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なにかと縁のあるバレンタインデー
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佳織が俺にパスする。

「こんなこと言うの かっこわりいだろ?

あいつら○○高校の連中と仲良かったからな、さすがの俺でも抵抗する気になんなかったんだよ。

・・・お前に言ったら、○○たちぶっ飛ばしに行きそうだしさ(笑)」


佳織をかわしながら、ゴール。

「そんなこと・・・・しないわけないじゃん。(笑)」

そのボールを持って、佳織がドリブルをはじめる。大きな胸が走るたびに揺れて、そっちに目が行ってしまう。

そして、佳織と目が合った。普段ならなんでもないのだが、やはり意識してしまう。

「・・・佳織」

「なに?」

「付き合うのか?俺達」

「ん〜・・・」

佳織はスリーポイントシュートを決めた。

「ナイス!」

「・・・・あのね、賢ちゃん。付き合うの、受験、終ってからにしない??どうせもうすぐだし、今付き合っちゃうと・・なんか・・・・・。」

「・・・ああ、そうだな」



そのあと3ゲームほどしてクタクタになり、『そろそろ帰ろうか』なんていいながら自販機で温かいものを買おうとしたら、いつものクセでアクエリを買ってしまった。


「ふふっ、バカだね〜」

「最近バスケやってねえから、体がやりたがってんだ多分(笑)」

「私もだよ・・・完璧にナマっちゃってるよね。」

そんなことを話しながら、お互いの家に帰った。


部屋に戻って、紙袋からチョコを出す。白と銀のリボンに、真っ赤な包み紙・・・あのときと同じラッピングだ。そして中身も同じだった。

四角くカットされた生チョコをひとつ、口に入れる。何故か、涙があふれてきた。甘くて、ほろ苦くて、でも口の中に溶けて広がると幸せな気分になる味・・・

バスケ部の部長としてお互い頑張った最後の試合も、文化祭も、普段の学校生活も、俺はあいつが居たから頑張れた。

あいつが、ずっと俺を好きで居てくれたから頑張れたのかもしれない。

俺は決めた。受験が終ったらすぐ、プロポーズしようと。



受験当日の朝、俺と佳織は電車で受験会場へと向かった。

そして試験を終えた後、会場で俺はこう言った。


「なあ・・・ちょっと、飯食いにいかねぇ?」

「いいよ、私もおなかすいた・・・」

「俺、おごるよ」

「ありがと!」


オシャレなイタリアンの店に入って、俺達はピザとパスタを堪能した。

ここで告白しようと思ったのだが、どちらかが泣いてしまうと店に迷惑だろうと思ってやめた。

そして家に帰ろうとすると、佳織が足を止めた。


「ねえ・・・うち、寄っていかない?」

「・・あぁ。」

久しぶりに入る佳織の部屋、相変わらずシンプルで、衣服などはシルバーラックに綺麗に収まっている。

「相変わらず綺麗にしてんなー。」

「そう?」

「ああ、俺の部屋なんてゴミだらけだしな・・・」

そんなことを言いながら、ソファに腰掛ける。CDを流し、佳織が隣に座った。


「・・・なぁ、佳織・・。」

「何?」


俺は上着のポケットから小さな箱を取り出した。中身はもちろん指輪だ。

「はい、これ」


「・・え?」

「その・・・・えっと・・か、佳織が・・、す、好き・・だ。大学出たら、・・・その・・、結婚してほしい。」

佳織は かなり驚いている様子だったが、俺の肩にもたれ掛かってきた。

「あーあ・・・まだ大学に入学もしてないのに、将来の夢が叶っちゃった気分だよ・・・」

「え?おまえって○○(職種)になりたいっつってただろ?」

「違うよ・・・・その、えっと・・・賢ちゃんのお嫁さんになることだよ。」


その一言に愛らしさを感じた。

俺は佳織を抱きしめ、「好きだ。佳織・・・愛してる」と呟いた。


佳織は泣き出した。

「待たせてごめんな、辛い思いさせて・・・・・」

「いいの、私・・・今すごく幸せだから・・・・。ありがとう、賢ちゃん・・・・」

数週間後。

「賢ちゃん!!賢ちゃん、合格だったよ!!!」と、封筒を持って俺の家にかけつける佳織。

俺は暗い表情で跪き、「ごめん、俺・・・俺・・・・・・、」と言う。

「え・・・・賢ちゃん、・・・・・まさか・・・・・・・」

佳織の声が震えている。

「賢ちゃん・・・なんか言ってよ、ねえ。ねえ!嘘でしょ!?嘘だよね!?」

「ああ。嘘だ(笑)。」

合格通知を見せる。


佳織は嬉しいんだかむかつくんだか、って感じの微妙な顔で俺を睨んで、近所中に響き渡るんじゃないかと思うほど大きな声で「賢ちゃんのバカ!!!!!!!!!!」と叫んだ。



そんなに遠いわけでもないんだが、自宅から大学まで距離があるため、俺達は部屋探しを始めた。

「ねえ、ここどう?? 家賃も間取りもいい感じだと思うんだけど・・・」

「俺は こっちのほうが好きかな〜」

そんなことを話しながら、俺達は雑誌を広げる。


俺達は両方の親に何もかもを話し、承諾を得た上で同じアパートで暮らすことが決まっていた。

「佳織がひとりだと心配だから丁度いい」

「賢がひとりだと外食ばかりになるから丁度いい」と、両親も大賛成。小さいうちから家族ぐるみの付き合いしててよかった・・・。


さすがに同棲まで申し出る勇気は出なかったので、できるだけ近い部屋にしようということになった。


「わぁ、ここが私の新しい部屋かぁ〜!」荷物を置いて、佳織が言う。

「まえ一回見に来ただろうが、そんな感動すんなって(笑)」と俺。

「そういうことをいわないでくださいー」と俺に詰め寄る。

「わかったわかったって。さっさと荷物片付けろよ。

俺は自分の部屋の荷物片付けてくるから。」

「は〜い。」

俺の部屋は、佳織と同じ階の、3つほど隣だ。



その日の夜、俺は佳織の部屋で、飯を食った。もちろん佳織のお手製。ロールキャベツ、鮭のムニエル、スイートポテトが、新しいテーブルに並ぶ。


「おいおい、めっちゃ豪華じゃんか。毎日こんな料理作ってたら金いくらあっても足んねーぞ?」

「今日だけに決まってるでしょ!明日からは節約生活だよ(笑)。」

これからのことについて、俺達は美味い飯を食いながら色々語り合った。



飯を食べ終わった後 俺はソファーでテレビを見ながらくつろいでいると、食器洗いを終えた佳織が横に腰掛け、俺にもたれかかる。

「重い!」

「失礼な!!!」

佳織の手には、あのときの指輪が輝いている。

自然と、佳織と目が合った。俺も佳織も、目をそらさない。そのまま距離はどんどん近づき、俺達はキスをする。


軽いキスだったのが次第に深くなり、そして、お互い初めてなので、ぎこちなく舌を絡めあう。

佳織は俺の首に手をまわし、俺は佳織を抱き寄せ、もっと距離を縮めた。昔と比べて大きくなった佳織の胸が、俺の体にあたる。それが余計に俺を興奮させた。

無意識に、俺は佳織の胸を触った。

「ん・・・っ」と、恥ずかしそうに声を出すが、抵抗しない。それがたまらない。

「賢・・・ちゃんっ・・・・・・」


>>次のページへ続く
 
カテゴリー:読み物  |  タグ:ほのぼの, 胸キュン, 青春,
 


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