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記憶を消せる女の子の話
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186 :名無しさん@おーぷん :2017/02/27(月)00:50:11 ID:V0f(主)
「石原くんの思いはきっと、償いなんかじゃない。ただ、好きな人に幸せになって欲しいだけだよ。恋なんて、独善さと傲慢さと自分勝手の、塊でしょう?」
「そんな綺麗な言葉で包んでいいのかね」
「たまには自分に優しくしなさい。償いの理由も思いも全部まとめて好きにいれちゃいなさい」
187 :名無しさん@おーぷん :2017/02/27(月)00:54:26 ID:V0f(主)
石原君は不服そうだ。真面目な人なんだと思う。
ここまで人生を私に賭けてくれた人が、真面目じゃないわけないよね。
そんな人にかける言葉はもうない。
「石原くんの思いはきっと、償いなんかじゃない。ただ、好きな人に幸せになって欲しいだけだよ。恋なんて、独善さと傲慢さと自分勝手の、塊でしょう?」
「そんな綺麗な言葉で包んでいいのかね」
「たまには自分に優しくしなさい。償いの理由も思いも全部まとめて好きにいれちゃいなさい」
187 :名無しさん@おーぷん :2017/02/27(月)00:54:26 ID:V0f(主)
石原君は不服そうだ。真面目な人なんだと思う。
ここまで人生を私に賭けてくれた人が、真面目じゃないわけないよね。
そんな人にかける言葉はもうない。
188 :名無しさん@おーぷん :2017/02/27(月)00:55:19 ID:V0f(主)
私はぎゅっと、石原くんの手を強く握る。
すると、石原くんも握り返してきた。
私たちには今言える愛の言葉よりも、思い出の中にある懐かしい振る舞いのほうがしっくりくるらしい。
189 :名無しさん@おーぷん :2017/02/27(月)01:05:26 ID:V0f(主)
夏色の風が吹き付けて、停滞した空気を浚っていく。
その行く末が知りたくて、私は目を空に向けた。
青空で、太陽が虹色の輪を纏っている。
あぁ、ハロ現象だ。私がずっとずっと恋焦がれていたものだ。
流れ落ちそうになる涙を笑顔で隠す。横を向くと、石原くんが静かに鼻を啜っていた。
私は石原くんの手をもう一度、強く握る。
石原くんは指をもぞもぞと動かし、指と指を絡み合わせた。
恋人つなぎだ。
私はまた、嬉しくて泣いてしまった。