イケメン同期に振り回された俺の人生について語る
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54 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:35:34.44 ID:SHhZ1Aus.net
「あ、ご、ごめん。ど、どうしよう。」
白石も戸惑っていた。そりゃそうだ。
「ど、どうしようっていうか、え、ど、どうしよう。」
「ごめん、あの、気づかれたことなかったから・・・。」
白石はついに目を伏せてしまった。
俺の暴露で白石がこんなに動揺すると思わなくて、逆に俺が動揺してしまった。
55 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:36:35.85 ID:SHhZ1Aus.net
たしかに白石は いままでプリキュア好きな素振りを微塵も出してないし、なぜ気づいたのか、もし突っ込んで聞かれたら明確に答えることができない。
さすがにカンで気づけるものじゃないし、カバンを漁ったことがバレたら俺のほうがピンチだ。
どうしてこんな簡単なことに気づかなかったのか。みんなの前で言わなくてよかった。
てか、もしかして こいつすでに気づいてるんじゃないか?やばい。やばいぞ。
「僕、外で寝ます。」
俺が脳内でパニック劇場を繰り広げている間、白石は急に立ち上がって部屋を出て行こうとした。
56 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:38:12.93 ID:SHhZ1Aus.net
「え、いや、いやいや、なんでだよ。」
「同じ部屋で寝るの、嫌じゃないですか?」
「いや、なんでだよ。」
俺はとんでもない罪悪感に襲われていた。
プリキュア好きって言っただけで そんなにショック受けるか!?よかった、ほんとよかった!みんなの前で言わなくて!
そのときの俺は、そういう気持ちでいっぱいだった。
「気にしなくて大丈夫なので・・・。」
白石は、そのまま俺に背を向けた。
57 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:39:32.23 ID:SHhZ1Aus.net
「いや気にするから!いいから、いいから座れって。別に、誰が何を好きになっても そんなの個人の勝手だろ。」
完全に自分の行動を棚に上げた発言だったが、いまは白石を引き止めなければ、そう思って必死だった。
「そんなんで気持ち悪いとか思わないから。とにかく座れって。あ、てか俺が気持ち悪い、やばい吐きそう、アル中で死ぬかも、看病してくれよ。」
酒に潰れた後遺症は完全にすっ飛んでいたが、その言葉を聞いて、白石は布団の上に戻ってくれた。
相変わらず、視線は落としたままだったが・・・。
58 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:40:40.73 ID:SHhZ1Aus.net
「俺さー、白石とプリキュア好きって話しようと思ってたんだよ。ほら、いまやってるハートキャッチの、サンシャインの変身シーンやばかったよな、子どものアニメに気合入りすぎだろっていうか、すげーっていうか・・・すげーっていうか。」
すでに自分自身なにを言ってるかわからない状態になっていたが、俺の取り繕った話を聞いて、白石は心底驚いた顔で、俺を見上げた。
「石黒くん、プリキュア好きなんですか?」
あ、あれ・・・?いまそういう話になっちゃってる・・・?
