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友達の親父に喧嘩売った話
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42 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 22:58:28.621 ID:zFjzs8hM0.net
俺「そ・・そうなのか・・・」

坂倉「俺の親父と母ちゃんさ。俺が小さい時に離婚してさ。んで母ちゃん、2年前に新しい親父を連れてきたんだ。こいつさ・・・ロクでもねえ奴でさ・・・母ちゃんばっかに働かせて、自分は働かねえんだ。普通男が働いて女が料理したり洗濯したりするだろ?俺からするとそれがおかしくてさ・・・あるとき言ったんだよ。その親父に「仕事しねえの?」って。」

俺「・・・・・・・・・・・・・」

坂倉「そんとき、俺は胸倉つかまれて「誰に物言ってんだ!クソガキ!」っておもいっきりぶん殴られた。鼻血が出て、尋常じゃねえ痛さで泣いた。泣いてるのにまだ殴りかかってくるんだ・・・あんまり殴られるとさ。目の前が白黒になるんだよ。知ってるか?」

俺はそんな経験はない・・・・

なんて言葉を返したらいいのか戸惑った・・・

戸惑いを隠せない俺を見ながら坂倉はまだ話を続けた




44 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 22:59:51.449 ID:zFjzs8hM0.net
坂倉「俺が殴られて、泣いて、また殴られてを30分ぐらい繰り返したのかな・・ 最後意識がなくなったからわかんないけど・・・ で、意識が戻ったら母ちゃんがいたんだ。俺は泣きたかった。母ちゃんに助けてほしかった。ちょっと聞いただけでこんな目にあわす親父に怒って欲しかった。母ちゃんは俺に言った。

   「こ の バ カ!あ の 人 に 謝 れ !」



もう俺は坂倉が何を言っていたのかわからなかった。

ただ、あまりにも自分の理解できる範疇を超えた話を聞くと体が震えて声がでなくなることをこのとき初めて知った。



坂倉「俺はその日、親父に無理やり土下座させられた。母ちゃんも土下座してた。 親父は「ガキの躾はしっかりするって言ったんだろうが!んな生意気なバカガキならどっかに捨てて来い!と叫んでた。

   母ちゃんは「ごめんなさい。きちんと躾けるから許して」と泣いて謝っていた。

   俺はもう体に力が入らなくて、何が起こってるのかわからない・・ただただ謝らさせられて、やっと許しが出て鏡を見たら、俺の右目が完全にふさがるほど腫れて口から血を流しててびっくりした。

   それを見て俺は余計に怖くなった。暴力を振るわれたことじゃない。自分の息子がこんなひどいけがをしてるのに

   土 下 座 さ せ る 事 を 優 先 さ せ た 事 に !」




45 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:00:38.036 ID:zFjzs8hM0.net
俺は・・どうすれば・・いいんだろう?

こいつを・・どうしてやればいいんだろう?


タバコを吸って大人ぶって喧嘩が強いから俺は頼りになる男だ!なんて自分に酔っていた。

それが何の役にも立たないこと。

自分が子供だということに気がつかされた。


話を聞いてるだけで足が震えうまく酸素を体内に運べなくなりそうになった。

恐怖で浅く早い呼吸になるのを感じ もうやめてくれ!と叫びたかった。

声が出れば叫んでいたんだろうか・・・?







46 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:01:22.665 ID:zFjzs8hM0.net
坂倉「それまでは会話は一切しなかったオヤジ。特に暴力をふるってたわけでもなかった。ただその日を境に俺は事あるごとに暴力を受けてきた・・ 俺が帰ってきたから競馬がハズれたんだ!と怒鳴られ 泣きながら気をつけをさせられ殴られ続けた事もある・・・

   母ちゃんは・・・たすけ・・て・・くれ・・なか・・った・・」


キツメ目の少年は少し目尻を下げそこから一筋の滴を落とす。

その滴には・悔しさ・悲しみ・恨み・絶望 さまざまな負の感情が溶けている。

どこか大人びた表情の細見の顔が中心に向かってぎゅっと凝縮され年相応に見える子供の顔になっていた。




47 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:02:13.288 ID:zFjzs8hM0.net
坂倉「・・・はは・・わりいな・・こんな話して・・・」


