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53 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 20:34:35.62 ID:msabUvV8.net
俺はバイトのことを全部彼女に話した。
俺が話している間、彼女は驚きながらも、黙って話を全部聞いてくれた。
「なるほど……」
話が終わると、彼女は一言そう言った。
「不思議な話ですね」
「それで、どう思う? このバイトについて」
俺は彼女に解答を求めた。
54 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 20:35:30.02 ID:msabUvV8.net
「そうですね、今考えられる可能性は三つですかね」
「三つ?」
「はい。一つ目は誰かがここを監視して、何か実験を行っているという可能性です」
「だがそれは――」
「はい、辺りを見渡したところ、監視できるような場所はありません。だからこの可能性は低いでしょう」
俺の言葉を遮って彼女は話した。
55 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 20:35:58.59 ID:msabUvV8.net
「二つ目は ただのイタズラという可能性です」
「だけど、お金が実際に振り込まれたんだ。イタズラの可能性は低いんじゃないか?」
イタズラのために金を振り込むとは とても思えないし、そんな奴がいたら馬鹿としか言いようがない。
「そうですね、この可能性も低いでしょう」
56 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 20:36:24.51 ID:msabUvV8.net
「そして最後三つ目は、あなたが嘘をついている可能性です」
「俺は嘘なんかついて――」
「知ってます。あなたは嘘をつくような人じゃありません。よってこの可能性はゼロです」
また、彼女が俺の言葉を遮って、そう言った。その声には少し力がこもっているように感じた。
俺はバイトのことを全部彼女に話した。
俺が話している間、彼女は驚きながらも、黙って話を全部聞いてくれた。
「なるほど……」
話が終わると、彼女は一言そう言った。
「不思議な話ですね」
「それで、どう思う? このバイトについて」
俺は彼女に解答を求めた。
54 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 20:35:30.02 ID:msabUvV8.net
「そうですね、今考えられる可能性は三つですかね」
「三つ?」
「はい。一つ目は誰かがここを監視して、何か実験を行っているという可能性です」
「だがそれは――」
「はい、辺りを見渡したところ、監視できるような場所はありません。だからこの可能性は低いでしょう」
俺の言葉を遮って彼女は話した。
55 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 20:35:58.59 ID:msabUvV8.net
「二つ目は ただのイタズラという可能性です」
「だけど、お金が実際に振り込まれたんだ。イタズラの可能性は低いんじゃないか?」
イタズラのために金を振り込むとは とても思えないし、そんな奴がいたら馬鹿としか言いようがない。
「そうですね、この可能性も低いでしょう」
56 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 20:36:24.51 ID:msabUvV8.net
「そして最後三つ目は、あなたが嘘をついている可能性です」
「俺は嘘なんかついて――」
「知ってます。あなたは嘘をつくような人じゃありません。よってこの可能性はゼロです」
また、彼女が俺の言葉を遮って、そう言った。その声には少し力がこもっているように感じた。
58 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 20:37:22.20 ID:msabUvV8.net
「じゃあ、結局……」
「はい、お手上げですね。全然わかりません、そのバイトが何のためにあるのか」
彼女は肩をすくめてそう言った。
「そうか……」
「すみません……お力になれなくて」
「いや、仕方がないさ」
そう、仕方がないんだ。
いくら彼女とはいえ、こんな少ない情報で、こんな訳の分からない謎を解けるわけがない。
59 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 20:37:48.12 ID:msabUvV8.net
「とりあえず、今日はもう帰りましょうか。もう終了のメールが来たんですよね?」
「ああ」
「もし、また何か新しいことがわかったら言ってください。力になれるかはわかりませんが」
「いや、ありがとう。そうするよ、とても心強い」
実際、彼女ならそのうち、この謎を解いくれるんじゃないかという気がしていた。
「それじゃあ、さようなら……」
「ああ、また明日」
さようなら、そう言った彼女の目は なんだか少し悲しそうに見えた。
60 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 20:38:31.19 ID:msabUvV8.net
家に帰ってしばらくすると、もう一通メールが届いた。
しかし、メールボックスを開いてみて気づいたが、ここ最近来たメールは全部バイト関連のことだけだ、俺の交友関係は どんだけ寂しいんだろうか。
自分に呆れながら最新のメールを開くと、そこにはバイトの終了を告げるメールがあった。
バイトの終了と言っても、いつものもう帰っていいよというメールじゃない、もうこのバイトに来なくていいよというメールだった。
61 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 20:38:51.89 ID:msabUvV8.net
なんで急にバイトが終わることになったんだ?
