イケメン同期に振り回された俺の人生について語る
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191 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/22(月) 23:26:12.10 ID:358xs2sq.net
つづくではありますが、このあとも投稿します!
が、ちょっとだけ再開まで時間くださいorz
194 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:02:48.73 ID:s1RHru00.net
スマイルプリキュア組が海に花火に楽しんでいる夏の日、俺はTシャツとパンツ一丁のまま、ベッドに寝っ転がっていた。
携帯の過去メールを、ポチポチと無意味にさかのぼって見ていた。
健太郎の告白から、しばらく連絡を取らない日々が続いていた。
あいつが俺のことを好きだなんて、考えもしなかった。
元々、自分の気持ちを話すようなやつじゃなかったけど。
だから春に会いたがらなかったんだなと、ようやく合点がいった。
でも、好きだから会いたくないなんて。好きだからこそ会いたいんじゃないのか。
今年もラフティングに行きたかったけど、どうやら叶いそうにない。
196 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:08:38.98 ID:s1RHru00.net
早苗は「何かスポーツするとか、趣味でも見つけなさいよ。」と言ってくれたが、スポーツやる相手もいないし、一人で楽しめる趣味なんてやってもつまんないし。
友達もいないし、恋人もいないし、俺はこのまま孤独死していくのかなぁ。
そんなことをぼんやり考えていた。
そんな腐った生活を一変させてくれたのは、気分転換に機種変したiPhone5だった。
周りは ほとんどスマートフォンにしていたが、困らなかったので機種変してなかったのだ。
旧友にメールアドレス変更を呼び掛けたら、LINEの存在を知らされ、LINEに登録したら、地元の中学や高校の友達と再び繋がりができたのだ。
中には、知らないうちに関東に出てきてる奴もいて、いつか会う約束もできた。
197 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:13:43.39 ID:s1RHru00.net
実は、メールアドレス変更を言い訳にして、健太郎にもメールを送った。
まず送るかどうかしばらく悩んで、次に内容について悩んで、結果「スマホにしたから変更よろ」という差し障りのない内容で送った。
これで返信がこなかったら さすがに堪えると思っていたが、「おっけー変更しておくねー」と、至ってフツーの返信がきた。
(なんだ、全然大丈夫じゃんかよ。)
胸にずっとつっかえていたものが取れて、強がったものの、泣きそうになるくらい安心した。
198 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:18:25.30 ID:s1RHru00.net
そのあとは、何もなかったころと同じようにメールをした。
スマホは便利だぞとか、LINEで旧友とたくさん話したとか、こっちの事務所はいまこんな状況だとか、そっちはどうなんだとか。
健太郎もスマホに興味を示して、今度機種変しようかなと言っていた。
メールでは何ら変わりないやりとりをしていたが、「会おう」という話は、どちらからも持ち出さなかった。
俺は会いたかったが、それを俺が言ったらまずいかなと思っていたのだ。
199 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:23:41.37 ID:s1RHru00.net
ようやく腐りきった生活から抜け出せたと思った矢先、俺は入院するハメになった。
LINEで再会した友人とバドミントンをやったときに、靭帯を痛めてしまったのだ。
そりゃそうだ。しばらくずっとゴロゴロしかしてなかったんだから。運動不足というよりは、自分がもう若くないことをしみじみ感じさせる出来事だった。
ただ、この入院事件でよかったことがある。
健太郎がまっさきにお見舞いにきてくれたのだ。
俺の大好きな梨と、退屈しないようにたくさんの漫画を持って。
200 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:28:43.39 ID:s1RHru00.net
会っていなかった間は、次どんな顔して会えばいいんだよと思っていたが、予告なしに突然お見舞いにきたもんだから、いつも通りに再会してしまった。
いつも、日曜日にプリキュアを見に来た健太郎を迎える、あの感じで。
健太郎は、いつもの優しい健太郎だった。
俺のつまらない話を聞いて、笑ってくれて。
でも、いままでと、ただひとつ違うところがあった。
「もっと早くから大地と知り合ってたらよかったのにな。」
「大地がずっと入院してたら毎日一緒にいられるからいいね。」
そう言って、いままであまり言わなかった、健太郎の感情を表に出すようになったのだ。
202 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:33:44.55 ID:s1RHru00.net
退院してからも、それは変わらなかった。
また いままで通りプリキュアを見に来るようになったし、俺に対する感情を隠すことなく、伝えてくるようになった。