59 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:41:50.39 ID:SHhZ1Aus.net
「好き・・・かな?好き・・・かも?てか、急に敬語やめろよ。」
「ご、ごめん・・・。」
白石は またしょんぼりした顔に戻ってしまった。
「なんつーか、俺も突然ごめんな。」
うなだれた肩を叩くと、白石は弱々しい笑顔を見せた。
「石黒くん、何でも知ってるんだね。」
「お、おう、まあな。」
なんとかこの場をごまかせたらしい。俺は心臓をバクバク言わせながら、強気を保った。
60 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:43:16.28 ID:SHhZ1Aus.net
「誰が何を好きになってもいいって、言われたの初めてだよ。嬉しい。とっても嬉しい。ありがとう。」
人として終わってる行動しか取ってない俺に、白石は何の疑いもなく感謝のまなざしで見てくれた。
俺こそ ごめんよ、白石ーー。
カバンの件は墓まで持っていくよ・・・。
61 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:43:58.49 ID:SHhZ1Aus.net
白石の秘密について話した社員旅行のあの夜以来、会社でも微妙にギクシャクした感じが出てしまうようになった。
俺は頑張って普通に接していたつもりなんだが、「大地くん、白石くんと何かあったの?」と女性の先輩に聞かれたときは さすがに焦った。
女性のカンはこういうときに恐ろしいんだ。
63 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:44:54.22 ID:SHhZ1Aus.net
白石のプリキュア好きを突き止めてから、俺は改めてハートキャッチプリキュアを見るようになった。
ある日曜日、プリキュアを見たときの感想をどうしても言いたくて、「サンフラワーイージス脆すぎじゃね?」と白石にメールを送ったら、「メロンパンだからしょうがないね」と返ってきて、思わずふきだした。
こいつ、こんな冗談いうやつだったのか。
ちょっとだけ、救われた気がした。
64 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:46:30.44 ID:SHhZ1Aus.net
翌週もプリキュアを見た後、白石とメールをした。
面と向かうと緊張するが、メールの白石は とても話しやすかった。
会社では何事もなかったかのように接していたが、キュアムーンライト登場には お互いテンションがあがり、会社の昼休みに二人で抜け出して、定食屋で熱いトークを繰り広げた。
俺は、出勤するのが楽しみになっていた。
65 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:47:16.78 ID:SHhZ1Aus.net
白石が一番好きなプリキュアシリーズは「ふたりはプリキュア Splash☆Star」だと聞いて、近くのTSUTAYAで ちまちま借りては見るようになった。
出勤するたびに「どこまで見た?」と聞いてきて、いや俺そこまでのめりこんでないからwと思いながらも、1話1話について熱く語ってくる白石が面白くて付き合っていた。
Splash☆Starはたしかに面白かったが、なにより見た後に白石と話すのを楽しみにしていた。
66 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:48:13.69 ID:SHhZ1Aus.net
ハートキャッチプリキュアがスーパーシルエットに変身したころ、白石から「付き合ってほしいところがある」と言われ、俺は見知らぬ駅にいた。
待ち合わせ時間をちょっとオーバーしてやってきた私服の白石を見て、なんだかドキッとしたというか、ちょっと不思議な気持ちになった。
少し前まで敵視していたライバルと、まさか休日に遊ぶ日がくるとは。
複雑な心境を抱えていた俺をよそに、白石は ずっとニコニコしていて、その嬉しそうな横顔を見て、自然と俺も笑顔になった。
67 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:49:08.40 ID:SHhZ1Aus.net
「聖地・・・大泉まつり・・・?」
駅から20分程度歩かされ辿りついたところは、どう大目に見ても聖地感の薄い地元の商業施設だった。だが、看板には大きく「聖地!大泉まつり!」と書いてある。
聞いて驚いたが、プリキュアを製作している東映撮影所が ここにあるらしい。
その東映撮影所が地元でお祭りを開いたとのことで、たしかに大勢で賑わっていた。
