中学時代の仲間でかけがえのない人が出来た話
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538 :774RR:2005/06/03(金) 02:07:38 ID:9Sie5oWA
サボテン乙。
いつも思うけど、しっとりした文章でいいね。
おれはBGMDefTechだから雰囲気でねぇ・・
場違いでスマン。
540 :774RR:2005/06/03(金) 06:28:46 ID:QlpUcBjl
ついにイギリスでの話しが終わるのか!?
乙です。
--------------------
643 :サボテン:2005/06/07(火) 19:04:03 ID:Vt1NOV8C
>>535 からの続き
いつもの時間に目が覚める。急いで、朝食の支度をする。
お湯を沸かしている間にカミソリでヒゲを整える。
そして、手早く歯を磨きつつ頭にジェルを付けて軽く整える。
時計を見ると、あと20分で仕事場に行かなければならない。
車道を自転車で飛ばせばまだ間に合う。
急いで朝食を食べて腕時計を見る。
ふと、気づきよく考えてみると、店にはもうやめていたので、行かなくても良かったのだ。
それに気づき急に力が抜けた。
取りあえず、朝食をゆっくりと食べた。テレビも何も無いので暇だった。
取りあえず、湧かしたお湯でコーヒーを入れ直して飲みながら、ラジオを聞いた。
そのうち、暇に耐えかねて外に出てみた。
自転車に乗ろうと思ったが、自転車も譲ってしまってもう無かった。仕方なく歩いてブラブラすることにした。
いつもと変わりのない歩道と景色、空には真っ白な雲とぎらぎらと照りつける太陽があった。
イギリスで見る、空と太陽ももう少しで終りだなと考えると、少し寂しい気持になった。
川沿いを歩いていると、ベビーカーを押す若い女性が歩いていた。ベビーカーをちらと見ると、可愛い赤ちゃんがキャッキャッとはしゃいでいた。
笑顔で見ていると、母親であろう若い女性は、笑顔で会釈してくれた。
それに笑顔で答え、そのまますれ違っていった。
赤ちゃん可愛かったなぁ・・・。
いつか、自分も直美ちゃんと自分たちの子供と一緒に歩きたいな。そんなことを考えていた。
少し恥ずかしくなり、早歩きでその場を離れた。
つづく
644 :サボテン:2005/06/07(火) 19:04:29 ID:Vt1NOV8C
近くの売店で、お菓子と新聞を買った。
ベンチに腰掛けて少し休んだ。とてもいい天気で暑かった。
汗を拭きながら新聞に目を通したが、あまり目新しい記事は無く、そのまま閉じた。
お菓子の袋を開けて、口に頬張る。クッキーより、堅焼きせんべいが とても恋しかった。
直美ちゃんが、お土産にせんべいを持ってきてくれたとうに切れていた。
市内をぐるぐるするために、地下鉄「チューブ」に乗る。
席は結構空いていて快適だった。目指すはシャーロックホームズ博物館だった。
しばらく歩いてはみたものの場所がなかなか分からず、親切そうな おばさんに聞いたら そばまで案内してくれた。
丁寧にお礼をして、ホームズ博物館に向かった。入り口で、5ポンド払い中に入った。
直美ちゃんと来たかったなぁ。そう思いながら一人寂しく、中を回っていた。
一通り目を通して、またチューブで帰った。
昼過ぎにアパートに着いた。
色々外を回ってみたものの、あまりしっくりと来なかった。
そのままベッドに横になって寝てしまった。
つづく
645 :サボテン:2005/06/07(火) 19:05:02 ID:Vt1NOV8C
起きると、4時を過ぎていた。
何もすることが無かったので、本を取り出して読み始めた。
直美ちゃんが差し入れで持って来てくれた、宮沢賢治の銀河鉄道の夜を読んだ。直美ちゃんは俺が、宮沢賢治が好きなことを覚えていてくれたのだ。
そんな直美ちゃんに思いを寄せながら読みふけった。
ふと、直美ちゃんのことを色々考えた。
好きな食べ物は何だろうか、好きな動物は何だろうか、好きな色は?、好きな男性のタイプはどんな人?
