社会人になってはじめの1ヶ月は研修で、彼女は同期と研修所で楽しくやっているようだった
毎晩のように酔っ払って電話をかけてきていたが、月の半分がたったころにはそれもなくなった
ぼくは不安に思ったが、自分から電話をかけると迷惑になるだろうと思って我慢していた
電話はなくとも、LINEは毎日きていたため変化に不安はあっても彼女が何かしているとは考えなかった
考えても仕方ないし、何よりぼくは一度過ちを犯しているから一度なら許そうと思っていた
そしてやっと彼女が研修から帰ってくる日がやってきた
大学1年の頃から付き合い始めて4年間、毎週かかさず会っていたので1ヶ月も会わないことは初めてのことで、とても苦しかった
彼女に何を食べたいか聞くと、なんでもと言うので焼肉屋を予約してから彼女がくるのを待った
しかし駅に現れた彼女は、勘が悪いぼくでも気がつくくらい、思いつめた表情をしていた
それでも気がつかないフリをして、バカを演じて店に向かった
彼女はよく食べるほうだ
男のぼくと同じくらいよく食べる
その彼女の箸が止まりっぱなしだった
彼女が何か言おうとするたびバカなぼくはそれを遮ってどうでもいい話をした
そのうち彼女も諦めて普通に笑ってくれた
その日は金曜日だったので2時間で店を追い出されてしまった
ぼくと彼女は手を繋いで4年間何度も通ったぼくの家に向かう道を歩いた
彼女はずっとうつむいていた
ぼくの家について、ぼくはシャワーを浴びることを提案した
彼女も一緒にシャワーを浴びた
シャワーを浴びながらぼくは彼女を抱きしめた
久しぶりに会う彼女に我慢がきかなくなって、そのままキスをした
彼女もぼくの舌を受け入れてくれた
シャワーをとめると、狭い浴室にぼくたちのキスと音にまじって興奮した吐息が漏れるのが反響していた
彼女も興奮しているのが分かったので、ベッドに誘うと、返事の代わりに彼女からキスをされた
ぼくは彼女を抱えてそのままベッドになだれこんだ
1ヶ月の空白を埋めるように、激しく求めあった
しかし、彼女が帰ってくるのを楽しみにオナ禁していたのが仇となったのか、あまり長くはもたなかった
ぼくも彼女も笑ってしまい、張り詰めていた糸が切れてしまった
ぼくは彼女にごめんと言い、いったあともしばらく彼女の中にいた
彼女はぼくを優しく抱きしめると、言わなきゃいけないことがあるの
と言った
ぼくはしまった、と思ったが
もうバカのフリは通用しなかった
ぼくは体勢を整え、彼女に腕まくらしてあげるようにしてから、言わなきゃいけないことって何?
とできるだけ穏やかにたずねた