メインは主にプリキュアと仮面ライダーらしい。
68 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:50:21.99 ID:SHhZ1Aus.net
成人の男二人がプリキュア祭りなんていたら相当浮くと思ったが、仮面ライダー好きの大人の女性がいたりして、意外にも大丈夫だった。
東映撮影所内にはプリキュアギャラリーもあって楽しかった。
商業施設内の映画館には、ハートキャッチプリキュアの妖精、コッペ様の実寸大と思われる大きなぬいぐるみが飾ってあって、白石は俺を前に立たせて子どものように はしゃいで写真を撮っていた。
会社では どこか上っ面なように見える奴だったが、本当は純粋にいい奴なのかもしれない、と思い始めていた。
イケメンってだけで俺みたいに色眼鏡で見る人間もいるし、こいつも色々苦労してきたのかもしれないな・・・と感じていた。
69 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:51:17.48 ID:SHhZ1Aus.net
翌週の日曜日にも、白石と待ち合わせをした。
「映画 ハートキャッチプリキュア! 花の都でファッションショー…ですか!?」を見にいこうと集まったんだが、残念ながら見ることができなかった。
映画館の受付で「プリキュア、大人2枚で」という勇気が出ず、あえなく敵前逃亡となったのだ。
もしチケットを買えたとしても、あの幼女軍団の中に飛び込むのは さらに勇気が必要だ。
70 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:52:07.59 ID:SHhZ1Aus.net
不完全燃焼で映画館を後にした俺たちは、この鬱憤を晴らそうと、TSUTAYAでプリキュア映画をレンタルして、俺の部屋で見ることになった。
「映画 ふたりはプリキュア Splash☆Star チクタク危機一髪!」
ちょうど、TVシリーズを全部見終わったところだった。
71 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:53:09.31 ID:SHhZ1Aus.net
「そーいや、白石がくるの2回目だな。」
「あのときはありがとう。そういえば、部屋を見て驚いたなー。」
「え?どのへんが?」
「石黒くんのキャラ的に、部屋散らかってそうだったから。笑」
「なんだそれw」
「でもキレイでびっくりした。そうだよね、石黒くんマメだもんね。」
「ちょー失礼なんだけどw」
「ごめんごめん。会社でもよく思うよ。ホワイトボードの名札とか帳簿とか整頓してるの、石黒くんだよね。」
よく見てんなぁ。たいしたことじゃねーから。と言いながら、ライバルに褒められて ちょっと嬉しい気分だった。
73 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:54:26.70 ID:SHhZ1Aus.net
『精霊の光よ!命の輝きよ!』
『希望へ導け!二つの心!』
映画のクライマックス、いよいよ巨大化したボスと戦おうというシーン。
「全部のプリキュアのシーンの中で、ここが一番好きなんだ。」
画面をじっと見据えながら、まじめな顔で、白石はそう言った。
「さっきブライトとウィンディに変身するときも、このシーン最高って言ったじゃんか。」
「さっきのは最高、このシーンは一番。」
「あ、そうw」
74 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:55:56.99 ID:SHhZ1Aus.net
「ひとりでは無理でも、ふたりならできるって思える。だからプリキュアはふたりなの。」
映画が終わって、DVDを取り出しながら、白石は『一番のシーン』のセリフを言って真似た。
「だからプリキュアはふたりなんだよ。」
「でも、この次のプリキュアってプリキュア5だろ?5人じゃんw」
「そういうことじゃないんだよー。絆なんだよ、絆。」
笑いながらそういって、映画の感想を求めてくる白石。
こいつがプリキュアの話をしているときは、いつも楽しそうだ。
75 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:56:55.68 ID:SHhZ1Aus.net
映画ハートキャッチプリキュアには破れてしまったが、来年春に公開されるオールスターズDX3には絶対行こうと約束し、それから週末には俺の部屋でプリキュアシリーズを見るのが習慣になった。
ふたりはプリキュア
ふたりはプリキュアMaxHeart
プリキュア5
プリキュア5gogo
フレッシュプリキュア!
