妻の姿は視界にはありませんが、時折聞こえる声からすると同じ部屋に居るようでした。
カメラはベッド全体を足元の高い位置から写し込んでいます。
「お待たせしました」という声と共に女の姿が現れました。
それは紛うことない妻・遙海でした。
ベビードール、いやキャミソールというのでしょうか、淡いグリーンの薄物を纏っただけの姿で、男の待つベッドに妻はもぐり込みます。
透き通ったキャミソールの下に、妻はパンティを穿いているだけでブラジャーは着けていません。
ミニのキャミソールから、はみ出した艶やかな太腿の白さが目を射ります。
上掛けをまくってもぐり込む時、女らしく盛り上がった妻の尻が突き出され熟れた果実のようにうねります。
その時、新聞を手から離し、隠されていた男の顔がカメラに晒されます。
その顔は、あの日、霊安室で見た木原の顔に間違いありません。
やはり、この男が妻をおもちゃにしていたのだと、私は錐を指されるような痛みを胸に感じながら画面から目を離すことができませんでした。
恐らく妻と木原は、これまでにも何度も秘密の逢瀬を重ねてきたに違いありません。
ベッドの中での二人は、恋人か長年連れ添った夫婦のように自然で馴染みきった男と女の姿でした。
仰向けの男の体に寄り添い、妻は甘えた仕草で男の胸に頬を擦り寄せていきます。
逞しく厚い男の胸に生えた胸毛を指先で弄りながら、妻は男の顔を見上げて言いました。
「木原さん、今日はたっぷりね、お願い」
妻の口から、こんな言葉が出ようとは想像もつきませんでした。
私の知る控えめで淑やかな妻は、夫婦の交わりの時でも自分から積極的に求めたり、ましてそれを口に出してねだるようなことは一度もありませんでした。
妻の豊かに張りつめた胸にむっちりとしたヒップ、そして、その間の腰は小気味よくくびれていて、胸と尻の豊かさを引き立てます。
しかし、着痩せするタイプなのか、服を着ていれば外からは、そんな風には見えません。
整ってはいても決して冷たくは見えない愛くるしい顔立ちの下に、熟れた女の体を隠している妻は、私にとって最高の女でした。
付き合いだして男と女の関係を結び、結婚し今に至るまで、何度、そんな妻の女らしい体を味わったことか。
けれども遙海は、私に抱かれてもどこまでも淑やかな妻でした。
決して不感症というわけではありませんでしたが、あのときの声も慎ましやかで、感じながらも、ついつい漏れてしまう喘ぎ声を押し殺しながら達する妻をとても愛おしく思っていたのでした。
ですから、さっき見たバスルームの戯れでの憚りを忘れたエクスタシーの姿や、今目の前で見る、男に絡みつくようにしながらの睦
言など、到底、私の知る妻からは想像もつきません。
しかし、ビデオに記録された容姿も声も、妻・遙海のものであることは否定できない冷酷な事実なのでした。
私の知らない妻が、ビデオ映像とはいえ、目の前で男と睦み合っています。
「今日から旦那さんは出張だったよな。昨日の晩は可愛がってもらったんじゃないのか? 」
「いやっ、主人のことは言わないで!」
私のことを木原が口にしたとたん、妻は身を固くして驚くほど激しい口調で木原の言葉を遮りました。
ある意味、私は妻のその態度にホッとしました。
木原と不倫関係にあっても、遙海は私に対する罪悪感だけは持っていたと感じたからです。
しかし、次の瞬間、私の淡い願望は粉々に砕かれてしまいます。
「今日の遙海はいつもとは違う遙海よ。今日の遙海を可愛がってぇ」
「ああ、そうだったな。俺に抱かれる時は、もう一人の遙海に変身するんだったな。よし、たっぷりと可愛がってあげるよ。いけない遙海を……」
木原は私の妻を、さも当たり前のように「遙海」と呼び捨てました。