特に関係を迫ってくるわけでもなかったから、俺は気にせず過ごしていた。
それに、健太郎から大切にされるのは嬉しくもあった。
健太郎とも元通りになれたし、LINEで話す友達も増えたし、ウルトラハッピー!あとは彼女を作るだけだ!と張り切っていた。
このときの俺が、一番どうかしてたって今でも思う。
この年の秋と冬が、人生で一番しんどい季節になるとは知らずに。
204 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:38:52.66 ID:s1RHru00.net
頭に血がのぼっていた。
気温は すでに秋を感じさせるぐらいになっていたが、そんなもので頭が冷えるほどじゃないくらい、俺は怒っていた。
どこに行くわけでもなく、人気のない静かな夜の町をズカズカと歩いている
俺の数メートル後ろを、健太郎が何も言わずにトボトボと追ってきていた。
「だから、付いてくんなって言ってるだろうが。」
一瞬振り返ってそう言っても、健太郎は何も言わずに後を付いてきていた。
205 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:39:35.90 ID:s1RHru00.net
高校のころの友達がセッティングしてくれた、合コンの夜だった。
話の流れで健太郎に報告したら、すごく困惑した顔をして、「僕も一緒に行きたい。」と言い出したから、連れて行った。
お前女興味ねーじゃんw合コンいってどうすんだよwと言ったものの、健太郎がメンツに加われば、女子のレベルが上がりそうだと踏んだのだ。
案の定、女子のレベルはいままでにないくらい高かった。
しかも どの子もいい子ばかりで、俺の胸は期待で膨らんだ。
健太郎が、爆弾発言をするまでは。
206 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:39:51.46 ID:s1RHru00.net
「僕は大地が好きなんだ」と、とんでもないことを言ったのだ。
一瞬場の空気が固まって、その後は爆笑の渦だった。
おかげで俺と健太郎はホモキャラ扱いで笑いのネタになり、ただのコメディキャラで、その夜が終わってしまった。
だから俺は健太郎に腹を立てて、頭を冷やすために外を歩いていたのだ。
しばらく歩いて頭が冷えてきたころ、「お前、ほんとに何がしたいんだよ!!」と、立ち止まって後ろについてきた健太郎に言った。
207 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:42:08.40 ID:s1RHru00.net
「男と恋愛したいなら、おんなじように男が好きな連中とすればいいだろ。俺を巻き込むなよ。なんで今日、付いてきたんだよ。最悪の夜になったじゃねーか!!」
うつむいて立ちすくんでいる健太郎に罵声を浴びせると、健太郎はいつものごとく黙りこくって、何も言い返してこなかった。
「黙ってないでなんとか言えよ。」
毎度、不機嫌になると黙り込む健太郎にさらに腹が立って、俺は健太郎に近づいていって、問い詰めるように続けた。
おい、と肩をどつくと、健太郎は顔を上げて、吐き捨てるように言った。
「お互いのためにならないもんね。」
「・・・はぁ?」
208 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:43:35.42 ID:s1RHru00.net
健太郎の顔には、怒りがにじみ出ていた。
「僕が大地を好きでいても、大地は気持ち悪くて迷惑なだけだし。すこしの望みもない、不毛な片思いをしてる僕も惨めなだけだし。お互いのためにさっさと忘れたほうがいいよね。すいませんね。」
こんな風に言い返してきたことが初めてだったから、戸惑いもあったが、それ以上に怒りの感情のほうが強かった。
「なに逆ギレしてんだよ。キレたいのはこっちのほうだっつーの。」
俺は、健太郎を睨み返した。
209 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:44:29.13 ID:s1RHru00.net
「俺はいままで、お前がゲイでも普通に接してやってたじゃん。それでも まだ不満だっつーのか?これ以上なに望んでんだよ?」
健太郎も俺の目をまっすぐ見て、そしてまた何もしゃべらなくなった。
「だから何とか言えって。」
もう一度肩をどつくと、健太郎は視線を少し落とした。
「大地と・・・・・・。」
そういって、ふたりの間に沈黙が流れた。
サワサワと木々が風に揺れる音だけが聞こえた。
「ずっと一緒に生きていきたいって、思ってるよ・・・・・・。」
210 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:45:03.10 ID:s1RHru00.net
自分でもどうしたらいいかわからないんだよ
大地が好きなんだよ、大好きでたまらないんだよ
大地に迷惑かけちゃいけない、迷惑かけたくないって
初めて僕を理解をしてくれた嬉しさと ごっちゃになってるだけだって そう思って何度も忘れようとしたし、何度も大地から離れようと思ったけど
でもだめなんだよ
お互いのためにならないってわかってる
大地の迷惑になってることもわかってるけど
わかってるのに どうしても好きでたまらないんだよ
女だったら彼女にするって いつもいつも言われる僕の気持ちわかる?