春に間に合うだろうか・・・。
76 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:57:53.50 ID:SHhZ1Aus.net
気がつけば、季節はすっかり冬になっていた。
クリスマスには、早苗に もう一度告白して寄りを戻そうと考えていた。
悟られないように、さりげなくデートに誘ってみたが、見事玉砕。
ひとりのクリスマスはあまりにも寂しくて、白石に声をかけた。
改めて聞いたわけではないが、白石に彼女がいないのは本当らしい。
じゃなきゃ、毎週末プリキュアを見る俺に付き合えないと思ったからだ。
白石のことだろうから、クリスマスは各所からお誘いがあったんだろうが、快くOKしてくれて、ケーキとチキンを買ってプリキュアを見ながら飲み明かした。
77 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:58:50.39 ID:SHhZ1Aus.net
プリキュアシリーズを消化しつつ、キュアフラワー登場を何度も見て、25歳がクリスマスにすることじゃねーよなwと自分たちを笑いながら、大学時代に戻ったかのような、この心地よい感じが最高に楽しかった。
でも本当は、早苗と過ごせなかったクリスマスが心残りだった。
去年、早苗とのクリスマスデートに寝坊して すっぽかしてしまって、そのときの喧嘩がきっかけで振られたから、というのもあったからだ。
できれば、もう一度、やりなおしたい。
この一年間、ずっとそう思ってきた。
「あ、ご、ごめん。ど、どうしよう。」
白石も戸惑っていた。そりゃそうだ。
「ど、どうしようっていうか、え、ど、どうしよう。」
「ごめん、あの、気づかれたことなかったから・・・。」
白石はついに目を伏せてしまった。
俺の暴露で白石がこんなに動揺すると思わなくて、逆に俺が動揺してしまった。
55 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:36:35.85 ID:SHhZ1Aus.net
たしかに白石は いままでプリキュア好きな素振りを微塵も出してないし、なぜ気づいたのか、もし突っ込んで聞かれたら明確に答えることができない。
さすがにカンで気づけるものじゃないし、カバンを漁ったことがバレたら俺のほうがピンチだ。
どうしてこんな簡単なことに気づかなかったのか。みんなの前で言わなくてよかった。
てか、もしかして こいつすでに気づいてるんじゃないか?やばい。やばいぞ。
「僕、外で寝ます。」
俺が脳内でパニック劇場を繰り広げている間、白石は急に立ち上がって部屋を出て行こうとした。
56 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:38:12.93 ID:SHhZ1Aus.net
「え、いや、いやいや、なんでだよ。」
「同じ部屋で寝るの、嫌じゃないですか?」
「いや、なんでだよ。」
俺はとんでもない罪悪感に襲われていた。
プリキュア好きって言っただけで そんなにショック受けるか!?よかった、ほんとよかった!みんなの前で言わなくて!
そのときの俺は、そういう気持ちでいっぱいだった。
「気にしなくて大丈夫なので・・・。」
白石は、そのまま俺に背を向けた。
57 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:39:32.23 ID:SHhZ1Aus.net
「いや気にするから!いいから、いいから座れって。別に、誰が何を好きになっても そんなの個人の勝手だろ。」
完全に自分の行動を棚に上げた発言だったが、いまは白石を引き止めなければ、そう思って必死だった。
「そんなんで気持ち悪いとか思わないから。とにかく座れって。あ、てか俺が気持ち悪い、やばい吐きそう、アル中で死ぬかも、看病してくれよ。」
酒に潰れた後遺症は完全にすっ飛んでいたが、その言葉を聞いて、白石は布団の上に戻ってくれた。
相変わらず、視線は落としたままだったが・・・。
58 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:40:40.73 ID:SHhZ1Aus.net
「俺さー、白石とプリキュア好きって話しようと思ってたんだよ。ほら、いまやってるハートキャッチの、サンシャインの変身シーンやばかったよな、子どものアニメに気合入りすぎだろっていうか、すげーっていうか・・・すげーっていうか。」
すでに自分自身なにを言ってるかわからない状態になっていたが、俺の取り繕った話を聞いて、白石は心底驚いた顔で、俺を見上げた。
「石黒くん、プリキュア好きなんですか?」
あ、あれ・・・?いまそういう話になっちゃってる・・・?