そう言うと木原は体勢を入れ替え、抱きすくめるようにして上から唇を奪いました。
心待ちにしていたかのように、自分から唇を開き男のキスを受け入れていく妻。
男の頭の影になって二人の口元はほとんど見えませんが、マイクが捉える濡れた音が口づけの深さを伝えます。
次第に激しさを増す口づけに、妻が洩らす甘い鼻声が大きくなっていくのは息苦しさのせいだけではないようでした。
3分以上も二人のキスは続いています。
妻はもう、塞がれた口で絶え間なしに喘ぎながら腰をくねらせています。
男の背中に回された手が、すがりつくような動きでさまよい、唇を吸い合う濡れた音が私の耳に突き刺さります。
「あぅっ、ああっ……」
男の大きな手が、キャミソールの上から妻の胸を覆い、絞り込むような動きを始めると、逃れるように離した妻の唇から、熱い吐息と一緒に短い叫びが上がりました。。
男の手は乳房の張りを楽しむように自在に動き、それに応じて豊かな双丘が重たげに揺れます。
キャミソールをまくり上げられれば、たわわに実った乳房の中央に、固くしこった両の乳首が突き上げていました。
そこへ顔を伏せると、すぐに男は乳首を口に含み舌を絡ませ吸い始めました。
チュッ、ジュッ、ジュルッ、チュバッ……
「んんっ、はぁっ、あぁっ……」
音を立てて激しく乳首を吸われ、もう片方の突起を指先で払うように弄られ、遙海は胸を突き上げるように身を反り返えらせます。
両乳首への口と指での愛撫が交互に繰り返され、ただでさえ豊満な胸が波打つように男の眼前に突き出される様は、妻自らが乳首への激しい愛撫を欲しているとしか思えないあからさまな動きでした。
やがて男は乳首から口を離し、妻の耳たぶを甘噛みしながら、親指と人差し指で両方の乳首を摘みひねり上げます。
「あぁっ……だめぇぇ……はあぁあっ……」
激しい喘ぎとともに高い嬌声が妻の口から飛び出します。
男の指の動きは、愛撫と言うよりも拷問に近いほど荒々しいものでした。
丘の上の敏感な蕾を摘み上げ、ひねり、千切れてしまうほど引っ張り上げるのです。
妻は、乳首の敏感な女です。私との時でも乳首への愛撫だけで十分にあそこを濡らします。
逆に少し乱暴になると、痛みを感じるらしく、夫婦の閨では乳首へのキスも指での愛撫もソフトタッチを心がけてきました。
そんな風に私が愛おしんできた妻のデリケートな蕾をこんなに乱暴に痛めつけるように扱うとは……。
私は男に対して殺意に近い憎悪を感じながらも画面から目を離すことができませんでした。
「あぁっ……いっ……いぃっ……」
上掛けをはね飛ばす勢いで脚をばたつかせ、妻は叫ぶように快感を訴えます。
まるで強姦魔が女に対して取るようにな、女の体の感覚を無視した行為であるはずなのに、痛みを感じて嫌がるどころか、あの淑やかな妻がベッドの上で狂おしく体をくねらせ、快楽を訴える叫びを上げているのです。
「あぁん、いいのぉ……もっと、もっとよぉ……いじめてっ……遙海をいじめてぇ!… …」
荒々しい乳首攻めに、無残にも二つの蕾は固く真っ赤に腫れ上がっているにもかかわらず、妻は、更に強い刺激を求めて嬌声を上げながら男にしがみつき、おねだりの言葉を叫びます。
映像に記録された妻は、我が妻でありながら、すでに木原という男のものになりきっていました。
そんな隠された事実を妻の死後に知らされるとは……。胸を掻き毟られるような怒りを感じて画面を見つめる私の顔は鬼の様相を示していたことでしょう。
二人の激しい動きに上掛けはベッドからずり落ち、妻はレースで飾られた極小のパンティ一枚のみの裸身をすっかり晒してしまいました。
もう既に官能の虜になっているのでしょう、膝を立て艶やかな太腿を大きくM字に開いた妻は、尻をシーツに擦りつけるように絶え間なくくねらせます。
