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バイト帰りに出会った女子高生との数年間の話
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317 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 00:02:20.93 ID:NvS4gIBG.net
何卒・・・
生活音がする。
嗅ぎ慣れたコーヒーの香り。
どこか懐かしさを覚えて目を覚ます。
キッチンに誰かいる。
俺に背を向けたままいる彼女が目に入る。
「・・・白石?」
確認するように声に出してみる。
「あ、小島君。起きた?」
「戸田さん。」
そうだ。
頭が追いついてきた。社会人生活のうちにいつの間にか嗅ぎ慣れてしまったインスタントコーヒーの匂い。
大学生活の頃とは違う部屋。目覚めて来れば当たり前の事なのに、そこに白石がいないことに喪失感を覚える。
何をそんな事を・・・
俺には戸田さんが・・・
「ごめんね。勝手にお風呂借りちゃった。いまコーヒー淹れたところだったんだけど小島君もいる?」
「はい、いただきます。」
振り払うように声を出す。一人で考えるとそのまま渦に飲まれそうだ。
319 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 00:05:36.40 ID:NvS4gIBG.net
「そういえば小島君。」
「はい?って何ですかその恰好!?」
コーヒーを持ってきた戸田さんの服装に完全に眠気が吹き飛ぶ。
「小島君が脱がせるから服がないんだよ〜。どこに置いたのか分かんなくて仕方ないから小島君のワイシャツ借りたんだけど、似合う?ww」
そう、戸田さんの格好は俗にいう彼シャツの状態。ちょうどショーツの辺りが見えなくなっている。
中々芸術的な脚線美だ。エロいとかっていうよりはこう…
そそる…
「小島君、目つきエッチぃww」
「あ…すみません…」
逃げるように目線を逸らしてコーヒーを啜る。朝っぱらから眼福ではあるが寝起きには些か刺激が強すぎる。
「今日どうしよっか?特に予定ないんだよね〜」
「俺もですよ。まぁゆっくり過ごしま…っと!」
突然 戸田さんがくっ付いてくる。
「今日一日こうしてるのもいいかもねぇ〜ww」
「悪くは、ないですかね」
そう答えてコーヒーを覗き込む。頭の中と感情が全く一致しない。黒々としたコーヒーはまるで泥のように濁っていた。
飲み慣れていたはずなのにいつもよりずっと苦く感じた。
何卒・・・
生活音がする。
嗅ぎ慣れたコーヒーの香り。
どこか懐かしさを覚えて目を覚ます。
キッチンに誰かいる。
俺に背を向けたままいる彼女が目に入る。
「・・・白石?」
確認するように声に出してみる。
「あ、小島君。起きた?」
「戸田さん。」
そうだ。
頭が追いついてきた。社会人生活のうちにいつの間にか嗅ぎ慣れてしまったインスタントコーヒーの匂い。
大学生活の頃とは違う部屋。目覚めて来れば当たり前の事なのに、そこに白石がいないことに喪失感を覚える。
何をそんな事を・・・
俺には戸田さんが・・・
「ごめんね。勝手にお風呂借りちゃった。いまコーヒー淹れたところだったんだけど小島君もいる?」
「はい、いただきます。」
振り払うように声を出す。一人で考えるとそのまま渦に飲まれそうだ。
319 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 00:05:36.40 ID:NvS4gIBG.net
「そういえば小島君。」
「はい?って何ですかその恰好!?」
コーヒーを持ってきた戸田さんの服装に完全に眠気が吹き飛ぶ。
「小島君が脱がせるから服がないんだよ〜。どこに置いたのか分かんなくて仕方ないから小島君のワイシャツ借りたんだけど、似合う?ww」
そう、戸田さんの格好は俗にいう彼シャツの状態。ちょうどショーツの辺りが見えなくなっている。
中々芸術的な脚線美だ。エロいとかっていうよりはこう…
そそる…
「小島君、目つきエッチぃww」
「あ…すみません…」
逃げるように目線を逸らしてコーヒーを啜る。朝っぱらから眼福ではあるが寝起きには些か刺激が強すぎる。
「今日どうしよっか?特に予定ないんだよね〜」
「俺もですよ。まぁゆっくり過ごしま…っと!」
突然 戸田さんがくっ付いてくる。
「今日一日こうしてるのもいいかもねぇ〜ww」
「悪くは、ないですかね」
そう答えてコーヒーを覗き込む。頭の中と感情が全く一致しない。黒々としたコーヒーはまるで泥のように濁っていた。
飲み慣れていたはずなのにいつもよりずっと苦く感じた。
323 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 00:09:18.71 ID:NvS4gIBG.net
8月の中旬に入った。
生まれも育ちも北国の俺にはきつ過ぎる二度目の夏の真っ盛りに「暇だから」という大層な理由でアポもなしに伊達が遊びに来やがった。
「お前は本当に〜…連絡位寄越してから来いっての!こっちは今日も仕事あんだぞ!?」
「この前聞いた時は明日から休みだって聞いたからさ。六年も大学だと刺激の一つや二つ必要なんだよww」
「うるせーよ!電柱裏に潜んでる女に刺されろ!」
「俺が死んだらお前困るだろ?ww」
「あーうっせ!飲みに行くぞ!」
「へいへいww」
戸田さんとも行った店について飲んでから酔いが回り出したころに伊達が口を開いた。
「で?最近はどうなのよ?その戸田さんって人とは?」
「別に・・・」
「小島さぁ…別にって言って何もない何てあるわけないだろ・・・」
何も言わずに杯をあおる。
「この前彼シャツされた。」
「お前の事一回くらい殴っても罰当たんないよな俺?ww」
「お前殴ると痛いからやだww」
そう言うと伊達はお前もだろと言って笑った。
黙って ただあおる。
数分だったのか数十秒だったのか、伊達が口を開いた。
「お前の中で戸田さんは何がダメなんだ?一緒にいて楽しくないのか?」
「・・・楽しいよ。」
吐き捨てるように言ってしまったのは中途半端に戸田さんを相手にしている自分に対する自己嫌悪とか、白石に会ってから みっともなく揺れている自分の芯の無さに耐え兼ねてだった。
325 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 00:12:41.20 ID:NvS4gIBG.net
楽しくないとは言わない。しかし心の底からそうであるともいえない。
「まだあきらめきれてないんじゃないように見えるよ?」
呟くような伊達の声。心臓にかかっていた重石の重さが一気に増える。
「白石に会った…」
「…どこで?」
微かに驚いたらしいが話を切ることもなく俺を促す。
何だかんだと俺も言いたかったらしい。伊達が聞き手に回ると俺はここ最近の事をほぼ全て語った。
「なぁ小島さ、お前はどうしたいの?」
「…俺?」
首肯してから伊達は続ける。
「お前が何と思っていようが今の状態ってさ、言い方は悪いかもだけど わざわざ白石ちゃんに気持たすようなこと言って戸田さんもキープしてる状態じゃん?
