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「機械と少年」
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182 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/10/23(水) 00:05:48.96 ID:w+7bDWMYP
前には見知った名前の書かれた遺体袋
最初に俺に声をかけてきた軍人だ


勇「・・・お前にはしっかり礼が言えてなかったな・・・」


ここを出た日の夜もこいつが俺たちを逃がしてくれた
いわば恩人だ


勇「・・・借りが返せなくなってしまったな」


楽しかった記憶が俺を痛めつける
人の死とはこういうものだ
軍人になったその日から覚悟は出来ている
だから、俺が出来ることはただ一つ・・・
背筋を伸ばして敬礼をする


勇「天霧勇・・・必ずお前らの仇はとる・・・!この命に代えても・・・!」


整備兵、軍人、その他にもたくさんの仲間が死んだ
俺には彼らを蘇らせることは出来ない
いや、誰にも出来ないことだ
出来ることは敵討ちのみ
こうして俺は新たな決意を胸にバーサリーを離れた







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183 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/10/23(水) 00:15:49.61 ID:jtCcPCF4P
エアーホルン基地

クロム「久しぶりね。勇、リート」

勇「ああ・・・」

リート「お久しぶりです」

クロム「珍しい、あなた随分穏やかじゃないわね」

勇「俺か?・・・そんな事はない」

クロム「ふぅん・・・ま、いいけど」

クロムに促されるまま基地の奥に入っていく

クロム「色々と大変だったみたいね」

色々と・・・か

大変な事はたくさんありすぎて何を指しているのか分からない

クロム「とりあえずこれを見てちょうだい」

見せられたのは何やらヴィントのパーツのようだ
量からみて2台分だろうか?

勇「これは?」

クロム「VT23号機に装備する予定だったあたしの芸術作品。
    クロムユニット、通称Cユニットよ」

VT2・・・3号機!?

勇「3号機なんてあるのか!?」

リート「え?予定だったって・・・?」

クロム「そんなにがっつかないでよ・・・。3号機は既に廃棄されたわ」

勇「なぜ!?」

クロム「破壊されたからよ・・・最近噂のハーキュリーとやらにね」

ハーキュリー・・・その名前が俺の心を掻き乱す





184 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/10/23(水) 00:22:32.01 ID:jtCcPCF4P
クロム「3号機はカティノスという基地からここまで空輸する予定だったの。」

勇「カティノス・・・?」

クロム「そこに現れたのがハーキュリー。
    奴は防衛網を突破して輸送機ごとVT2を破壊して去って行ったわ」

勇「やはり・・・VT2が狙いで・・・?」

クロム「次に向かったのはあなた達も見たそうだけど古びた研究施設。
    ここへの攻撃理由は不明よ。現在調査中ってとこ」

勇「次は・・・バーサリー・・・」

クロム「そこでは奪われたVT22号機が目撃されているわ」

勇「・・・」

クロム「おそらく敵はそこにVT2が配備されていると思って攻撃したんでしょうね」

勇「敵は・・・VT2を恐れている?」

クロム「そりゃ、あなたが随分戦果あげてくれたじゃない?
    開発陣としては嬉しいけど敵からしたら厄介よねぇ」

勇「・・・ではなぜバーサリーで俺を目撃しながら退却そたんだ?」

リート「勇さんのVT2も充分破壊対象ですよね?」





185 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/10/23(水) 00:25:53.49 ID:jtCcPCF4P
クロム「恐らく稼働時間の限界ね」

勇「稼働時間?」

クロム「あれほどの機体。
    どんな動力でも長時間の行動は不可能。
    さらに基地の防衛警戒域外からの奇襲で
    そうとうエネルギーを消費していた」

勇「つまりあいつにはあの時戦う力は残っていなかった・・・?」

クロム「まぁ・・・予測だけどね」

勇「・・・」

もしかしたらあそこであの悪魔を仕留められた・・・かもしれない

勇「ならば俺が狙われる可能性も充分あるんだな?」

クロム「そのために呼んだのよ。」






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14 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/10/26(土) 22:58:38.99 ID:/MsVvaZzP
エアーホルン基地演習場

クロム『準備はいい?』

勇「はい」

今俺のヴィントはドレッドの作った増設ブースターユニットを
取り外し代わりに例のクロムユニットが付けられている
一見2台分の重装ユニットに見えたが これで一機分だそうだ
青かった機体の増設ブースターのところに
黄色いミサイルポッドや超電子加速粒子砲とかいう
やけに長い砲身が右にくっついている
バランスを取るためなのかその反対には大型のコンデンサが
積まれていてバランスは悪くない
だが、これは重すぎるだろ・・・

クロム『超電子加速粒子砲のテストはいいから それ以外を自由に試してみて』

勇「これは走らないぞ・・・多分・・・」

クロム『ギリギリ通常のヴィントと同じくらいの機動はできるはずよ』

ほんとかよ・・・

クロム『そもそも火器後方支援の機体に機動力なんて求めないでちょうだい』

まぁ・・・そうだな・・・

勇「では、始める」

その合図と同時に機械兵のダミーが動き出す

全部で20機・・・普通なら戦闘を回避して離脱するのが
賢明だがこのヴィントなら行ける気がした





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15 : ◆Z3ayXtoR4DEE :2013/10/26(土) 23:11:34.75 ID:/MsVvaZzP
テスト終了

クロム「散々な結果ね」


その声には俺に対する呆れが色濃くにじみ出ていた
確かにヴィントとクロムユニットはうまく作動した
だが18連ミサイルポッドや3連迫撃砲の照準を
人間がどうこうできるものではなかった

クロム「まぁ、なんとなく予想はできてたけど」

勇「もう少し武装を減らさないと・・・。そもそもこの照準システムは無理がある」

クロム「この機体の全武装をコントロールできるユニットをつけると重すぎるのよねぇ・・・」

クロムが見せた端末には今の重武装ヴィントの背中にドでかい
箱型ユニットが増設されている

勇「そもそも乗るところがないし・・・」

クロム「無線でこのユニットから電波でリンクさせるのもありなんだけど・・・」

勇「ラグがでるな・・・。戦場ではコンマ1秒の遅れも命とりだ」

クロム「分かってるわよ・・・。
    それにそのユニットには柔軟な思考ができないと
    操縦兵のサポートは無理ね・・」

勇「喋るヴィントとか?」

クロム「極端に言うとそんな感じね。
    ヴィントにはそんなに大きな操作パネルが付けられないから
    せめて会話くらいはできるといいんだけど・・・」

勇「そんなの無理だろ。」

クロム「今は無理でも何とか・・・仕方ない、兄さんに相談すっか・・・」

兄さんとはドレッドのことだ



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