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バイト帰りに出会った女子高生との数年間の話
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124 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 01:30:33.92 ID:Q5UKg1qg.net
当時のバイトにおける俺の基本のシフトは月火金の16時から21時と不定期で土日に8時間程度。

水曜日は全休で店長にいってあるので基本はバイトもなしの完全フリー。

木曜日は5つあるコマのうち4つコマがあるのでこちらも基本はバイトなし。

それでも結構ハードであるが時間が取れないこともない。

ベストなスケジュールではないものの色々と時間の調整なんかもしてくれているし それなりに融通も利くので店長には本当に感謝している。


「ふーん。じゃあ水、木が一番時間取れるんだね?」

学祭も終わって一週間。十月の下旬の公園はもう肌寒い風が吹いてきていた。

その日もバイト終わりに公園によると白石に暇な日はいつかと聞かれた。

公園で会うのは久しぶりだ。制服が冬服に代わっているあたりが時間が経ったんだなぁと再確認させる。



125 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 01:33:38.83 ID:Q5UKg1qg.net
翌週の水曜日が来るのは早かった。

1人暮らしだと結構あるのだが日々が経つのが意外と早い。

やることが多くてというのも一つの要因だろうがやはり白石と一緒に居るとすぐに時間が経ってしまうというのもあると思う。

「お邪魔しまーす・・・」

「まぁ適当にくつろいでくれ。って言ってもお前は意外とうちに来てるのかww」


話の通り白石は次の週の水曜日にうちにやってきた。

こっちに帰ってきたのは9月の下旬。

意識して生活していれば精々1か月じゃ一人暮らしの男の家でもそんなに汚くならない。無論のこと掃除もしたが。

「お茶でいいよな?」

「うん。ありがと。」

うちは家具として勉強机があるものの ここは他人にはあまり座らせたくなかった。

俺のほぼすべての作業スペースであるし伊達から借りた秘蔵のトレジャーとはまた違う俺自身のコレクションもかくしてあったりするので非常に危ない。

幸いなことに我が家には こたつ机もあるので今回はこちらに活躍してもらうことになる。

「あー、こたつ布団もうかけたんだ?」

「最近寒くなってきたからなー。ほれ、お茶。」

「ん。どうも」

制服姿のJKが制服でこたつに潜って茶をすする希少なシーンを目撃しながら俺も同じように茶を啜る。



126 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 01:37:17.28 ID:Q5UKg1qg.net
「で、教えてっていうけど何の教科のどの辺かによるぞ?」

日本史や政治経済と言った所謂暗記科目はセンターでも それなりの成績を出せたから多少のブランクのある今でも教える程度のことはできるだろうが、元から苦手で数式なんか ほとんど使わない文系大学生の俺からしたら現役高校生に数学を教えられるほどのスキルはない。

「とりあえず暗記科目かな。数学・・・は捨てるから。あと余裕があったら漢文。」

「ん。おけおけ。とりあえず道具出しとけ。」

「わかったー。」

高校の頃の参考書なんていうのは実家においてきてしまっている。

夏休み中に言ってくれれば参考書やらノートやらを持ってこれたのだが。

「とりあえず暗記物は丸々暗記するんじゃなくて大筋を覚えていきながら細かい部分を少しづつ埋めていく感じだ。わかんないところあったら聞いてくれ。」

そういうと白石は頷いて黙々と勉強を開始する。

そうなると分からない部分が出てくるまでは俺は必要が無くなってしまうのでとりあえず読書でも始める。



127 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 01:40:25.82 ID:Q5UKg1qg.net
「んー・・・」

一時間半ほど問題を解いたりしていた白石が伸びをする。

「休憩するか?」

「うーん、そだね、ちょっと休もうか・・・」

少し疲れたように肩を叩き、後ろに倒れこむ白石。

「・・・腹見えるぞ・・・?」

丈が足りなすぎるという訳でもないようだが多少は足りないらしく少し白石の肌が見える。

「んー?興奮したー?ww」

「お前なぁ・・・あんまり挑発するなよ・・・?俺は俺で色々限度ってものがあるからな?」

「真面目だなぁwwお兄さんさ、いつか話したこと覚えてる?」

「・・・何の話かによるな。」

「何年か経って二人とも付き合う人いなかったらって話。」

「・・・あったな、そういや。」

何となく気恥ずかしくて視線を逸らす。

「その約束さ、その、少し、早めてもいいよ・・・?」



129 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 01:49:13.89 ID:Q5UKg1qg.net
言葉をかみ砕いて、理解して、白石に向き直る。

今までの どのときとも違う、真剣な眼差しで俺を見ている。

いや、待て、待て待て、待てって!

犯罪ですから!?

確かに好きですけど!

明確に好意はありますけど!

だからってだな!



「・・・いいよ?」

白石が腕を広げる。

誘うような視線と言葉にフラフラと花に誘われる蝶のように白石の方に近づいて行ってしまう。

頭ではわかっているのに。これがいけないことだと理解しているのに。

「・・・・・・いいよ?」

誘うように、それでいて確認するように、白石は俺の眼を見ていってくる。


いつかみたいに、抱きしめられる。

ああ、なんでだろう。

心から安心する。

「ねぇお兄さん・・・私って魅力ないのかな・・・?面と向かって言うなんて できないからいっつも軽口ばっかりで、いっつも合わせてくれるお兄さんに甘えちゃって、これでも結構、本気で言ってるんだけど・・・」

「白石・・・」

「私じゃ、いや、かな?」

「いや、じゃない、けど・・・ん!」

俺の言葉で白石の腕の力が強まる。


不意に、伊達の言葉を思い出した。

曰く、「女の子が勇気を出した時は不安なんだろうからちゃんとしたほうがいい。」



131 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 01:54:42.84 ID:Q5UKg1qg.net
「?おにいさ、うわ!」

少し強引に白石を抱きしめる。

「・・・ごめん、痛くないか?」

「ううん・・・もう、遅すぎ・・・私だけ期待してるみたいで不安になっちゃうよww」

「うん、ごめん。」

「だめww許さないよ。」

「・・・どうしろと?」

「・・・言わせるのは無しだよ?」

いつかみたいに白石は目を瞑った。

小さく戸惑って、抱きしめていた手を緩めて右手を白石の後頭部に添える。

緊張して、動悸が激しくて、加減が出来なくて強引に引き寄せるようになってしまって、いつも見てきた顔が近づいてきて、始めてのキスは勢いが強すぎて歯と歯がぶつかってしまった。

「白石さ、ホントに・・・俺で良かった?」

一息ついて聞くと白石は唐突に言った。

「んー?なんで?」

「いや・・・白石可愛いしいい子だし、だから、もっと他の奴の方がよかったんじゃないかなー・・・って思って・・・」

「お兄さんいい人だし面白いし言うほどカッコ悪く無いと思うよ、それに、その・・・」

「うん?」

「お兄さん『で』良かった、じゃ、なくて、お兄さん、『が』、良かった、かな・・・」

はにかむ様な口調で気持ちを伝えてくれる白石。

俺も俺で赤面しているので恥ずかしいが白石が伝えてくれたのだ。

俺も伝えなければならない。気持ちは言葉で伝えなければ理解できない。

「俺も、『他の誰か』、じゃなくてお前で、お前が、良かった。」

モテない、軽口しか叩けない男が精一杯気持ちを伝える。

何とかかんとか言い切ると白石は笑いながら「可愛いなぁ」なんて言って抱き着いてきた。

幸せって言うものが理解できた気がした。



>>次のページへ続く
 
カテゴリー:読み物  |  タグ:青春, すっきりした話, 純愛,
 


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