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思い出の懐中時計
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小学生の頃、学校の帰り道にある「美原時計店」のウィンドウに飾ってある懐中時計をいつも見ていた。
なんだかとてもカッコいい感じがしたのだ。飾りの細工に竜の絵が彫ってあり、いつかほしいと思っていた。
「こんにちは。どうしたのかな?いつも見てるね君」
いつの事だっただろうか。いつものように懐中時計を見ていたら不意に声をかけられた。
意表をつかれた小学生の俺は思わず叫んでしまった。
「うわああ!!」
「あらあら。びっくりさせちゃったかな。あたしね、この店の店長さんだよ」
顔を見上げると そこには20代前半くらいの女の人が立っていた。
ショーットカットの髪がとても似合っていて、笑顔が印象的だったのを覚えている。
「こ、こんにちは」
「こんにちは。あたし、ちゃんと挨拶できる子好きよ」
「はあ・・・・・・・」
「時計好きなんだ?」
「うん・・・・・・これ何ていうの?かっこいいね。秘密道具?」
「これは懐中時計っていうのよ」
「かいちゅう?海と関係あるの?」
「いや、その海中じゃないの。まあ、ズボンのポケットとか服の内ポケットとかに隠し持つ秘密時計の事よ!」
「す、すげえ!」
「ふふっ。中に入って見てみる?」
「うん!!いいの?」
「いいよ。毎日見てくれてた御礼よ」
店内に入ると、色々な時計が店中に飾ってあり面食らったものだ。
しかし、びっくりしたのは全ての時計の秒針がピッタリ揃って時を刻んでいた事だった。
なんだかとてもカッコいい感じがしたのだ。飾りの細工に竜の絵が彫ってあり、いつかほしいと思っていた。
「こんにちは。どうしたのかな?いつも見てるね君」
いつの事だっただろうか。いつものように懐中時計を見ていたら不意に声をかけられた。
意表をつかれた小学生の俺は思わず叫んでしまった。
「うわああ!!」
「あらあら。びっくりさせちゃったかな。あたしね、この店の店長さんだよ」
顔を見上げると そこには20代前半くらいの女の人が立っていた。
ショーットカットの髪がとても似合っていて、笑顔が印象的だったのを覚えている。
「こ、こんにちは」
「こんにちは。あたし、ちゃんと挨拶できる子好きよ」
「はあ・・・・・・・」
「時計好きなんだ?」
「うん・・・・・・これ何ていうの?かっこいいね。秘密道具?」
「これは懐中時計っていうのよ」
「かいちゅう?海と関係あるの?」
「いや、その海中じゃないの。まあ、ズボンのポケットとか服の内ポケットとかに隠し持つ秘密時計の事よ!」
「す、すげえ!」
「ふふっ。中に入って見てみる?」
「うん!!いいの?」
「いいよ。毎日見てくれてた御礼よ」
店内に入ると、色々な時計が店中に飾ってあり面食らったものだ。
しかし、びっくりしたのは全ての時計の秒針がピッタリ揃って時を刻んでいた事だった。
カチッカチッという一つの音が店内に響いていた。
とても奇妙な感じがした。子供心に何故かその時、得体の知れない恐怖を感じた。
全くの狂いもなく、店中の時計がピッタリ同じ動きをしていることにまるで異空間に迷いこんだような錯覚に陥った気がした。
「ビックリした?」
「何か不思議な感じ・・・・・・・・お姉さん凄いね この時計達。生きてるみたい」
「私のこだわりなの。それに初めて来たお客さんはまずビックリするわね。それを観察するのが趣味なの」
「趣味悪いよ お姉さん」
「でも嫌な感じじゃないでしょ?」
「最初ちょっと怖かったよ」
「まだまだ子供だね」
「小学生だもん」
「そっか」
そういってお姉さんはクスッっと笑った。
「はい。これが見たかったんでしょ?」
「うん。何か、普通の時計とは違うね雰囲気が」
「独特な感じでしょ?ほら ここに竜の彫刻があるでしょ?ここの出っ張りを押してごらん」
「これ?」
それを押すと彫刻の竜の目がピッカっと光り、カチッと音がした。ふたのスイッチになっていたようで ふたを開けると文字盤が現れた。