お前が明確にどうしたいっていうのが見えない。目的地がないからお前はフラフラしてるんじゃないのか?」
326 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 00:15:07.47 ID:NvS4gIBG.net
ま、それが悪いかどうかは お前が判断しろ。全てを聞いてその上でも笑うような口調で伊達は続ける。
言葉には良くも悪くも棘がない。否定も肯定も出来ない。したくなかった。
どうしたって自分がどうにかしなきゃいけない問題から目を背けようとしている自分に気づいて、その上で自分が更に嫌いになる。
事実を突きつけられてぐうの音も出ない。
口を開くと何か理由をつけて反論してしまいそうだった。
言葉を吐き出さないために煙草を咥えて、火をつける。紫煙はそうであるのが当たり前と言ったようにいくらか漂った後フッと消えていった。それが心底羨ましかった。
327 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 00:18:41.13 ID:NvS4gIBG.net
伊達に言われて俺は俺なりに考えてみて、やはり白石に会わない事には進まないんじゃないかと結論が出た。
といっても白石の今の連絡先は知らないので前回あった駅のあの場所に行くしかない。
人間ある程度の目標があると活力が出るものでサービス残業もいつもの数倍のスピードで済ませて電車に飛び乗った。
ある程度予想はしていたことだったが白石の姿はなかった。まぁ約束しているわけでも無し、当然と言えば至極当然だ。
それでも一瞬見ていないからと言って「さぁ帰ろう!」とはならず、とりあえず一服位しようかと座って、ニュースサイトを横目で流しながら二本目の煙草を吸い始めた時だった。
「…お兄さん?」
聞きなれていた声がした。
何となく前回あった時の様に逃げ出しそうになったが、俺から会いにきといて そりゃないだろうといつもより深く煙草の煙を吸ってより一層腰を据える。
330 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 00:24:32.18 ID:NvS4gIBG.net
「その、ね。大した理由があった訳じゃないの。
・・・音楽で生きていくって決めたけど大学通ってるわけだし、覚悟とかそういうのが必要だと思って。
お兄さんがいると、どうしても頼っちゃいそうで、だから。」
だから連絡もしないようにして、それだけじゃ自分の中では足りなかったのだろうから別れようなんて言ったんだろう。
こいつは昔からそうだ。
素直かと思えば恥ずかしがり屋で、イタズラ好きだけど耐性がなくて、でも最初っから、変わらず強いままだ。
強くあろうとしているし人の力を借りようとしない。
無性にそのことに腹が立った。
確かに頼りなかったと思う。それでも俺はお前の彼氏なのだから頼ってくれても良かったじゃないか。
出来ることに限度くらいあるだろうけど お前が必要としたときに横にくらいいてやれるのに。少しくらい支えてやれたかもしれないのに。
「ごめんね。今更。自分勝手だよね…」
どんな時より悲しそうに白石は笑う。
「何だよ、それ…」
331 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/11(日) 00:27:06.26 ID:NvS4gIBG.net
俺は俺でお前が幸せならって思ってたのに…ホントに勝手じゃねーか!
俺だっていまだに好きだから こんなに引きずって、悩んでるんだろうが!
それを今更…
「勝手ばっかりだね私…お兄さんにあった時にさ、もう一回って思ったりしたんだけど…迷惑だよねww」
ホントに勝手だよ。
勝手に進めんなよ。
勝手に迷惑なんて言うなよ。
俺は俺で色々あるんだよ。
ちょっと待てよ!
「すまん…ちょっと、時間くれ。」
「分かってる。電話の人でしょ。」
疑問符すら つかないその言葉がスッと白石の口から出てきた。
「先に謝っておくね…私の我儘で、たぶんどんな結論になっても お兄さん傷つくと思う。」
それでも、そう言って白石は続ける。
「私、お兄さんの事諦めきれないみたい…」
美しさを内包した儚い笑みで白石は俺に悲しげに微笑んだ。
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