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バイト帰りに出会った女子高生との数年間の話
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80 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 23:06:24.50 ID:V7RNIziR.net
「白石・・・」

「な、何!?」

「・・・いや、何でもない・・・」

きっとここで何か言ったら白石は手を放してしまうだろう。俺は何も言わずにつながれた手に少しだけ力を込めた。

嫌がられるかもしれないと思い少し躊躇ったが白石は赤くした顔をうつむき加減にしただけで何も言わなかった。



電車を乗り換える。

そんな彼女に少しだけ意地悪をしてみる。

「なぁ白石?・・・離さなくて、いいの?」

ちょっとだけ離されるリスクを考えながら掴まれている左手を少し上げる。

「っ〜〜!!お、お兄さんが離してくれないから離さないだけで別に繋いでなくてもいいからね。」

彼女の言動に小さく笑みがこぼれる。



81 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 23:08:26.44 ID:V7RNIziR.net
「じゃあ、俺が離したくないから、このまま、でいい?」

たどたどしく言葉を紡ぐ。たぶん今俺は見たことないほどに赤くなっているであろう。だって人生で指折りで心臓が速く動いている自信がある。

「す、好きにすれば?」

「ん・・・じゃあ、このままな・・・」

何を話すこともなく二人でそっぽを向いたままただ座りながら彼女の手を握る。

白石の手の感触があまりに慣れなくて力を入れたり不必要に指を動かしてしまう。

「・・・いや、だったか?」

「ううん、別に、大丈夫・・・でも、付き合ってる人たちが手を繋ぎたがるのよくわかるよ。」

「ん?何で?」

「ドキドキするけれど・・・どこか安心する・・・」

「・・・だな・・・」

白石は自身が言ったように それこそ安心したように乗り換えの時の俺のように眠り始めた。



82 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 23:11:13.21 ID:V7RNIziR.net
乗り換えた駅から目的地までは30分。

長いような短いような時間だが、その間左手はこのままであると考えれば幸せといっていいだろう。というかもっと長くても問題ない。むしろもっと長いほうがいい。


各駅停車の電車が止まる。慣性の法則で白石の頭が俺の肩に寄りかかる。心臓が急速に縮んでから同じく急速にはずむ。

こんなに まじまじと顔を見るのは雨の日以来だ。俺以外の前でも こんなに無防備なんだろうか。あの時と同じだ。

陰が落ちるほどに長いまつげ。通った鼻筋。快活で良く笑う割に薄くて小さな口。それらがいつもよりも近く、いつもよりもより魅力的に見える。

きっと怖かったのだ。関係が変わってしまうことも、そうなって横に居てくれるとは限らないと考えることも。

いつからだろうか 近くに居てこんなに愛おしいと思えるようになったのは、こんなに傍にいてほしいと思ったのは。

握った手に力が籠る。せめて今だけは、つないだ手の感触が少しでも長く残って欲しいと願うように。



83 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 23:13:36.87 ID:V7RNIziR.net
「おい、白石、白石!ついたぞ。」

「んん・・・あ、着いたんだ・・・んー・・・」

大きく伸びをする白石。

「あれ・・・?」

「どした?」

「う、ううん。別に・・・」

起こすときに離した俺の左手を少し見た後で視線を逸らす白石。

何だこいつ・・・
クッソ可愛い・・・
写メに撮りたい。

「早くしないと電車発車しちまうから行くぞ?」

「ん・・・」

寝ぼけ眼のままフラフラと歩き出す。見るからに危なっかしい。手を伸ばせば届きそうな距離、真横に立つ。

「駅から少し歩くみたいだけど大丈夫か?」

「ん・・・だいじょぶ・・・」

やや舌足らずな様子でいう白石。歩けば元に戻るかと思いきや足取りは少しフラフラしているままだ。

階段を上る時に自然、手が伸びてしまった。今度は右手で彼女の左手をそっと握る。

払われるかと思ったが何も言わず白石は少し手に力を込めた。



84 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 23:16:04.45 ID:V7RNIziR.net
駅で昼食をとってから外へ出る。

海が見える。今住んでいる街は海がないので故郷の風景以来、実に懐かしいものだった

「海か・・・懐かしいなぁ・・・」

「お兄さんって どこ出身だっけ?」

「東経140度、北緯40度の県だよ。」

「・・・どこ?」

「ググってくれ。」

水族館までは歩いて10分かかった。

夏の日差しが中々きつくて、「東北でこんなに暑いのは反則だ」って言うと白石は笑ってたのを覚えている。

着いた水族館は それなりに有名な場所と夏休みだけあって結構な人出だった。

「結構な人だな・・・」

「もう少し少ないかと思ってたけど夏休みだしね・・・」

「白石はここ来たことあるのか?」

「ううん、本当に地味に遠かったりするんだよね。だからお兄さんと来るのが初めて・・・」

「・・・」

そういうことを笑顔で言われると困る。正視できない。



85 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 23:18:48.62 ID:V7RNIziR.net
「お兄さん、お兄さん!」

「ん?」

白石が目元を細めて、口だけを動かして笑う。俺をからかう時の、いつもの癖だ。

「離さないでね?ww」

白石が自分から握った手を少し持ち上げる。

「あー・・・分かった・・・」

駅でのお返しだよ、そういって今日一番の強さで握られた手を一瞬見て、顔が暑くなるのが判って、のぞき込んできた白石が嬉しそうに笑った。

白石は ほとんど初めてという水族館を興奮気味に、俺をまさしく引っ張る勢いで見ていった。「意外と深海生物って可愛いよね!」とか。

「カニって意外と大きいよね!」とか。

「イルカって大きいと鯨になるんだよね!」とか。

とにかく表情豊かに、見るもの全てに反応する彼女を見て一時間かけてきたかいがあったと思えた。



87 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 23:21:15.78 ID:V7RNIziR.net
「はぁー!遊んだ遊んだ!次どこ行こうか?」

「いや、白石。電車の時間とかあるから そろそろ出ないと・・・」

「えっ!嘘!?そんなに時間たったの!?」

「着いたの昼過ぎだったしな。」

「そっか、電車、一時間かかるもんね・・・あーあ、もうちょっと遊びたかったなぁ・・・」

「またくればいいだろ?」

「・・・またどこか誘ってくれるの?」

どこか不安げな表情を浮かべながら白石は俺を見つめる。

「当たり前だろww行きたいところあれば言ってくれよ。計画立てるし。」

あんまり遠いところは勘弁なと付け足すと白石は嬉しそうに目を細めた。

「じゃあ温泉がいいな!ここ温泉も有名だし!」

「ここまで来て帰って2時間かかるだろ?日帰りじゃ辛いぞ?」

「・・・泊まりでもいいよ・・・?」



88 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 23:25:12.54 ID:V7RNIziR.net
「はぁ!?」

「別の部屋取ればいいじゃん!」

「ですよねー!!」

ちょっとでもそういったことを考えた俺がバカでした。

「費用はお兄さんもちで!」

「バイト代飛ぶわ!」

二人で顔を見合わせて笑う。

こんなテンションで電車を待って、電車に乗ると疲れたのか白石はすぐに寝始めて、それを見て俺も眠ってしまって、帰りの電車は乗り換えの二回とも車掌に苦笑されながら起こされた。

そんなデートに(仮)が付くような俺と白石の遠出が終わってからしばらくして、俺は帰省するという伊達と一緒に電車に乗って3時間ほどかけて一年と数ヵ月ぶりに地元に帰るのだった。



>>次のページへ続く
 
カテゴリー:読み物  |  タグ:青春, すっきりした話, 純愛,
 


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