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バイト帰りに出会った女子高生との数年間の話
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140 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 10:35:55.25 ID:Q5UKg1qg.net
「伊達さぁ。その・・・ありがとな。」

唐突と言えば唐突に、伊達に言った。

「ん?どした、改まって、気色悪い。」

何か悪かったな・・・

「いや、こう、迷惑かけて来たなぁと・・・」

「礼なら口じゃなくて行動で示せ。飯奢れ。」

良い奴なんだけど こういったところは実にはっきりとしている。

「まぁ飯くらいなら。」

「・・・意外だな。いつもなら断るのに。何かいい事でもあったか?あれか?白石ちゃんと付き合うことになったとかか?w」

「・・・・・」

「え、おい、マジか・・・?」

「すまん、言うの遅くなった。」

「てめぇ小島!とうとうやったな!よし!みんな呼ぶぞ!」

リンチだろうかと身構える。まあ彼らなりの祝福なのだから受け入れるつもりではある。

「めでたいなぁ!遂に年齢=彼女いない歴脱出か!祝うぞ!みんな来なくても俺が一人で祝う!」

「何でだよ・・・」

力なく突っ込みながら騒ぐ伊達に笑いかける。そんなに邪気の無い顔で嬉しそうにしてるの見たら何も言えなくなるじゃないか。

「ほら、午後の授業サボるぞ!宴会だ!」

「はいはいw」

サボりも今くらいは良いかなんて思って、こいつの優しさが染みて、顔を洗いに行ったトイレから中々出ていけなかった。



141 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 10:39:40.67 ID:Q5UKg1qg.net
白石と付き合ってからの一日の流れは、大学の講義を受けに行き、バイトのある時は午後からバイトをして公園で白石と会ってからうちに行って勉強したり雑談したりするような日々を送っていた。

「そういえば白石もう少ししたら誕生日だっけ?何か欲しいものとかないの?」

12月の中旬、もうすっかり季節は冬になっていた。

その日も うちに遊びに、もとい勉強しに来ていた白石に思い出したように聞いた。どこかの会話の中でちらりと出た様な気がして確認のために聞いてみたのだった。


「うん?お兄さんw私の誕生日は3月だよ?w」

「あれ?そうだっけ?・・・誰かのと間違えたかな・・・」

「いいよ別にwでも急にどうしたの?」

「いや、その、近いんだったら祝った方が良いのかな、とか思って・・・」

にやっと笑う白石。

「ふーん・・・そっか・・・」

「なんだよ、その顔は・・・」

口の端を上げて眼が細くなるいつものイタズラを考えたときの笑いかただ。

「別にーww可愛いなぁと思ってさww」

「・・・男に言う言葉かねww」

そう言いながら俺も俺で口角が緩んでいるのが判って顔を逸らす。

それを見られて白石からまた「可愛いなぁww」なんて笑われた。



142 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 10:42:05.92 ID:Q5UKg1qg.net
「なぁ小島君。一ついいかな?」

「はい?どうしました店長?」

「この前 僕は小島君から聞いたと思うんだ。『店長の言葉で彼女ができた。背中を押された。』って。」

「そうですね。言いました。」

ジャムさんの言葉も後押しになったし相談にも乗ってもらっていたので一応報告する必要はあると思って、伊達同様ジャムさんにも白石の話はしていた。

「じゃあ聞くがね?・・・なんでクリスマスイブに君はバイトしてるんだい?」

「何でですかね…」

俺が聞きたい状況である。

いや、そりゃ俺だって この日が空くように店長に掛け合ったり同僚に聞いたりしていたしスケジュールは万事合うようにしていた。

していたはずだが・・・

「福士君(前にも出たがイケメンの同僚)が穴あけたりしなければ こんなことにならなかったと思うんですよ・・・」



143 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 10:43:52.23 ID:Q5UKg1qg.net
穴をあけた理由がしかも「彼女とデート!」なんて言って この街から離れていると聞いた時は殴り倒してやろうと思ったが、困ったような店長の声を聞かされては俺としても行かない訳にはいかなかった。