直美ちゃんとは中学の頃からの付き合いだが、今まで友達として、つき合ってきたが、直美ちゃんについて知らないことが意外にも多かった。
日本に帰ったら、二人とも腹を割って色々なことを話したいと思った。
時計を見ると、夜の八時過ぎだった。と言っても、外はまだまだ明るい。
同僚から、プレゼントとして葉巻を数本もらった。
言われたとおりに、吸い口のところを切って、火をつけて吸ってみた。
美味いのか不味いのかも分からず、とりあえずはリッチな気分になれた。
葉巻をくわえたまま、本を置いて直美ちゃんが今まで送ってくれた写真を見ていた。
直美ちゃんは、どんな写真にも いつも変らない優しい笑顔で写っていた。
そんな笑顔が俺はとても好きだった。
そんな笑顔を見ていると早く会いたいという気持で一杯になった。
自分で言うのも恥ずかしいが、胸きゅんとは こんなことなんだろうか?と思った。
帰ったら、直美ちゃんの笑顔を死ぬほど見たかった。
そして直美ちゃんを抱きしめたかった。
暗くなると、会いたいという気持は一層強くなった。
それを紛らわせようと、煙草をプカプカと吸った。
数口吸うたびに、口の中が気持ち悪くなり水を飲んでそれを誤魔化した。
どうしようもなくなり、冷たいシャワーをずっと浴びていた。
その間は紛れたものの、シャワーを浴び終わると再び心臓が脈を早く打ち始めた。
寝れば楽になると思い寝袋に入ったが、結局朝まで眠ることは出来なかった。
つづく
646 :サボテン:2005/06/07(火) 19:05:34 ID:Vt1NOV8C
明日はいよいよイギリスを発つ日だった。
朝から、荷物を準備していた。
終わったのが、夕方になってからだった。
一人イギリス最後の夕食を食べていた。
ラジオからは軽やかなポップスが流れていたが、自分は複雑な気分に陥っていた。
日本に帰れば直美ちゃんとも会えるし、バイクで走れる。
だけど、イギリスを離れるのも少し辛かった。
イギリスであった出来事を思い出しながら、食事をしているとなんだか寂しい気分になり。泣きたくなってきた。
だが、グッとこらえて美味しくない夕食を無理矢理腹の中に詰め込んだ。
イギリス最後の日記を書いていた。
取りあえず今日一日のことを書き終わると、直美ちゃんに対しての思いを書きつづってみた。
スラスラと思った通りのことを素直に書きつづった。
不思議とこうしていると、寂しさは中和されて直美ちゃんと もう少しで会える、という気持が強くなり少しずつ明るさが戻ってきていた。
書きながら水を飲もうとして、水の入ったペットボトルを倒してしまい日記帳に水が流れて、濡れてしまった。
急いで、来ていたジャージの袖でぬぐうとインクが滲んでしまった。
仕方ないので、自然乾燥させようと洗濯ばさみでカーテンのレールに挟んでおいた。
それをみると、おかしくて笑いがこみ上げてきた。
直美ちゃんへの思いを綴った文章はミネラルウォーターが消してしまった。しかも読めなくなっていた。
だけど、なんがそのほうがいいような気がした。恥ずかしかったからだと思う。
もう一度トランクの中を確認した。忘れ物はなし、部屋に忘れ物もなし。
全てを確認してから、寝袋に入った。
そっとラジオを消すと、外からは時々車が走る音が聞こえてくる。
いつもは気にせず寝るのだが、その日だけは何故かその音が寂しく感じられた。
居たたまれなくなり、ラジオをもう一度つける。少し落ち着いて、そのままラジオをつけっぱなしで寝てしまった。
朝になると、ラジオは電池が切れたのか音が出なくなっていた。
つづく
717 :サボテン:2005/06/11(土) 01:16:50 ID:64GPaWu9
>>646からの続き
とうとう出発の日がやってきた。
待ちに待ったと言うのもおかしいのだが、とにかく直美ちゃんに早く会いたかったから楽しみではあった。
部屋を少し掃除して、寝袋をアタックザックに詰めて荷物を一つにまとめた。
部屋はカーテンも全て取りはらったから、日が差し込んでいた。
その日の差し込み具合と、ガランとした部屋を見るとなんとも虚しい気持に襲われた。
直美ちゃんがくれたシャツに着替えてみる。今の自分はこのシャツを着るのが一番好きだった。
