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253 名前: 西宮雄一 ◆5ee66666 投稿日: 02/04/15 23:40
【2月10日 はれ】
最近は休みの日とかは ほとんど二人で出かけ、いろんな所へデート(?)した。
早紀はいっつも俺のそばを離れず、俺がちょっとトイレへ行こうとするにも ついていこうとするほど。かわいい。
そんな早紀と、とうとう今日、キスをしてしまった。
正確には もうすでにしているんだけど。
俺が会社から持ち帰った仕事を、部屋でノートパソコンに向かって励んでいると、そこへ早紀が大学から帰ってきた。
早紀は俺の背中にぴったり自分の背中をつけて、「疲れたよー」と、かまって欲しいオーラ全開で叫んだ。
「なに壊れてんだオメー」と声かけると、いきなり早紀は俺のわき腹をくすぐってきた。
そういう時は俺もやりかえす。
こういう意味不明なじゃれあいは もはや日常茶飯事だったから。
やさしく軽めに早紀を突き飛ばすと、早紀はオーバーに、転がって行った。
そこでドアに体当たりして、「痛たーーー」と頭抑えて涙目だった。あいかわらずアホな奴だ。
ふと早紀はドアのところから動かない。なにやら本棚と壁の隙間を眺めている。
「なに見てんだ?」「何これ?」「?」
早紀が隙間から取り上げたのは、写真立てだった。
そこには、俺と姉貴が昔スキー場でとったツーショット写真だった。
親父が撮ったもので、俺にとっては何の変哲もないタダの姉弟の写真だった。
どこへ行ったかと思ったら、こんな隙間に落ちていたのか。
早紀は「誰、この女の人?」と、さっきのじゃれあいモードから急に無表情になって言った。
そういえば、姉貴はここ一年音信不通で、早紀は俺の姉貴の顔をしらなかったのかもしれない・・・・
258 名前: 西宮雄一 ◆5ee66666 投稿日: 02/04/15 23:52
【2月10日 はれ】
「あ、いやそれ姉貴だよ。」と俺。
「うっそ〜、彼女でしょ。」と、冷やかしながら、しかし決して目が笑っていない早紀が返す。
「いや、姉貴だって。」
「本当に?」
「そうだよ、これだって。これが、俺にほら、クリスマスプレゼントとか毎年くれて・・・」
「ふ〜ん、でも仲よさそうだね。腕組んでるし。」
「ああ、んまぁ、ね。」
しばらく沈黙が続いた。
なんでこんな空気になったのかはわからない。
ただ、早紀はさっきとは うって変わって、ものすごく機嫌が悪くなっているのは確かに感じ取れる。
間に耐え切れなくなって、俺は背中を向けて仕事の続きをしようとした。
が、手につかない。間を繋ぐために、
「それ、俺が高校生くらいのころに家族3人でスキーいった時の写真なんだよ。家族でどこかへ出かけるなんて、それ以来なかったなぁ」
と、ペラペラしゃべりまくった。
「ふーん。」と、早紀は平坦な声で相槌を打って、俺の背中にぴったりと自分の背中を合わせて座った。
背後から早紀が話しかける。
「お姉さんってキレイな人だね。」
「そう?まぁ身内から見たらそれほどでもないと思うけどね。俺の友達は美人だって言ってたけど。」
「お姉さんのこと、好きだったでしょ?」
「え?何で?い、いや、別に?」
「だって、お姉さん、キレイだもん。」
流れがだんだん妙な方向に向かっていることはわかってきた。
【2月10日 はれ】
最近は休みの日とかは ほとんど二人で出かけ、いろんな所へデート(?)した。
早紀はいっつも俺のそばを離れず、俺がちょっとトイレへ行こうとするにも ついていこうとするほど。かわいい。
そんな早紀と、とうとう今日、キスをしてしまった。
正確には もうすでにしているんだけど。
