嫁が不倫デート中、サプライズの誕生日パーティーの準備が着々と進行していた
俺の話。
初めて彼女と出会ったのは、大学の時のコンパだった。
田舎から出てきたばかりで、周りが男ばかりのような環境で育った俺が、すこし気の強い都会育ちの彼女に一目ぼれした。
周りの協力や、俺の猛アタックで交際が始まった。
元童貞でも気が付くもんだな、男の影を。
彼女が時々暗い顔をしているときがあった。
理由は、親切な彼女の友が こっそり教えてくれた。
「高校生の頃、同級生と大恋愛をしていたが別れて連絡を取ってない。彼が今何処にいるかもわからないけど、彼を忘れられないのかもしれない」と。
がんばったよ、俺。
いや、がんばった ってのは言い方が悪いかな。
好きな人に振り向いて欲しくて、笑顔が見たくて、幸せを感じて欲しくて。
彼女が笑顔になったら それを少しお裾分けして貰って自分も幸せになれた。
相手も自分も、変に甘やかさないようにも注意してたよ。おごらないように。
互いに就職して数年後、彼女と結婚した。
喧嘩も時々したけれど、平凡な、幸せな家庭だったと思う。
彼女が、以前のような暗い顔をする事はなかった。
男に関して不安はあったけど、そんなものは杞憂だったと確信していた。
結婚して数年後のある日 突然、彼女の雰囲気が変わった(と思った)
共働きだったが、帰りが遅くなったり、服装や化粧が変わったわけじゃない。
とにかくなにかがピンときた。
次の日から、会社での友人に協力してもらいながら彼女の監視を開始した。
2週間後には結果が出ていた。
クロだった。
男と腕を組んで歩き、ホテルに入るまでが、俺が直視できる限界だった。
男は高校の時に大恋愛した元彼で、既婚子蟻だとわかった。
「なぜ?」「いつから?」自問自答を繰り返しながら監視を続けた。
俺の方が浮気か、男の方が浮気か、知りたくなった。
証拠を集めるというより「ストーカー」という言葉がしっくりくると思う。
自分の思いを隠しながら、それまでと同じ生活をしたが、彼女の笑顔を見るたびに男に対する嫉妬が湧いていた。
男の家庭を調べてみた。
嫁姑問題が原因で、離婚話が進んでいる事がわかったが、その事を彼女が承知している事もわかった。
それでも彼女を嫌いになれなかった。凸もなし。ヘタレだよな。
そのころは彼女と男のデートがパターン化していた。
結婚記念日に大学からの共通の友人たちが祝ってくれる事になった。彼女には内緒で。
うまい具合に休日だったから、そんな話になった。
毎年二人で祝っていたから「内緒は無理だろw」と思いながら、「お祝になるのかな〜」俺は なにやってるのか解らないような、そんな感覚だった。
当日、彼女は緊急の仕事って事で休日出勤した。初めてのことだった。
友人たちは 飾り付けできる って喜んでたが、俺には「男と会っている」と興信所から連絡が入っていた。
夕方、彼女が帰宅してパーティが始まった。
思いがけず来訪した友人たちからのお祝いの所為か、他の原因か・・・
彼女は泣いていた。
その彼女を見て俺も泣いた。いろんな感情が沸き起こっていた。
思えば この時が、最後のチャンスだったかも知れないな・・・
何も出来なかったが、確実に自分の思いが変わっていた。
次の彼女と男のデート、喫茶店で友人と一緒に凸した。
二人とも顔から血の気が引いてたよ。
男の方はデスラーみたいな顔色になっていた。
喫茶店から出て、個別に話を聞いた。
二人とも ほぼ同じ内容だったから、最初は口裏を合わせていると思ったが、突然の凸の割には細かい所まで似ていたので、とりあえず聞く事にした。
証拠を見せなくても何でも喋ってくれたよ。
二人の話を総合すると・・・
営業中の彼女が、仕事先で偶然男と再会した。
それからメールでやり取りするようになったが、男が離婚危機を相談しはじめてから おかしくなって、肉体関係に。
(俺が怪しいと思いはじめた3ヶ月前から。気づけよ俺w)
当日、男は離婚を回避できる事になったので、彼女は夫婦生活を大事にしたい為、互いに別れを切り出した所に俺が凸してきた
という事だった。
男には その場で念書を書かせ、もう浮気をしない事、彼女と俺とその関係者に連絡を取らない事を約束させた。
男の家庭には話さない事にした。
壊れるのは家だけで充分だと思ったからだ。
また男が浮気をしたら、奥さんに今回の証拠を渡す とも宣言した。
ヘタレだよな。甘すぎる って友人に言われたよ。
その時の俺は、二人の話が嘘でも本当でも、どっちでもいいと思っていた。
帰宅後、彼女と二人きりで話をした。
彼女の主張は、だいたいこんな感じ。
以前は、自然消滅のような形で別れただけで自分の中では完全に終わらせられなかった。
俺と会って彼のことを思い出すことは少なくなったが、忘れた事は無かった。
再会してから彼への気持ちが再燃してしまったが、先日の結婚記念日に自分のしてきた事、本当の気持ちがわかった。
今日を最後に会わないようにしようとしていた。
「ごめんなさい」「許して」「本当に愛しているのはあなた」
涙ながらに言われたが、彼女を見つめたまま何も出来ずに固まっていた。
好き合ってるから付き合っていると思っていた。
愛し合ってるから結婚したと思っていた。
彼女を気づかせたのは俺ではなく、友人たちの力だと思った。
俺の気持ちが やっと届いたと思う反面、今までの俺と俺の幸せが空虚なものに感じていた。
ひどく悲しかったが、涙は出なかった。
俺も彼女も子供だったんだろう。
たいした恋愛経験もなく のめりこんで、抜け出せなくなっただけ。
俺は本当に彼女の幸せを願っていたのか・・・どーなんだろうな。
彼女とは離婚した。
互いに、引越しも転職もしていない。
彼女にも男にも慰謝料請求はしていない。
彼女は財産分与を拒否したが、押し付けるようにして半分渡した。
彼女親が金を持ってきたが、もしもの時に(男の)奥さん用に使ってもらうことにした。
男は浮気せずに うまくやってるようだ。金を使わずに済むなら それが一番いいと思う。
俺も彼女も再婚していない。
交際相手もいないようだ。
散歩や買い物の途中で会うことがある。
たわいも無い会話だけしている。
友人には「俺が許してくれるまで、いつまでも待つ」と言っているようだが・・・
自信を無くした男が女性を幸せに出来るはずがないよな。
あの時、きっちりケジメつけてれば 違う結果が出てたんだろうな。彼女と別れるにしろ、やりなおすにしろさ。
ここに書いたのは自分の為。弁護士に相談済みだ。ケジメ つけさせてもらう。
このカキコを逆利用されても構わない。そーゆーやつなんだと区切りをつけられる。
チラシの裏代わりにさせてもらった。すまん。かんべんな。