巨乳の同僚
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「ゴメンね」
俺が弱々しく謝ると、少し不安が抜けたようだ。
すぐに寝息が聞こえてくる。幹線道路の明かりは寛子の漆黒の髪、白い肌、胸、足を照らす。稀に混じるオレンジの光。本当にかわい
い姿だった。
そのまま寛子は起きることもなく、着く直前の信号待ちで起した。もう、ストッキングを履いてない膝を触るようなことはせず、肩を叩く。
慌てて起きて、手荷物をまとめる寛子。俺はいつもの笑顔をつくり、別れの挨拶をした。
「今日はゴメンね。ばいばい」
俺の態度に安心したのか、寛子もいつもの調子を取り戻し、かわいい笑顔で挨拶を返してきた。
「バイバ〜イ」
実家に着くまでの車の中で考えた。
結局、寛子は俺がイクかなかったことも、自分が何もしてないことも気になってないようだった。
お姫様は自分が気持ちよくなればそれでいい。
俺への心配や、気持ちよさのことなど大した問題ではないのだろうか。それ以上に今日の自分の状態があまりにおかしすぎて、俺のことなんて頭にないか。
失望はしていない。改めて寛子の性格を確認しただけだ。
その後、全くいつものように過ごし、寛子の結婚が公開された。朝礼で改めて紹介された時は、少し落ち込んだ。
改めて俺は寛子のことが好きだったことに気付いた。ただし、愛しているという訳ではなく、かなり気持ちが傾いていたという状態だと思う。
冷めていたとはいえ、その後に訪れた彼女との別れの時も、やっぱり好きだった気持ちが残っていたことに気付いた。
俺に「気にするなよ。スカイでもなくてもメロンもある」と声を掛けてくる人もいた。
寛子と話す機会は、もともと少なく無理に話そうとは思わなかった。
検定には二人とも合格していたが、寿退社の迫る寛子と検定自体に価値を感じない俺。
その間に、「一緒に」の意味は欠片もない。それでも、取り留めのない会話もするし、笑顔で話せた。
寛子の最後の勤務日は後片付けで22時くらいまで残業していた。このくらいになると、寛子の帰りの電車は少なくなる。俺は翌日の土曜日も勤務もあり、その日はまだ仕事が残っていた。
「送ってくれない?聞きたいこともあるし」
久しぶりに声を掛けられた。さみしそうな顔をしてきたが、今から運転して遠い実家に帰る意味は俺になく、結婚を控えた寛子に一時間以上二人でいることが嫌だった。
「今は、疲れてるし…」
はっきりと喋れずにモゴモゴしていると、珍しく急に怒り出した。
「はっきり言ってよ!」
強い口調。
「明日も仕事だし、今日もまだ終わってないから…」
この「…」が決定的だった。
最後の言葉は、
「男っていつもはっきりしない。あなた、最低ね」
だった。
「男って」と言われても、なんで?という気分だった。
これは後 に寛子の後輩から聞いた話なのだが、結婚準備で忙しく最後の方は相当怒りやすかったらしい。とにかく、最低な終わり方だった。
同期のつながりで、どこで何をしているかは情報が入ってくる。今は一児の母のようだ。
たまに何してるか気になることはある。しかし、行動として、連絡を取るつもりもないし、会う気なんてない。お互いこれで良かったのだと思う。
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