俺が会社から持ち帰った仕事を、部屋でノートパソコンに向かって励んでいると、そこへ早紀が大学から帰ってきた。
早紀は俺の背中にぴったり自分の背中をつけて、「疲れたよー」と、かまって欲しいオーラ全開で叫んだ。
「なに壊れてんだオメー」と声かけると、いきなり早紀は俺のわき腹をくすぐってきた。
そういう時は俺もやりかえす。
こういう意味不明なじゃれあいは もはや日常茶飯事だったから。
やさしく軽めに早紀を突き飛ばすと、早紀はオーバーに、転がって行った。
そこでドアに体当たりして、「痛たーーー」と頭抑えて涙目だった。あいかわらずアホな奴だ。
ふと早紀はドアのところから動かない。なにやら本棚と壁の隙間を眺めている。
「なに見てんだ?」「何これ?」「?」
早紀が隙間から取り上げたのは、写真立てだった。
そこには、俺と姉貴が昔スキー場でとったツーショット写真だった。
親父が撮ったもので、俺にとっては何の変哲もないタダの姉弟の写真だった。
どこへ行ったかと思ったら、こんな隙間に落ちていたのか。
早紀は「誰、この女の人?」と、さっきのじゃれあいモードから急に無表情になって言った。
そういえば、姉貴はここ一年音信不通で、早紀は俺の姉貴の顔をしらなかったのかもしれない・・・・
258 名前: 西宮雄一 ◆5ee66666 投稿日: 02/04/15 23:52
【2月10日 はれ】
「あ、いやそれ姉貴だよ。」と俺。
「うっそ〜、彼女でしょ。」と、冷やかしながら、しかし決して目が笑っていない早紀が返す。
「いや、姉貴だって。」
「本当に?」
「そうだよ、これだって。これが、俺にほら、クリスマスプレゼントとか毎年くれて・・・」
「ふ〜ん、でも仲よさそうだね。腕組んでるし。」
「ああ、んまぁ、ね。」
しばらく沈黙が続いた。
なんでこんな空気になったのかはわからない。
ただ、早紀はさっきとは うって変わって、ものすごく機嫌が悪くなっているのは確かに感じ取れる。
間に耐え切れなくなって、俺は背中を向けて仕事の続きをしようとした。
が、手につかない。間を繋ぐために、
「それ、俺が高校生くらいのころに家族3人でスキーいった時の写真なんだよ。家族でどこかへ出かけるなんて、それ以来なかったなぁ」
と、ペラペラしゃべりまくった。
「ふーん。」と、早紀は平坦な声で相槌を打って、俺の背中にぴったりと自分の背中を合わせて座った。
背後から早紀が話しかける。
「お姉さんってキレイな人だね。」
「そう?まぁ身内から見たらそれほどでもないと思うけどね。俺の友達は美人だって言ってたけど。」
「お姉さんのこと、好きだったでしょ?」
「え?何で?い、いや、別に?」
「だって、お姉さん、キレイだもん。」
流れがだんだん妙な方向に向かっていることはわかってきた。
262 名前: 西宮雄一 ◆5ee66666 投稿日: 02/04/16 00:01
【2月10日 はれ】
こんな会話が続いている。
俺は仕事が手につかない、つくわけねーよ。
「まぁ、キレイかもね・・・」
「キスとかしちゃったりして」
「は、はぁ?してるわけないだろ・・・」
「本当に?」
俺はここで振り向いて言った。
「どした、なんかお前、変だぞ?」
すると、早紀も振り向いて、うつむきながら「なんでもない。」とつぶやいた。
おもわず顔を覗き込んでしまったのだが、これがまずかった。
突然顔と顔が急接近してしまい、しかもこんな空気だから、いやがおうにも緊張してしまった。
さらに悪いことに、妙な沈黙の間ができてしまったのだ。
こんな流れにそのまま身をまかせ、俺は『起きている』早紀と初めてキスをした。
3秒くらいの軽いキスだったが、唇を離した後、早紀は俺の首に手を回してもたれかかってきた。
そのまま動けなかった俺、、、、このあとどういうリアクションをとればいいか必死に考えていた。