それを鏡で見てひとり満足した。
結局出発まで部屋でぼーっと過ごした。
イギリスでの出来事を、思いだそうとしたが、何だか鬱な気持になりそうだったのでやめた。
ふと、自分のバイクのことが気になった。一応、長期保存に備えた整備をしてきたつもりだが心配だった。
でも、それを直すのもまた楽しみだろうなと思い、自分のバイクを思った。
昼を過ぎた。
やることがなかったので、お隣さんに挨拶してこようと思い、部屋の外に出た。
お隣さんの部屋をノックすると、黒人の女性が出てきた。
「今日、日本に帰ることになりました。お世話になりました」と、とっておきの、ごはんですよをプレゼントした。
「そう、あまりおつき合いは無かったけど気をつけて帰ってね」と握手してくれた。
もう隣に行く、中から出てきたのは普通の学生風の青年だった。何度か見たことはあるけど、話したことはなかった。
「今日、日本に帰ります。お世話になりました」
そう言うと、彼は片言の日本語で話し始めた。
「ニホンに帰りますか?あなた話したかったけど、なかなかむりでした。今度日本行きますから、その時話ましょう」と、笑顔でハグしてくれた。
そして、紙切れに名前と住所を書いた物をお互い交換した。
永谷園のお茶漬けをプレゼントしたら、えらく感激していた。
以前、日本で食べたことがあるらしい。
これもイギリスでの忘れられない思い出だった。
つづく
718 :サボテン:2005/06/11(土) 01:17:10 ID:64GPaWu9
そんなことをしているうちに、時間はもう空港に向かわなければならない時間になっていた。
アタックザックを背負い、トランクを片手に部屋を出た。
そして、鍵を差し込み錠を掛けた。
ふーっと息を吐いて、階段を下りる。
そして、大家さんの部屋に行き、鍵を返した。
「飛行機の中で食べて」とお菓子をもらった。お礼をして、外に出ると暑かった。
チューブに乗り空港に行くと、同僚らが待っていてくれた。
そこで、本当に最後の別れをした。
みんな涙を流しながら、別れを惜しんだ。
イギリスでの期間は短かったけど、みんな親友だ。
「ナオミによろしくね!」と、一人が言った。
俺はそれに、答えてその場を去った。
つづく
サボテン乙。
いつも思うけど、しっとりした文章でいいね。
おれはBGMDefTechだから雰囲気でねぇ・・
場違いでスマン。
540 :774RR:2005/06/03(金) 06:28:46 ID:QlpUcBjl
ついにイギリスでの話しが終わるのか!?
乙です。
--------------------
643 :サボテン:2005/06/07(火) 19:04:03 ID:Vt1NOV8C
>>535 からの続き
いつもの時間に目が覚める。急いで、朝食の支度をする。
お湯を沸かしている間にカミソリでヒゲを整える。
そして、手早く歯を磨きつつ頭にジェルを付けて軽く整える。
時計を見ると、あと20分で仕事場に行かなければならない。
車道を自転車で飛ばせばまだ間に合う。
急いで朝食を食べて腕時計を見る。
ふと、気づきよく考えてみると、店にはもうやめていたので、行かなくても良かったのだ。
それに気づき急に力が抜けた。
取りあえず、朝食をゆっくりと食べた。テレビも何も無いので暇だった。
取りあえず、湧かしたお湯でコーヒーを入れ直して飲みながら、ラジオを聞いた。
そのうち、暇に耐えかねて外に出てみた。
自転車に乗ろうと思ったが、自転車も譲ってしまってもう無かった。仕方なく歩いてブラブラすることにした。
いつもと変わりのない歩道と景色、空には真っ白な雲とぎらぎらと照りつける太陽があった。
イギリスで見る、空と太陽ももう少しで終りだなと考えると、少し寂しい気持になった。
川沿いを歩いていると、ベビーカーを押す若い女性が歩いていた。ベビーカーをちらと見ると、可愛い赤ちゃんがキャッキャッとはしゃいでいた。
笑顔で見ていると、母親であろう若い女性は、笑顔で会釈してくれた。
それに笑顔で答え、そのまますれ違っていった。
赤ちゃん可愛かったなぁ・・・。
いつか、自分も直美ちゃんと自分たちの子供と一緒に歩きたいな。そんなことを考えていた。
