」
考えてみれば遠い、だが遠いといっても少し高めに金を出せばそのぐらいで東京に行けるのだから便利なものだ。
とりあえず適当なボストンバックに最低限の衣類だけ詰め込んで駅へ。
七時の電車はほとんどが学生で、男同士で竹刀を持って楽しそうに話す二人組。
ラケットを持って姦しい女子。
そして幸せそうな制服のカップル。
いいなぁ、あんな近くに居られて。呟いた言葉は電車のレールを走る音でかき消された。
電車に乗っている間にしたことと言えばとりあえず白石にメールしたことだろうか。
考えてみればバカみたいな文面で(酔いが醒めたとはいえ素面じゃないのだから当然と言えば当然か)、『今東京向かってるんだがどこに向かえばいい?』
なんて、白石の事を全く考えちゃいない文章で、返信が来たのはもう大宮を過ぎたあたりだった。
だがそれはメールじゃなくて電話だった。慌ててるんだろうななんて思って少し頬を緩ませながら車両の連結部分に向かい応答する。
216 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 14:59:44.81 ID:Q5UKg1qg.net
「もしもし、白石?」
『あ、お兄さん?良かった、つながった!今、サークルの新勧終わったところでさ!すぐ行くか―きゃ!ちょ!先輩!止めてくださいって!』
「!?白石?」
『あ、だいじょぶ、だから!今から向かうね!』
「あ、おい!・・・切れた・・・」
一抹の不安が脳裡をかすめる。
一時間もかからないのに時間が経つのが驚くほど遅くて、やきもきしながら待っていると駅についた。
ただただ落ち着かなくて飛び降りるように新幹線を降りて白石に指定された日本橋口についたが白石の姿が見えない。まだついていないのかもしれない。
少し離れて人が来なさそうなところで一服し始める。
「しっかし・・・」頭を掻く。
昨日のうちは自分が東京に来て白石を待ちながら一服しているとは考えていなかった。
人生とは何があるか分からないものである。
二本目に手を伸ばしたタイミングであろうか。ケータイが不意に震えた。電話だ。
「白石?」
230 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 18:57:41.19 ID:Q5UKg1qg.net
『あ、おにーさん?今着いたんだけど もういる?』
後ろがざわついているのは何だろうか。
もう終電近いから人が多いのか?
「ああ、もうついてる。」
『そっか。いまから行くから もうちょっと待っててねー。』
「ん。」
手の中の箱からもう一本取り出す。
考えてみれば明日は昼からバイトが入っているし、月曜にはゼミのことがあって色々やらねばならないというのに、こんなに考えなしに動いたのは久しぶりだ。
我ながらバカみたいな行動力だと今更になって少し笑う。どれもこれもあのバカメガネのせいだ。後で奢らせてやる。
ちょうど吸っていた煙草が終わるころになって白石が俺の前に現れた。
「ごめん!おにーさん!お待たせ!」
呼ばれて振り返る。
一瞬、呼吸が止まった気がして、流れる時間が遅れた様な気がして、瞬時に世界が加速する。
見慣れた小さな唇も、よく笑う目も、頭の中のイメージと何一つ変わることはないのに、数か月会わないだけでより綺麗になったと感じるのは何故だろう。
相変わらず化粧気はほとんどなくて、それなのに少し伸びた髪が一気に大人びた印象を持たせた。
231 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 18:58:25.12 ID:Q5UKg1qg.net
「おー、久しぶり・・・って後ろの人たちとお前が肩かしてるひとは誰?」
「あ、こんちわー!」
「うぇーい!」
「へぇ、彼が白石ちゃんの彼氏さん?」
傍目からでも大分酔っているのは分かる。
男が3人、女が白石を含めて4人。
「新勧やってくれた先輩たちなんだけど…その、お兄さんの事話したら見たいって言い始めて…」
「ども!○○でぅえーす!」
「ちょっと、先輩!暴れないで下さいよ!」
仕方なさそうに白石が笑いかける。
止めろよ。
喉元までその言葉がきて、止まる。
そんな顔を、俺以外の奴に向けないでくれよ…
白石の肩を借りている男がこちらを見て名前を言うが頭に入ってこない。
肌が粟立つのが分かる。
頭の中で声がする。
お前は何だ、白石の何だというんだ。
一方的に睨み付けていると、後ろにいた男の中でまだそこまで酔っていないように見える男が白石から男を引き受ける。
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