「呼んでしまった僕も悪いんだがね・・・しかし小島君も言ってくれれば他を当たったりしたのに・・・」

「店長には色々世話になってますからねwwまぁもうちょっとですし!」

そうは言っても あと一時間少しあるのだがと思ってそわそわする。

しかしジャムおじさん、あなたが悪いわけじゃない。元凶は福士君だ。やはり爽やか系のイケメンは信じてはいけないらしい。

気になってまた時計を見る。

「・・・やっぱり気になるかね?」

「・・・・・・少しだけ」

嘘で誤魔化しても この人はつけ込んでこないだろうがそうするのも気が引けた。

「・・・私もね、同じような経験があるんだ。ただ僕は小島君の方じゃなくて彼女の方と同じ立場でねw約束してたんだけどやぶられてしまってねえ。」

しみじみと語りだす店長。口をはさむこともできず黙って聞く。



144 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 10:46:24.45 ID:Q5UKg1qg.net
「何時間も待って、『もう帰ろうか、いやもうちょっと』って何回も考えてたよww」

「店長・・・」

「・・・湿っぽくなってしまったねww おや!もうこんな時間かい?小島君、お疲れさま!」

「え?いや、そんな・・・」

時計を見る。ジャスト一時間残っている。

「私からのクリスマスプレゼントは『一時間分の時給』だよww」

「店長・・・」

申し訳なさと優しさが染みる。涙腺に来る。最近涙もろくて堪らない。

「行っといで!今日に呼び出してしまったお詫びだよ。あ、それとね、クリスマスケーキの在庫が幾つか余っててねw 誰かが持って行っても判らないかもねww」

「・・・今度必ずお返しします・・・」

少しうるんだ目で言って頭を下げる。店長は いつもよりさらに優しい目で笑いかけてくれた。



145 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 10:49:19.42 ID:Q5UKg1qg.net
「着いたー!」

山間の街には珍しい吹雪によって阻まれながらなんとかアパートが見えるところまできた。

中々に大変でいつもの2倍程度の時間がかかってしまった。

「・・・?あれ、もしかして・・・」

目を細めるとうちのドアの前で立っている人影を見つける。

ケーキもあるので走りはしないものの出来るだけ歩く速度を上げる。

「やっぱり!白石!」

「あ・・・お兄さん・・・」

「何やってんだよお前!風邪ひくだろ!」

頭には大量の雪。ずっと待ってくれていたんだろう。よく見れば頬が赤くなっている。

「バカだなぁ・・・ほら、雪払って、家はいるぞ。」

そういって白石の頭や肩の雪を払う。

「えへへ・・・」

「・・・何だよ?」

「待ってて良かったなぁってww いつもより優しいし、いつもより気が利くみたいだし。」

マフラーで口元を隠しながら白石が笑う。目線は俺の手の中の箱。

「・・・今のお前に軽口言えるほど余裕ないんだよ・・・ほら、早く入るぞ。」



146 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/10(土) 10:50:46.80 ID:Q5UKg1qg.net
「でもごめんな。連絡しようともしたんだが雪の中でケータイがうまく使えなくて。」

「ううん。大丈夫・・・っくしゅん!」

心なしか白石の顔が赤い。

「あー、もうほら!風邪ひいたかもだぞ?ほら、少し顔寄せろ。」

「えー、チュー?ww」

額に手を当てながら体温を測ると小さく白石が笑った。

「・・・後でな・・・ちょっと熱あるかもだな。薬出すか・・・つか顔冷えすぎだ。結局いつから待ってたんだよ?」

「約束の時間からだから・・・一時間弱とか?」

・・・本当に店長に感謝だ。流石にもう一時間もしたら確実に風邪をひいていただろう。

「お前なぁ・・・あんまり心配させんなよ・・・」

「うー・・・ひっぴゃんにゃいでよ・・・」

両頬を引っ張る。冷たいが柔らかくて伸びる。

・・・意外に楽しい・・・

飽きが来ずに遊べそうだがこらえて立ち上がる。

「水と薬持ってくるから待ってろ。こたつの電源入れとけ。」

「うん・・・えへへーww」

会ってから終始にやけっぱなしの白石を置いて台所に行く。コップに水を入れるが白石に持っていく前に俺が飲み干す。

幸せそうな顔しやがって!



>>次のページへ続く
 
カテゴリー:読み物  |  タグ:青春, すっきりした話, 純愛,
 


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