268 名前: 西宮雄一 ◆5ee66666 投稿日: 02/04/16 00:09
【2月10日 はれ】
最初にしゃべったのは早紀の方だった。
「実はね・・」
「何?」
「本当は起きてたんだよ、あの時。」
その言葉を聞いて、俺は頭の先から体の中を水滴が突き抜けるような、フルフルっとした寒気を覚えた。
「あのとき?」と、一応必死にとぼけてみせた。
「大晦日の夜。キスしてくれて、すごくうれしかった。」
「・・・・・・・」
俺はもう、なにも言葉がでてこずに、そのまま早紀を抱きしめていた。
「なんか、その後お兄ちゃんが自分で自分をビンタしてる所も見てて、、、
お兄ちゃん、魔がさしたんだろうなぁって、ちょっと面白かったよ。
でも、もうしてくれないのかなって思ったら、なんか悲しかったんだけど、今こうやって、またキスできて、すごくうれしい。」
そうやって、時間にして5分くらいずっと抱き合ってた。
俺にとっては1時間くらいにも感じられたが・・・・あ〜あ。
275 名前: 西宮雄一 ◆5ee66666 投稿日: 02/04/16 00:15
【2月10日 はれ】
結局、家に持ち帰った仕事はそのまま止まったままだった。
早紀はそのまま眠ってしまっていた。
これも寝たフリか?と思ったけど、「疲れた」と言っていたし、とりあえずこの後どうしていいかわからないから早紀は疲れて眠ってしまったということにして、早紀をベットに寝かせた。
普段着のままだったけど、まぁいいや。
俺はタバコを吸おうとテーブルに手を伸ばそうとしたら、早紀は俺の手を引っ張った。
やっぱり寝たフリか・・・・
早紀に引っ張られるまま、俺もベットに入った。
そんでそのまま、早紀と抱き合ったまま俺もいつのまにか眠ってしまった。
まだ夜8:00だというのに。
こうして、長い一日(特に夜7:00〜8:00くらいの間が)は終わった。
俺も本当、疲れた。
283 名前: 西宮雄一 ◆5ee66666 投稿日: 02/04/16 00:39
【2月14日 はれ】
あれ以来、毎日キスしっぱなし。。。というわけではない。
別に普段どおり仲がいいだけだ。
あの日の次の朝も、普段と同じ感じで早紀は俺を「おはよう」って起こしてくれた。
まったく生活は変わらなかった。
ただ、朝いっしょに駅へ向かうとき、今までは手をつないでいたが、あれ以来 腕くんでこようとする。
近所でそれは さすがに抵抗があったので、俺はいやがったけどね。
巷はバレンタインデーというやつで、どいつもこいつも浮かれてやがる。
早紀はやっぱりくれるんだろうか?と、ちょっと夜遅い夜道を会社の女の子達にもらった義理チョコを食いながら期待していた。
家について最初にくれたのは英子さんだった。
結構高そうなチョコで4重くらいにピカピカの包装がしてあった。
開けると、やっぱり中身も高級品ぽかった。
すると早紀が台所の奥からかけよってきた。
「わ〜すご〜い、お母さんがくれたチョコ? もらいっ」と、俺より先につまみやがった。
英子さんは「あんたのじゃないの。」とチョップした。
「あんたは雄一さんにあげないの?」と、早紀は「あるってばちゃんと、はいこれ。」と俺にチョコを渡した。
思っていたよりは、全然まったく普通のチョコだった。ちょとがっかりだ。
まぁ、そんなこんなでほのぼのファミリーをかまして、俺はとっとと部屋へ戻った。
やっぱり早紀は、すぐ後からついて部屋に入ってきた。
「ふふん、そのチョコは前菜なんだよ。」
「前菜?」
俺は、早紀からもらったチョコをくわえながら聞いた。
「こっちのチョコがメインディッシュ。」
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