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山で「邪視」に出会ってしまった

 

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42 :邪視 :2016/01/02(土)21:38:52 ID:m4z
これは俺が14歳の時の話だ。

冬休みに、N県にある叔父(と言ってもまだ当時30代)の別荘に遊びに行く事になった。

本当は彼女と行きたかったらしいが、最近別れたので俺を誘ったらしい。

小さい頃から仲良くしてもらっていたので、俺は喜んで遊びに行く事になった。



叔父も俺と同じ街に住んでおり、早朝に叔父が家まで車で迎えに来てくれて、そのまま車で出発した。

叔父は中々お洒落な人で、昔から色んな遊びやアウトドア、音楽、等等教えてもらっており、尊敬していた。


車で片道8時間はかかる長旅だったが、車内で話をしたり音楽を聞いたり、途中で休憩がてら寄り道したり、本当に楽しかった。

やがて目的地近辺に到着し、スーパーで夕食の食材を買った。そして、かなりの山道を登り、別荘へ。

それほど大きくはないが、木造ロッジのお洒落な隠れ家的な印象だった。

少し下がった土地の所に、2〜3他の別荘が見える。人は来ていない様子だった。


夕食は庭でバーベキューだった。普通に安い肉だったが、やっぱり炭火で焼くと美味く感じる。

ホルモンとか魚介類・野菜も焼き、ホントにたらふく食べた。白飯も飯盒で炊き、最高の夕食だった。

食後は、暖炉のある部屋に行き、TVを見たりプレステ・スーファミ・ファミコンで遊んだり。

裏ビデオなんかも見せてもらって、当時童貞だったので衝撃を受けたもんだった。

深夜になると、怖い話でも盛り上がった。叔父はこういう方面も得意で、本当に怖かった。機会があればその話も書きたいが…



ふと、叔父が思い出した様に「裏山には絶対に入るなよ」と呟いた。

何でも、地元の人でも滅多に入らないらしい。マツタケとか取れるらしいが。

関係ないかもしれないが、近くの別荘の社長も、昔、裏山で首吊ってる、と言った。

いや、そんな気味悪い事聞いたら絶対入らないし、とその時は思った。

そんなこんなで、早朝の5時ごろまで遊び倒して、やっとそれぞれ寝ることになった。



47 :邪視 :2016/01/02(土)21:39:36 ID:m4z
部屋に差し込む日光で目が覚めた。時刻はもう12時を回っている。喉の渇きを覚え、1階に水を飲みに行く。

途中で叔父の部屋を覗くと、イビキをかいてまだ寝ている。

寒いが、本当に気持ちの良い朝だ。やはり山の空気は都会と全然違う。

自分の部屋に戻り、ベランダに出て、椅子に座る。

景色は、丁度裏山に面していた。別になんて事はない普通の山に見えた。



ふと、部屋の中に望遠鏡がある事を思い出した。自然の景色が見たくなり、望遠鏡をベランダに持ってくる。

高性能で高い物だけあって、ホントに遠くの景色でも綺麗に見える。

町ははるか遠くに見えるが、周囲の山は木に留ってる鳥まで見えて感動した。



30分くらい夢中で覗いていただろうか?丁度裏山の木々を見ている時、視界に動くものが入った。

人?の様に見えた。背中が見える。頭はツルツルだ。しきりに全身を揺らしている。地元の人?踊り?

手には鎌を持っている。だが異様なのは、この真冬なのに真っ裸と言う事。そういう祭り?

だが、1人しかいない。

思考が混乱して、様々な事が頭に浮かんだ。背中をこちらに向けているので、顔は見えない。

その動きを見て、何故か山海塾を思い出した。

「これ以上見てはいけない」

と本能的にそう感じた。

人間だろうけど、ちょっとオカシな人だろう。気持ち悪い。

だが、好奇心が勝ってしまった。望遠鏡のズームを最大にする。ツルツルの後頭部。色が白い。



ゾクッ、としたその時、ソイツが踊りながらゆっくりと振り向いた。

恐らくは、人間と思える顔の造形はしていた。鼻も口もある。

ただ、眉毛がなく、目が眉間の所に1つだけついている。縦に。

体が震えた。1つ目。奇形のアブナイ人。ソイツと、望遠鏡のレンズ越しに目が合った。口を歪ませている。笑っている。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

目が合った瞬間、叫んでいた。

涙が止まらない。とにかく、死にたい。異常なまでの鬱の様な感情が襲ってきた。

死にたい死にたい…半狂乱で部屋を駆け回っていると、叔父が飛び込んで来た。






49 :邪視 :2016/01/02(土)21:40:21 ID:m4z
「どうした!?」

「バケモン!!」

「は?」

「望遠鏡!!裏山!!」

叔父が望遠鏡を覗きこむ。


「〜〜〜〜〜〜ッ」


声にならない唸りを上げ、頭を抱え込む。鼻水を垂らしながら泣いている。

さっきよりは、少し気持ちの落ち着いた俺が聞いた。

「アレ何だよ!!」

「00子〜 00子〜」

別れた彼女の名前を叫びながら、泣きじゃくる叔父。

流石にヤバイと思い、生まれて初めて平手で思いっきり、人の顔をはたいた。

体を小刻みに揺らす叔父。

10秒、20秒…叔父が俺を見つめてきた。

「邪視」

「じゃし?」

「いいか、俺の部屋の机の引き出しに、サングラスがあるから持ってこい。お前の分も」

「なんで(ry」

「いいから持ってこい!!」

俺は言われるままに、サングラスを叔父に渡した。震える手で叔父はサングラスをかけ、望遠鏡を覗く。しばらく、望遠鏡を動かしている。

「ウッ」と呻き、俺に手招きをする。

「グラサンかけて見てみろ」。

恐る恐る、サングラスをかけ、覗き込む。

グラサン越しにぼやけてはいるが、木々の中のソイツと目が合った。言い様の無い不安がまた襲ってきたが、さっきほどでは無い。

だが心臓の鼓動が異常に早い。と言うか、さっきの場所では無い…ソイツはふにゃふにゃと奇妙な踊り?をしながら動いている。

目線だけはしっかりこちらに向けたまま…山を降りている!?まさかこっちに来ている…!?



