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バイト帰りに出会った女子高生との数年間の話
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70 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 22:43:19.34 ID:V7RNIziR.net
耳元で聞く二週間ぶりの彼女の声は覚えていたそれよりも少しだけ高い声だった。
こんな風に記憶は薄れていくんだろうどうでもいいことを考えるあたり、きっと疲れているんだろうなんて考えながら話し始める。
「あ、白石?小島だけど・・・」
第一声が裏返ってないか些か自信がなかった。
『あ、え?お、お兄さん!?ご、ごめん!ちょっと待って!』
「お、おお・・・」
白石の慌てように少し驚きながらも黙って待つ。
すると白石の後ろから話し声が聞こえる。
彼氏?違うよ!というような主旨が聞こえて数秒経つとまた白石が通話口に戻ったようだ。
『待たせてごめんね。今バンドの練習で学校の部室にいてさ・・・』
「ああ、いや俺こそごめん。急に電話して。先にメールとかすればよかったな?」
『ビックリしたよwwお兄さんの番号聞いてなかったから知らない人から いきなりかかった来たかと思ったよww』
「そっか、そういやそうだったな。」
雨の日に白石のアドレスと番号を貰ってはいたが電話をかけるのは今回が初めてだった。
71 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 22:46:26.03 ID:V7RNIziR.net
『で、今日はどうしたの?急に電話なんて。もしかして会いたくなったとか?ww』
幾分か白石の声が上機嫌に聞こえるのは気のせいだろうなんて考えていたからだろうか。
「ん・・・会いたくなった・・・」
はずみでつい考えていたことを口に出してしまった。
『えっ・・・え?』
「あ、いや、その・・・」
言った後で白石が目の前にいるわけじゃないのに赤面する。一体何を考えてるんだ?頭が回っていないにも程があるんじゃないか?
「えーと、ごめん、ふざけたわけじゃないんだけど・・・あー、期末試験終わったからさ、暇な日があれば、その、どっか、遊びに、行こうかなって」
途切れ途切れになりながら言葉を紡ぐ。
『あ、う・・・』
軽口の返しが予想外だったからだろう。白石の反応は非常にかわいらしいものだった。
電話口の向こう側の顔が想像できて上がった口角が戻ってこない。
「ま、まあ、白石が嫌なら全然いいんだけどさ・・・」
『い、嫌じゃない!全然!嫌なんかじゃ!』
「・・・随分強調するな・・・」
『と、とにかく嫌じゃないから!ちょっと今は立て込んでて話せないから後で掛けなおす!じゃあね!』
「あ、ちょ!・・・切られたか・・・」
まあ考えすぎて何もしないよりもマシかと思いながら残ったレポートが憂いにならないようにと珍しく上機嫌で作業を進めた。
耳元で聞く二週間ぶりの彼女の声は覚えていたそれよりも少しだけ高い声だった。
こんな風に記憶は薄れていくんだろうどうでもいいことを考えるあたり、きっと疲れているんだろうなんて考えながら話し始める。
「あ、白石?小島だけど・・・」
第一声が裏返ってないか些か自信がなかった。
『あ、え?お、お兄さん!?ご、ごめん!ちょっと待って!』
「お、おお・・・」
白石の慌てように少し驚きながらも黙って待つ。
すると白石の後ろから話し声が聞こえる。
彼氏?違うよ!というような主旨が聞こえて数秒経つとまた白石が通話口に戻ったようだ。
『待たせてごめんね。今バンドの練習で学校の部室にいてさ・・・』
「ああ、いや俺こそごめん。急に電話して。先にメールとかすればよかったな?」
『ビックリしたよwwお兄さんの番号聞いてなかったから知らない人から いきなりかかった来たかと思ったよww』
「そっか、そういやそうだったな。」
雨の日に白石のアドレスと番号を貰ってはいたが電話をかけるのは今回が初めてだった。
71 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 22:46:26.03 ID:V7RNIziR.net
『で、今日はどうしたの?急に電話なんて。もしかして会いたくなったとか?ww』
幾分か白石の声が上機嫌に聞こえるのは気のせいだろうなんて考えていたからだろうか。
「ん・・・会いたくなった・・・」
はずみでつい考えていたことを口に出してしまった。
『えっ・・・え?』
「あ、いや、その・・・」
言った後で白石が目の前にいるわけじゃないのに赤面する。一体何を考えてるんだ?頭が回っていないにも程があるんじゃないか?