色白の体が桜色に染まり、滑らかな肌が汗ばんでオイルを塗ったように光っていました。
その時、あることに気づいて、私の目は一点に吸い寄せられました。
漆黒の恥毛がレースに透けるパンティの、ぴったりと股間を被う部分に濡れたような染みが広がっていたのです。
その事実に打ちのめされて私は言葉を失い、体を震わせながら食い入るようにその一点を凝視し続けました。。
「おっぱいだけじゃイヤっ、、オ、オマンコも可愛がってぇ!」
信じられませんでした。
妻がこんなことを口にするなんて……。結 婚前も含め私との交 わりの中で、一度も口にしたことすらない淫らな四文字言葉を叫んで遙海は、女にとって一番恥ずかしい部分への愛撫を自らせがむのでした。
「オマンコがどうなってるんだ? 遙海」
「ああっ、熱いの、オマンコ熱くなってるのぉ……」
からかうような男の問いかけに、堪らない様子で細腰をくねらせ切れ切れに答える遙海。
「熱いだけなのか?」
「はんっ……もう、溢れてるのぉ、オマンコ……」
「じゃあ、確かめてみろよ」
妻の次の行為は私を更に驚かせるものでした。
シーツの上を這い回っていた妻の右手が滑らかな腹をすべり降り、ゴムをくぐってパンティの中に差し込まれたのです。
「ああんっ……いっぱい……」
その言葉どおり、パンティから現れた遙海の指先には透明な粘液が糸を引きます。
「ねえ、お願い、オマンコ、可愛がって……お願いよぉ……」
クールな表情で見おろす男の顔を、目元をすっかり上気させた顔で見つめながら妻は切なく体をくねらせ哀訴の声を上げ続けます。
「ああ、いいよ。でも、その前にいつものように見せてみなさい」
「ああん、いじわるぅ……」
聞いていられないような甘い睦言が二人の間で交わされ、妻は口に含んだ濡れた指先を
再びパンティの中に滑り込ませました。
「ああっ……あぅっ……」
大きく開かれた太腿の間、パンティの中で妻の手が一定のリズムで動き、左手は自ら掴んだ豊満な乳房の先端、尖りきった乳首を弾くように絶え間なく律動し始めます。
レースと濡れた薄布を通して、パンティの中の指の動きがはっきりと見て取れ、切ない喘ぎに混じって、クチョクチョいう濡れた音まで聞こえてきます。
信じられないことですが、すぐ横に胡座をかく男の目の前で、妻は女として最も恥ずかしい行為、自慰にのめり込んでいきました。とても嫌々しているようには見えません。
しかも、男は「いつものように見せてみろ」と妻に命じているのです。これまでも、私の知らないところで、何度も何度も妻は、この男の前でオナニーショーを披露してきたのでした。
そして今も、男の目の前に痴態を晒すことで、妻はますます乱れ、激しく喘ぎながら登りつめていったのです。
それは私の中にある妻・遙海の面影を粉々に打ち砕く光景でした。
「いいっ、いっ……いっ、いくっ、いくぅっー……」
パンティの中で妻の手が秘部を鷲掴みするように荒々しく動き、高々と浮かせた腰が二度、三度と痙攣します。
エクスタシーの痴態を男に見られながら、終に妻は切れ切れに最後の言葉を叫びました。
それは、妻が男の牝となったことを告げる屈服の叫びでした。
茫然としてモニターを凝視していた私は、妻の次の言葉を聞き漏らすところでした。
「ねえ、あなた、遙海のパンティ脱がせてぇ……」
遙海は、木原という男のことを「あなた」と呼んだのです。
始めて抱いた時、遙海は処女ではありませんでした。それはそうでしょう。
25歳の健康な女性に、それまで一人や二人の恋人がいたって何の不思議もありません。
私が初めての男でなかったからといって、遙海の過去をあれやこれやと詮索するようなことをする気も私にはありませんでした。
