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バイト帰りに出会った女子高生との数年間の話
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372 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 01:51:10.61 ID:NvS4gIBG.net
止めてくれ。

今の俺に優しい言葉なんかかけないでくれ

もっと俺を責めてくれ。

「他の女の子に手を出すなんて最低!」なんて言いながら一発殴られた方がよっぽどすっきりする。

本来なら俺から切り出すべきことで、俺が言い出さなきゃいけない事なのに、涙腺が緩む。視界がにじむ。

耐えろ!こんなことまで彼女に言わせておいて、どんな顔で俺が泣くのだ!泣く権利すら俺には無いだろ!

「…お、お断りします!」

歯を力いっぱい噛みしめる。そうでもしないと力が抜けて涙があふれそうだ。

驚いたような空気が伝わってくる。

「そ、そのうえで、俺から言います。お、おれとわ、わかれてくだ、さい。ほかに、すきなひとができました…」

泣くなって…

どこまで自分勝手なんだよお前

最低じゃねーか



373 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 01:54:28.25 ID:NvS4gIBG.net
戸田さんは小さくため息をついて、そのまま小さくわらって、「私と別れたこと後悔させてやるww」

そう言って。もう戸田さんの方すら見れずくしゃくしゃに顔を俯かせて泣いている俺を、責めもせずただ立ち尽くしていた。

「…泣き止んだ?」

5分か10分か。時間感覚があいまいになる位には泣いた。

「…すみません、最後までみっともなくて…」

「全くだよwwあーあ、フラれちゃった。二股掛けられたからには私からフッてやるつもりだったのにww」

何とも言えない表情になる。

「あーあー、ひどい顔ww」

「…元からですよww」

笑った拍子にまた涙が筋を作ったのがわかった。



376 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 01:57:26.70 ID:NvS4gIBG.net
「しかしアレだね。二股男はドラマとかだとビンタで終わるよね!」

「…俺に拒む権利はないんで ご自由にどうぞ…」

軽く屈んで顔だけ少し前に出す。

「じゃあ思いっきり…!」

清々しい声とともに思い切り振りかぶる戸田さん。反射的に目を瞑る。

と、優しく、本当に優しく、両頬を掴まえられて、そのまま唇が何かで塞がれる。

「んー!?」

予想外すぎてテンパる俺。眼を見開けば整った戸田さんの顔が間近にある。

「…ぷは!ふー!」

1、2分は続いたであろうそれが終わる。

「い、一体何考えてるんですか!?仮にも自分を振った相手ですよ!?」

しかも数分前に!

「ごめんね。これで最後だから・・・

それに、こんなに情熱的なら彼女とキスするたびに私の事思い出してくれるでしょ?w」

どこまで本気か分からない顔でそんなことをいう戸田さん。

「じゃぁね…」

引き留めようもなく、引き留めるわけにもいかず戸田さんは行ってしまった。

未だに残る唇の感触が消えるときなんて そうこないだろうと思う。

厄介なことをされたと頭を掻いてスマホで時間を確認する。

白石に伝えなきゃいけないことがある。

そんなことを思ってすぐに電源を落とす。

黒くなったディスプレイに映る俺は心なしか柔らかい表情だった。



377 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 02:00:42.34 ID:NvS4gIBG.net
今思えば よくもまぁ考えもなしに動けたものだと思う。

電車に乗るのも時間が惜しい気がして休日ぐらいしか動かしていないポンコツのスーパーカブを引っ張り出す。

走って行こうかとか思ったけど流石にそんな体力はないだろう。

アホだなぁ、青春になりゃしない。今後はちゃんと運動しとこう。

そんなことを考えながら都心をボロバイクでぶっ飛ばす。



案の定というか白石は駅にいなかった。まぁ当然なのだが。

白石はいないかと頭を振ってみるが見当たらない。

このご時世に連絡先が分からないことの何たる不便なことか。

…連絡先?

思い返してみる。そういや白石は一度も連絡先を変えたという話はしていなかった。

繋がらなかったらそれはそれ。ダメもとで電話番号から白石に電話を掛ける。

コールの回数は10を超えた。

番号を変えた可能性の方が高いだろうと耳元からケータイを話し通話終了のボタンを押そうとして、その瞬間に相手が出た。



378 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 02:02:19.24 ID:NvS4gIBG.net
『白石!?』

「お、にいさん?」

鼻がつまった様な声。泣いてたのかな。胸が痛んだ。

理由は俺の事じゃないのかも知れないけど、それでも胸が痛んだ。


「今どこ!?家か!?」

『う、うん。』

しゃくりあげながらも俺の問いに答える。

「引っ越してないよな!?」

『うん…何?』

「今から行く!」

一方的に言って通話を切る。白石の抗議の声が電話口から微かに聞こえたが知ったこっちゃない。

あいつが勝手に俺に自分の気持ちなんぞ言ってきたのが悪いのだ。

俺だって勝手にさせてもらう。



379 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 02:05:11.44 ID:NvS4gIBG.net
駅から走り出して約2分。