どれだけ後悔したかわからないよ
なんで女じゃないんだろうって
なんで大地と付き合えないんだろうって
なんで好きになってくれないんだろうって
もうどうしたらいいか、よくわからないんだよ
211 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:45:41.74 ID:s1RHru00.net
再び、ふたりの間に沈黙が流れた。
早口でまくし立てた健太郎は、興奮して肩で息をしていた。
俺の頭は健太郎の言葉で すっかり落ち着きを取り戻していたが、なんと返していいかわからず、何もしゃべることができなかった。
ただ、顔をゆがめている健太郎を、見つめることしかできなかった。
「それでも、大地が好きなんだよ・・・・・・。」
健太郎は小さい声でそう言ったのを最後に、俺に背を向けて歩いていった。
俺は、しばらく歩き出せず、その場に立ちつくしていた。
212 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:55:03.94 ID:s1RHru00.net
健太郎と絶交してから、季節は いつしか冬の訪れを迎えていた。
健太郎に蔑ろにされていた春、健太郎に一方的に決別された夏、そして健太郎と喧嘩別れをした秋。
とにかく今年は振り回された一年だった。
あのとき健太郎に逆切れされたことは、まだ許せていなかった。
合コンをめちゃくちゃにされたのは こっちなのに、なんで俺が責められなきゃいけないのか、納得いかなかった。
213 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:58:21.78 ID:s1RHru00.net
ただ、あの夜の健太郎の言葉を何度も思い出して考えてもいた。
(人を好きになるって、どういうことだろうか。)
自分の心を、もう一度、探ってみる。
好奇心、嫉妬心、独占欲、支配欲、いろんな感情。
やっぱり、俺は早苗とやり直したかった。
もう一度想いを伝えよう。きちんと告白しよう。
あのときのクリスマス、寝坊してしまったことを謝ろう。
そう決意して、何度もシミュレーションをして、俺は早苗を呼び出した。
つづくではありますが、このあとも投稿します!
が、ちょっとだけ再開まで時間くださいorz
194 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:02:48.73 ID:s1RHru00.net
スマイルプリキュア組が海に花火に楽しんでいる夏の日、俺はTシャツとパンツ一丁のまま、ベッドに寝っ転がっていた。
携帯の過去メールを、ポチポチと無意味にさかのぼって見ていた。
健太郎の告白から、しばらく連絡を取らない日々が続いていた。
あいつが俺のことを好きだなんて、考えもしなかった。
元々、自分の気持ちを話すようなやつじゃなかったけど。
だから春に会いたがらなかったんだなと、ようやく合点がいった。
でも、好きだから会いたくないなんて。好きだからこそ会いたいんじゃないのか。
今年もラフティングに行きたかったけど、どうやら叶いそうにない。
196 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:08:38.98 ID:s1RHru00.net
早苗は「何かスポーツするとか、趣味でも見つけなさいよ。」と言ってくれたが、スポーツやる相手もいないし、一人で楽しめる趣味なんてやってもつまんないし。
友達もいないし、恋人もいないし、俺はこのまま孤独死していくのかなぁ。
そんなことをぼんやり考えていた。
そんな腐った生活を一変させてくれたのは、気分転換に機種変したiPhone5だった。
周りは ほとんどスマートフォンにしていたが、困らなかったので機種変してなかったのだ。
旧友にメールアドレス変更を呼び掛けたら、LINEの存在を知らされ、LINEに登録したら、地元の中学や高校の友達と再び繋がりができたのだ。
中には、知らないうちに関東に出てきてる奴もいて、いつか会う約束もできた。
197 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:13:43.39 ID:s1RHru00.net
実は、メールアドレス変更を言い訳にして、健太郎にもメールを送った。
まず送るかどうかしばらく悩んで、次に内容について悩んで、結果「スマホにしたから変更よろ」という差し障りのない内容で送った。
これで返信がこなかったら さすがに堪えると思っていたが、「おっけー変更しておくねー」と、至ってフツーの返信がきた。
(なんだ、全然大丈夫じゃんかよ。)
胸にずっとつっかえていたものが取れて、強がったものの、泣きそうになるくらい安心した。
198 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:18:25.30 ID:s1RHru00.net
そのあとは、何もなかったころと同じようにメールをした。