俺「いや・・別にいいけど・・・」


坂倉「修学旅行明日もあるだろ?俺、風呂に入りたくねえんだ。背中にさ、すげえ火傷の跡があってさ。それ見られたくねえんだ。明日も入らなかったらお前心配するだろ?だからしゃべっちった。ごめんな。」


俺「・・・・・・・・・・・・・・・」


言葉というのは頭で考えてしゃべっていないのだと俺はその時深く理解した。

俺はこいつにかける言葉を必死に探した。

「元気出せよ」「俺が力になってやる」

そんな言葉が浮かんでは消えていく。

俺がどうこうしてやれる自信がない。

頭の中で浮かんでは消えていき俺の口からは何も出てこなかった・・・

人間、言葉を探すような状況じゃ会話はできない。


俺「・・・・わりい・・・何も言えねえや・・」




49 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:03:11.113 ID:zFjzs8hM0.net
坂倉「・・だよな・・何も言えねえよな・・・ 誰にも話したことなかったけど何も言えないのはわかってたんだ。でもせっかくだ。もうちょい聞いてくれ。」


そのあとも坂倉はしゃべり続けた。

虐待がひどく噂になり何度か児童相談所の人が訪れ問題になったこと。

血のつながらないオヤジが働きもせずパチンコに通いつめ、そこで暴れて問題沙汰を起こし近所で評判になってしまったこと。

それを母ちゃんがおびえ始め いきなり引っ越しさせられたこと。


そして近所で噂になったときに友達の家に行くと白い目で見られ「あなたの家、危ないんでしょ?」と心無い事を言われ「早く帰ったら?」と半ば追い出されるよな目に何度もあったこと。




50 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:04:01.999 ID:zFjzs8hM0.net
俺はそれを聞いて母ちゃんが「顔色をうかがってる気がする・・」というのが当たってたことに気づいた。


そして俺は坂倉と初めて一緒に夜明けを迎えた。

次の日は坂倉は俺を避けるように女たちと行動していた。


俺は俺でどうしてやったらいいのか?とか先生に言うべきか?とか考えたが 坂倉自身が怖くなってしまった・・・

まだ小学6年生に受け止められるレベルの話ではなく その話を聞いたこと自体を無かったことにしたかった。


恐怖から俺は坂倉と行動を共にできず 修学旅行は終わりを迎えた・・・




51 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:04:44.283 ID:zFjzs8hM0.net
修学旅行が終わり その後、一瞬間ほど俺は坂倉と口を利かなかった。

気まずさと恐怖でどう接していいかわからなかったのだ。


ただ家に帰れば頭の中は坂倉の話で埋め尽くされろくに寝れない日が続いた。


どうしたらいいのか・・・?

先生に相談すべきなのか?

いろいろと考えを巡らすが結論はでなかった。




53 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:05:34.971 ID:zFjzs8hM0.net
俺は最低だと思ったが違う小学校に通ってた本田に電話して今まで坂倉から聞いた話をそのまま伝えた。

誰かに聞いて欲しかった。

俺だけじゃ抱えきれないし誰かに力になって欲しかった。


本田は幼稚園からの幼馴染で仲もよく泊まりにいったりきてたりしてたほど。

小学校4年生の時に家出を画策し 夜中に抜け出して警察に補導されたりa 祭りの最中に爆竹をぶっぱなして大騒ぎにさせたりと一緒にバカをやってきた仲間。


同時に柔道を小学校4年から始め 喧嘩もなかなか強く性格も豪快だったこいつに相談した。


話を聞いた本田は俺にこう伝えた。

「んじゃさ、俺とその坂倉と1と・・・ ん〜、もう一人は俺が見つけるわ。相手は大人だし4人掛かりでさ。その親父をボコボコにしよう !」







54 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:06:33.158 ID:zFjzs8hM0.net
俺「は・・はぁ?何言ってんだお前・・・」


本田「だってそれしかねえじゃん。 助けてやりたいんだろ?そのおやじが俺たちにボコボコにされてびびったら もうその坂倉ってやつに手を出せないだろう?