まさか、彼女のバイトについて話したのが ばれたのか?
だが、あそこら辺に監視できるような場所はなかった。
じゃあどうして?
62 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 20:39:16.76 ID:msabUvV8.net
考えているうちに俺は、見落としていた事実に気づいた。
そもそも なんで彼女をバイトと関係ないと思ったんだ?
あんな公園にいる女子高生、どう考えても怪しいじゃないか。
どうして こんな簡単なことに気づかなかったんだ、俺は。
一度考えつくと もう止まらなかった。
彼女とバイトに関する推測が、いくつも出てきた。
63 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 20:39:40.07 ID:msabUvV8.net
少し時間が経って落ち着いてから、俺は一つのことを決めた。
明日彼女に真実を聞こう。
割のいいバイトが終わって嫌だったからじゃない、俺は ただこのバイトがなんだったのか気になってしょうがなかった。
もし、彼女がバイトを募集したんだとしたら、一体なんのために そんなことをしたのか。
ここまでバイトを続けたんだ、それくらい知る権利はあるはずだ。
64 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 20:40:30.49 ID:msabUvV8.net
その夜は疑問と推測が頭の中を蠢いてあまり眠れなかった。
だかそれも明日はっきりするはずだ。
一体彼女が何者なのか。
65 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 20:41:00.11 ID:msabUvV8.net
次の日、朝起きると俺はすぐに公園に向かった。
さすがにこんな早い時間から公園にはいないだろうと思ったが、それなら待てばいい。
とにかく俺は早く真実を知りたかった。
66 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 20:41:25.33 ID:msabUvV8.net
公園に着くと、驚くことに彼女は もうそこにいた。
「おはようございます、やっぱり来ちゃいましたか」
来ちゃった? どういう意味だ?
聞きたいことは たくさんあったが、俺はとりあえず彼女の隣に座った。
「随分早いんだな」
「公園の主ですから」
そう言った彼女の顔は、前のような得意げな顔ではなく、ただただ、悲しそうな顔だった。
67 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 20:41:59.44 ID:msabUvV8.net
「来てすぐで悪いんだが、一つ聞きたいことがある」
ここまでくると、俺にはもう確信があった。彼女バイトについて何か知っているという確信が。
「……」
彼女は何も答えなかった。
俺はその沈黙をイエスと受け取り、さっき得た確信を口にした。
「君があのバイトを募集したのか?」
68 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 20:42:25.61 ID:msabUvV8.net
「……少し違います、私が募集したわけではありません」
彼女は未だ悲しそうな顔で、とても小さな声を出してそう言った。
「どういうことだ?」
「すみませんでした、私は今まであなたを騙してたんです」
「だから どういうことなんだ? 本当のことを教えてくれないか?」
俺はもう、思ったことを全部口に出していた。
いつもなら もっと考えてから話すのに、今はそれができなかった。
69 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/12(土) 20:42:47.70 ID:msabUvV8.net
「そうですね、まずあなたの正体から話しましょうか」
「正体?」
どういうことだ? 俺の正体って、俺には正体だとかそんな大層なものはない。
そもそも なんで俺の話になるんだ?
わけがわからなかった。
「そうです、正体です。あなたの正体は……」
彼女は少し話すのをためらっているように見えた。
少しして、何か決心をしたような目になって彼女は口にした。
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