少し恥ずかしくなり、早歩きでその場を離れた。
つづく
644 :サボテン:2005/06/07(火) 19:04:29 ID:Vt1NOV8C
近くの売店で、お菓子と新聞を買った。
ベンチに腰掛けて少し休んだ。とてもいい天気で暑かった。
汗を拭きながら新聞に目を通したが、あまり目新しい記事は無く、そのまま閉じた。
お菓子の袋を開けて、口に頬張る。クッキーより、堅焼きせんべいが とても恋しかった。
直美ちゃんが、お土産にせんべいを持ってきてくれたとうに切れていた。
市内をぐるぐるするために、地下鉄「チューブ」に乗る。
席は結構空いていて快適だった。目指すはシャーロックホームズ博物館だった。
しばらく歩いてはみたものの場所がなかなか分からず、親切そうな おばさんに聞いたら そばまで案内してくれた。
丁寧にお礼をして、ホームズ博物館に向かった。入り口で、5ポンド払い中に入った。
直美ちゃんと来たかったなぁ。そう思いながら一人寂しく、中を回っていた。
一通り目を通して、またチューブで帰った。
昼過ぎにアパートに着いた。
色々外を回ってみたものの、あまりしっくりと来なかった。
そのままベッドに横になって寝てしまった。
つづく
645 :サボテン:2005/06/07(火) 19:05:02 ID:Vt1NOV8C
起きると、4時を過ぎていた。
何もすることが無かったので、本を取り出して読み始めた。
直美ちゃんが差し入れで持って来てくれた、宮沢賢治の銀河鉄道の夜を読んだ。直美ちゃんは俺が、宮沢賢治が好きなことを覚えていてくれたのだ。
そんな直美ちゃんに思いを寄せながら読みふけった。
ふと、直美ちゃんのことを色々考えた。
好きな食べ物は何だろうか、好きな動物は何だろうか、好きな色は?、好きな男性のタイプはどんな人?
直美ちゃんとは中学の頃からの付き合いだが、今まで友達として、つき合ってきたが、直美ちゃんについて知らないことが意外にも多かった。
日本に帰ったら、二人とも腹を割って色々なことを話したいと思った。
時計を見ると、夜の八時過ぎだった。と言っても、外はまだまだ明るい。
同僚から、プレゼントとして葉巻を数本もらった。
言われたとおりに、吸い口のところを切って、火をつけて吸ってみた。
美味いのか不味いのかも分からず、とりあえずはリッチな気分になれた。
葉巻をくわえたまま、本を置いて直美ちゃんが今まで送ってくれた写真を見ていた。
直美ちゃんは、どんな写真にも いつも変らない優しい笑顔で写っていた。
そんな笑顔が俺はとても好きだった。
そんな笑顔を見ていると早く会いたいという気持で一杯になった。
自分で言うのも恥ずかしいが、胸きゅんとは こんなことなんだろうか?と思った。
帰ったら、直美ちゃんの笑顔を死ぬほど見たかった。
そして直美ちゃんを抱きしめたかった。
暗くなると、会いたいという気持は一層強くなった。
それを紛らわせようと、煙草をプカプカと吸った。
数口吸うたびに、口の中が気持ち悪くなり水を飲んでそれを誤魔化した。
どうしようもなくなり、冷たいシャワーをずっと浴びていた。
その間は紛れたものの、シャワーを浴び終わると再び心臓が脈を早く打ち始めた。
寝れば楽になると思い寝袋に入ったが、結局朝まで眠ることは出来なかった。
つづく
646 :サボテン:2005/06/07(火) 19:05:34 ID:Vt1NOV8C
明日はいよいよイギリスを発つ日だった。
朝から、荷物を準備していた。
終わったのが、夕方になってからだった。
一人イギリス最後の夕食を食べていた。
ラジオからは軽やかなポップスが流れていたが、自分は複雑な気分に陥っていた。
日本に帰れば直美ちゃんとも会えるし、バイクで走れる。
だけど、イギリスを離れるのも少し辛かった。
イギリスであった出来事を思い出しながら、食事をしているとなんだか寂しい気分になり。泣きたくなってきた。
だが、グッとこらえて美味しくない夕食を無理矢理腹の中に詰め込んだ。
イギリス最後の日記を書いていた。
取りあえず今日一日のことを書き終わると、直美ちゃんに対しての思いを書きつづってみた。
スラスラと思った通りのことを素直に書きつづった。
