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アルミ缶の上に
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77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/02(日) 21:20:18.86 ID:sUR+JIhz0
「いや!」

少女は強く言った。

「いい加減にしろ!」

少年も強めに返した。


今まで穏やかだった少年に少しおびえたのか,少女はびくっと肩を揺らした。

「イヤイヤじゃあダメだ。いつまでも外でウロウロする訳にもいかないだろう。ほら,帰るよ」

少年は伝票を取り,席を立った。

少女は涙を流しながら嗚咽を漏らしていた。

少年に怒られたことと,そして あの男の家に戻らなければいけないことに絶望して。



83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/02(日) 21:27:11.57 ID:sUR+JIhz0
少年はファミレスを出てから,少女と手をつないでいた。

放っておくと逃げ出してしまいそうだったからだ。

少女の足取りは重かった。

(帰りたくない)

結構な距離があるが,2人はひたすら歩いた。

少女の歩みは遅いが,少年は根気強く付き合った。

家への距離が縮まるほど,少女の表情は暗くなる。

(そう言えば この子は一度も笑ってないな)

少年がふと思ったとき,繋いだ少女の手がブルブルと震えだした。

少女の瞳は20メートルほど先にある古いアパートを見ている。

「やっぱり嫌!」

少女は少年の手を振り解き,今まで来た道を駆け出していった。

「あ!こら!」

少年は少女を追いかけようと思ったが,アパートの前で言い争いをしている男女を見て,足を止めた。



89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/02(日) 21:36:12.17 ID:sUR+JIhz0
「このロリコン!最初から あたしよりも あの子の方が目当てだったんじゃないのかい!?」

「うるせえなぁ!ガバガバのババァよりも若いほうがいいのは当たり前だろ!」


部屋着の男女が人目もはばからず大喧嘩を繰り広げている。

女は布団たたきで男をバシバシと叩き,男を追い出そうとしているように見えた。

少年は女に少女の面影を見た。

もしかしてと思い,恐る恐る2人に近づく。

「あの・・・」

「なによ!」

ひるんだ少年だが,負けじと女に向き直る。

「11歳か12歳くらいの女の子を預かっているんですが,もしかしてお宅の娘さんでは・・・

髪が長くて,白い服で,ええと・・・サンダルを履いた」

「ああ多分そうだね」

少年の顔がぱっと明るくなる。

「さっきまでそこにいたんです,連れてきます!」

少女が走っていった方に駆け出そうとした少年を,母親の声が止めた。

「ああ良いよ良いよ別に!」




98 :いち ◆PHHpeX7gZE :2007/09/02(日) 21:45:27.23 ID:sUR+JIhz0
「あの子は あたしの男を誘惑したんだよ。こいつ追い出したら別の男連れてくる予定だからね。いないほうが都合良いんだよ。」

母親は はき捨てるように行ってから,バシン!と強烈な一発を男の背中にお見舞いした。

少年は呆然と立ち尽くした。

帰れない,と言っていた少女の言葉がよみがえる。

ただの我がままだと思って強く当たった自分に,一気に後悔の波が寄せてきた。

この男は少女を犯そうとし,母親は少女がいない方が好都合だと吐き捨てる。

少年は少女を追いかけた。



105 :いち ◆PHHpeX7gZE :2007/09/02(日) 21:49:41.41 ID:sUR+JIhz0
少女たすら走た。

男から逃げたに,を振りらずに走た。

だっ年は,あの家を戻そうる。

を頼って良いのらない

日もようる。

がどこだか分からない。家への道も分からない。

それいいのかもしれな

りたくも無いのだから


姿昼にたっぷり食はずだが,胃腸はよほど正常きを寿たらしい。

正直にグゥ立てた

お昼に少年笑わ

今は暮れた名知らは途方くれる。



110 :いち ◆PHHpeX7gZE :2007/09/02(日) 21:55:28.49 ID:sUR+JIhz0
かりるとやはり明りを求まう。

はまたコンビの前

タンと座

を見る宿,薄汚れている

みたいだな)

