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あまりにも恋多き女だった彼女の話
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625 :590 ◆g4hs4hZbtQ :2005/08/25(木) 11:44:25 ID:i5VFUnI60
どのくらい待ったか覚えてない。短かったんだろうけど。

真理が来る。


真理「雅人?」

俺「・・・」


声をかけようにも言葉にならない。


真「あの・・・ごめん・・・あたし・・・」

俺「ん?・・・」

真「・・・別れたいの・・・」


ラブホで別れ話ですか、そうですか。

相変わらず思考が停止してる。


俺「別れる?・・・ちょっと、ここで言われても・・・」

真「(泣き始める)」


俺「まず、真理のとこ行かせてよ。・・・全く分からないよ・・・」


とっても短いご休憩w

料金は真理が払った・・・



634 :590 ◆g4hs4hZbtQ :2005/08/25(木) 15:23:23 ID:iy3rOlnq0
えぐえぐ泣いてる真理の肩を抱きながらアパートまで戻った。

泣きたいのはこっちのほうなのに、なぜか「泣くなよ」とか慰めてた。なんか惨めだ。


アパート。

もうそこにバイクは無かった。真理が逃がしたんだろう。件の男の顔くらい見たかったんだが。

真理はドア前から中に入ろうとしない。


俺「なんだよ・・・中に入れろよ・・・」

俺がやっとのことで言葉を吐くと、しぶしぶ入れた。

部屋は、タバコくささとエッチ後のすえた独特のにおい。タバコ嫌いの俺にはあまりにつらい。

でもそのにおいを嗅いだとき、「あー、やっぱこいつやってたのか」なんて思った。



636 :590 ◆g4hs4hZbtQ :2005/08/25(木) 15:33:06 ID:iy3rOlnq0
俺「ずいぶんお盛んなんだな・・・」

皮肉でもなく、すんなりつぶやいた。

真理はビクッとしてる。


しばらくの沈黙。というよりすすり泣き。

俺はやっと言ったよ。


俺「で、俺に最初から説明してよ・・・いちいち俺が訊くのも疲れるから、真理が最初から。説明して」

真理はまだ泣いてる。


俺「あの、さ・・・俺のほうが泣きたいの。見ず知らずの男と彼女がドロドロとセックスしてさ。で、別れろ・・・って。なんなのよ。・・・説明しなよ・・・最初から・・・」

真理はすすり泣きながらも口をあけた。でも聞こえない。

俺「なに!・・・聞こえないよ!・・・ほら!」

俺を少しにらんだような気がした。

そして話し始めた。



638 :590 ◆g4hs4hZbtQ :2005/08/25(木) 15:44:30 ID:iy3rOlnq0
ここはかいつまんで要旨だけ。


男は真理の幼馴染ということ。

ついこの前実家に帰ったとき偶然再会して、そのとき意外と近くに住んでると分かったこと。

何の気なしにアパートを教えたら遊びに来たこと。

最初はセックスとかそういうのは一切無かった、と。彼も俺がいることを知ってる、と。


真理
「でも・・・雨の日に来てね・・・ずぶぬれだったの・・・服を乾かして・・・自分の服、貸して・・・寒かったから、そばにくっついてたの。雅人と連絡無くて・・・寂しくて・・・ヒデ(男のこと)が遊びに来てくれて・・・嬉しくて・・・

・・・

・・・

私から・・・キスした・・・」


キス・・・その言葉を聞いて胸が締め付けられた。吐きそうになる。


その後は多分みんなの予想通り。



640 :590 ◆g4hs4hZbtQ :2005/08/25(木) 15:54:37 ID:iy3rOlnq0
で、そのままヒデに抱かれた、と。でもその日はできなかった、と(ヒデが起たなくて)。