ありのままの遙海を私は受け入れ、遙海もまた、私のすべてを受け入れてくれました。
そうして、結婚以来6年間、私たちはこの世に唯一のパートナー・夫婦として、互いを分かり合い愛しあってきたと思っていました。
当然、遙海が「あなた」と呼ぶのは、この私以外にいないものと信じ込んできたのです。
「早くぅ、あなた……遙海のパンティ脱がせてぇ……」
媚びを含んだ声で私以外の男を「あなた」と呼ぶばかりか、その男にあからさまな言い方で、体を覆う最後の下着を取って欲しいとねだる遙海を、我が妻と呼ぶことはもうできません。
私は何も知らずに、こんな淫らな性情を隠していた女と「夫婦」として暮らしてきたのです。
何と愚かで滑稽な夫だったのでしょう、私は……。
そう思った時、先ほどまで混乱の極みだった私の頭の中は、不思議と澄み切っていきました。
そして、どす黒い欲望が私の胸の中にむくむくと育っているのを感じたのです。
その殺意にも似た暗い欲望は、木原に向けられたものではありませんでした。
それはまさに遙海に向けた暗い怨念でした。
その時、私は股間に、スラックスを突き破らんばかりにこわばりがそそり立っていることに気づいたのです。
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画面では、四つん這いになって高く掲げた尻をくねらせる遙海の腰に手を掛け、木原がパンティを引き下ろしていました。
白く豊満な尻が男の目の前でゆっくりとあらわになっていきます。
驚くほどの愛液が溢れ出しているのでしょう、重く湿ったパンティクロッチは離れることを嫌がるように一瞬、股間に張り付きます。
クロッチと割れ目の間に遙海の淫らさを証明する粘液が長く糸を引くのがはっきりと捉えられています。
高く尻を掲げ、女の秘めた部分を無防備にさらけだす最も恥ずかしい姿勢で、遙海は男の口づけを秘裂に受けてのたうち回ります。
張りつめた尻肉を両手でかき分け、男の舌は秘裂ばかりか、その上に咲く小さく引き締まった菊の花にまで這い回ります。
「はぁーん、んんん……そ、そうよぉ……もっと、もっとぉ、舐めてぇ……」
横向きにシーツに押しつけられた遙海の顔は快感に歪み、その口からは涎さえ垂れています。
そのあられもないよがり顔が私の歪んだ暗い欲望を爆発的に増幅していきます。
いつの間にか私は、ブリーフも脱ぎ捨て、剥き出しになった下半身に屹立するこわばりを激しく手でしごき始めていました。
「ねえ、キスだけじゃイヤぁ……ゆ、指もちょうだい!」
「どこに欲しいんだ? 遙海」
意地悪く訪ねる男に叫ぶような声で遙海はねだります。
「オマンコよ、オマンコぉ……遙海のオマンコにあなたのエッチな指をちょうだい!」
「オマンコか、こっちじゃないのか?」
クリトリスにゆるゆると舌を這わせながら、男の指は隠微な後ろの窪みの周りを円を描くように撫で回します。
「ああん、そっちじゃない! オマンコに入れてぇ!」
「よしよし、淫らな奥さん、こっちは後のお楽しみにとっておくか」
男の言葉は、遙海が既にこの男に最も恥ずかしい排泄孔・アナルまで捧げていたことを示唆しています。
シーツの上に仰向けに体を開いた遙海の股間に手を伸ばし、木原は重ねた二本の指を秘裂に差し入れていきました。
「はぅっ、そ、そうよ、ここに欲しかったのぉ……いけない遙海を可愛がってぇ……」
愛液に溢れた秘裂は男の太い指を難なく納め、指が中で動き始めると、それと同期して遙海の腰のくねりはすぐさま悩ましく狂おしいものに変わっていきます。
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