大丈夫。俺もお前も喧嘩強いし、坂倉ってのも強いんだろ?もう一人連れて行きゃ絶対勝てるって!なんかかっこよくね?」

俺には出ない発想だった。

普通は誰か大人に相談するべき!って思いその大人に誰を選ぶのか四苦八苦する所だ。

だけどこいつは子供たちの力だけでなんとかしようと言ってきた。


俺は何も坂倉に声をかけてやれなかった悔しさがあった。

大人ぶってたけど何もできない子供だって思い知らされた。

でも・・ここで・・大人を打ち負かすことができたら・・・


頭の中でぐるぐると駆け巡るが答えはすぐに出た。




55 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:07:15.181 ID:zFjzs8hM0.net
「よし!やろう!ぶっ殺してやろうぜ!」

俺は明確な目標が出て俄然やる気になった。


その後、子供の考えはしょせん子どもの考え。

現実は厳しく警察も出てくる大騒動になり ひどい目にあうとも知らずに意気揚々とはしゃいでいた。




56 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:08:07.300 ID:zFjzs8hM0.net
まずは坂倉を説得しなきゃならない。

ただ坂倉がこの話に乗ってくるか?

正直微妙だと思っていた。


まず坂倉にとっては暴力をふるわれようとも家族だということ。

既に虐待にあっていて親父に対して恐怖心を抱いてしまってること。


いじめられっこは仕返ししようと思っても

今まで傷つけられた経験が頭をよぎり絶対に反抗できない精神状態になると聞いたことがある。


ただのいじめじゃない。虐待レベルのダメージを体異常に精神に傷つけられてるあいつが この話に乗ってくるか?

しかし悩んでも答えはでない。

その電話をした次の日に学校に向かい もう何も考えず坂倉に話しかけてみることにした。




57 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:08:48.218 ID:zFjzs8hM0.net
俺「・・・・よう・・・」

坂倉「・・・・おう・・・」

俺達は修学旅行以来口を聞いていない。


俺はこいつの力になりたいと思っていたが抱えきれずに逃げ出したしまっていた。

坂倉からしたら自分の弱みを晒したのにびびって逃げた奴にうつってるはずだ。




58 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:09:59.709 ID:zFjzs8hM0.net
お互いがお互いを牽制しあうような空気。

どっちも二の足が出ず膠着してた所に一人のブスが現れ空気を壊してくれた。


ブス「あ〜!おまえら元サヤに戻ったな〜!マジでホモなんじゃないおまえら〜!」

俺「バカか!俺らはホモじゃねえよ!」

坂倉「お・・おう・・でも俺はこいつのこと好きだけどな。」


・・・・・言葉が出なかった。

俺はこいつを裏切った形を取ったのに こいつは俺の事をまだ信じてくれてた事が本当に嬉しくて ブスがいなかったら泣いてたかもしれない。




59 :以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/03/27(水) 23:10:51.893 ID:zFjzs8hM0.net
ブス「うわ〜!マジで坂倉君?マジでホモ?」

坂倉「ホモじゃねえけどこいつは好きなの!それでいいだろ?」

俺「俺は・・・愛してるぜww」

ブス「あ〜!きもいきもい!仲良くどうぞ!お邪魔しました!」

坂倉「ぷっ・・おまえ愛してるって・・・気持ちわりい〜!近寄んなよ!」

俺「お・・お前の方こそ好きだとかいうなよ。おまえはモテるけど俺はモテねえんだぞ!」


小さなキッカケをくれたブス。俺は今でも感謝してる。








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カテゴリー:人生・生活  |  タグ:すっきりした話, 面白,
 

 
 
 
 

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