不思議とこうしていると、寂しさは中和されて直美ちゃんと もう少しで会える、という気持が強くなり少しずつ明るさが戻ってきていた。
書きながら水を飲もうとして、水の入ったペットボトルを倒してしまい日記帳に水が流れて、濡れてしまった。
急いで、来ていたジャージの袖でぬぐうとインクが滲んでしまった。
仕方ないので、自然乾燥させようと洗濯ばさみでカーテンのレールに挟んでおいた。
それをみると、おかしくて笑いがこみ上げてきた。
直美ちゃんへの思いを綴った文章はミネラルウォーターが消してしまった。しかも読めなくなっていた。
だけど、なんがそのほうがいいような気がした。恥ずかしかったからだと思う。
もう一度トランクの中を確認した。忘れ物はなし、部屋に忘れ物もなし。
全てを確認してから、寝袋に入った。
そっとラジオを消すと、外からは時々車が走る音が聞こえてくる。
いつもは気にせず寝るのだが、その日だけは何故かその音が寂しく感じられた。
居たたまれなくなり、ラジオをもう一度つける。少し落ち着いて、そのままラジオをつけっぱなしで寝てしまった。
朝になると、ラジオは電池が切れたのか音が出なくなっていた。
つづく
717 :サボテン:2005/06/11(土) 01:16:50 ID:64GPaWu9
>>646からの続き
とうとう出発の日がやってきた。
待ちに待ったと言うのもおかしいのだが、とにかく直美ちゃんに早く会いたかったから楽しみではあった。
部屋を少し掃除して、寝袋をアタックザックに詰めて荷物を一つにまとめた。
部屋はカーテンも全て取りはらったから、日が差し込んでいた。
その日の差し込み具合と、ガランとした部屋を見るとなんとも虚しい気持に襲われた。
直美ちゃんがくれたシャツに着替えてみる。今の自分はこのシャツを着るのが一番好きだった。
それを鏡で見てひとり満足した。
結局出発まで部屋でぼーっと過ごした。
イギリスでの出来事を、思いだそうとしたが、何だか鬱な気持になりそうだったのでやめた。
ふと、自分のバイクのことが気になった。一応、長期保存に備えた整備をしてきたつもりだが心配だった。
でも、それを直すのもまた楽しみだろうなと思い、自分のバイクを思った。
昼を過ぎた。
やることがなかったので、お隣さんに挨拶してこようと思い、部屋の外に出た。
お隣さんの部屋をノックすると、黒人の女性が出てきた。
「今日、日本に帰ることになりました。お世話になりました」と、とっておきの、ごはんですよをプレゼントした。
「そう、あまりおつき合いは無かったけど気をつけて帰ってね」と握手してくれた。
もう隣に行く、中から出てきたのは普通の学生風の青年だった。何度か見たことはあるけど、話したことはなかった。
「今日、日本に帰ります。お世話になりました」
そう言うと、彼は片言の日本語で話し始めた。
「ニホンに帰りますか?あなた話したかったけど、なかなかむりでした。今度日本行きますから、その時話ましょう」と、笑顔でハグしてくれた。
そして、紙切れに名前と住所を書いた物をお互い交換した。
永谷園のお茶漬けをプレゼントしたら、えらく感激していた。
以前、日本で食べたことがあるらしい。
これもイギリスでの忘れられない思い出だった。
つづく
718 :サボテン:2005/06/11(土) 01:17:10 ID:64GPaWu9
そんなことをしているうちに、時間はもう空港に向かわなければならない時間になっていた。
アタックザックを背負い、トランクを片手に部屋を出た。
そして、鍵を差し込み錠を掛けた。
ふーっと息を吐いて、階段を下りる。
そして、大家さんの部屋に行き、鍵を返した。
「飛行機の中で食べて」とお菓子をもらった。お礼をして、外に出ると暑かった。
チューブに乗り空港に行くと、同僚らが待っていてくれた。
そこで、本当に最後の別れをした。
みんな涙を流しながら、別れを惜しんだ。
イギリスでの期間は短かったけど、みんな親友だ。
「ナオミによろしくね!」と、一人が言った。
俺はそれに、答えてその場を去った。
つづく
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