5年前、病院で知り合った女の子の話をする
http://hayabusa3.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1363371966/
タイトルはこんなんだが、誰も死なないから安心してくれ。
色々あって誰かに聞いてほしくなった。
聞いてくれるかな?
きこう
>>2
ありがとう。
書き溜めは途中までだが、とりあえずそこまで頑張る。
5年前、俺はバイク事故に遭った。
夏真っ只中で日差しが強い中を信号待ちしていたときのことだ。
バイクに乗ったことがある人は分かると思うが、バイクで夏の信号待ちしているときの暑さは尋常じゃない。
うなだれながらギアをニュートラルに入れ両手を話した瞬間、突然何かがぶつかってきた。
その瞬間のことは本当に何も覚えてなくて、気づけばクソ熱いアスファルトに横たわっていた。
アドレナリンが出ているからか、痛みはなかった。
それよりも、早く立たなきゃ。という気持ちが先行して頭から血を流しながら必死に立とうとしていた。
しかし、思うように足が動かない。
靭帯が見事に切れていた。
生まれたての仔牛のようにもがいているうちに人だかりができていた。
俺を轢いた車を運転していた初老の男性が焦った顔でこちらにやってくる。
「大丈夫ですか!?大丈夫ですか!?」
大丈夫なわけないだろうと思いながらも、笑って返した。
俺は救急車で運ばれた。
後から聞いた話では、車を運転していた男性は脇見をしてしまい、
信号に気づかず追突してきたとのことだった。
話を聞いたときは腹が立ったが、泣きながら土下座で謝るその男性を見ていると怒りは消えてしまっていた。
「もう、大丈夫ですから・・・」
「いえ、私は危うくあなたの命を奪ってしまうところだった。本当に申し訳ないことをした。何をしても許されることではありません」
そんなことを言いながら、毎日のように万近い値段がしそうなフルーツ盛り合わせみたいなものを持ってきた。
食べきれないからと言うと雑誌やDVD、ウォークマンなどを持ってきてくれた。
退院したら ふんだくってやろうと思っていたけど、そんな気もだいぶ薄れていた。
靭帯をがっつり断裂させた俺は1ヶ月以上入院することになった。
当時大学に行っていたが夏休みということもあり休学もせずに済んだ。
大事な学生の夏休みを無くしてしまうのは痛かったが。
そんなある日のことだった。
wktk
煙草を吸いに喫煙所に行くと、車椅子に乗った女の子がいた。
外見は戸田恵梨香を幼くした感じの子で、俺と同じ煙草を吸いながら、小説を読んでいた。
俺と同じくらいの年齢の子だったけど、大きい病院だったから特段何も考えず、すっげぇかわいいと思ったのを覚えている。
かわいいと思いながらも話しかけるような勇気は俺にはなく、もう吸いたくもない煙草を吸い続けて、その子をチラチラと見ていた。
その子は思い立ったように小説を閉じ、車椅子を動かしながら喫煙所を離れていった。
なんだか すごく勿体無いことをしような気もしたが、目の保養になったと思いながら俺も喫煙所を後にした。
言い忘れていたが、だいぶ長くなりそうだ。
明日用事がある人は寝てくれて構わないぞ。
その翌日。俺は喉が渇いて自販機にジュースを買いに行った。
その病院はソファーがいくつか並んでいるロビーみたいなところに自販機があるんだけど、昨日の女の子が車椅子に乗ったまままた小説を読んでいた。
大学生にもなりながら中二病を再発していた俺は「運命だな。
ていうか、俺のこと待ってるんじゃね?」とか思いながら用もなくロビーでジュースを飲むことにした。
ジュースを飲みながらまたチラチラその子を見ていると、ふいに目が合った。
その子は微笑むわけでも睨むわけでもなく、ただ俺が視界に入っただけというような不思議な目でこちらを見た。
俺はチラチラ見ていたのを見透かされたような気がして恥ずかしくなりながらも軽く会釈をした。
するとその子はニコッと微笑み、また小説を読み出した。
そのニコッに中二病の俺は完全に恋に落ちた。
俺は耐え切れなくなり、ついに話しかける決心をした。
「・・・あの・・・」
「はい・・・?」
「・・・えっと、あ、その本おもしろいですよね。僕も大好きです」
話しかけたのはいいが話題を考えてなかったアホの俺はとっさにそんなことを口にした。
「あ、はい・・・」
彼女の読んでいた本は恋愛写真だった。
実際は映画を見たことがあっただけで、そういう小説を一切読まない俺は当然読んだことはない。
「あ、えっと・・・昨日、喫煙所にいましたよね?」
「え?あ〜はい、どうしてですか?」
「いや、昨日も真剣に本を読んでたから、僕と違って頭の良い人なんだなって思って」
だから何だと言われそうな言葉しか思い浮かばなかったが、俺にとっては最高のボケだった。