59 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:41:50.39 ID:SHhZ1Aus.net
「好き・・・かな?好き・・・かも?てか、急に敬語やめろよ。」
「ご、ごめん・・・。」
白石は またしょんぼりした顔に戻ってしまった。
「なんつーか、俺も突然ごめんな。」
うなだれた肩を叩くと、白石は弱々しい笑顔を見せた。
「石黒くん、何でも知ってるんだね。」
「お、おう、まあな。」
なんとかこの場をごまかせたらしい。俺は心臓をバクバク言わせながら、強気を保った。
60 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:43:16.28 ID:SHhZ1Aus.net
「誰が何を好きになってもいいって、言われたの初めてだよ。嬉しい。とっても嬉しい。ありがとう。」
人として終わってる行動しか取ってない俺に、白石は何の疑いもなく感謝のまなざしで見てくれた。
俺こそ ごめんよ、白石ーー。
カバンの件は墓まで持っていくよ・・・。
61 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:43:58.49 ID:SHhZ1Aus.net
白石の秘密について話した社員旅行のあの夜以来、会社でも微妙にギクシャクした感じが出てしまうようになった。
俺は頑張って普通に接していたつもりなんだが、「大地くん、白石くんと何かあったの?」と女性の先輩に聞かれたときは さすがに焦った。
女性のカンはこういうときに恐ろしいんだ。
63 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:44:54.22 ID:SHhZ1Aus.net
白石のプリキュア好きを突き止めてから、俺は改めてハートキャッチプリキュアを見るようになった。
ある日曜日、プリキュアを見たときの感想をどうしても言いたくて、「サンフラワーイージス脆すぎじゃね?」と白石にメールを送ったら、「メロンパンだからしょうがないね」と返ってきて、思わずふきだした。
こいつ、こんな冗談いうやつだったのか。
ちょっとだけ、救われた気がした。
64 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:46:30.44 ID:SHhZ1Aus.net
翌週もプリキュアを見た後、白石とメールをした。
面と向かうと緊張するが、メールの白石は とても話しやすかった。
会社では何事もなかったかのように接していたが、キュアムーンライト登場には お互いテンションがあがり、会社の昼休みに二人で抜け出して、定食屋で熱いトークを繰り広げた。
俺は、出勤するのが楽しみになっていた。
65 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:47:16.78 ID:SHhZ1Aus.net
白石が一番好きなプリキュアシリーズは「ふたりはプリキュア Splash☆Star」だと聞いて、近くのTSUTAYAで ちまちま借りては見るようになった。
出勤するたびに「どこまで見た?」と聞いてきて、いや俺そこまでのめりこんでないからwと思いながらも、1話1話について熱く語ってくる白石が面白くて付き合っていた。
Splash☆Starはたしかに面白かったが、なにより見た後に白石と話すのを楽しみにしていた。
66 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:48:13.69 ID:SHhZ1Aus.net
ハートキャッチプリキュアがスーパーシルエットに変身したころ、白石から「付き合ってほしいところがある」と言われ、俺は見知らぬ駅にいた。
待ち合わせ時間をちょっとオーバーしてやってきた私服の白石を見て、なんだかドキッとしたというか、ちょっと不思議な気持ちになった。
少し前まで敵視していたライバルと、まさか休日に遊ぶ日がくるとは。
複雑な心境を抱えていた俺をよそに、白石は ずっとニコニコしていて、その嬉しそうな横顔を見て、自然と俺も笑顔になった。
67 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:49:08.40 ID:SHhZ1Aus.net
「聖地・・・大泉まつり・・・?」
駅から20分程度歩かされ辿りついたところは、どう大目に見ても聖地感の薄い地元の商業施設だった。だが、看板には大きく「聖地!大泉まつり!」と書いてある。
聞いて驚いたが、プリキュアを製作している東映撮影所が ここにあるらしい。
その東映撮影所が地元でお祭りを開いたとのことで、たしかに大勢で賑わっていた。
メインは主にプリキュアと仮面ライダーらしい。
68 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:50:21.99 ID:SHhZ1Aus.net
成人の男二人がプリキュア祭りなんていたら相当浮くと思ったが、仮面ライダー好きの大人の女性がいたりして、意外にも大丈夫だった。
東映撮影所内にはプリキュアギャラリーもあって楽しかった。
商業施設内の映画館には、ハートキャッチプリキュアの妖精、コッペ様の実寸大と思われる大きなぬいぐるみが飾ってあって、白石は俺を前に立たせて子どものように はしゃいで写真を撮っていた。
会社では どこか上っ面なように見える奴だったが、本当は純粋にいい奴なのかもしれない、と思い始めていた。