51 :邪視2016/01/02(土)21:41:05 ID:m4z
、お前るか?」

は?こに何を…」

「出、食堂に空のペットあるか、それに入れ来い

そう言うと、叔父は1階に降

んな出るわけないので、呆殿していら数分後、叔父がペットボトルにんべんを入れて戻った。

「したくなたら、こ入れろ」

、叔父もう1つ空のペットボルをし出した

「いや、だからアイツ何?

「山の物…山子…分かん。

俺がキの頃、よくキャプとか行ってたが、あぁ、あそこの裏山ゃないぞ?

山は色んな奇妙な起こな…

テン外での話しする誰もいな

な時に、しょんべ撒いたら議に姿ピタッ


そう言うと叔父は、もう一度遠鏡を覗き込んだ。

苦しうに呻きながらも、アイツを様子だ。

ツな。時速何Kmか知らんが、本当にゆっくりゆっく動している。途中で見えなくった

違いなく、このロッジに向かっじゃいのか沿


、早く車で戻ろうよ


多分無駄だ…アの興味を俺たち逸らさない限り多分どこま追ってくる。

の呪いだ

な視線、と書て邪視むんだが…


き言っヤツか…でも何で詳しいの?」


「俺が仕事で北欧のあるしてた時…イ俺らが助かった話そう


「助かったら…アイツ来るまでここにの?


「い迎え撃つんだよ






54 :邪視 :2016/01/02(土)21:41:50 ID:m4z
俺は絶対にここに篭っていた方が良いと思ったが、叔父の意見はロッジに来られる前に、どうにかした方が良い、と言う物だった。

あんな恐ろしいヤツの所にいくなら、よっぽど逃げた方がマシだと思ったが、叔父さんは昔からいつだって頼りになる人だった。

俺は叔父を尊敬しているし、従う事に決めた。



それぞれ、グラサン・ペットボトル・軽目の食料が入ったリュック・手持ちの双眼鏡・木製のバット・懐中電灯等を持って、裏山に入っていった。

暗くなる前にどうにかしたい、と言う叔父の考えだった。

果たしてアイツの視線に耐えられるのか?望遠鏡越しではなく、グラサンがあるとはいえ、間近でアイツに耐えられるのか?

様々な不安が頭の中を駆け巡った。


裏山と言っても、結構広大だ。双眼鏡を駆使しながら、アイツを探しまわった。

叔父いわく、アイツは俺らを目標に移動しているはずだから、いつか鉢合わせになると言う考えだ。

あまり深入りして日が暮れるのは危険なので、ロッジから500mほど進んだ、やや開けた場所で待ち伏せする事になった。

「興味さえ逸らせば良いんだよ。興味さえ…」

「どうやって?」

「俺の考えでは、まずどうしてもアイツに近づかなければならない。だが直視は絶対にするな。斜めに見ろ。言ってる事分かるな?目線を外し、視線の外で場所を捉えろ。

そして、溜めたしょんべんをぶっかける。それでもダメなら…

良いか?真面目な話だぞ?俺らのチンコを見せる」


「はぁ?」


「邪視ってのはな、不浄な物を嫌うんだよ。糞尿だったり、性器だったり…だから、殺せはしないが、それでアイツを逃げされる事が出来たのなら、俺らは助かると思う」


「…それでもダメなら?」


「…逃げるしかない。とっとと車で」


俺と叔父さんは、言い様のない恐怖と不安の中、ジッと岩に座って待っていた。

交代で双眼鏡を見ながら。

時刻は4時を回っていた。



58 :邪視 :2016/01/02(土)21:42:43 ID:m4z
「兄ちゃん、起きろ」


俺が10歳の時に事故で亡くなった、1歳下の弟の声が聞こえる。


「兄ちゃん、起きろ。学校遅刻するぞ」


うるさい。あと3分寝かせろ。


「兄ちゃん、起きないと 死  ん  じ  ゃ  う  ぞ  !  !」


ハッ、とした。寝てた??あり得ない、あの恐怖と緊張感の中で。眠らされた??

横の叔父を見る。寝ている。

急いで起こす。叔父、飛び起きる。

腕時計を見る、5時半。辺りはほとんど闇になりかけている。冷汗が流れる。


「00、聴こえるか?」

「え?」

「声…歌?」

神経を集中させて耳をすますと、右前方数m?の茂みから、声が聞こえる。

だんだんこっちに近づいて来る。民謡の様な歌い回し、何言ってるかは分からないが不気味で高い声。

恐怖感で頭がどうにかなりそうだった。声を聞いただけで世の中の、何もかもが嫌になってくる。


「いいか!足元だけを照らせ!!」

叔父が叫び、俺はヤツが出てこようとする、茂みの下方を懐中電灯で照らした。

足が見えた。毛一つ無く、異様に白い。体全体をくねらせながら、近づいてくる。


その歌のなんと不気味な事!!一瞬、思考が途切れた。





>>次のページへ続く


 


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