スマホは便利だぞとか、LINEで旧友とたくさん話したとか、こっちの事務所はいまこんな状況だとか、そっちはどうなんだとか。
健太郎もスマホに興味を示して、今度機種変しようかなと言っていた。
メールでは何ら変わりないやりとりをしていたが、「会おう」という話は、どちらからも持ち出さなかった。
俺は会いたかったが、それを俺が言ったらまずいかなと思っていたのだ。
199 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:23:41.37 ID:s1RHru00.net
ようやく腐りきった生活から抜け出せたと思った矢先、俺は入院するハメになった。
LINEで再会した友人とバドミントンをやったときに、靭帯を痛めてしまったのだ。
そりゃそうだ。しばらくずっとゴロゴロしかしてなかったんだから。運動不足というよりは、自分がもう若くないことをしみじみ感じさせる出来事だった。
ただ、この入院事件でよかったことがある。
健太郎がまっさきにお見舞いにきてくれたのだ。
俺の大好きな梨と、退屈しないようにたくさんの漫画を持って。
200 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:28:43.39 ID:s1RHru00.net
会っていなかった間は、次どんな顔して会えばいいんだよと思っていたが、予告なしに突然お見舞いにきたもんだから、いつも通りに再会してしまった。
いつも、日曜日にプリキュアを見に来た健太郎を迎える、あの感じで。
健太郎は、いつもの優しい健太郎だった。
俺のつまらない話を聞いて、笑ってくれて。
でも、いままでと、ただひとつ違うところがあった。
「もっと早くから大地と知り合ってたらよかったのにな。」
「大地がずっと入院してたら毎日一緒にいられるからいいね。」
そう言って、いままであまり言わなかった、健太郎の感情を表に出すようになったのだ。
202 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:33:44.55 ID:s1RHru00.net
退院してからも、それは変わらなかった。
また いままで通りプリキュアを見に来るようになったし、俺に対する感情を隠すことなく、伝えてくるようになった。
特に関係を迫ってくるわけでもなかったから、俺は気にせず過ごしていた。
それに、健太郎から大切にされるのは嬉しくもあった。
健太郎とも元通りになれたし、LINEで話す友達も増えたし、ウルトラハッピー!あとは彼女を作るだけだ!と張り切っていた。
このときの俺が、一番どうかしてたって今でも思う。
この年の秋と冬が、人生で一番しんどい季節になるとは知らずに。
204 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:38:52.66 ID:s1RHru00.net
頭に血がのぼっていた。
気温は すでに秋を感じさせるぐらいになっていたが、そんなもので頭が冷えるほどじゃないくらい、俺は怒っていた。
どこに行くわけでもなく、人気のない静かな夜の町をズカズカと歩いている
俺の数メートル後ろを、健太郎が何も言わずにトボトボと追ってきていた。
「だから、付いてくんなって言ってるだろうが。」
一瞬振り返ってそう言っても、健太郎は何も言わずに後を付いてきていた。
205 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:39:35.90 ID:s1RHru00.net
高校のころの友達がセッティングしてくれた、合コンの夜だった。
話の流れで健太郎に報告したら、すごく困惑した顔をして、「僕も一緒に行きたい。」と言い出したから、連れて行った。
お前女興味ねーじゃんw合コンいってどうすんだよwと言ったものの、健太郎がメンツに加われば、女子のレベルが上がりそうだと踏んだのだ。
案の定、女子のレベルはいままでにないくらい高かった。
しかも どの子もいい子ばかりで、俺の胸は期待で膨らんだ。
健太郎が、爆弾発言をするまでは。
206 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:39:51.46 ID:s1RHru00.net
「僕は大地が好きなんだ」と、とんでもないことを言ったのだ。
一瞬場の空気が固まって、その後は爆笑の渦だった。
おかげで俺と健太郎はホモキャラ扱いで笑いのネタになり、ただのコメディキャラで、その夜が終わってしまった。
だから俺は健太郎に腹を立てて、頭を冷やすために外を歩いていたのだ。
しばらく歩いて頭が冷えてきたころ、「お前、ほんとに何がしたいんだよ!!」と、立ち止まって後ろについてきた健太郎に言った。
207 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:42:08.40 ID:s1RHru00.net