「えーと、ごめん、ふざけたわけじゃないんだけど・・・あー、期末試験終わったからさ、暇な日があれば、その、どっか、遊びに、行こうかなって」
途切れ途切れになりながら言葉を紡ぐ。
『あ、う・・・』
軽口の返しが予想外だったからだろう。白石の反応は非常にかわいらしいものだった。
電話口の向こう側の顔が想像できて上がった口角が戻ってこない。
「ま、まあ、白石が嫌なら全然いいんだけどさ・・・」
『い、嫌じゃない!全然!嫌なんかじゃ!』
「・・・随分強調するな・・・」
『と、とにかく嫌じゃないから!ちょっと今は立て込んでて話せないから後で掛けなおす!じゃあね!』
「あ、ちょ!・・・切られたか・・・」
まあ考えすぎて何もしないよりもマシかと思いながら残ったレポートが憂いにならないようにと珍しく上機嫌で作業を進めた。
72 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 22:49:26.81 ID:V7RNIziR.net
「なあ、伊達さぁ、デート行くなら どこがいいと思う?」
図書館の三階。大人数で申請をすると借りられる会議室。
クーラーも飲食も自由ということで いつもつるんでいるメンバーで固まって だらだらする場所は ここと暗黙の了解がなされていた。
その日は伊達と被った講義のレポートを数人でこなしているときに二人になったときので伊達に報告もかねて質問をしてみた。
「・・・・・・・・・・・・ん?」
「いや、だからデートって行くとしたら どこがいいのかな?」
レジュメから目を上げずに言う俺を心底不思議そうにのぞき込む伊達。
「デートってあれか?広辞苑によると『異性と二人で日時を決めてどこかへ出かける』と条項を満たすとデートとみなされるいうデートか?」
「お前が他にデートというものを知ってるんだったら教えてくれ。というか よくそんな広辞苑の内容覚えてんな。」
「デートだと!?まさか白石ちゃんとか!?」
「反応遅くね!?てか反応の順番逆じゃね!?」
74 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 22:51:54.23 ID:V7RNIziR.net
「何々?デート?デートなのか?どこ行く予定なんだ?ん?」
「・・・」
「うわぁ・・・お前、俺といた数年間の中で一、二を争うくらい『こいつ、ウザッ!』って顔してる・・・」
「だってなぁ・・・」
こんなテンションで来られたら流石にウザいったらない。
「とりあえず この辺りじゃいいところはないから電車でどっか遊びに行こうかって話はしてる。」
「へー、ほー、ふーーん・・・」
・・・ウゼぇ・・・
「まぁ、あれじゃね?いいんじゃねーの?前に進めるんなら何でも」
「んー・・・なのかな?正直嫌われてはないと思うんだがな…」
「そりゃ嫌いな奴だったら部屋に来て飯作ったり風邪の看病来たりなんかしないだろ。」
アホかと言外に含みながら伊達は俺を見やる。
「はーぁ、遂に小島に彼女か・・・しかも現役JK・・・なんだそれ!エロゲか!」
「一人で盛り上がんなよ・・・」
「まぁ、でもさ」
声のトーンが変わる。いつもよりも よっぽど穏やかで理知的な声音。
「本当によかったよ。お前にようやくそういう人ができてさ。」
「・・・だな・・・」
毒気を抜かれた俺は気恥ずかしくて言えなかったが心から伊達に感謝した。
76 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 22:53:38.51 ID:V7RNIziR.net
話し合って白石との行先は電車で一時間程の距離にある水族館に行こうということになった。
東京なら きっとこんなに時間がかからないんだろうなんて思うが移動手段がない以上は仕方ないことである。