俺は その細工にひどく見入ってしまった。
ウィンドウを見てるときには想像もしなかった細工に心を奪われた瞬間だった。
「すげえ・・・・・」
まるで宝物でも見つけたかのように俺はその懐中時計をずっと見つめていた。
「ほしい?」
「うん・・・・・」
「うちの店ね。今月末で閉めるんだ。だからそれさ、君にあげるよ」
「ほ、本当に?」
「うん。気に入ってくれたみたいだし」
「本当の本当?」
「やっぱ嘘」
「ええ?」
「嘘嘘。冗談よ。あげるよ。大切にしてね」
「ありがとうお姉さん!!」
「どういたしまして」
時計店を後にすると、お姉さんは ずっと俺の後ろで手を振っていた。
「バイバイ」
俺は何度も頭をさげてお礼を言った。嬉しくて仕方なかった。
その懐中時計を見ていた。
あれからずっと肌身離さず持っている。
高校3年の今でも腕時計ではなく これを持ち歩いている。大切な宝物だ。
不思議と一秒の狂いもない。さすがあのお姉さんの店の時計だ。
「先輩!何見てるんですか?」
とても奇妙な感じがした。子供心に何故かその時、得体の知れない恐怖を感じた。
全くの狂いもなく、店中の時計がピッタリ同じ動きをしていることにまるで異空間に迷いこんだような錯覚に陥った気がした。
「ビックリした?」
「何か不思議な感じ・・・・・・・・お姉さん凄いね この時計達。生きてるみたい」
「私のこだわりなの。それに初めて来たお客さんはまずビックリするわね。それを観察するのが趣味なの」
「趣味悪いよ お姉さん」
「でも嫌な感じじゃないでしょ?」
「最初ちょっと怖かったよ」
「まだまだ子供だね」
「小学生だもん」
「そっか」
そういってお姉さんはクスッっと笑った。
「はい。これが見たかったんでしょ?」
「うん。何か、普通の時計とは違うね雰囲気が」
「独特な感じでしょ?ほら ここに竜の彫刻があるでしょ?ここの出っ張りを押してごらん」
「これ?」
それを押すと彫刻の竜の目がピッカっと光り、カチッと音がした。ふたのスイッチになっていたようで ふたを開けると文字盤が現れた。
俺は その細工にひどく見入ってしまった。
ウィンドウを見てるときには想像もしなかった細工に心を奪われた瞬間だった。
「すげえ・・・・・」
まるで宝物でも見つけたかのように俺はその懐中時計をずっと見つめていた。
「ほしい?」
「うん・・・・・」
「うちの店ね。今月末で閉めるんだ。だからそれさ、君にあげるよ」
「ほ、本当に?」
「うん。気に入ってくれたみたいだし」
「本当の本当?」
「やっぱ嘘」
「ええ?」
「嘘嘘。冗談よ。あげるよ。大切にしてね」
「ありがとうお姉さん!!」
「どういたしまして」
時計店を後にすると、お姉さんは ずっと俺の後ろで手を振っていた。
「バイバイ」
俺は何度も頭をさげてお礼を言った。嬉しくて仕方なかった。
その懐中時計を見ていた。
あれからずっと肌身離さず持っている。
高校3年の今でも腕時計ではなく これを持ち歩いている。大切な宝物だ。
不思議と一秒の狂いもない。さすがあのお姉さんの店の時計だ。
「先輩!何見てるんですか?」
後輩の小林千春だった。
「おお。小林君か」
「小林君は やめてくださいよもう!少年探偵団じゃないんだから」
「ほら。俺の宝物」
「うわあ・・・・アンティークですね。うちの美術館の品の一つにに是非加えたいです・・・・・」
「まったく このお嬢様は」
「あ!!先輩!!私を金持ち扱いしなでくだい!!!」
「超金持ちじゃねーか!月のおこつかい10万って何者だよ」
「だってくれるんですもん」
「普通は5千円くらいだろ」
「じゃああげますよ!!お金なんか!!」
「何切れだよ」
「お金いっぱいあるんだから仕方ないじゃないですか切れです!」
「やべ、コイツ超殴りてえ」
「ふふーん」
小林千春とは学食で知り合った。
食券を買う時に、財布から ひらりとカードを出す俺の前に並んでた小林に唖然としたものだ。
「あら、カード使えないのかなあ・・・・・・」
「ちょっと、君なにしてんの」
「へ?いや、カレーセットを食べたいんですけど、カードがつかえないんです・・・・」
顔がマジだった。コイツ本気で言ってやがる。
