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バイト帰りに出会った女子高生との数年間の話
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47 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 21:40:23.29 ID:V7RNIziR.net
「ねぇお兄さん。」
「ん?」
声が上ずりそうなのを抑えて聞く。
「私ね、雨の日って結構好きなんだ。」
「・・・俺の周りには あんまりそういう奴はいないかな。」
どちらかというとアウトドア派が多い友人たちは雨を嫌がった。逆にインドア派は天気なんぞといって興味がなさげだった。
ちなみに俺は寝やすいから好きだ、というと、不精だねww、と彼女は笑った。
「雨音以外聞こえないとじっくり考え事ができるし、雨が降ったら いつもと違う表情を見られるの。」
俺の話を聞いている時とは違った笑顔で微笑む。その表情に若干の不安がよぎる
「じゃあ、さ、つかぬ事を聞くけれど・・・」
「?、何?」
「あー、・・・その、俺といて、楽しい?」
時間がたってみればわかることで彼女は無理をして俺に合わせているんじゃないかと不安になってしまったのだろう。
しかし この時の俺の茹であがった頭は思考を軽く放棄していた。
48 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 21:42:33.34 ID:V7RNIziR.net
「いやその、参考程度に、面白くないと俺のアイデンティティが揺らぐというか―」
聞かれてもいないのに言い訳を始める。
そんな中で白石の声が耳を打つ。
「楽しいよ、とっても」
本当に一瞬だけ、雨の音が止んだ。
俺の目を見てまっすぐ、白石はそう伝えた。
「私の知らないこと いっぱい知ってるし、面白いし、いっつも聞く伊達さんの話で大笑いしちゃうし、何より」
「・・・何より?」
緊張していた。
顔が暑かった。
心音がうるさかった。
白石の顔と同じくらい赤い自覚があった。
「お兄さん、いい人だもん。」
「っ!」
「ん?どしたの?」
「なん、でもない。むせた。」
出来るだけ わざとらしくないようにせきをした。にやけそうな口元を慌てておさえた。
白石はにやけてたからきっと ばれてたんだろうけれど何も言わなかった。
「ねぇお兄さん。」
「ん?」
声が上ずりそうなのを抑えて聞く。
「私ね、雨の日って結構好きなんだ。」
「・・・俺の周りには あんまりそういう奴はいないかな。」
どちらかというとアウトドア派が多い友人たちは雨を嫌がった。逆にインドア派は天気なんぞといって興味がなさげだった。
ちなみに俺は寝やすいから好きだ、というと、不精だねww、と彼女は笑った。
「雨音以外聞こえないとじっくり考え事ができるし、雨が降ったら いつもと違う表情を見られるの。」
俺の話を聞いている時とは違った笑顔で微笑む。その表情に若干の不安がよぎる
「じゃあ、さ、つかぬ事を聞くけれど・・・」
「?、何?」
「あー、・・・その、俺といて、楽しい?」
時間がたってみればわかることで彼女は無理をして俺に合わせているんじゃないかと不安になってしまったのだろう。
しかし この時の俺の茹であがった頭は思考を軽く放棄していた。
48 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 21:42:33.34 ID:V7RNIziR.net
「いやその、参考程度に、面白くないと俺のアイデンティティが揺らぐというか―」
聞かれてもいないのに言い訳を始める。
そんな中で白石の声が耳を打つ。
「楽しいよ、とっても」
本当に一瞬だけ、雨の音が止んだ。
俺の目を見てまっすぐ、白石はそう伝えた。
「私の知らないこと いっぱい知ってるし、面白いし、いっつも聞く伊達さんの話で大笑いしちゃうし、何より」
「・・・何より?」
緊張していた。
顔が暑かった。
心音がうるさかった。
白石の顔と同じくらい赤い自覚があった。
「お兄さん、いい人だもん。」
「っ!」
「ん?どしたの?」
「なん、でもない。むせた。」
出来るだけ わざとらしくないようにせきをした。にやけそうな口元を慌てておさえた。
白石はにやけてたからきっと ばれてたんだろうけれど何も言わなかった。
49 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 21:44:28.83 ID:V7RNIziR.net
「あ、あれ、私の家!」
白石が声をあげた。
指さしたのは新しいとも古いとも言えない二階建ての一軒家だった。
玄関まで行くと白石が傘から出ていく。そこにあった確かな温度が徐々に薄れて、やがて消えていった。
「送ってくれてありがとね。」
「いや、当然だしな。」
そういってまだ少し赤い顔をして二人で見つめ合うって、何を言えば良いのかわからなくなって少し沈黙する。
「・・・時間あったらまた行くね。」
「・・・ん、掃除しとく。」
ぶっきらぼうに、だけどできるだけ優しく言って、白石が家に入るまで見送った。
一連のやり取りを思い出して沸き上がった感情の名前もよくわからないまま、それが抑えきれなくなってにやけながら全力で走り出した。
話したら後で伊達に笑われた。
51 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/09/09(金) 21:56:19.37 ID:V7RNIziR.net
何だかんだ一人だと寂しいから結構嬉しい。
部屋の玄関まで来てようやく落ち着きを取り戻した。
いかんな、しっかりしないと・・・
そう考えながらドアノブに手をかけ―静止する。
5mm程下げていたはずのドアノブが元の位置に戻っている。
その時、俺に電流が走る。
俺の部屋の鍵は俺が一本とあの男以外持っていない。
そう判断し、鍵を開け、ドアノブを下ろし、ドアを開ける!