以前,何かの本で見たことある

目の前に置殿レンガの壁背に道端に座り込,たまに人がチャリンチャリンと音を立て,空き缶のとしいく。

(・・やっみようか・)



115 :いち ◆PHHpeX7gZE :2007/09/02(日) 21:59:19.51 ID:sUR+JIhz0
少女はコンビニの前のゴミ箱を漁った。

空き缶のゴミ箱の中には当たり前だが空き缶がゴロゴロ入っている。

しかし,少女が期待したような,上部のふたが缶切りでパカッと開けられたようなものは無かった。

(イワシの缶詰とか捨ててないのかな・・・。ジュースばっかり)

仕方が無いので少女はジュースの空き缶を目の前に置き,再び座り込んだ。

飲み口の小さな穴には,到底小銭は入りそうに無い。



121 :いPHHpeX7gZE :2007/09/02(日) 22:02:46.90 ID:sUR+JIhz0
少女っといた

にゴミを回収し員が来たので,そのときさっ姿を隠した

かし,さえ行人が少な上,少女のアイデアは外れたのか,小空き込もとす人はいなかっ




123 :いち ◆PHHpeX7gZE :2007/09/02(日) 22:06:10.31 ID:sUR+JIhz0
少女は膝を抱え,顔を伏せた。

お腹は空いたしとても寒い。

たまに聞こえるバチバチという痛そうな音。

顔を上げると,虫がライトに突っ込んでいた。

自分もあの虫と同じくらい馬鹿なことをやっているのかもしれない。

少女は再び顔を伏せた。

こんどは涙が出てきた。



127 :PHHpeX7gZE :2007/09/02(日) 22:13:17.45 ID:sUR+JIhz0
探しよ」

つしんでいた少だが,上からふる優声に,た。

そこのは少

転車から降て,少女前にしゃがみ込んだ。

「ゴメン,何にもないれ帰れ言っちって」

少女はルフルと首を振た。

「その缶,なに?空なら あそこにゴよ」

「・・・乞食の真。そうしてた誰かがお金入れてくれるか・・っ

「い〜この穴にお金は入わ・・・」

年は

この人はまた,自分をあの家連れて帰のか?

はいくらか警戒していた。



132 :いち ◆PHHpeX7gZE :2007/09/02(日) 22:22:40.06 ID:sUR+JIhz0
「オレのうちおいでよ」

少女は予想もしなかった言葉に目を見開いた。

「オレ大学生でさ,1人暮らししてんだ。

ずっと・・・ってのは無理かもしれないけど,取り合えず落ち着くところが必要だろう?」

少女は何も言わずパチパチと瞬きを繰り返す。

「お金はあんま無いけどさ,バイト頑張るし,たまにはファミレスにも連れてってあげられるよ」

少女は少年を見つめた。

言葉が出てこない。

「それにこれくらいのユーモアはある。」

少年はコンビニの中に入り,何かを買ってすぐに出てきた。

取り出したのは,みかん。

それを少女の前に置かれた空き缶の上にポンとのせて,指をさし,言った。

「アルミ缶の上に・・・?」

少女はおずおずと答える。

「ある・・・みかん・・・?」

「あったり!面白いだろ?」



「・・・つまんないよ!」

少女は少年を見上げて微笑んだ。



150 :いち ◆PHHpeX7gZE :2007/09/02(日) 22:29:37.07 ID:sUR+JIhz0
皆さんレスありがとうございます。

スレタイとラストだけ思いついて書きはじめたのですが思いもよらぬ長さになってしまいました

wktkの言葉に奮い立たされながら勢いで書きました

明日から3日間旅行なのでまた何か書くとしたらその後に・・・



161 :無しにましてVIPがお送りします。:2007/09/02(日) 22:36:25.79 ID:OUAv+Mt70
にい意味でうぎらよw

乙です






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