「地味に遠いよね。」
駅前で待ち合わせて電車に乗ると開口一番で白石が言った。まあ、往復で二時間あればもう少し何かできそうなものである。
「そうだな・・・しかし こんなに移動時間あってもなぁ・・・なにしようか」
「お兄さんの最近あったすべらない話とかは?」
横に座った白石が何とはなしに話を振ってくる。
「また地味にハードルの高いのを…他に無いのか?」
「じゃあお兄さんの初恋とか?」
「だから何だって総じてハードルがたけぇんだよ!?もうちょい聞いて楽しいのにしないか?」
俺のツッコミにケラケラ笑う白石。
77 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 22:56:25.34 ID:V7RNIziR.net
「でも聞いてみたいなぁ。お兄さんの初恋。」
「・・・別に、大したことのないガキの恋愛だったよ。失敗の見えた恋愛だったなww」
「ふうん・・・失恋だったんだ・・・」
「白石は?お前なら いくらでもいい男寄ってくるだろ?」
「うーん・・・告白されたことは何回かあるけれど・・・中途半端な気持ちで付き合うのは失礼だから全部断ってるよ。本気で好きになった人はまだいないかな・・・」
「何か意外だな、白石位だったらいままで彼氏いてもおかしくなさそうなのに・・・」
「む、色々な取り方ができそうだね?軽い女って意味にもとれるよ?」
可愛いって素直に受け取ってくれよ・・・
そう言いたくなったが この前の家の件があるので喉元でそれを飲み下す。
「まぁ、お兄さんが そう思ってるんならそれでもいいけどさ・・・」
小さく口をとがらせる白石。
そうはいってないのだが・・・
78 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 22:58:55.09 ID:V7RNIziR.net
「ふぁ・・・そういったわけじゃないんだが・・・」
止められなかったあくびが口から漏れ出す。
「あれ?寝不足?」
「ん。少しな・・・」
今日のために前もってレポートを終わらせてきたと伝えるのは些か恥ずかしくて、訳は話さずにただ同意する。
「寝ててもいいよ?お兄さんまた目の下にクマ出来てるし。」
「そうか?気にしてなかったんだが・・・」
「私もうちょっとしたら夏休み終わるのに また倒れられたら大変だよ。」
「・・・いや、しかし白石といるのに寝るっていうのも・・・」
「い・い・か・ら!ね?」
「・・・はい・・・」
有無を言わせぬ口調に渋々目を閉じる。
「乗り換えになったら起こすから、短いけど寝てて、ね?」
穏やかな声が いつもよりも近い気がして、寝る気がなかったのに俺は意識が遠のいてきた。
79 :1 ◆Rvi/ZSmlcg @\(^o^)/:2016/09/09(金) 23:01:00.61 ID:V7RNIziR.net
住んでいる町から県庁所在地まで約50分。既に10分ほど経過していたから正味40分ほど。意識を手放していた体感時間は長くはなかった。
「おにい・ん、お兄さん!」
「ん・・・?ああ、そっか・・・」
意識が戻ってくる。時間こそ短かったが中々いい睡眠だったと思われる。
「すまん、熟睡してた・・・何か俺、変なことしなかったか?」
「え、う、うん・・・」
「・・・してたんだな・・・」
「べ、別に気にしなくていいよ。肩に寄りかかられただけだし。・・・あ、ほら!乗り換えだから!急いで!」
「あ、ああ」
上気した顔を見られないようにだろう、白石はせかしながら俺の手を引き電車から降りる。
初めて握る彼女の手は年相応な大きさで俺のよりも細くて白い指で、同じ人間なのかと思うくらいに柔らかかった。
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