イケメンってだけで俺みたいに色眼鏡で見る人間もいるし、こいつも色々苦労してきたのかもしれないな・・・と感じていた。
69 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:51:17.48 ID:SHhZ1Aus.net
翌週の日曜日にも、白石と待ち合わせをした。
「映画 ハートキャッチプリキュア! 花の都でファッションショー…ですか!?」を見にいこうと集まったんだが、残念ながら見ることができなかった。
映画館の受付で「プリキュア、大人2枚で」という勇気が出ず、あえなく敵前逃亡となったのだ。
もしチケットを買えたとしても、あの幼女軍団の中に飛び込むのは さらに勇気が必要だ。
70 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:52:07.59 ID:SHhZ1Aus.net
不完全燃焼で映画館を後にした俺たちは、この鬱憤を晴らそうと、TSUTAYAでプリキュア映画をレンタルして、俺の部屋で見ることになった。
「映画 ふたりはプリキュア Splash☆Star チクタク危機一髪!」
ちょうど、TVシリーズを全部見終わったところだった。
71 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:53:09.31 ID:SHhZ1Aus.net
「そーいや、白石がくるの2回目だな。」
「あのときはありがとう。そういえば、部屋を見て驚いたなー。」
「え?どのへんが?」
「石黒くんのキャラ的に、部屋散らかってそうだったから。笑」
「なんだそれw」
「でもキレイでびっくりした。そうだよね、石黒くんマメだもんね。」
「ちょー失礼なんだけどw」
「ごめんごめん。会社でもよく思うよ。ホワイトボードの名札とか帳簿とか整頓してるの、石黒くんだよね。」
よく見てんなぁ。たいしたことじゃねーから。と言いながら、ライバルに褒められて ちょっと嬉しい気分だった。
73 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:54:26.70 ID:SHhZ1Aus.net
『精霊の光よ!命の輝きよ!』
『希望へ導け!二つの心!』
映画のクライマックス、いよいよ巨大化したボスと戦おうというシーン。
「全部のプリキュアのシーンの中で、ここが一番好きなんだ。」
画面をじっと見据えながら、まじめな顔で、白石はそう言った。
「さっきブライトとウィンディに変身するときも、このシーン最高って言ったじゃんか。」
「さっきのは最高、このシーンは一番。」
「あ、そうw」
74 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:55:56.99 ID:SHhZ1Aus.net
「ひとりでは無理でも、ふたりならできるって思える。だからプリキュアはふたりなの。」
映画が終わって、DVDを取り出しながら、白石は『一番のシーン』のセリフを言って真似た。
「だからプリキュアはふたりなんだよ。」
「でも、この次のプリキュアってプリキュア5だろ?5人じゃんw」
「そういうことじゃないんだよー。絆なんだよ、絆。」
笑いながらそういって、映画の感想を求めてくる白石。
こいつがプリキュアの話をしているときは、いつも楽しそうだ。
75 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:56:55.68 ID:SHhZ1Aus.net
映画ハートキャッチプリキュアには破れてしまったが、来年春に公開されるオールスターズDX3には絶対行こうと約束し、それから週末には俺の部屋でプリキュアシリーズを見るのが習慣になった。
ふたりはプリキュア
ふたりはプリキュアMaxHeart
プリキュア5
プリキュア5gogo
フレッシュプリキュア!
春に間に合うだろうか・・・。
76 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:57:53.50 ID:SHhZ1Aus.net
気がつけば、季節はすっかり冬になっていた。
クリスマスには、早苗に もう一度告白して寄りを戻そうと考えていた。
悟られないように、さりげなくデートに誘ってみたが、見事玉砕。
ひとりのクリスマスはあまりにも寂しくて、白石に声をかけた。
改めて聞いたわけではないが、白石に彼女がいないのは本当らしい。
じゃなきゃ、毎週末プリキュアを見る俺に付き合えないと思ったからだ。
白石のことだろうから、クリスマスは各所からお誘いがあったんだろうが、快くOKしてくれて、ケーキとチキンを買ってプリキュアを見ながら飲み明かした。
77 :石黒@\(^o^)/:2016/02/18(木) 00:58:50.39 ID:SHhZ1Aus.net
プリキュアシリーズを消化しつつ、キュアフラワー登場を何度も見て、25歳がクリスマスにすることじゃねーよなwと自分たちを笑いながら、大学時代に戻ったかのような、この心地よい感じが最高に楽しかった。
でも本当は、早苗と過ごせなかったクリスマスが心残りだった。
去年、早苗とのクリスマスデートに寝坊して すっぽかしてしまって、そのときの喧嘩がきっかけで振られたから、というのもあったからだ。
できれば、もう一度、やりなおしたい。
この一年間、ずっとそう思ってきた。
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