「男と恋愛したいなら、おんなじように男が好きな連中とすればいいだろ。俺を巻き込むなよ。なんで今日、付いてきたんだよ。最悪の夜になったじゃねーか!!」
うつむいて立ちすくんでいる健太郎に罵声を浴びせると、健太郎はいつものごとく黙りこくって、何も言い返してこなかった。
「黙ってないでなんとか言えよ。」
毎度、不機嫌になると黙り込む健太郎にさらに腹が立って、俺は健太郎に近づいていって、問い詰めるように続けた。
おい、と肩をどつくと、健太郎は顔を上げて、吐き捨てるように言った。
「お互いのためにならないもんね。」
「・・・はぁ?」
208 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:43:35.42 ID:s1RHru00.net
健太郎の顔には、怒りがにじみ出ていた。
「僕が大地を好きでいても、大地は気持ち悪くて迷惑なだけだし。すこしの望みもない、不毛な片思いをしてる僕も惨めなだけだし。お互いのためにさっさと忘れたほうがいいよね。すいませんね。」
こんな風に言い返してきたことが初めてだったから、戸惑いもあったが、それ以上に怒りの感情のほうが強かった。
「なに逆ギレしてんだよ。キレたいのはこっちのほうだっつーの。」
俺は、健太郎を睨み返した。
209 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:44:29.13 ID:s1RHru00.net
「俺はいままで、お前がゲイでも普通に接してやってたじゃん。それでも まだ不満だっつーのか?これ以上なに望んでんだよ?」
健太郎も俺の目をまっすぐ見て、そしてまた何もしゃべらなくなった。
「だから何とか言えって。」
もう一度肩をどつくと、健太郎は視線を少し落とした。
「大地と・・・・・・。」
そういって、ふたりの間に沈黙が流れた。
サワサワと木々が風に揺れる音だけが聞こえた。
「ずっと一緒に生きていきたいって、思ってるよ・・・・・・。」
210 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:45:03.10 ID:s1RHru00.net
自分でもどうしたらいいかわからないんだよ
大地が好きなんだよ、大好きでたまらないんだよ
大地に迷惑かけちゃいけない、迷惑かけたくないって
初めて僕を理解をしてくれた嬉しさと ごっちゃになってるだけだって そう思って何度も忘れようとしたし、何度も大地から離れようと思ったけど
でもだめなんだよ
お互いのためにならないってわかってる
大地の迷惑になってることもわかってるけど
わかってるのに どうしても好きでたまらないんだよ
女だったら彼女にするって いつもいつも言われる僕の気持ちわかる?
どれだけ後悔したかわからないよ
なんで女じゃないんだろうって
なんで大地と付き合えないんだろうって
なんで好きになってくれないんだろうって
もうどうしたらいいか、よくわからないんだよ
211 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:45:41.74 ID:s1RHru00.net
再び、ふたりの間に沈黙が流れた。
早口でまくし立てた健太郎は、興奮して肩で息をしていた。
俺の頭は健太郎の言葉で すっかり落ち着きを取り戻していたが、なんと返していいかわからず、何もしゃべることができなかった。
ただ、顔をゆがめている健太郎を、見つめることしかできなかった。
「それでも、大地が好きなんだよ・・・・・・。」
健太郎は小さい声でそう言ったのを最後に、俺に背を向けて歩いていった。
俺は、しばらく歩き出せず、その場に立ちつくしていた。
212 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:55:03.94 ID:s1RHru00.net
健太郎と絶交してから、季節は いつしか冬の訪れを迎えていた。
健太郎に蔑ろにされていた春、健太郎に一方的に決別された夏、そして健太郎と喧嘩別れをした秋。
とにかく今年は振り回された一年だった。
あのとき健太郎に逆切れされたことは、まだ許せていなかった。
合コンをめちゃくちゃにされたのは こっちなのに、なんで俺が責められなきゃいけないのか、納得いかなかった。
213 :石黒 ◆5w9kBvAhHY @\(^o^)/:2016/02/23(火) 00:58:21.78 ID:s1RHru00.net
ただ、あの夜の健太郎の言葉を何度も思い出して考えてもいた。
(人を好きになるって、どういうことだろうか。)
自分の心を、もう一度、探ってみる。
好奇心、嫉妬心、独占欲、支配欲、いろんな感情。
やっぱり、俺は早苗とやり直したかった。
もう一度想いを伝えよう。きちんと告白しよう。
あのときのクリスマス、寝坊してしまったことを謝ろう。
そう決意して、何度もシミュレーションをして、俺は早苗を呼び出した。
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