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「機械と少年」
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169 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/10/21(月) 00:08:00.80 ID:psma3LW7P
爆風が収まり砂煙がもうもうと立ちあがる

勇「リート・・・降りろ」

リート「・・・え?」

勇「これ以上近づけば またお前に影響がでる・・・」

リート「でもっ・・・!」

勇「早くしろっ!!」

リートはしぶしぶ降りた

その顔は不安と困惑でいっぱいだった

勇「安心しろ、ちゃんとまた拾いに戻ってくる」

リート「行くんですね・・・?」

勇「今が奴を倒せるチャンスだ・・・!」

ヴィントのスラスターに点火し猛スピードで基地に向かう

電磁波の残渣が多いのでベトロニクスをすべてオフにする

ここまで見晴がよくされたんだ・・・ 視認するのは難しくない

基地の半分が巨大なクレーターになっていたがまだ半分は残っていた

爆破されたのは格納庫の反対側

バーサリー基地の研究部があったところだ

E2爆弾の威力がこの間見たものよりも弱い

というより基地側が何か抵抗して爆弾を完全作動させなかったのだ

ダダダダッ

銃声が聞こえた

まだあの基地は戦っている

最初に見えたのは次々とヴィントやシュトロームを破壊していく銀色の機械兵・・・ハーキュリー

そしてそれと応戦する基地の兵士達だ

E2爆発はその特性上 爆発に巻き込まれなければ生存率は通常兵器よりも高い

爆風も強い嵐程度だ



170 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/10/21(月) 00:19:12.15 ID:psma3LW7P
情報によればあのハーキュリーは かなりの化け物と聞く

しかしこのまま下がる訳にはいかない

ヴィントを変形させ最大加速で突撃する

ハーキュリーがこちらに気が付いた

それでも俺は止まらない

ブレードを展開して それをハーキュリーにすれ違いざまに叩き込む

勇「・・・なにっ!?」

それでもハーキュリーは動かず更には両手でブレードを白刃取りして止めた

勇「うおぉっ!!」

右側のブレードだけ止められたのでブースターの方向ベクトルが強制的に捻じ曲げられ回転し始めた

その瞬間にハーキュリーはブレードから手を放し一っ跳びで数メートル離れたところに着地した

スラスターをうまく操作して体制を立て直す

勇「パワーも機動性も段違いだ・・・」

今までの機械兵はブレードを白刃取りするどころか反応することさえできなかった筈だ

それをあの機械兵はいとも簡単にやってのけた

勇「くそ・・・」

このヴィントの最大の売りのスピードとパワーを攻略された・・・

ハーキュリーはこちらをにらんだまま微動だにしない

目は双眼でより人型にちかい形

まるで人体の見本のような姿だ

アンテナの類は一切見られず全体的に丸いフォルム

それでも人間と比べればずいぶんな大柄だ



171 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/10/21(月) 00:25:09.17 ID:psma3LW7P
装甲が薄くなったようにも見えるが さっきの激突で あれの装甲は何か新素材でできている気がした

少なくとも今までの素材ではない

こちらをにらんでいた赤い目が急に緑色に変化する

そして背を向け走り出した

勇「逃げる気か!」

このヴィントの加速から逃げられるものか!

ハーキュリーの背中と足の裏が光る

ブースターだ

地面を滑るように逃げていくハーキュリー

それもかなり速い

あの丸いフォルムは空気抵抗を考えてデザインされていたのだ

勇「待て!」

しかし突撃の際にかなりの電力を消費していたために これ以上追いかけられなかった



172 :名も無き被検体774号+:2013/10/21(月) 00:58:24.28 ID:Hk415OsU0
あれ、今ってVT2??


173 :名も無き被検体774号+:2013/10/21(月) 01:10:47.74 ID:psma3LW7P
今はVT2

コロッセオは旧型勇スペシャル

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181 :名も無き被検体774号+:2013/10/22(火) 23:58:37.26 ID:w+7bDWMYP
バーサリー基地

勇「・・・」

結局 死者は基地の半数に達した

もちろん知っている顔もある

いや、殆どが一緒にバトルコロッセオを目指した奴らだ

リート「・・・ひどい・・・」

次々に運び出される遺体袋

勇「お前はここにいろ、外には出るなよ」

ここはシティのヘリの中だ

電磁遮断加工がされているおかげでリートはここに連れてきた

シティ「本当になんなんだよ・・・あいつ・・・!」

あいつとはハーキュリーの事だろう

勇「明らかに普通の機械兵じゃない。・・・人類軍ではあのレベルの技術は持っていない。あいつは単独で この人類軍領まで乗り込んで来たんだ」

シティ「機械兵の稼働時間はせいぜい100時間だろ?」

勇「それもあそこまでの機動が出来るならば もっと電力を消耗する筈だ・・・」

ヘリの扉を開けて外に出る

シティ「どこに行くんだ?」

勇「最後に・・・もう一度別れを」

シティ「そうかい。エアーホルンまではあたしが運んでってやるよ」

リート「ありがとうございます」

救援の人員がごった返す中を歩き進んで行く


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182 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/10/23(水) 00:05:48.96 ID:w+7bDWMYP
前には見知った名前の書かれた遺体袋

最初に俺に声をかけてきた軍人だ

勇「・・・お前にはしっかり礼が言えてなかったな・・・」

ここを出た日の夜もこいつが俺たちを逃がしてくれた

いわば恩人だ

勇「・・・借りが返せなくなってしまったな」

楽しかった記憶が俺を痛めつける

人の死とはこういうものだ

軍人になったその日から覚悟は出来ている

だから、俺が出来ることはただ一つ・・・

背筋を伸ばして敬礼をする

勇「天霧勇・・・必ずお前らの仇はとる・・・!この命に代えても・・・!」

整備兵、軍人、その他にもたくさんの仲間が死んだ

俺には彼らを蘇らせることは出来ない

いや、誰にも出来ないことだ

出来ることは敵討ちのみ

こうして俺は新たな決意を胸にバーサリーを離れた


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>>次のページへ続く
 
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