たどり着いたのは学生の頃一度だけ来た白石の住むマンションだった。

再度電話を掛け直す。

『…お兄さん?』

「来たけど、出てこれるか?」

返事はなかったがパタパタと歩く音の後にエレベーターのアナウンス音声が聞こえて来た。

白石がエントランスから出てきた。

「お兄さん!?どうしたの!?」

驚く白石。そりゃそうだ。電話してから数分で自分の家に来られては俺だって驚く。

言いたいことは色々あった。それでもそれらは全部飲み込んで、代わりに白石にヘルメットを投げる。

「うわ!?な!?え!?」

「ドライブいこ。家で泣いてるより良いだろ?」

「な!泣いてないし!?」

意地っ張りなところは変わらないか。

そうだな。人なんてそう簡単にコロコロ変わんないよな。

クスリと笑って見せると自分を笑われたと思ったらしい白石が抗議してきたが何とかかんとか言いくるめて白石と夜のドライブに向かった。



381 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 02:06:47.02 ID:NvS4gIBG.net
「お兄さんさ、今更だけどいいの?彼女さんは?」

信号待ちの時に白石が俺に声をかけてきた。

「んー?あー、ちょうど一時間くらい前かな?先に俺がフラれて逆に俺がフリ返した。」

「ん!?え?は?」

理解が追いつかないようで疑問符を大量に浮かべる白石だったが赤信号が青に変わる。

「舌噛むから運転中は喋んなよ?」

そう言って返答を待たずに発車する。

その後に何度停車しても白石は俺に声をかけてくることはなかった。



382 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 02:09:38.31 ID:NvS4gIBG.net
行き場もなくバイクを走らせていたが、少ししてから目的地を思いついたので そこについたのは深夜に大分近い時間だった。

夜の闇の中から潮騒が聞こえる。いつの日か二人で来た海は昼とは違った魅力が出ていて美しかった。

バイクのエンジンを切ってヘルメットを外す。メットを取るのに苦労している白石のを笑いながらとってやる。

「…こんなところまで来てどうするの?」

「ん?散歩に意味合いを求めるのか?ww」

そう言って先立って歩き出すと白石は若干迷った様な顔をして数歩後をついてきた。

「…さっき言ってたことって…」

「ああ、フラれての話か?まぁそんなこともあるだろww」

「そんなことって!」

白石が俺の前に出て声を荒らげる。

「良くないって!そんなの!綺麗でいい人そうで!大人っぽくて!それから…それから!」

「うん、全部その通りだな。」

「ほら!今からでも謝ってきたほうがいいって!」

おまけに献身的で俺をよく見てるときた。あんな人そういないだろうな。

それでも、そのうえでも、

「お前が一番好きなんだよ。白石。」



384 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 02:12:48.32 ID:NvS4gIBG.net
口から出た言葉は緊張することもなく零れるようだった。

息をのむような空気と、そのあとに少し白石が口の中で小さく呻くような声を出したのが聞こえた。

「もう一回、付き合ってください。」

「お、お兄さん…だ、ダメだよ!だって私の勝手で終わらせたのに・・・お兄さん今の彼女さんの方が絶対いいよ…」

「でも、好きだ。白石の事。」

理由なんて、これ以外必要ない。小難しい事なんて後で全部処理してやる。

今一番伝えたいことは、伝えなきゃいけないことはこれなんだ。

「そんな、だって…でも…あ、ぅ」

数年前から何も変わっちゃいない。とても単純なのだ。一番大事で、大切で、幸せにしたい女の子はやっぱり目の前にいる白石なのだ。

「また」

「ん?」

「また、私の勝手で突き放しちゃうかもしれないのに?私よりお似合いの彼女がいるのに?私、わたしが…またきずつけちゃうかも…」

ほとんど光がない海岸。月明りが映す白石の顔に涙の跡が残る。

それでも、

「好きなんだ。白石が。」

「う、うぅ…」

すすり泣く白石が泣き止むまでひたすら耐える。



386 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 02:15:22.90 ID:NvS4gIBG.net
「落ち着いたか?」

「…うん…ごめん…」

泣き声が収まってきてから数分。落ち着いてきた白石に声をかけた。

「気にすんな。今更だ。」

「…ふふ」

小さく二人で笑いあう。

「…お兄さん。」

「ん?」

「私からも言うね…大好きです。私と、もう一度付き合ってください。」

そう来るとは思っていなくて驚いて、次の挙動が遅れた。白石が抱き着いてくる。

「!?ちょ!?おいって!」

慌てて離れようとするが白石はなおも離れようとしない。

「さてはお前…まだ泣いてる?」

「〜〜〜〜ッ!!」

顔を見られたくないのだろう。今更過ぎる気がするが。本当に意地っ張りな奴だ。

そんな時にふと思い出す。

「白石さ、俺が東京から帰る時に指切りしたよな?」

白石が俺の胸の中で無言で頷く。

「破った時に何するか決めてなかったから今決めていいか?」

再び頷く。

何にしようかと考えて、2秒で決めた。



>>次のページへ続く
 
カテゴリー:読み物  |  タグ:青春, すっきりした話, 純愛,
 


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