次の日にできた、と。ヒデはそれまで童貞で、自分が初めてで嬉しかった、と。

なんかそれからヒデと会う回数が増え、好きになり。セックスもこなせるようになり。俺を忘れていった、と。


俺「ふーん。俺は過去の人なんだ・・・」

真「違う!そうじゃない・・・けど」

俺「でも・・・あれ・・・」

俺は写真たてを指差した。ご丁寧に俺と真理のツーショット写真が伏せられている。

真「・・・」

俺「真理もヒデとやらも・・・俺に見られて感じてたのか?」

真「違う!・・・違う・・・よ・・・見られたくなかったし」

俺「し?」

真「雅人との写真・・・飾ってる自分がいやだった・・・」



643 :590 ◆g4hs4hZbtQ :2005/08/25(木) 16:05:55 ID:iy3rOlnq0
俺「で?どうなの?」

真「ヒデが好きで・・・雅人も嫌いじゃないけど・・・もうこうなってるし・・・別れよう・・・」

不思議と修羅場なのに冷静だったり。つか、なんか面倒なの考えるの、いやになってた。


俺「真理・・・俺はお前が好きだし愛してる・・・離れるのはいやだ・・・でも、今はどうするのがいいのか、正直わからない」

真「・・・」

俺「結婚披露宴には せめて参加してよ・・・俺と真理の大切な人だし・・・せめて祝おうよ・・・」

なけなしのお金だけど、真理に旅費として渡す。つか、テーブルに置いただけだけど。



645 :590 ◆g4hs4hZbtQ :2005/08/25(木) 16:12:54 ID:iy3rOlnq0
真「これ!・・・受けと」


俺「真理も俺も冷静じゃないし・・・少し考えなよ・・・明日朝一で帰るから・・・」

真理が押し黙っている間に、重い足取りでアパートを出る。

どこをどう歩いたかはあまり覚えてないけど、バスターミナルまでは来た。

真理は追いかけてはこなかった。愛情が冷めてるんなら当然だわな。



646 :590 ◆g4hs4hZbtQ :2005/08/25(木) 16:18:40 ID:iy3rOlnq0
で、しばらくして。真理から電話がある。

真「披露宴、行く・・・それだけ・・・」

用件だけ言ってすぐに切れた。

俺は会える感慨も会ってしまう鬱もなく、淡々とそれを聞いた。壊れてたんかな。


披露宴当日。真理はおめかししてきた。当然なんだけど。

その姿を見て、なぜか胸が痛い。あーやっぱ好きなんだな。かなり鬱になってきた。


そして披露宴もつつがなく進行し、仮面恋人の俺たちもうまくこなした。

なぜか見送りの新幹線のホームで胴上げされて、びっくりしつつも激しく鬱になったことを覚えている。

そして一緒に新幹線に真理と乗った。お互いに目線も合わせず。手もつなぐこともなく。もうすぐ終わりなんだなあ、なんて思いつつ。



648 :590 ◆g4hs4hZbtQ :2005/08/25(木) 16:28:21 ID:iy3rOlnq0
あと15分もすれば自分の降りる駅に着くというころ。

俺は なぜかこんなことを訊いた。


俺「なんで今日来たの?」

真「え?・・・んっと・・・ヒデに・・・行っておいで・・・って・・・」


俺「・・・」

真「雅人との気持ち・・・確認しておいで・・・って」


正直ひでぇ男だと思った。俺に引導を渡したいんだろう。苦笑するしかない。


俺「そっか・・・で?」

真「別れようと思った・・・でも・・・まだ混乱してる・・・」


俺「もう降りるし・・・かっこ悪いからななんて思ったけど・・・実はさ」


切り札を切った。

自分の病気のこと。入院してたこと。

連絡がまったく取れなくて不安だったこと。

今でも通院してること。

それからそれから。


これで真理が戻ってくるなんて少しも思っていなかった。とにかく自分の不安な気持ちを打ち明けずにいられなかった。

真理は驚いて・・・でも何も言わなかった。



>>次のページへ続く
 
カテゴリー:男女・恋愛  |  タグ:浮気・不倫, 青春,
 


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