「実はカードが使えないのには訳があるんだ」
「へ?訳ですか」
「今年に入って謎の犯罪集団がこの学校に入り込んでな。カードの情報をスキミングしそうになったんだ」
「スキミングですか!!」
「ああ。あれはいつもと何も変わらない一日だった。いち早く学食に来た俺は何かの違和感を感じた。
耳をすませると妙な電子音が かすかに鳴っているんだ」
「電子音ですか!!それは一体!?」
「(こいつノリがいいのか本気なのか)俺は一発で見破ったね。これは食券の販売機にスキミング装置が設置されてるってね」
「すごいです!!」
「俺はすぐ先生と警察に連絡したね。案の定機械の内部からスキミング装置が出てきた。かなり機械に詳しいヤツのやり口だよ。内部の設計に何の違和感もなく装置を取り付けてたからな」
「かなり専門の知識が必要ですよね・・・・」
「ああ。その通りだよ。それからというものスキミング被害防止対策のためカードの使用はできなくなったんだ」
「はあ・・・・なるほど・・・・でもあたしこのカードしか持ち合わせがないんです」
「で、いつツッコムの?」
「え?」
「いやいや。ええ???」
「何かツッコムんですか?」
「君 本気で聞いてたの?」
「ええ。ちょっと尊敬しました。凄いんですねええと・・・」
「時任雄介。2年生だ」
「トキトー先輩ですね」
「ああ。君は何者?小銭を出せ小銭を。学食では小銭だ!」
「私、小林千春1年です。小銭はここ1年近く見てません」
>>次のページへ続く
「おお。小林君か」
「小林君は やめてくださいよもう!少年探偵団じゃないんだから」
「ほら。俺の宝物」
「うわあ・・・・アンティークですね。うちの美術館の品の一つにに是非加えたいです・・・・・」
「まったく このお嬢様は」
「あ!!先輩!!私を金持ち扱いしなでくだい!!!」
「超金持ちじゃねーか!月のおこつかい10万って何者だよ」
「だってくれるんですもん」
「普通は5千円くらいだろ」
「じゃああげますよ!!お金なんか!!」
「何切れだよ」
「お金いっぱいあるんだから仕方ないじゃないですか切れです!」
「やべ、コイツ超殴りてえ」
「ふふーん」
小林千春とは学食で知り合った。
食券を買う時に、財布から ひらりとカードを出す俺の前に並んでた小林に唖然としたものだ。
「あら、カード使えないのかなあ・・・・・・」
「ちょっと、君なにしてんの」
「へ?いや、カレーセットを食べたいんですけど、カードがつかえないんです・・・・」
顔がマジだった。コイツ本気で言ってやがる。
「実はカードが使えないのには訳があるんだ」
「へ?訳ですか」
「今年に入って謎の犯罪集団がこの学校に入り込んでな。カードの情報をスキミングしそうになったんだ」
「スキミングですか!!」
「ああ。あれはいつもと何も変わらない一日だった。いち早く学食に来た俺は何かの違和感を感じた。
耳をすませると妙な電子音が かすかに鳴っているんだ」
「電子音ですか!!それは一体!?」
「(こいつノリがいいのか本気なのか)俺は一発で見破ったね。これは食券の販売機にスキミング装置が設置されてるってね」
「すごいです!!」
「俺はすぐ先生と警察に連絡したね。案の定機械の内部からスキミング装置が出てきた。かなり機械に詳しいヤツのやり口だよ。内部の設計に何の違和感もなく装置を取り付けてたからな」
「かなり専門の知識が必要ですよね・・・・」
「ああ。その通りだよ。それからというものスキミング被害防止対策のためカードの使用はできなくなったんだ」
「はあ・・・・なるほど・・・・でもあたしこのカードしか持ち合わせがないんです」
「で、いつツッコムの?」
「え?」
「いやいや。ええ???」
「何かツッコムんですか?」
「君 本気で聞いてたの?」
「ええ。ちょっと尊敬しました。凄いんですねええと・・・」
「時任雄介。2年生だ」
「トキトー先輩ですね」
「ああ。君は何者?小銭を出せ小銭を。学食では小銭だ!」
「私、小林千春1年です。小銭はここ1年近く見てません」
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