「ふはははは!食らえ!南斗水鳥拳奥義!伊達百裂拳!」
避・・・否・・・死!
とか考えて死ぬわけがなく予想通り過ぎて軽い安堵すら覚えながら見飽きた顔を見る。
「やっぱりお前か・・・」
うちに来ることが多い伊達には一応ということで合鍵を渡してある。
先ほどとの落差に目眩がする。生憎とつねった頬がリアルだと教えてくれた。
南斗水鳥拳の使い手は今後一生使わないであろう伊達百裂拳の構えを解く。
52 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/09/09(金) 21:58:20.37 ID:V7RNIziR.net
「珍しいな、お前がこんな時間に居ないなんてどこにいってたんだ?」
「あー・・・」
こいつは基本的にスキルが違いすぎる。推察力もだが 出し抜けるとは思っていない。時間を余計に食うだけだ。
「あ、ありのままに今起こったことを話すぜ…白石を家まで送ってきた。」
端的かつ完璧な文章。
対して伊達は、「極・刑☆」
死刑判決。
「待て、キレるな。白石に飯作ってもらっただけだ。」
「!?」
「白石が何か奢れっていったんだが金ないって言ったら作ってあげるって言われたんだよ。」
「切り刻むぞ?」
「で、白石の傘壊れたっていうから相合傘で送ってきた。」
「小島が!泣くまで!俺は!殴るのを!止めない!」
「胸倉掴むなって・・・そうだ、白石の作ってった飯まだ残ってるけど食うか?」
「我が生涯に一片の悔いなし!」
「せめて食ってから言えよ・・・」
53 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 22:00:33.88 ID:V7RNIziR.net
とりあえずお茶でも出すために部屋の中へ。
「おかまいなくていいぞ?」
「そうか?じゃあ白石の飯もいらないな?」
「ごめん!嘘!構ってくれないと死ぬ!自殺する!」
「アホかww」
「あ!皿とかも白石ちゃんの使ったやつでいいぞ!」
流石伊達。歪みのなさに感服する。
当然ながら そんなことはせず適当に流しながら伊達に皿を出す。夏場なので中途半端に残った夕飯の処理に困っているところだった。
「で、お前は何しに来たんだ?」
「ん?もりゃもまえ、ちらいちちゅんぽもちんてんみちゅいちぇだま…」
「喋るか食うかどっちかにしろよ・・・」
聞き取れなくはないが これを人前でやったら後々伊達が困るだろう。
「ガシャガシャガシャ!ガァツガァツ!」
「食うんかい!話せよ!」
「そりゃお前白石ちゃんとの進展について聞こうと思ったんだが・・・その様子だと心配なさそうだな。」
口角をあげる伊達。だが意地の悪さは感じられない。ここがこいつが人から好かれる所以なのだろう。
54 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 22:02:13.22 ID:V7RNIziR.net
「ほっとけ、自分はどうなんだよ?」
「ん?何だ?俺の夜の営みについてでも聞きたいのか?ww」
「・・・遠慮する・・・」
これはこんなだが腐っても医学部医学科。その上先程挙げた人の良さもある。多少の見た目のハンデなど吹き飛ばして余りある。
伊達は伊達でこれもまた話にできる恋愛をしているから後で書いてもらうのも悪くないかもしれない。
「まあ、あんまり深くは聞かないが、気を付けろよ?」
「ん?」
「深い付き合い自体は悪くないが、深入りしすぎるなってことよ。」
それからすぐに「聞き流せ」と小さく苦笑した。伊達がこんなことを言うのはあまり無かったので妙に印象深かった。
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